過ちを過ちにしたくないのが僕らだろう

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36話 過ちを過ちにしたくないのが僕らだろう 和風の鎧に身を包み面で素顔を隠した男、ムシャと、 緑色の艶やかな髪をなびかせる美女と呼ぶに相応しい女性、新藤真紀は、 互いに情報を交換しながら市街地を歩いていた。 「魔王軍……全然知らない」 「mjd? 知らない? 結構有名な筈なんだけどな」 「っていうかポテチ王国って何? 聞いた事無いんだけど。 私が住んでる国は―――国だもの。まあ、日本とも呼んでるけど」 「―――国?? それも俺は初耳なんだが……日本なら知ってるが」 「どういう事なの……まあ、いいじゃないそんな細かい事は。 それよりこの殺し合いからどう脱出するかが先決よ」 「そうだな……ん? あれは……!」 「どうしたのムシャ……あら?」 ムシャが前方に発見した他参加者の姿を見て目を見開く。 真紀も、その参加者がムシャから聞かされたムシャの仲間の一人の、 特徴によく一致している事に気付いた。 「おい、ダーエロ! ダーエロ!」 「……! ムシャ……」 ダーエロと呼ばれた色黒のダークエルフの男は、ムシャと真紀の方を振り向いた。 「良かった、無事だったんだな。ダーエロ」 「あ、ああ……」 仲間との再会を心から喜ぶムシャとは対照的に、 ダーエロはどこか影のある、悲しげな表情を浮かべていた。 ムシャはその事には気付いていないようだったが。 「……そっちの子は?」 「ああ。今行動を共にしている新藤真紀だ」 「……あなたがダーエロさん? ムシャから話は聞いているわ」 「どんな?」 「変態でエロゲオタでストーカーだって」 「ちょ、真紀!!!」 ムシャがやばいといった表情で真紀の言葉を制止する。 真紀の方は「あなたが言っていたんでしょ?」と肩を竦めた。 しかしダーエロはやや呆れた笑いを浮かべるだけに留まった。 それを見てムシャが呆気に取られる。大抵この場合、鉄拳制裁が飛ぶのだが。 「ムシャ……お前は殺し合いには乗っていないんだな」 「ん? あ、ああ……」 何でそんな事を聞くのだろうと、最初ムシャはそう思った。 だがすぐに思い出す、ダーエロがこの殺し合いに乗るという可能性を考えていた事を。 先程からダーエロが浮かべている暗い表情が何を示しているのか。 出来れば、信じたくは無い。大切な仲間であり親友が、 こんな馬鹿げた殺し合いを、どんな理由があるにせよやる気になっている、などと。 「……ムシャ」 「……何だ」 ダァン!! ダァン!! 二発の銃声が、街中に響いた。 直後に、ムシャと真紀の胸元に穴が空き、血が流れ出す。 二人共、傷口を触れ、血がべったりと付着した手を見て呆然としていた。 「……ダーエロ、お前……」 それ以上の言葉はムシャの口から出る事は無かった。 「……ああ。これは、駄目っぽいね……」 真紀が諦めきった口調で言った。 そして二人の身体は、アスファルトの上に崩れ落ちた。 「……」 ダーエロは路上に倒れた二人に銃口を向け、自動拳銃ベレッタM92FSの マガジンが空になるまで掃射した。 ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! カチッ。カチッ。 やがてマガジン内の弾が無くなり、スライドが後退し切って固定され、 ダーエロに弾切れを知らせた。 その頃には地面の二人は蜂の巣になり、血溜まりに沈んでいた。 「……ムシャ、それに真紀とやら……すまねぇ。だが、俺は……」 そう言いながら、ダーエロは真紀の持っていた拳銃と、 ムシャの持っていた刀を拾い、真紀のデイパックから予備のマガジン、 ムシャのデイパックから首輪探知機に改造されたニンテンドーDSを抜き取り、 自分のデイパックに押し込んだ。 「……俺はヘレンたんを……生き残らせる……」 ダーエロは、半ば狂気じみた決意をその瞳に宿らせながら、 その場を後にした。 仲間を、親友をこの手に掛けたと言うのに特に何も感じる事が無い。 悲しみも、後悔も、何の実感もわかない。 それはきっと、いつも死んでもあっさり生き返るような日常を送ってきたからだろう。 だが、ムシャはもう、今度こそ永遠にいなくなった。 もう、あの楽しかった日々には戻れない。自分が、この手で、そうしたのだ。 