父よあなたは

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55話 父よあなたは ゴメスとエロリア、ドラゴナスの知る二人の名前が死亡者として放送で呼ばれた。 恐らく自分が殺した眼鏡の少年の名前も呼ばれたであろう。 アレックスや同じ魔王軍四天王の二人はまだ生きているようだ。流石と言った所か。 「ムシャ、ダーエロ…まだ生きてるのか…」 素直に仲間の無事を喜びたい所であったがドラゴナスの心境は複雑であった。 この殺し合いに優勝するには当然、アレックス達や同僚も死ななければならない。 既に一人殺している身だが、やはり知り合いの命を自分の手で奪う事には抵抗があった。 それ故、出来る事ならどこか自分の知らない所で自分以外の誰かの手に掛かって死んで欲しい。 この期に及んで甘い戯言だと言うのは彼自身も分かってはいたが―――。 「…俺にはお前らの無事を喜ぶ資格なんて無いのかもな」 既に食事は取っている。 ドラゴナスはフランベルジェとデイパックを持ち、空に飛び上がった。 眼下に見えるは森、そして遠くに市街地。 夜明けが近付きすっかり明るくなり、ひんやりとした空気がドラゴナスの身体を包む。 そして西の方向に目をやると規模が大きい娯楽施設と思しき建物を発見した。 位置的に考え、恐らく健康センターと思われる。 「…行ってみるか」 ドラゴナスは狙撃に注意しつつ、健康センターに向かい飛翔した。 見月そはらは一階飲食スペースで食事を取っていた。 同行している虎獣人の男性、高村紀嗣はすぐ近くの正面玄関付近で見張りを行っている。 (もう14人も死んでるなんて…それに…) そはらはサンドイッチを頬張りながら、死者発表で呼ばれた名前の数、 そしてその内の一人のアストレアの事を考えていた。 (アストレア…確か、智ちゃんを殺しに来た、イカロスさんの後輩に当たるって言う、 エンジェロイド…接近戦で強いって言っていたけど…) 特に親しい訳では無く、むしろ敵対していたが、 それでも知っている人物が帰らぬ人になったのは良い気分では無い。 (智ちゃん…私…帰れるかな…) そはらは自分の未来が徐々に薄暗くなって行く気がしてならなかった。 「ん?」 右手にリボルバー拳銃コルト アナコンダを携えたスーツ姿の虎獣人高村紀嗣が、 健康センター玄関に向かって歩いてくる人影を確認する。 青い髪に水着のような格好をした、半竜人の少女のようだった。 デイパックを持ち、右手には刀身が波打った特殊な形状の長剣――確かフランベルジェ だったはず――を握っている。 自動ドアをくぐり、少女が健康センターロビーに入る。 「止まってくれ」 不本意ではあったが、アナコンダの銃口を少女に向け止まるように命じた。 この状況では自分の命のため、警戒せざるを得ない。 少女は大人しく従い、足を止めた。 「持っている武器を床の上に置いてくれ…言う通りにしてくれれば何もしないから」 「……」 少女は無言のまま、持っていたフランベルジェを床の上に置く。 「…デイパックも頼む」 「……」 紀嗣はデイパックも床に下ろすように命じた。 少女は大人しくデイパックも――下ろさなかった。 下ろすと見せかけ、突然そのデイパックを紀嗣に向け投げ付けた。 突然の事だったが、紀嗣は思わず投げ付けられたデイパックを両手で受け止める。 少女――ドラゴナスはその隙を突き、床に置いていたフランベルジェを拾い、 紀嗣に向かって一気に突進した。 慌ててデイパックを捨てアナコンダを構えようとする紀嗣だったが、間に合わなかった。 ドスッ! 「があ、あ、あああああ」 腹部から背中に掛けて凄まじい熱を感じる。 フランベルジェの刃は、紀嗣の内臓をズタズタにしながらその胴体を貫いた。 鋭い牙の並ぶ紀嗣の虎の口から赤い液体が溢れ、黄色い毛皮が赤く染まる。 ドラゴナスはフランベルジェの刃を紀嗣の胴体から引き抜いた。 直後、虎獣人の男は床に崩れ落ちる。 「…高村さん!? どうし―――」 不審な物音を聞いて近くの飲食スペースにいたそはらが走ってきた。 そこでそはらが見たものは血溜まりの中に倒れる同行者の虎の男の姿。 そしてその傍で血染めの波打った刀身を持つ長剣を携えた、 竜のような翼と尻尾を持った青髪の美少女。 「もう一人いたか」 冷徹な声でドラゴナスが言う。 「や…やめ…に……にげろ…そはら…ちゃん」 血を吐きながらも必死でそはらに逃げるよう促す紀嗣。 だが、そはらからして見れば今まで同行してきた人物をそう簡単に見捨てる事は出来なかった。 そしてその優しさが仇となる。 ドラゴナスの左手には紀嗣が持っていたリボルバーが握られていた。 「悪いが、死んでくれ」 ダァン! 銃声が響き、そはらの心臓の真上辺りから鮮血が噴き出した。 