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37話 どこにも無いでしょう、あなたの素晴らしさ
どこだ。どこにいる。
俺の兄、俺をムー様に売り渡した憎むべき兄、ライガー。
「殺し合いが始まってからどれくらい経つ…?」
夜空は少しずつではあるが白み始めている。
時折遠くから何かが爆ぜるような音が聞こえるがあれは何だ?
恐らく至る所で戦いが繰り広げられているのだろう。
一体今、何人の死人が出ているのか。
「ライガーめ、まさか死んでいないだろうな…」
あのライガーがそう簡単にくたばるとも思えないが、今も生きているのだろうか。
別に心配な訳では無い。ただ、あいつは俺が殺す。
その前に死なれたら興醒めしてしまうからな。
決して心配な訳では、無い。
それにしても、あの金髪の女め、俺の目に妙な物を吹き付けやがって。
おかげで未だに目が痛む。あれは何だったんだ。新手の技か。
だが必殺技は封印されているしな……むぅ……。
それにしても、あんな人間にしてやられるのは屈辱だ。
この憂さを晴らしたい。
……北に向かっていたつもりなんだが、ここはどこだ。
どこかで道を間違えたか。
「ん…」
前方に、二人の参加者を見付けた。
見るからに駄目そうな人間の男と、猫が二足歩行になったような、
何だあれは。新種のモンスターか?
まあいい。俺の前に現れたのが運の尽きだ。
◆
私ことテトと脇坂さんは、とりあえず市街地を歩き回ってみようと言う事で、
閑散とした道路を歩いていた。
一応、私のクラスメイトの捜索も兼ねているんだけれど。
ただ、脇坂さんの視線がしょっちゅう私のおっぱいに注がれるのが気になるなあ。
これはガードしておいた方が良いかも分からんね。
「あ……」
「どうしたの脇坂さ…え?」
私達は足を止めた。
前方に、角の生えた、狼のような銀色の毛皮を持った獣がいた。
デイパックを持っているから、参加者の一人なのだろう。
「グルル…」
唸り声を上げ、こちらを睨み付けている。明らかに友好的な雰囲気では無い。
「おいおい、何だよ…お前、えーと、言葉分かるか?」
脇坂さんが銀色の獣に声を掛ける。
ドゴォ!!
「え………?」
私の傍にいたはずの脇坂さんが、嫌な音と共に消えた。
恐る恐る後ろを振り向く。いた。脇坂さん。
銀色の獣の角に貫かれ、獣の上でぐったりしていた。
「フン」
動かなくなった脇坂さんを振り落とし、地面にゴミのように捨てる銀色の獣。
うつ伏せになった脇坂さんの身体の下からは血溜まりが広がった。
まだ生きているかも知れなかったけど、私にはそれを確かめる余裕が無かった。
「わあああああああああああ!!」
「!!」
頭の中が真っ白になって、私は、持っていた拳銃を獣に向けて乱射した―――。
あれから私はどうしたんだろう、どこをどうやって走ってきたのだろう。
振り向いても、誰もいなかった。
建物の隙間からホテルらしき建物が微かに見えるから、多分、
ここは地図で言う所のエリアA-7かな。
「…脇坂さん」
銀色の獣に角で刺された脇坂さん。
もしかしたらあの時はまだ生きていたかもしれない。
けど。私は――――脇坂さんを見捨ててしまった。
たった数時間とは言え、この殺し合いで始めて出会った人で、
一緒に行動していたのに。
「…ごめんなさい、ごめんなさい…」
涙が込み上げ、目から溢れてくる。
罪悪感で、心が張り裂けそうだった。
◆
「クソッ…クソッ…!」
胴体に幾つかの小さな穴が空いたギンギライガーは、
とある民家の中で痛みに悶えていた。
先刻襲い、殺した男に同行していた猫の女が持っていた謎の武器による攻撃を受け、
今まで感じたどの痛みとも違う、焼けるような激痛がギンギライガーを苦しめていた。
猫の女は、ギンギライガーを攻撃した後、どこかへ走り去ってしまった。
「また負けた…! また俺は…! なぜだ…」
いつの間にかギンギライガーの目からは涙が溢れていた。
痛みから来る涙では無い、悔し涙である。
自分はワルモンになり、兄と同等、いや、上の力を手に入れたのでは無かったのか。
先程殺した男も、強力なモンスターでもなんでもない、ただの一般人。
憂さ晴らしのために殺したのだから誇れもしない。
一度目は金髪の女、二度目は猫のような女、二度とも女に負けた。
――お前は昔とちっとも変わっていない――
「……」
不意に、この殺し合いに呼ばれる前、雪山で兄に言われた言葉を思い出す。
昔――幼い頃の自分。弱虫で臆病でいつも兄を頼っていた自分。
その頃から自分は、何も変わっていない――?
