酔っ払いはマジ勘弁

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25話:酔っ払いはマジ勘弁 「うぃ~。ヒック……ろみすぎらなぁ……」 完全に呂律が回らなくなった言葉を発しながら、 金髪を持った緑の雌竜、ライゲは千鳥足で市街地を歩く。 ゴクゴクと、ワインの瓶を口に運び惜しげも無く飲む。 「ぷは~っ! え、えものはいらいろかれぇ~」 据わった目で辺りを見渡すライゲ。 「むにゃっ!」 しかし、何も無い所でつまずき、アスファルトの上に転んでしまう。 その拍子に身体のあちこちを擦り剥くが、酩酊状態の彼女は余り痛みを感じなかった。 「あぅ~。転んじゃったぁ……う~……おしっこしたい……」 ワインの飲み過ぎでライゲは尿意を催すが、便所を探すのは今の彼女にとって、 酷く面倒な事に感じられた。 「…良いやぁ。ここでしちゃお~」 そして正常な判断力も低下していたライゲの脳は羞恥心をも薄れさせ、 あろう事か道路のど真ん中で用を足すと言う選択肢を選ばせてしまった。 ◆ 狐獣人の少女、葛葉美琴とコート姿の外国人の壮年の男、アルソンズ・ベイルは、 互いの知り合い、そして殺し合いに乗っていない参加者を集めるために市街地を歩いていた。 殺し合いが始まって既に二時間経過しているが、死者は何人出ているのだろうか。 (四宮さんに朱雀さん、大丈夫かな…) (〈ハワードの奴、もう殺されてるんじゃないだろうな…〉) 双方、知り合いの無事を祈りつつ、とある曲がり角を曲がった。 「あれ…? 誰かいる」 「〈誰かいるな…あれは…竜か、それも雌の〉」 二人は路上の中央でしゃがみこんでいる金髪を持った緑色の 竜人体型の雌竜を発見した。 こんな殺し合いの最中、見晴らしの良い道路の真ん中で、なぜしゃがんでいるのだろうか。 疑問に思った二人がその雌竜に近付いた。 「〈おい、君〉」 アルソンズが英語で話し掛ける。 だがそこで二人はある事に気付く。 アスファルトの上に液体が広がっている。黄色っぽい液体。 僅かに漂うアンモニア臭。そして雌竜の股の付け根の部分からその液体が 流れ出ていた。 「〈……!〉」 「ちょ…! あ、あなた、何してるの?」 明らかに雌竜は用を足していた。こんな道路の真ん中で。 衝撃的な光景に美琴もアルソンズも少し驚いた。 「……んにゃ、あらたらちられぇ? ヒック…」 二人にやっと気付いた雌竜――ライゲが相も変わらず据わった目で二人を見る。 「〈酒臭いな…こいつ、相当酔ってるぞ〉」 「〈酔っ払いですか……嫌だなぁ……〉」 相手が酒に酔っていると分かり、美琴もアルソンズも余り関わりたくないという表情を浮かべた。 用を足し終えたライゲがふらふらと立ち上がり、ロングソードを片手に二人に近付く。 「…らによぉ、いいれしょ別に、おしっこしらってぇ!」 「〈あ…いや、あのな〉」 「うわっ、酒臭…!」 「…れも、丁度良かっらぁ」 「〈……ん? 何だって?〉」 次の瞬間、アルソンズの身体が袈裟に斬られ、鮮血が辺りに飛び散った。 アルソンズ本人は何が起きたか理解する間も無く、意識が途絶えた。 すぐ隣にいた美琴も一瞬何が起きたのか分からなかったが、雌竜が血の付いた長剣を 手にしているのを見て、すぐに理解した。 「う……あ……ああああ!?」 「ヒック! 丁度ぉ良いろよぉ、おしっこしてたらぁ、獲物が、ヒック…かかっれきらんらからぁ!」 ライゲは興奮した様子で、美琴にロングソードを振り上げた。 ガキィン! 「なっ……」 「こ、こんな所で、死にたくない…!」 だが、寸での所で美琴は持っていたピッケルでその刃を受け止める。 「うぎぃ…! さっさとぉ、死になさいよぉ!」 酒臭い息が美琴の顔に掛かり、美琴は嫌悪感を覚える。 ギチギチと、ピッケルの柄とロングソードの刃が鍔競り合う音が響く。 このまま膠着状態が続くのかと思われたが――――。 「そぉい!」 「ぎゃんっ!?」 美琴がライゲの柔らかい腹に革靴による渾身の蹴りを入れた。 全く無防備な、竜種の弱点とも言える柔らかな腹に固い革靴の底での一撃を入れられて、 無事で済むはずが無い。酔っていて感覚が平時より鈍っているとは言え、 その効果は大きかった。 「ぐ…あ……」 ロングソードを落とし、ライゲが腹を抱えて悶える。 「……っ!」 この機を逃すまいと、美琴はライゲに背を向け、東方面へと全速力で走り去った。 (アルソンズさん…ごめんなさい…!) たった二時間程とは言え殺し合いの中共に行動した作家の壮年紳士の死体を 放って逃げるのは忍び無かったが、自分の命まで失っては元も子も無い。 