復讐の女神

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35話 復讐の女神 ライガーは弟のギンギライガーと決着を着けるべく、 ギンギライガーを捜し住宅街を歩き回っていた。 「どこにいるんだ、ギンギライガー……」 そしてとある角を曲がった時だった。 ギンギライガーでは無かったが、銀色の髪を持った少女に出くわした。 (銀色の髪? 珍しい人間だな…) 「あなた…デイパックを持って、首輪をしてるって事は、参加者の一人ね」 「…ああ、そうだ」 「! 喋った……」 「何だ? 喋るとまずいか?」 「…いや、まあいいわ」 銀髪の少女――銀鏖院水晶の生きる世界には動物の外見をした獣人はいるが、 喋り、会話出来る四足歩行の獣はいないため、水晶は目の前の、 角の生えた狼のような生き物が喋った事に最初驚いた。 しかしすぐ気を取り直し、ライガーに持っている突撃銃――AKS-74の銃口を向ける。 ライガーは銃など見た事は無かったが、それが危険な物だと言う事は、 本能で察する事が出来た。 「…お前、この殺し合いに……」 「……そうよ」 その言葉と共に、水晶はAKS-74の引き金を引いた。 ダダダダダダダダダダダダダダッ!! 「ぬうっ!?」 つい数瞬前までライガーが立っていた地面一帯が瞬時に穴だらけになる。 今まで見てみたどの攻撃とも違う突撃銃の掃射にさしものライガーも瞠目した。 (何だこの攻撃は…!? あの武器は一体何だ!? そう言えば、俺のデイパックの中にも似たような物が…) ライガーが初めて見る突撃銃の威力に驚いている間に、 水晶はAKS-74のマガジンを交換し、再び引き金を引いた。 ダダダダダダダダダダダダダダダッ!! 「チィッ!」 持ち前の俊敏さで紙一重で銃撃をかわすライガー。 しかし雷撃もブレスも封じられ、更にデイパックの中の支給品も 扱える物では無いという今の彼の現状では、正面から戦うのは無謀に近かった。 (仕方無い…ここは逃げるか…くっ…無様だ……) 不本意ではあったが、ここで死ぬ訳にはいかないと、 ライガーは水晶に背を向け、北の方角へ続く道路に入り逃げ去った。 「逃げた…速いわね、走って追い付くのは無理かな」 水晶は物凄い速さで遠くへ走って行く獣の後ろ姿を見届けると、 東の方角へと歩みを進めた。 ◆ 「はぁ、はぁ…」 ライガーはどうにか危機を脱する事は出来たが、 その心には悔恨の念が浮かび上がっていた。 普段の自分ならばあのような人間の少女一人に引けを取らないはずだ。 例え見た事の無い武器を持っていたとしても。 だが、必殺技を封じられた今の自分はたかが少女一人にも勝てない。 「くそっ…屈辱だ…!」 元々プライドの高い彼にとって受け入れ難い現実。 悔しさと屈辱感にライガーは顔を歪めた。 「……いつまでも落ち込んでる訳にも行かないな…行くか…」 悔しさを引き摺りながら、ライガーは再びギンギライガーを捜し始める。 「ん……あれは橋か」 しばらく歩いた所で石造りの橋を発見する。 よく見ると橋の中程の欄干付近に人影が見える。 どうやらまたしても人間の少女――のようだが、狐の耳と尻尾が生えている。 新種のモンスターかとライガーが思っていると、少女が何かを抱きかかえ、 泣いているのに気付いた。 それは、血塗れの人間の少年だった。どうやら既に死んでいるらしい。 注意しながら少女に近付くライガー。 少女――源ちずるはライガーには気付いていない。 「おい」 「……あ」 近くまで寄ったライガーが声を掛けようやくちずるは気付く。 その顔はすっかり憔悴し切っており、頬には涙の跡があった。 何があったのかは聞かずともおおよそ見当がついた。 「…知り合いか」 「……うん……あなたは……」 「俺はライガーだ。お前は?」 「…源、ちずる……」 「そうか…ちずる、すまないが……尋ねたい事がある」 「何…?」 「俺に良く似た…銀色の獣を見なかったか」 「…!」 ライガーの問いに、ちずるが反応を示した。 「……もしかして…あの……」 「知っているのか!?」 「…この殺し合いが始まって…初めて襲い掛かってきた相手よ……。 