何が起きたのか理解する間も無くそはらの意識は消失し、身体は仰向けに崩れ落ちた。 目は見開いたまま、虚空を見詰めていたが光は消えていた。 ドラゴナスは銃口の照準を、床で虫の息になっている虎獣人の男に向け直す。 「……な…んで……こ…ん……な………」 「―――生きて帰るためだよ」 ダァン! ダァン! 紀嗣の胸元に二発の.44マグナム弾が撃ち込まれ、 虎の獣人の肉体が二回ビクッビクッと動いた。 そして、紀嗣は静かになり、二度と動かなくなった。 「ふぅ…これで、三人、か」 ドラゴナスは余り感情のこもらない声で言うと、殺害した二人の参加者の荷物を漁り始めた。 &color(red){【見月そはら@そらのおとしもの  死亡】} &color(red){【高村紀嗣@オリキャラ  死亡】} &color(red){【残り24人】} 【一日目/早朝/A-5健康センター一階ロビー】 【ドラゴナス@VIPRPGシリーズ】 [状態]肉体的疲労(中)、身体中が少し煤けている、狂気 [装備]フランベルジェ、コルト アナコンダ(3/6) [所持品]基本支給品一式、ファイアクリスタル(2) [思考・行動]  基本:家族の元へ帰るために優勝する。そのために参加者を皆殺しにする。  1:誰であろうと容赦しない……。 [備考]  ※特殊能力は一切使えません。また、女体化しています(元の姿には戻れません)。  ※坂田銀時、エルフィ(二人共名前は知らない)の容姿を記憶しました。 ※A-5健康センター周辺に銃声が響きました。 ※A-5健康センター一階ロビーに高村紀嗣、見月そはらの死体、サバイバルナイフ、 高村紀嗣のデイパック(基本支給品一式、.44マグナム弾(18)、アイスクリスタル(2)入り)、 一階飲食スペースに見月そはらのデイパック(基本支給品一式(食糧一食分消費)入り)が 放置されています。 |[[復讐と服従、読みはちょっと似てる]]|時系列順|[[フラグを踏んだらサヨウナラ]]| |[[復讐と服従、読みはちょっと似てる]]|投下順|[[フラグを踏んだらサヨウナラ]]| |[[バーニングブライアン]]|ドラゴナス|[[]]| |[[少女の結論、虎との出会い]]|&color(red){見月そはら}|&color(red){死亡}| |[[少女の結論、虎との出会い]]|&color(red){高村紀嗣}|&color(red){死亡}|
55話 父よあなたは ゴメスとエロリア、ドラゴナスの知る二人の名前が死亡者として放送で呼ばれた。 恐らく自分が殺した眼鏡の少年の名前も呼ばれたであろう。 アレックスや同じ魔王軍四天王の二人はまだ生きているようだ。流石と言った所か。 「ムシャ、ダーエロ…まだ生きてるのか…」 素直に仲間の無事を喜びたい所であったがドラゴナスの心境は複雑であった。 この殺し合いに優勝するには当然、アレックス達や同僚も死ななければならない。 既に一人殺している身だが、やはり知り合いの命を自分の手で奪う事には抵抗があった。 それ故、出来る事ならどこか自分の知らない所で自分以外の誰かの手に掛かって死んで欲しい。 この期に及んで甘い戯言だと言うのは彼自身も分かってはいたが―――。 「…俺にはお前らの無事を喜ぶ資格なんて無いのかもな」 既に食事は取っている。 ドラゴナスはフランベルジェとデイパックを持ち、空に飛び上がった。 眼下に見えるは森、そして遠くに市街地。 夜明けが近付きすっかり明るくなり、ひんやりとした空気がドラゴナスの身体を包む。 そして西の方向に目をやると規模が大きい娯楽施設と思しき建物を発見した。 位置的に考え、恐らく健康センターと思われる。 「…行ってみるか」 ドラゴナスは狙撃に注意しつつ、健康センターに向かい飛翔した。 見月そはらは一階飲食スペースで食事を取っていた。 同行している虎獣人の男性、高村紀嗣はすぐ近くの正面玄関付近で見張りを行っている。 (もう14人も死んでるなんて…それに…) そはらはサンドイッチを頬張りながら、死者発表で呼ばれた名前の数、 そしてその内の一人のアストレアの事を考えていた。 (アストレア…確か、智ちゃんを殺しに来た、イカロスさんの後輩に当たるって言う、 エンジェロイド…接近戦で強いって言っていたけど…) 特に親しい訳では無く、むしろ敵対していたが、 それでも知っている人物が帰らぬ人になったのは良い気分では無い。 (智ちゃん…私…帰れるかな…) そはらは自分の未来が徐々に薄暗くなって行く気がしてならなかった。 「ん?」 右手にリボルバー拳銃コルト アナコンダを携えたスーツ姿の虎獣人高村紀嗣が、 健康センター玄関に向かって歩いてくる人影を確認する。 青い髪に水着のような格好をした、半竜人の少女のようだった。 デイパックを持ち、右手には刀身が波打った特殊な形状の長剣――確かフランベルジェ だったはず――を握っている。 