辛い気持ちを我慢し、美琴はただひたすらに走った。 後に残されたのはアルソンズの死体とその所持品、そして腹を擦る酔っ払い雌竜、ライゲ。 ライゲはギリギリと牙を鳴らしながら、美しい顔を怒りに歪めた。 「舐めやがって…! 今度会ったら食ってやる…あの狐ぇ…! ヒック」 &color(red){【アルソンズ・ベイル    死亡】} &color(red){[残り35人]} 【一日目/朝方/F-2市街地】 【葛葉美琴】 [状態]悲しみ、F-3方面へ走行中 [装備]ピッケル [持物]基本支給品一式 [思考・行動]  基本:殺し合いから脱出する。四宮勝憲、朱雀麗雅の捜索。  1:酔っ払い雌竜(ライゲ)から逃げる。  2:首輪を何とかして外したい。 [備考]  ※ジョン・ハワードの情報を得ました。  ※英語が喋れます。  ※ライゲ(名前は知らない)の外見を記憶しました。 【ライゲ】 [状態]酩酊状態、腹部にダメージ、身体中に擦り傷、葛葉美琴に対する怒り [装備]ロングソード [持物]基本支給品一式、ロープ、高級ワインボトル(1) [思考・行動]  基本:みんらころひれやる~!www  1:あの狐ぇ(葛葉美琴)…許さならひ…! あの狐を追う…? [備考]  ※酩酊状態のため、正常な判断力が鈍っています。また、痛みを感じにくくなっています。  ※葛葉美琴(名前は知らない)の外見を記憶しました。 ※F-2市街地路上にアルソンズ・ベイルの死体、アルソンズ・ベイルのデイパック、仕込杖、 (基本支給品一式、エアソフトガン(BB弾20/20)、BB弾300発)が放置されています。 |[[絶望の末の行動はやはり絶望そのもの]]|時系列順|[[オヤジはそんな高位存在だったのか]]| |[[絶望の末の行動はやはり絶望そのもの]]|投下順|[[オヤジはそんな高位存在だったのか]]| |[[DRUNKENNESS DRAGONESS]]|ライゲ|[[]]| |[[無菌状態に慣れ過ぎて]]|葛葉美琴|[[]]| |[[無菌状態に慣れ過ぎて]]|&color(red){アルソンズ・ベイル}|&color(red){死亡}|
25話:酔っ払いはマジ勘弁 「うぃ~。ヒック……ろみすぎらなぁ……」 完全に呂律が回らなくなった言葉を発しながら、 金髪を持った緑の雌竜、ライゲは千鳥足で市街地を歩く。 ゴクゴクと、ワインの瓶を口に運び惜しげも無く飲む。 「ぷは~っ! え、えものはいらいろかれぇ~」 据わった目で辺りを見渡すライゲ。 「むにゃっ!」 しかし、何も無い所でつまずき、アスファルトの上に転んでしまう。 その拍子に身体のあちこちを擦り剥くが、酩酊状態の彼女は余り痛みを感じなかった。 「あぅ~。転んじゃったぁ……う~……おしっこしたい……」 ワインの飲み過ぎでライゲは尿意を催すが、便所を探すのは今の彼女にとって、 酷く面倒な事に感じられた。 「…良いやぁ。ここでしちゃお~」 そして正常な判断力も低下していたライゲの脳は羞恥心をも薄れさせ、 あろう事か道路のど真ん中で用を足すと言う選択肢を選ばせてしまった。 ◆ 狐獣人の少女、葛葉美琴とコート姿の外国人の壮年の男、アルソンズ・ベイルは、 互いの知り合い、そして殺し合いに乗っていない参加者を集めるために市街地を歩いていた。 殺し合いが始まって既に二時間経過しているが、死者は何人出ているのだろうか。 (四宮さんに朱雀さん、大丈夫かな…) (〈ハワードの奴、もう殺されてるんじゃないだろうな…〉) 双方、知り合いの無事を祈りつつ、とある曲がり角を曲がった。 「あれ…? 誰かいる」 「〈誰かいるな…あれは…竜か、それも雌の〉」 二人は路上の中央でしゃがみこんでいる金髪を持った緑色の 竜人体型の雌竜を発見した。 こんな殺し合いの最中、見晴らしの良い道路の真ん中で、なぜしゃがんでいるのだろうか。 疑問に思った二人がその雌竜に近付いた。 「〈おい、君〉」 アルソンズが英語で話し掛ける。 だがそこで二人はある事に気付く。 アスファルトの上に液体が広がっている。黄色っぽい液体。 僅かに漂うアンモニア臭。そして雌竜の股の付け根の部分からその液体が 流れ出ていた。 「〈……!〉」 「ちょ…! あ、あなた、何してるの?」 明らかに雌竜は用を足していた。こんな道路の真ん中で。 衝撃的な光景に美琴もアルソンズも少し驚いた。 「……んにゃ、あらたらちられぇ? ヒック…」 二人にやっと気付いた雌竜――ライゲが相も変わらず据わった目で二人を見る。 