何とか、逃げてきたけど……」 「そうか…」 やはり、ギンギライガーは殺し合いに乗っているようだ。 予想はしていた事とは言え、ライガーは苦い表情を浮かべた。 この少女はどうにか逃れられたようだが、殺し合いが始まってもう三時間近く経つ。 既にギンギライガーによる犠牲者も出ているかもしれない。 「そいつがどこに行ったか分かるか?」 「ごめん……急いで逃げて来たから……それはちょっと……。 でも、会ったのはこの橋を渡った向こう…北の方よ」 「そうか……ありがとう」 「…知り合いなの?」 「…そいつの名前はギンギライガー。俺の弟だ」 「えっ……?」 「……教えてくれてありがとう。一刻も早く、ギンギライガーを見付けないといけない。 そろそろ……」 ちずるの証言を信じるならばギンギライガーは現在いる橋を渡った先、 北部の市街地にいる可能性が高い。 一刻も早く捜しに行こうと思ったが、その前にちずるからも質問がなされた。 「ねえ、ライガー、私も聞いていいかな」 「何だ?」 「さっき、銃声が聞こえたの…もしかしてあなた?」 「……ああ。さっき、銀髪の女に襲われてな」 「……!」 今度は「銀髪の女」という単語にちずるが反応した。 今自分の手の中で冷たくなっている少年が、彼を襲撃した犯人の特徴として述べた、 「銀髪の少女」という特徴。そして先刻聞こえた銃声は、 あの時聞こえた銃声と良く似ていた。 「ねえ、その銀髪の女に襲われたのって、どこなの!?」 血相を変えてちずるがライガーに尋ねる。 その様子の急変ぶりに何か事情があると見たライガーは、 出来るだけ詳しく襲われた場所や、状況を説明した。 「南…! もしかしたら…!」 少年が死の直前に話していた事と、ライガーから聞いた証言を照らし合わせると、 ライガーを襲った襲撃者が少年を襲った者と同一人物である可能性が極めて高い。 「…一体どうしたんだ」 「……もしかしたら、あなたがさっき戦ったって言うその少女は、 この子を殺した犯人かもしれないの」 「何…? …………お前、復讐する気か」 「………」 ちずるは何も答えない。沈黙は肯定を意味するものとライガーは判断した。 「……止めはしないがな。復讐からは何も生まれんぞ」 「…自己満足ぐらいは生んでくれるでしょ」 「………お前、武器はあるのか?」 ライガーの問いにちずるは、持っていたナイフ機能を出したアーミーナイフを見せる。 「あの武器相手にそれじゃ無謀だろう。俺の支給品をやる」 「良いの?」 「どうせ俺には使えない」 ライガーは前足と牙で器用に自分のデイパックを開け、 中身が見える状態にしてちずるに差し出した。 少年の死体をゆっくり地面に横たえ、ちずるはデイパックの中身を漁る。 そして基本支給品の他に入っていた物は、二つの銃器と予備の弾薬。 一つはリボルバー拳銃S&W M27と、.357マグナム弾18発。 もう一つは5.56㎜NATO弾を使用する突撃銃、M4A1カービンと予備マガジン5個。 どちらも強力ではあるが、ライガーの体型では装備出来ない、 言わば宝の持ち腐れだった。 「……ありがとう」 ちずるはライガーのデイパックに入っていた銃器弾薬を受け取り、 M4A1カービンを装備した。 「…それじゃあ、俺は行く」 「……うん、分かった」 ライガーはデイパックを背負うと、橋を渡り北の方へと歩き去った。 「……」 後に残されたちずるは、少年――小山田耕太の死体を、 両脇を抱えるようにして近くの民家まで引き摺り始めた。 橋の南側の入口付近にある民家。 一階の寝室に至るまで、玄関や廊下に引き摺ったような血の跡が残っていた。 寝室のベッドの上には血が付いたシーツ。 そのシーツの下には一人の少年が眠っている。 「…耕太君、ごめんね、こんな事ぐらいしか出来なくて」 ベッドの傍でちずるが悲しげな表情を浮かべたまま言う。 「…耕太君は怒るかな、復讐なんて馬鹿げてるって。でも……」 耕太は死ぬ前にちずるに「絶対に死なないで、生きて欲しい」と言った。 勿論、ちずるはそうするつもりだった。後を追おうと考え無かった訳でも無いが、 それが自分が愛した少年の最期の望みなら、絶対にそうしようと心に誓っていた。 