自動ドアをくぐり、少女が健康センターロビーに入る。 「止まってくれ」 不本意ではあったが、アナコンダの銃口を少女に向け止まるように命じた。 この状況では自分の命のため、警戒せざるを得ない。 少女は大人しく従い、足を止めた。 「持っている武器を床の上に置いてくれ…言う通りにしてくれれば何もしないから」 「……」 少女は無言のまま、持っていたフランベルジェを床の上に置く。 「…デイパックも頼む」 「……」 紀嗣はデイパックも床に下ろすように命じた。 少女は大人しくデイパックも――下ろさなかった。 下ろすと見せかけ、突然そのデイパックを紀嗣に向け投げ付けた。 突然の事だったが、紀嗣は思わず投げ付けられたデイパックを両手で受け止める。 少女――ドラゴナスはその隙を突き、床に置いていたフランベルジェを拾い、 紀嗣に向かって一気に突進した。 慌ててデイパックを捨てアナコンダを構えようとする紀嗣だったが、間に合わなかった。 ドスッ! 「があ、あ、あああああ」 腹部から背中に掛けて凄まじい熱を感じる。 フランベルジェの刃は、紀嗣の内臓をズタズタにしながらその胴体を貫いた。 鋭い牙の並ぶ紀嗣の虎の口から赤い液体が溢れ、黄色い毛皮が赤く染まる。 ドラゴナスはフランベルジェの刃を紀嗣の胴体から引き抜いた。 直後、虎獣人の男は床に崩れ落ちる。 「…高村さん!? どうし―――」 不審な物音を聞いて近くの飲食スペースにいたそはらが走ってきた。 そこでそはらが見たものは血溜まりの中に倒れる同行者の虎の男の姿。 そしてその傍で血染めの波打った刀身を持つ長剣を携えた、 竜のような翼と尻尾を持った青髪の美少女。 「もう一人いたか」 冷徹な声でドラゴナスが言う。 「や…やめ…に……にげろ…そはら…ちゃん」 血を吐きながらも必死でそはらに逃げるよう促す紀嗣。 だが、そはらからして見れば今まで同行してきた人物をそう簡単に見捨てる事は出来なかった。 そしてその優しさが仇となる。 ドラゴナスの左手には紀嗣が持っていたリボルバーが握られていた。 「悪いが、死んでくれ」 ダァン! 銃声が響き、そはらの心臓の真上辺りから鮮血が噴き出した。 何が起きたのか理解する間も無くそはらの意識は消失し、身体は仰向けに崩れ落ちた。 目は見開いたまま、虚空を見詰めていたが光は消えていた。 ドラゴナスは銃口の照準を、床で虫の息になっている虎獣人の男に向け直す。 「……な…んで……こ…ん……な………」 「―――生きて帰るためだよ」 ダァン! ダァン! 紀嗣の胸元に二発の.44マグナム弾が撃ち込まれ、 虎の獣人の肉体が二回ビクッビクッと動いた。 そして、紀嗣は静かになり、二度と動かなくなった。 「ふぅ…これで、三人、か」 ドラゴナスは余り感情のこもらない声で言うと、殺害した二人の参加者の荷物を漁り始めた。 &color(red){【見月そはら@そらのおとしもの  死亡】} &color(red){【高村紀嗣@オリキャラ  死亡】} &color(red){【残り24人】} 【一日目/早朝/A-5健康センター一階ロビー】 【ドラゴナス@VIPRPGシリーズ】 [状態]肉体的疲労(中)、身体中が少し煤けている、狂気 [装備]フランベルジェ、コルト アナコンダ(3/6) [所持品]基本支給品一式、ファイアクリスタル(2) [思考・行動]  基本:家族の元へ帰るために優勝する。そのために参加者を皆殺しにする。  1:誰であろうと容赦しない……。 [備考]  ※特殊能力は一切使えません。また、女体化しています(元の姿には戻れません)。  ※坂田銀時、エルフィ(二人共名前は知らない)の容姿を記憶しました。 ※A-5健康センター周辺に銃声が響きました。 ※A-5健康センター一階ロビーに高村紀嗣、見月そはらの死体、サバイバルナイフ、 高村紀嗣のデイパック(基本支給品一式、.44マグナム弾(18)、アイスクリスタル(2)入り)、 一階飲食スペースに見月そはらのデイパック(基本支給品一式(食糧一食分消費)入り)が 放置されています。 |[[復讐と服従、読みはちょっと似てる]]|時系列順|[[フラグを踏んだらサヨウナラ]]| |[[復讐と服従、読みはちょっと似てる]]|投下順|[[フラグを踏んだらサヨウナラ]]| |[[バーニングブライアン]]|ドラゴナス|[[愚者の舞]]| |[[少女の結論、虎との出会い]]|&color(red){見月そはら}|&color(red){死亡}| |[[少女の結論、虎との出会い]]|&color(red){高村紀嗣}|&color(red){死亡}|

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