狂宴開幕

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≪狂宴開幕≫ 古びた木造校舎の教室に、50人の男女が集められていた。 普通の人間が多いが、狼、犬、狐、牛、猫、竜といった獣人も多数いる。 年齢も様々で、可愛らしい少女もいれば顔に皺が沢山ある老人もいた。 彼らは自分の意思でここに来たのでは無く、それぞれがいつも通りの日常を 送っている最中に、何の前触れも無くこの教室に連れて来られたのだ。 全員の首には、黒く光る金属製の頑丈な首輪がはまっていた。 何人かが外そうと試みるが、首輪はビクともしないようだ。 教室の窓や出入口はなぜか分厚い鉄板の扉になっており、 しかも固く施錠されていて全く開く気配は無い。 突然見知らぬ場所にいて、首には謎の首輪、 周囲には見知らぬ人、出口の無い教室。 人々は困惑し、不安になり、恐怖に怯えた。 ファァーーー……ン。 突然、教室の正面左上隅にあるスピーカーからハウリング音が鳴り響いた。 人々は驚き、一斉にスピーカーの方に視線を向ける。 『あ、あ、マイクのテスト中、マイクのテスト中』 スピーカーから聞こえてきたのは、若い男の声だった。 『えーこんにちわ皆さん。突然知らない所に連れて来られて ビックリしてる方がほとんどだと思いますが、 今しばらく俺の話に耳を傾けて下さい』 妙な抑揚を付けた独特の喋り方で、謎の男はスピーカー越しに話し始めた。 人々は自分でも分からない内に男の話を真剣に聞いていた。 『これから皆さんには、バトルロワイアル――即ち、殺し合いをして頂きます』 人々は自分の耳を疑った。 今、スピーカーの向こうの謎の男は確かに殺し合いと言った。 いや、待てと。人々は冷静に考えた。 いくらなんでもこれは非現実的過ぎる。 きっとこれは夢だ。或いは、 どこかのテレビ番組のタチの悪いドッキリ企画だ。 人々の中にはそう信じようとする者も何人かいた。 『あ、これ夢でもドッキリでもありませんよ。れっきとした現実です。 その証拠をこれから見せますねー』 数秒後、一人の男の首輪からピッ、ピッ、という電子音が発せられた。 「え? な、何だコレ? 俺の首輪から音が鳴ってるぞ?」 電子音が鳴る間隔が徐々に早くなっていく。 教室内にいた全員が嫌な予感を感じた。 『大田山一(おおた・やまいち)さん、すみませんね。 貴方はこのためだけに呼んだんですよ。 皆さん、大田さんから離れた方がいいですよ』 謎の男の声を聞いて、皆が一斉に大田山一と呼ばれた男から距離を取った。 その間にも電子音の鳴る間隔が早くなっていく。 「ちょっ、オイオイオイ何だよコレ!? だ、誰か助けてくれえええ!!!」 大田は半狂乱になり、周囲にいる人に必死に助けを求めるが、 拒絶され突き飛ばされたり、逃げられたりしていた。 最も助けを求めても、誰にもどうする事も出来ないのだが。 「誰か!! 誰かあああ!! 助け――」 大田の言葉が最後まで紡がれる事は無かった。 首輪の喉元に当たる部分が、爆発音と共に炸裂し、 大田の喉元に大きな穴を開けたから。 大田は喉元から真っ赤な噴水を噴き出しながら、うつ伏せに倒れ、 血溜まりを作り、二度と動かなかった。 「キャアアアアアアアアアア!!!」 「ひっ、い、う、わあああああっあああ!?」 教室内に悲鳴が木霊する。 ある者は余りの凄惨な光景に嘔吐し、ある者は泣き叫び、 ある者は恐怖に凍り付いた。 しかし、無表情で平然としている者も、何人かいた。 『皆さん、分かっていただけましたか? これは現実です。 では、分かって頂けた所で、バトルロワイアルのルール説明をします。 よく聞いていて下さい』 人々は半ば恐慌状態に陥っていたが、必死で心を落ち着かせ、 謎の男の説明に耳を傾けた。 もしここで謎の男の意に背くような事をすれば、自分達も首輪を爆破されて 殺されるかもしれない。 『皆さん方50人で、最後の一人が決まるまで殺し合いをして頂きます。 反則は無しです。ええそりゃもう、騙し討ち、不意討ち、色仕掛け、 何でもアリです。 どんな手を使ってもいいので、最後の一人になって下さい。 そうすれば優勝となり、家へ帰る事が出来ます。 