「〈酒臭いな…こいつ、相当酔ってるぞ〉」 「〈酔っ払いですか……嫌だなぁ……〉」 相手が酒に酔っていると分かり、美琴もアルソンズも余り関わりたくないという表情を浮かべた。 用を足し終えたライゲがふらふらと立ち上がり、ロングソードを片手に二人に近付く。 「…らによぉ、いいれしょ別に、おしっこしらってぇ!」 「〈あ…いや、あのな〉」 「うわっ、酒臭…!」 「…れも、丁度良かっらぁ」 「〈……ん? 何だって?〉」 次の瞬間、アルソンズの身体が袈裟に斬られ、鮮血が辺りに飛び散った。 アルソンズ本人は何が起きたか理解する間も無く、意識が途絶えた。 すぐ隣にいた美琴も一瞬何が起きたのか分からなかったが、雌竜が血の付いた長剣を 手にしているのを見て、すぐに理解した。 「う……あ……ああああ!?」 「ヒック! 丁度ぉ良いろよぉ、おしっこしてたらぁ、獲物が、ヒック…かかっれきらんらからぁ!」 ライゲは興奮した様子で、美琴にロングソードを振り上げた。 ガキィン! 「なっ……」 「こ、こんな所で、死にたくない…!」 だが、寸での所で美琴は持っていたピッケルでその刃を受け止める。 「うぎぃ…! さっさとぉ、死になさいよぉ!」 酒臭い息が美琴の顔に掛かり、美琴は嫌悪感を覚える。 ギチギチと、ピッケルの柄とロングソードの刃が鍔競り合う音が響く。 このまま膠着状態が続くのかと思われたが――――。 「そぉい!」 「ぎゃんっ!?」 美琴がライゲの柔らかい腹に革靴による渾身の蹴りを入れた。 全く無防備な、竜種の弱点とも言える柔らかな腹に固い革靴の底での一撃を入れられて、 無事で済むはずが無い。酔っていて感覚が平時より鈍っているとは言え、 その効果は大きかった。 「ぐ…あ……」 ロングソードを落とし、ライゲが腹を抱えて悶える。 「……っ!」 この機を逃すまいと、美琴はライゲに背を向け、東方面へと全速力で走り去った。 (アルソンズさん…ごめんなさい…!) たった二時間程とは言え殺し合いの中共に行動した作家の壮年紳士の死体を 放って逃げるのは忍び無かったが、自分の命まで失っては元も子も無い。 辛い気持ちを我慢し、美琴はただひたすらに走った。 後に残されたのはアルソンズの死体とその所持品、そして腹を擦る酔っ払い雌竜、ライゲ。 ライゲはギリギリと牙を鳴らしながら、美しい顔を怒りに歪めた。 「舐めやがって…! 今度会ったら食ってやる…あの狐ぇ…! ヒック」 &color(red){【アルソンズ・ベイル    死亡】} &color(red){[残り35人]} 【一日目/朝方/F-2市街地】 【葛葉美琴】 [状態]悲しみ、F-3方面へ走行中 [装備]ピッケル [持物]基本支給品一式 [思考・行動]  基本:殺し合いから脱出する。四宮勝憲、朱雀麗雅の捜索。  1:酔っ払い雌竜(ライゲ)から逃げる。  2:首輪を何とかして外したい。 [備考]  ※ジョン・ハワードの情報を得ました。  ※英語が喋れます。  ※ライゲ(名前は知らない)の外見を記憶しました。 【ライゲ】 [状態]酩酊状態、腹部にダメージ、身体中に擦り傷、葛葉美琴に対する怒り [装備]ロングソード [持物]基本支給品一式、ロープ、高級ワインボトル(1) [思考・行動]  基本:みんらころひれやる~!www  1:あの狐ぇ(葛葉美琴)…許さならひ…! あの狐を追う…? [備考]  ※酩酊状態のため、正常な判断力が鈍っています。また、痛みを感じにくくなっています。  ※葛葉美琴(名前は知らない)の外見を記憶しました。 ※F-2市街地路上にアルソンズ・ベイルの死体、アルソンズ・ベイルのデイパック、仕込杖、 (基本支給品一式、エアソフトガン(BB弾20/20)、BB弾300発)が放置されています。 |[[絶望の末の行動はやはり絶望そのもの]]|時系列順|[[オヤジはそんな高位存在だったのか]]| |[[絶望の末の行動はやはり絶望そのもの]]|投下順|[[オヤジはそんな高位存在だったのか]]| |[[DRUNKENNESS DRAGONESS]]|ライゲ|[[Jam Cession]]| |[[無菌状態に慣れ過ぎて]]|葛葉美琴|[[Jam Cession]]| |[[無菌状態に慣れ過ぎて]]|&color(red){アルソンズ・ベイル}|&color(red){死亡}|

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