「違う、違う違う、違う違う違う違う違う!!」
心の中の己の声を、ギンギライガーは全力で否定した。
自分は変わった。もう昔の自分では無い。あの無力な自分では――。
なら、どうしてモンスターでも無い奴に勝てないのだろう。
「違う! 違う! ちが、う、……ち、がっ………っ……~~~~」
否定の声は、嗚咽へと変わった。
ギンギライガーは薄暗い民家の中で、声を殺して泣いた。
ここに来て知ってしまった、自分の弱さを呪いながら。
&color(red){【脇坂忠行@オリキャラ 死亡】}
&color(red){【残り37人】}
【一日目/黎明/A-7ホテル周辺の市街地】
【テト@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]肉体的疲労(中)、罪悪感、悲しみ
[装備]シグP210(0/8)
[所持品]基本支給品一式、シグP210マガジン(8×3)、コンデンスミルク
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:……脇坂さん……。
2:クラスメイトを捜索する?
[備考]
※本編開始前、太田達に暴行を受ける前からの参戦です。
※超能力は封印され、使えなくなっています。
【一日目/黎明/B-7住宅街一角の民家・藤城家】
【ギンギライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
[状態]肉体的疲労(小)、精神的疲労(中)、胴体に三発被弾(出血多)、目が少し痛い、
嗚咽、どうしようも無い悔しさ
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考・行動]
基本:ライガーと決着を着ける……?
1:……俺は……。
[備考]
※アニメ27話、一対一の対決直前からの参戦です。従ってワルモンです。
※源ちずる、テト(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※A-6方面へ移動していたつもりが、何らかの間違いで
B-7方面へ来てしまったようです。
※B-7一帯及び周辺に銃声が響きました。
※B-7住宅街路上に脇坂忠行の死体と所持品が放置されています。
|[[少女の結論、虎との出会い]]|時系列順|[[廃村で休もう!]]|
|[[少女の結論、虎との出会い]]|投下順|[[廃村で休もう!]]|
|[[Gold&Silver]]|ギンギライガー|[[宿命-sadame-]]|
|[[爆乳猫少女はNEETと出会う]]|テト|[[]]|
|[[爆乳猫少女はNEETと出会う]]|&color(red){脇坂忠行}|&color(red){死亡}|
37話 どこにも無いでしょう、あなたの素晴らしさ
どこだ。どこにいる。
俺の兄、俺をムー様に売り渡した憎むべき兄、ライガー。
「殺し合いが始まってからどれくらい経つ…?」
夜空は少しずつではあるが白み始めている。
時折遠くから何かが爆ぜるような音が聞こえるがあれは何だ?
恐らく至る所で戦いが繰り広げられているのだろう。
一体今、何人の死人が出ているのか。
「ライガーめ、まさか死んでいないだろうな…」
あのライガーがそう簡単にくたばるとも思えないが、今も生きているのだろうか。
別に心配な訳では無い。ただ、あいつは俺が殺す。
その前に死なれたら興醒めしてしまうからな。
決して心配な訳では、無い。
それにしても、あの金髪の女め、俺の目に妙な物を吹き付けやがって。
おかげで未だに目が痛む。あれは何だったんだ。新手の技か。
だが必殺技は封印されているしな……むぅ……。
それにしても、あんな人間にしてやられるのは屈辱だ。
この憂さを晴らしたい。
……北に向かっていたつもりなんだが、ここはどこだ。
どこかで道を間違えたか。
「ん…」
前方に、二人の参加者を見付けた。
見るからに駄目そうな人間の男と、猫が二足歩行になったような、
何だあれは。新種のモンスターか?
まあいい。俺の前に現れたのが運の尽きだ。
◆
私ことテトと脇坂さんは、とりあえず市街地を歩き回ってみようと言う事で、
閑散とした道路を歩いていた。
一応、私のクラスメイトの捜索も兼ねているんだけれど。
ただ、脇坂さんの視線がしょっちゅう私のおっぱいに注がれるのが気になるなあ。
これはガードしておいた方が良いかも分からんね。
「あ……」
「どうしたの脇坂さ…え?」
私達は足を止めた。
前方に、角の生えた、狼のような銀色の毛皮を持った獣がいた。
デイパックを持っているから、参加者の一人なのだろう。
「グルル…」
唸り声を上げ、こちらを睨み付けている。明らかに友好的な雰囲気では無い。
「おいおい、何だよ…お前、えーと、言葉分かるか?」
脇坂さんが銀色の獣に声を掛ける。
ドゴォ!!