この殺し合いに呼ばれている彼の弟子は、師匠が死んだ事を知ったらどうなるのだろう。 自分が、同じ魔王軍四天王の一人である自分が殺したと知ったらどうなるのだろう。 きっと、自分を許さないだろう。いや、この殺し合いという状況下なら、 本気で殺しに来るかもしれない。 だが、それも甘んじて受ける覚悟であった。 全ては最愛の人を生き残らせるために――――。 ダーエロは知らない。 既に自分の思い人は、獣に凌辱された挙句、命を奪われた事に。 もはや、自身がなしている事は何の意味も無い事に。 道化と化した男は、更なる修羅へ堕ちていく。 &color(red){【ムシャ@VIPRPG  死亡】} &color(red){【新藤真紀@オリキャラ・再登場組  死亡】} &color(red){【残り  22人】} 【一日目/午前/A-4市街地中央部】 【ダーエロ@VIPRPG】 [状態]精神不安定(軽度) [装備]ベレッタM92FS(0/15) [所持品]基本支給品一式、ベレッタM92FS予備マガジン(15×3)、Cz75(15/15)、  Cz75予備マガジン(15×3)、千鳥、改造ニンテンドーDS、特殊警棒、ハンティングナイフ、  水と食糧(1人分) [思考・行動]  基本:ヘレンたんを優勝させる(自分は自害する)。  1:……。 [備考]  ※魔法が一切使えなくなっています。 ※A-4一帯に銃声が響きました。 ※A-4市街地中央部にムシャと新藤真紀の死体、 及び二人のデイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。 |[[The future]]|時系列順|[[Though it is not a real intention]]| |[[The future]]|投下順|[[Though it is not a real intention]]| |[[エレキテルびりびり]]|&color(red){ムシャ}|&color(red){死亡}| |[[エレキテルびりびり]]|&color(red){新藤真紀}|&color(red){死亡}| |[[A foolish man]]|ダーエロ|[[]]|
36話 過ちを過ちにしたくないのが僕らだろう 和風の鎧に身を包み面で素顔を隠した男、ムシャと、 緑色の艶やかな髪をなびかせる美女と呼ぶに相応しい女性、新藤真紀は、 互いに情報を交換しながら市街地を歩いていた。 「魔王軍……全然知らない」 「mjd? 知らない? 結構有名な筈なんだけどな」 「っていうかポテチ王国って何? 聞いた事無いんだけど。 私が住んでる国は―――国だもの。まあ、日本とも呼んでるけど」 「―――国?? それも俺は初耳なんだが……日本なら知ってるが」 「どういう事なの……まあ、いいじゃないそんな細かい事は。 それよりこの殺し合いからどう脱出するかが先決よ」 「そうだな……ん? あれは……!」 「どうしたのムシャ……あら?」 ムシャが前方に発見した他参加者の姿を見て目を見開く。 真紀も、その参加者がムシャから聞かされたムシャの仲間の一人の、 特徴によく一致している事に気付いた。 「おい、ダーエロ! ダーエロ!」 「……! ムシャ……」 ダーエロと呼ばれた色黒のダークエルフの男は、ムシャと真紀の方を振り向いた。 「良かった、無事だったんだな。ダーエロ」 「あ、ああ……」 仲間との再会を心から喜ぶムシャとは対照的に、 ダーエロはどこか影のある、悲しげな表情を浮かべていた。 ムシャはその事には気付いていないようだったが。 「……そっちの子は?」 「ああ。今行動を共にしている新藤真紀だ」 「……あなたがダーエロさん? ムシャから話は聞いているわ」 「どんな?」 「変態でエロゲオタでストーカーだって」 「ちょ、真紀!!!」 ムシャがやばいといった表情で真紀の言葉を制止する。 真紀の方は「あなたが言っていたんでしょ?」と肩を竦めた。 しかしダーエロはやや呆れた笑いを浮かべるだけに留まった。 それを見てムシャが呆気に取られる。大抵この場合、鉄拳制裁が飛ぶのだが。 「ムシャ……お前は殺し合いには乗っていないんだな」 「ん? あ、ああ……」 何でそんな事を聞くのだろうと、最初ムシャはそう思った。 だがすぐに思い出す、ダーエロがこの殺し合いに乗るという可能性を考えていた事を。 先程からダーエロが浮かべている暗い表情が何を示しているのか。 