だが、耕太を襲ったという銀髪の少女、このようなふざけた殺し合いを催した、 香取亮太という男は絶対に許す事は出来ない。 「復讐は何も生まない」……先刻会ったライガーという獣はそう言った。 「そんな事分かってるよ……でも、それでも私は」 ちずるは自分の穿いていたパンツを脱ぎ、更にブラも取り、 耕太を覆うシーツの上にそっと置いた。 彼に対する供え物のつもりなのだろう。 「……行ってきます」 そしてライガーから貰った銃の一つ、M4A1カービンを装備し、民家を後にした。 その瞳には固い決意が宿っていた。 【一日目/黎明/B-6住宅街】 【ライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】 [状態]肉体的疲労(小)、B-6方面へ移動中 [装備]無し [所持品]基本支給品一式 [思考・行動]  基本:ギンギライガーと決着を着ける。  1:殺し合い自体はする気は無いが襲われたら戦う。 [備考]  ※アニメ27話、ギンギライガーとの一対一の対決直前からの参戦です。 【一日目/黎明/D-6住宅街東部】 【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]健康、D-7方面へ移動中 [装備]AKS-74(15/30) [所持品]基本支給品一式、AKS-74マガジン(30×4)、コルト ガバメント(7/7)、  コルト ガバメントマガジン(7×3) [思考・行動]  基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。  1:クラスメイトと会っても容赦しない。 [備考]  ※本編死亡後からの参戦です。  ※超能力は封印され、使えなくなっています。  ※ライガー(名前は知らない)の容姿を記憶しました。 【一日目/黎明/C-6橋南部付近の住宅街の民家・竹内家】 【源ちずる@かのこん】 [状態]精神的疲労(大)、決意、血塗れ、ノーパンノーブラ [装備]M4A1カービン(30/30) [所持品]基本支給品一式、M4マガジン(30×5)、S&W M27(6/6)、  .357マグナム弾(18)、アーミーナイフ [思考・行動]  基本:絶対に生き残り脱出する。耕太君を殺した奴を殺す。主催者も許さない。  1:銀髪の少女(銀鏖院水晶)を捜す。 [備考]  ※参戦時期は少なくとも漫画版で小山田耕太と親密になった後です。  ※妖狐状態で容姿は固定されています。また妖力その他は封じられています。  ※ギンギライガーの名前と容姿、ギンギライガーがライガーの弟である事を記憶しました。  ※小山田耕太襲撃犯の特徴(銀色の髪の女の子)を記憶しました。 ※D-6一帯及び周辺に銃声が響きました。 ※小山田耕太の死体はC-6橋南部付近の住宅街の民家・竹内家一階の寝室に、 ベッドに寝かされシーツを被せられた状態で安置されました。また、シーツの上に、 源ちずるのブラジャーとパンツが供えられています。 ※小山田耕太のデイパックはC-6橋の上に放置されたままです。 ≪支給品紹介≫ 【S&W M27】 S&W社が開発し1935年に.357マグナム弾と共にデビューした回転式拳銃。 大型リボルバー向けのフレームを使用しているため、余程の事が無い限り、 S&W M19のように破損したりはしない。その代わり拳銃としては重量がある。 【M4A1カービン】 コルトM16A2突撃銃の銃身を切り詰め全長の短縮と軽量化を図った、 M4カービンのフルオートモデル。アクセサリー類が豊富で汎用性が高い。 |[[血に塗れた優しい彼女]]|時系列順|[[少女の結論、虎との出会い]]| |[[血に塗れた優しい彼女]]|投下順|[[少女の結論、虎との出会い]]| |[[月光]]|ライガー|[[宿命-sadame-]]| |[[Polluted crystal]]|銀鏖院水晶|[[]]| |[[I don't want to miss a thing]]|源ちずる|[[]]|