水と食糧、地図とコンパスといった基本支給品一式と、 武器や防具といったランダム支給品が入ったデイパックを ゲーム開始と同時に渡しますので、各自中身はしっかり確認して下さい。 と言うのも、ランダム支給品は役に立つ物が入っているとは限らないので。 これはハンデを無くすための措置です。 朝6時、昼12時、夕方6時、夜12時の一日四回、放送があります。 その時刻までに新しく死んだ人の名前と、 入ったら首輪が作動する禁止エリアを発表します。 特に禁止エリアは良く聞いて記憶して下さい。 間違えて禁止エリアに入って首輪が作動して爆死、 なんて事にならないように。 それと首輪ですが……無理に外そうとしたり、逃げようとしたり、 何やら不穏な行動を取っていたり、 俺に逆らっても……爆発しますので。それはよく覚えて下さい。 あと、24時間誰も死ななかったら全員の首輪を爆破しますので。 それと参加者が全員死んだらゲームオーバー、優勝者無しと言う事で。 よろしくお願いします』 なぜ? どうして? 一体何のために? 多くの人が同じ疑問を心の中でスピーカーの向こうの男に投げ掛けていた。 だがその疑問に答えが出される事は決して無い。 お互いの顔や周囲にいる人の顔を見つめる人々。 これから自分の周りにいる人達は、 全員が自分の命を狙ってくる敵になるかもしれないのだ。 いや、逆もあるかもしれない。 自分が周りにいる人達の命を狙う事になるかもしれない。 『それでは、バトルロワイアルの始まりです。皆さん、 頑張って戦って下さい』 謎の男がそう言い終えると同時に、全員の首輪から電流のような物が放たれ、 参加者達の意識は遠退いて行った。 かくして、理不尽な殺人ゲーム――バトルロワイアルは開幕した。 &color(red){【大田山一 死亡】 } &color(red){【残り50人】 } |&color(cyan){GAME START}|時系列順で読む|Next:[[絶望青年と傍観少女]]| |&color(cyan){GAME START}|投下順で読む|Next:[[絶望青年と傍観少女]]|
≪狂宴開幕≫ 古びた木造校舎の教室に、50人の男女が集められていた。 普通の人間が多いが、狼、犬、狐、牛、猫、竜といった獣人も多数いる。 年齢も様々で、可愛らしい少女もいれば顔に皺が沢山ある老人もいた。 彼らは自分の意思でここに来たのでは無く、それぞれがいつも通りの日常を 送っている最中に、何の前触れも無くこの教室に連れて来られたのだ。 全員の首には、黒く光る金属製の頑丈な首輪がはまっていた。 何人かが外そうと試みるが、首輪はビクともしないようだ。 教室の窓や出入口はなぜか分厚い鉄板の扉になっており、 しかも固く施錠されていて全く開く気配は無い。 突然見知らぬ場所にいて、首には謎の首輪、 周囲には見知らぬ人、出口の無い教室。 人々は困惑し、不安になり、恐怖に怯えた。 ファァーーー……ン。 突然、教室の正面左上隅にあるスピーカーからハウリング音が鳴り響いた。 人々は驚き、一斉にスピーカーの方に視線を向ける。 『あ、あ、マイクのテスト中、マイクのテスト中』 スピーカーから聞こえてきたのは、若い男の声だった。 『えーこんにちわ皆さん。突然知らない所に連れて来られて ビックリしてる方がほとんどだと思いますが、 今しばらく俺の話に耳を傾けて下さい』 妙な抑揚を付けた独特の喋り方で、謎の男はスピーカー越しに話し始めた。 人々は自分でも分からない内に男の話を真剣に聞いていた。 『これから皆さんには、バトルロワイアル――即ち、殺し合いをして頂きます』 人々は自分の耳を疑った。 今、スピーカーの向こうの謎の男は確かに殺し合いと言った。 いや、待てと。人々は冷静に考えた。 いくらなんでもこれは非現実的過ぎる。 きっとこれは夢だ。或いは、 どこかのテレビ番組のタチの悪いドッキリ企画だ。 人々の中にはそう信じようとする者も何人かいた。 『あ、これ夢でもドッキリでもありませんよ。れっきとした現実です。 その証拠をこれから見せますねー』 数秒後、一人の男の首輪からピッ、ピッ、という電子音が発せられた。 「え? な、何だコレ? 俺の首輪から音が鳴ってるぞ?」 