「え………?」
私の傍にいたはずの脇坂さんが、嫌な音と共に消えた。
恐る恐る後ろを振り向く。いた。脇坂さん。
銀色の獣の角に貫かれ、獣の上でぐったりしていた。
「フン」
動かなくなった脇坂さんを振り落とし、地面にゴミのように捨てる銀色の獣。
うつ伏せになった脇坂さんの身体の下からは血溜まりが広がった。
まだ生きているかも知れなかったけど、私にはそれを確かめる余裕が無かった。
「わあああああああああああ!!」
「!!」
頭の中が真っ白になって、私は、持っていた拳銃を獣に向けて乱射した―――。
あれから私はどうしたんだろう、どこをどうやって走ってきたのだろう。
振り向いても、誰もいなかった。
建物の隙間からホテルらしき建物が微かに見えるから、多分、
ここは地図で言う所のエリアA-7かな。
「…脇坂さん」
銀色の獣に角で刺された脇坂さん。
もしかしたらあの時はまだ生きていたかもしれない。
けど。私は――――脇坂さんを見捨ててしまった。
たった数時間とは言え、この殺し合いで始めて出会った人で、
一緒に行動していたのに。
「…ごめんなさい、ごめんなさい…」
涙が込み上げ、目から溢れてくる。
罪悪感で、心が張り裂けそうだった。
◆
「クソッ…クソッ…!」
胴体に幾つかの小さな穴が空いたギンギライガーは、
とある民家の中で痛みに悶えていた。
先刻襲い、殺した男に同行していた猫の女が持っていた謎の武器による攻撃を受け、
今まで感じたどの痛みとも違う、焼けるような激痛がギンギライガーを苦しめていた。
猫の女は、ギンギライガーを攻撃した後、どこかへ走り去ってしまった。
「また負けた…! また俺は…! なぜだ…」
いつの間にかギンギライガーの目からは涙が溢れていた。
痛みから来る涙では無い、悔し涙である。
自分はワルモンになり、兄と同等、いや、上の力を手に入れたのでは無かったのか。
先程殺した男も、強力なモンスターでもなんでもない、ただの一般人。
憂さ晴らしのために殺したのだから誇れもしない。
一度目は金髪の女、二度目は猫のような女、二度とも女に負けた。
――お前は昔とちっとも変わっていない――
「……」
不意に、この殺し合いに呼ばれる前、雪山で兄に言われた言葉を思い出す。
昔――幼い頃の自分。弱虫で臆病でいつも兄を頼っていた自分。
その頃から自分は、何も変わっていない――?
「違う、違う違う、違う違う違う違う違う!!」
心の中の己の声を、ギンギライガーは全力で否定した。
自分は変わった。もう昔の自分では無い。あの無力な自分では――。
なら、どうしてモンスターでも無い奴に勝てないのだろう。
「違う! 違う! ちが、う、……ち、がっ………っ……~~~~」
否定の声は、嗚咽へと変わった。
ギンギライガーは薄暗い民家の中で、声を殺して泣いた。
ここに来て知ってしまった、自分の弱さを呪いながら。
&color(red){【脇坂忠行@オリキャラ 死亡】}
&color(red){【残り37人】}
【一日目/黎明/A-7ホテル周辺の市街地】
【テト@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]肉体的疲労(中)、罪悪感、悲しみ
[装備]シグP210(0/8)
[所持品]基本支給品一式、シグP210マガジン(8×3)、コンデンスミルク
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。
1:……脇坂さん……。
2:クラスメイトを捜索する?
[備考]
※本編開始前、太田達に暴行を受ける前からの参戦です。
※超能力は封印され、使えなくなっています。
【一日目/黎明/B-7住宅街一角の民家・藤城家】
【ギンギライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
[状態]肉体的疲労(小)、精神的疲労(中)、胴体に三発被弾(出血多)、目が少し痛い、
嗚咽、どうしようも無い悔しさ
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考・行動]
基本:ライガーと決着を着ける……?
1:……俺は……。
[備考]
※アニメ27話、一対一の対決直前からの参戦です。従ってワルモンです。
※源ちずる、テト(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※A-6方面へ移動していたつもりが、何らかの間違いで
B-7方面へ来てしまったようです。
※B-7一帯及び周辺に銃声が響きました。
※B-7住宅街路上に脇坂忠行の死体と所持品が放置されています。
|[[少女の結論、虎との出会い]]|時系列順|[[廃村で休もう!]]|
|[[少女の結論、虎との出会い]]|投下順|[[廃村で休もう!]]|
|[[Gold&Silver]]|ギンギライガー|[[宿命-sadame-]]|
|[[爆乳猫少女はNEETと出会う]]|テト|[[「兄を超えられる弟はいない」]]|
|[[爆乳猫少女はNEETと出会う]]|&color(red){脇坂忠行}|&color(red){死亡}|