35話 復讐の女神 ライガーは弟のギンギライガーと決着を着けるべく、 ギンギライガーを捜し住宅街を歩き回っていた。 「どこにいるんだ、ギンギライガー……」 そしてとある角を曲がった時だった。 ギンギライガーでは無かったが、銀色の髪を持った少女に出くわした。 (銀色の髪? 珍しい人間だな…) 「あなた…デイパックを持って、首輪をしてるって事は、参加者の一人ね」 「…ああ、そうだ」 「! 喋った……」 「何だ? 喋るとまずいか?」 「…いや、まあいいわ」 銀髪の少女――銀鏖院水晶の生きる世界には動物の外見をした獣人はいるが、 喋り、会話出来る四足歩行の獣はいないため、水晶は目の前の、 角の生えた狼のような生き物が喋った事に最初驚いた。 しかしすぐ気を取り直し、ライガーに持っている突撃銃――AKS-74の銃口を向ける。 ライガーは銃など見た事は無かったが、それが危険な物だと言う事は、 本能で察する事が出来た。 「…お前、この殺し合いに……」 「……そうよ」 その言葉と共に、水晶はAKS-74の引き金を引いた。 ダダダダダダダダダダダダダダッ!! 「ぬうっ!?」 つい数瞬前までライガーが立っていた地面一帯が瞬時に穴だらけになる。 今まで見てみたどの攻撃とも違う突撃銃の掃射にさしものライガーも瞠目した。 (何だこの攻撃は…!? あの武器は一体何だ!? そう言えば、俺のデイパックの中にも似たような物が…) ライガーが初めて見る突撃銃の威力に驚いている間に、 水晶はAKS-74のマガジンを交換し、再び引き金を引いた。 ダダダダダダダダダダダダダダダッ!! 「チィッ!」 持ち前の俊敏さで紙一重で銃撃をかわすライガー。 しかし雷撃もブレスも封じられ、更にデイパックの中の支給品も 扱える物では無いという今の彼の現状では、正面から戦うのは無謀に近かった。 (仕方無い…ここは逃げるか…くっ…無様だ……) 不本意ではあったが、ここで死ぬ訳にはいかないと、 ライガーは水晶に背を向け、北の方角へ続く道路に入り逃げ去った。 「逃げた…速いわね、走って追い付くのは無理かな」 水晶は物凄い速さで遠くへ走って行く獣の後ろ姿を見届けると、 東の方角へと歩みを進めた。 ◆ 「はぁ、はぁ…」 ライガーはどうにか危機を脱する事は出来たが、 その心には悔恨の念が浮かび上がっていた。 普段の自分ならばあのような人間の少女一人に引けを取らないはずだ。 例え見た事の無い武器を持っていたとしても。 だが、必殺技を封じられた今の自分はたかが少女一人にも勝てない。 「くそっ…屈辱だ…!」 元々プライドの高い彼にとって受け入れ難い現実。 悔しさと屈辱感にライガーは顔を歪めた。 「……いつまでも落ち込んでる訳にも行かないな…行くか…」 悔しさを引き摺りながら、ライガーは再びギンギライガーを捜し始める。 「ん……あれは橋か」 しばらく歩いた所で石造りの橋を発見する。 よく見ると橋の中程の欄干付近に人影が見える。 どうやらまたしても人間の少女――のようだが、狐の耳と尻尾が生えている。 新種のモンスターかとライガーが思っていると、少女が何かを抱きかかえ、 泣いているのに気付いた。 それは、血塗れの人間の少年だった。どうやら既に死んでいるらしい。 注意しながら少女に近付くライガー。 少女――源ちずるはライガーには気付いていない。 「おい」 「……あ」 近くまで寄ったライガーが声を掛けようやくちずるは気付く。 その顔はすっかり憔悴し切っており、頬には涙の跡があった。 何があったのかは聞かずともおおよそ見当がついた。 「…知り合いか」 「……うん……あなたは……」 「俺はライガーだ。お前は?」 「…源、ちずる……」 「そうか…ちずる、すまないが……尋ねたい事がある」 「何…?」 「俺に良く似た…銀色の獣を見なかったか」 「…!」 ライガーの問いに、ちずるが反応を示した。 「……もしかして…あの……」 「知っているのか!?」 「…この殺し合いが始まって…初めて襲い掛かってきた相手よ……。 何とか、逃げてきたけど……」 「そうか…」 やはり、ギンギライガーは殺し合いに乗っているようだ。 予想はしていた事とは言え、ライガーは苦い表情を浮かべた。 