電子音が鳴る間隔が徐々に早くなっていく。 教室内にいた全員が嫌な予感を感じた。 『大田山一(おおた・やまいち)さん、すみませんね。 貴方はこのためだけに呼んだんですよ。 皆さん、大田さんから離れた方がいいですよ』 謎の男の声を聞いて、皆が一斉に大田山一と呼ばれた男から距離を取った。 その間にも電子音の鳴る間隔が早くなっていく。 「ちょっ、オイオイオイ何だよコレ!? だ、誰か助けてくれえええ!!!」 大田は半狂乱になり、周囲にいる人に必死に助けを求めるが、 拒絶され突き飛ばされたり、逃げられたりしていた。 最も助けを求めても、誰にもどうする事も出来ないのだが。 「誰か!! 誰かあああ!! 助け――」 大田の言葉が最後まで紡がれる事は無かった。 首輪の喉元に当たる部分が、爆発音と共に炸裂し、 大田の喉元に大きな穴を開けたから。 大田は喉元から真っ赤な噴水を噴き出しながら、うつ伏せに倒れ、 血溜まりを作り、二度と動かなかった。 「キャアアアアアアアアアア!!!」 「ひっ、い、う、わあああああっあああ!?」 教室内に悲鳴が木霊する。 ある者は余りの凄惨な光景に嘔吐し、ある者は泣き叫び、 ある者は恐怖に凍り付いた。 しかし、無表情で平然としている者も、何人かいた。 『皆さん、分かっていただけましたか? これは現実です。 では、分かって頂けた所で、バトルロワイアルのルール説明をします。 よく聞いていて下さい』 人々は半ば恐慌状態に陥っていたが、必死で心を落ち着かせ、 謎の男の説明に耳を傾けた。 もしここで謎の男の意に背くような事をすれば、自分達も首輪を爆破されて 殺されるかもしれない。 『皆さん方50人で、最後の一人が決まるまで殺し合いをして頂きます。 反則は無しです。ええそりゃもう、騙し討ち、不意討ち、色仕掛け、 何でもアリです。 どんな手を使ってもいいので、最後の一人になって下さい。 そうすれば優勝となり、家へ帰る事が出来ます。 水と食糧、地図とコンパスといった基本支給品一式と、 武器や防具といったランダム支給品が入ったデイパックを ゲーム開始と同時に渡しますので、各自中身はしっかり確認して下さい。 と言うのも、ランダム支給品は役に立つ物が入っているとは限らないので。 これはハンデを無くすための措置です。 朝6時、昼12時、夕方6時、夜12時の一日四回、放送があります。 その時刻までに新しく死んだ人の名前と、 入ったら首輪が作動する禁止エリアを発表します。 特に禁止エリアは良く聞いて記憶して下さい。 間違えて禁止エリアに入って首輪が作動して爆死、 なんて事にならないように。 それと首輪ですが……無理に外そうとしたり、逃げようとしたり、 何やら不穏な行動を取っていたり、 俺に逆らっても……爆発しますので。それはよく覚えて下さい。 あと、24時間誰も死ななかったら全員の首輪を爆破しますので。 それと参加者が全員死んだらゲームオーバー、優勝者無しと言う事で。 よろしくお願いします』 なぜ? どうして? 一体何のために? 多くの人が同じ疑問を心の中でスピーカーの向こうの男に投げ掛けていた。 だがその疑問に答えが出される事は決して無い。 お互いの顔や周囲にいる人の顔を見つめる人々。 これから自分の周りにいる人達は、 全員が自分の命を狙ってくる敵になるかもしれないのだ。 いや、逆もあるかもしれない。 自分が周りにいる人達の命を狙う事になるかもしれない。 『それでは、バトルロワイアルの始まりです。皆さん、 頑張って戦って下さい』 謎の男がそう言い終えると同時に、全員の首輪から電流のような物が放たれ、 参加者達の意識は遠退いて行った。 かくして、理不尽な殺人ゲーム――バトルロワイアルは開幕した。 &color(red){【大田山一 死亡】 } &color(red){【残り50人】 } |&color(cyan){GAME START}|時系列順で読む|Next:001[[絶望青年と傍観少女]]| |&color(cyan){GAME START}|投下順で読む|Next:001[[絶望青年と傍観少女]]|

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