出来れば、信じたくは無い。大切な仲間であり親友が、 こんな馬鹿げた殺し合いを、どんな理由があるにせよやる気になっている、などと。 「……ムシャ」 「……何だ」 ダァン!! ダァン!! 二発の銃声が、街中に響いた。 直後に、ムシャと真紀の胸元に穴が空き、血が流れ出す。 二人共、傷口を触れ、血がべったりと付着した手を見て呆然としていた。 「……ダーエロ、お前……」 それ以上の言葉はムシャの口から出る事は無かった。 「……ああ。これは、駄目っぽいね……」 真紀が諦めきった口調で言った。 そして二人の身体は、アスファルトの上に崩れ落ちた。 「……」 ダーエロは路上に倒れた二人に銃口を向け、自動拳銃ベレッタM92FSの マガジンが空になるまで掃射した。 ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! ダァン!! カチッ。カチッ。 やがてマガジン内の弾が無くなり、スライドが後退し切って固定され、 ダーエロに弾切れを知らせた。 その頃には地面の二人は蜂の巣になり、血溜まりに沈んでいた。 「……ムシャ、それに真紀とやら……すまねぇ。だが、俺は……」 そう言いながら、ダーエロは真紀の持っていた拳銃と、 ムシャの持っていた刀を拾い、真紀のデイパックから予備のマガジン、 ムシャのデイパックから首輪探知機に改造されたニンテンドーDSを抜き取り、 自分のデイパックに押し込んだ。 「……俺はヘレンたんを……生き残らせる……」 ダーエロは、半ば狂気じみた決意をその瞳に宿らせながら、 その場を後にした。 仲間を、親友をこの手に掛けたと言うのに特に何も感じる事が無い。 悲しみも、後悔も、何の実感もわかない。 それはきっと、いつも死んでもあっさり生き返るような日常を送ってきたからだろう。 だが、ムシャはもう、今度こそ永遠にいなくなった。 もう、あの楽しかった日々には戻れない。自分が、この手で、そうしたのだ。 この殺し合いに呼ばれている彼の弟子は、師匠が死んだ事を知ったらどうなるのだろう。 自分が、同じ魔王軍四天王の一人である自分が殺したと知ったらどうなるのだろう。 きっと、自分を許さないだろう。いや、この殺し合いという状況下なら、 本気で殺しに来るかもしれない。 だが、それも甘んじて受ける覚悟であった。 全ては最愛の人を生き残らせるために――――。 ダーエロは知らない。 既に自分の思い人は、獣に凌辱された挙句、命を奪われた事に。 もはや、自身がなしている事は何の意味も無い事に。 道化と化した男は、更なる修羅へ堕ちていく。 &color(red){【ムシャ@VIPRPG  死亡】} &color(red){【新藤真紀@オリキャラ・再登場組  死亡】} &color(red){【残り  22人】} 【一日目/午前/A-4市街地中央部】 【ダーエロ@VIPRPG】 [状態]精神不安定(軽度) [装備]ベレッタM92FS(0/15) [所持品]基本支給品一式、ベレッタM92FS予備マガジン(15×3)、Cz75(15/15)、  Cz75予備マガジン(15×3)、千鳥、改造ニンテンドーDS、特殊警棒、ハンティングナイフ、  水と食糧(1人分) [思考・行動]  基本:ヘレンたんを優勝させる(自分は自害する)。  1:……。 [備考]  ※魔法が一切使えなくなっています。 ※A-4一帯に銃声が響きました。 ※A-4市街地中央部にムシャと新藤真紀の死体、 及び二人のデイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。 |[[The future]]|時系列順|[[Though it is not a real intention]]| |[[The future]]|投下順|[[Though it is not a real intention]]| |[[エレキテルびりびり]]|&color(red){ムシャ}|&color(red){死亡}| |[[エレキテルびりびり]]|&color(red){新藤真紀}|&color(red){死亡}| |[[A foolish man]]|ダーエロ|[[男は愛する人のために、女は己のために]]|

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