この少女はどうにか逃れられたようだが、殺し合いが始まってもう三時間近く経つ。 既にギンギライガーによる犠牲者も出ているかもしれない。 「そいつがどこに行ったか分かるか?」 「ごめん……急いで逃げて来たから……それはちょっと……。 でも、会ったのはこの橋を渡った向こう…北の方よ」 「そうか……ありがとう」 「…知り合いなの?」 「…そいつの名前はギンギライガー。俺の弟だ」 「えっ……?」 「……教えてくれてありがとう。一刻も早く、ギンギライガーを見付けないといけない。 そろそろ……」 ちずるの証言を信じるならばギンギライガーは現在いる橋を渡った先、 北部の市街地にいる可能性が高い。 一刻も早く捜しに行こうと思ったが、その前にちずるからも質問がなされた。 「ねえ、ライガー、私も聞いていいかな」 「何だ?」 「さっき、銃声が聞こえたの…もしかしてあなた?」 「……ああ。さっき、銀髪の女に襲われてな」 「……!」 今度は「銀髪の女」という単語にちずるが反応した。 今自分の手の中で冷たくなっている少年が、彼を襲撃した犯人の特徴として述べた、 「銀髪の少女」という特徴。そして先刻聞こえた銃声は、 あの時聞こえた銃声と良く似ていた。 「ねえ、その銀髪の女に襲われたのって、どこなの!?」 血相を変えてちずるがライガーに尋ねる。 その様子の急変ぶりに何か事情があると見たライガーは、 出来るだけ詳しく襲われた場所や、状況を説明した。 「南…! もしかしたら…!」 少年が死の直前に話していた事と、ライガーから聞いた証言を照らし合わせると、 ライガーを襲った襲撃者が少年を襲った者と同一人物である可能性が極めて高い。 「…一体どうしたんだ」 「……もしかしたら、あなたがさっき戦ったって言うその少女は、 この子を殺した犯人かもしれないの」 「何…? …………お前、復讐する気か」 「………」 ちずるは何も答えない。沈黙は肯定を意味するものとライガーは判断した。 「……止めはしないがな。復讐からは何も生まれんぞ」 「…自己満足ぐらいは生んでくれるでしょ」 「………お前、武器はあるのか?」 ライガーの問いにちずるは、持っていたナイフ機能を出したアーミーナイフを見せる。 「あの武器相手にそれじゃ無謀だろう。俺の支給品をやる」 「良いの?」 「どうせ俺には使えない」 ライガーは前足と牙で器用に自分のデイパックを開け、 中身が見える状態にしてちずるに差し出した。 少年の死体をゆっくり地面に横たえ、ちずるはデイパックの中身を漁る。 そして基本支給品の他に入っていた物は、二つの銃器と予備の弾薬。 一つはリボルバー拳銃S&W M27と、.357マグナム弾18発。 もう一つは5.56㎜NATO弾を使用する突撃銃、M4A1カービンと予備マガジン5個。 どちらも強力ではあるが、ライガーの体型では装備出来ない、 言わば宝の持ち腐れだった。 「……ありがとう」 ちずるはライガーのデイパックに入っていた銃器弾薬を受け取り、 M4A1カービンを装備した。 「…それじゃあ、俺は行く」 「……うん、分かった」 ライガーはデイパックを背負うと、橋を渡り北の方へと歩き去った。 「……」 後に残されたちずるは、少年――小山田耕太の死体を、 両脇を抱えるようにして近くの民家まで引き摺り始めた。 橋の南側の入口付近にある民家。 一階の寝室に至るまで、玄関や廊下に引き摺ったような血の跡が残っていた。 寝室のベッドの上には血が付いたシーツ。 そのシーツの下には一人の少年が眠っている。 「…耕太君、ごめんね、こんな事ぐらいしか出来なくて」 ベッドの傍でちずるが悲しげな表情を浮かべたまま言う。 「…耕太君は怒るかな、復讐なんて馬鹿げてるって。でも……」 耕太は死ぬ前にちずるに「絶対に死なないで、生きて欲しい」と言った。 勿論、ちずるはそうするつもりだった。後を追おうと考え無かった訳でも無いが、 それが自分が愛した少年の最期の望みなら、絶対にそうしようと心に誓っていた。 だが、耕太を襲ったという銀髪の少女、このようなふざけた殺し合いを催した、 香取亮太という男は絶対に許す事は出来ない。 「復讐は何も生まない」……先刻会ったライガーという獣はそう言った。 「そんな事分かってるよ……でも、それでも私は」 ちずるは自分の穿いていたパンツを脱ぎ、更にブラも取り、 耕太を覆うシーツの上にそっと置いた。 彼に対する供え物のつもりなのだろう。 「……行ってきます」 そしてライガーから貰った銃の一つ、M4A1カービンを装備し、民家を後にした。 その瞳には固い決意が宿っていた。 【一日目/黎明/B-6住宅街】 【ライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】 [状態]肉体的疲労(小)、B-6方面へ移動中 [装備]無し [所持品]基本支給品一式 [思考・行動]  基本:ギンギライガーと決着を着ける。  1:殺し合い自体はする気は無いが襲われたら戦う。 [備考]  ※アニメ27話、ギンギライガーとの一対一の対決直前からの参戦です。 【一日目/黎明/D-6住宅街東部】 【銀鏖院水晶@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]健康、D-7方面へ移動中 [装備]AKS-74(15/30) [所持品]基本支給品一式、AKS-74マガジン(30×4)、コルト ガバメント(7/7)、  コルト ガバメントマガジン(7×3) [思考・行動]  基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。  1:クラスメイトと会っても容赦しない。 [備考]  ※本編死亡後からの参戦です。  ※超能力は封印され、使えなくなっています。  ※ライガー(名前は知らない)の容姿を記憶しました。 【一日目/黎明/C-6橋南部付近の住宅街の民家・竹内家】 【源ちずる@かのこん】 [状態]精神的疲労(大)、決意、血塗れ、ノーパンノーブラ [装備]M4A1カービン(30/30) [所持品]基本支給品一式、M4マガジン(30×5)、S&W M27(6/6)、  .357マグナム弾(18)、アーミーナイフ [思考・行動]  基本:絶対に生き残り脱出する。耕太君を殺した奴を殺す。主催者も許さない。  1:銀髪の少女(銀鏖院水晶)を捜す。 [備考]  ※参戦時期は少なくとも漫画版で小山田耕太と親密になった後です。  ※妖狐状態で容姿は固定されています。また妖力その他は封じられています。  ※ギンギライガーの名前と容姿、ギンギライガーがライガーの弟である事を記憶しました。  ※小山田耕太襲撃犯の特徴(銀色の髪の女の子)を記憶しました。 ※D-6一帯及び周辺に銃声が響きました。 ※小山田耕太の死体はC-6橋南部付近の住宅街の民家・竹内家一階の寝室に、 ベッドに寝かされシーツを被せられた状態で安置されました。また、シーツの上に、 源ちずるのブラジャーとパンツが供えられています。 ※小山田耕太のデイパックはC-6橋の上に放置されたままです。 ≪支給品紹介≫ 【S&W M27】 S&W社が開発し1935年に.357マグナム弾と共にデビューした回転式拳銃。 大型リボルバー向けのフレームを使用しているため、余程の事が無い限り、 S&W M19のように破損したりはしない。その代わり拳銃としては重量がある。 【M4A1カービン】 コルトM16A2突撃銃の銃身を切り詰め全長の短縮と軽量化を図った、 M4カービンのフルオートモデル。アクセサリー類が豊富で汎用性が高い。 |[[血に塗れた優しい彼女]]|時系列順|[[少女の結論、虎との出会い]]| |[[血に塗れた優しい彼女]]|投下順|[[少女の結論、虎との出会い]]| |[[月光]]|ライガー|[[宿命-sadame-]]| |[[Polluted crystal]]|銀鏖院水晶|[[復讐と服従、読みはちょっと似てる]]| |[[I don't want to miss a thing]]|源ちずる|[[復讐と服従、読みはちょっと似てる]]|

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