それぞれの未来

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93話 それぞれの未来 あの殺し合いを生き延び、このヴァルハラに帰還してからもう一カ月は経つ。 帝国軍も消滅した今、俺は辺境の森で気ままに暮らしている。 風の便りで、時の塔の巫女が行方不明になったと聞いた。 現在も捜索は続けられているが一生見付かる事はないだろう。 時の塔の巫女――亜美は、この世界とは別の異世界で命を落としたのだから。 今でも時々思う、あの殺し合いは夢だったのではないかと。 だが、俺の胸元にできた傷跡、そして、この世界に戻ってきた時、 俺の傍に落ちていた、参加者用のデイパックが、あれは現実に起きた事だと証明した。 ドーラ・システィール、ピタゴラス、久保遼平、エルザ・ウェイバー、 アレックス、ムシャ、高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ。 そして、殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズ。 実に色々な異世界の人間と出会った。これはかなり貴重な体験だな。 今の所、この事は誰にも話していない。 話した所で信じて貰えるかどうか分からんし、時の塔の巫女の事を迂闊に話して、 事が大きくなるのは望まない。 帝国軍で散々戦いに明け暮れ、次はバトルロワイアルで戦って。 俺はもう戦いは疲れた。これからは静かに暮らしたい。 今日もあの豪邸で調達した本でも読むとしよう。 ◆◆◆ 俺――ピタゴラスは元の自分の世界に戻ってきた。 アルベルト博士による殺し合いに呼ばれる前と、何も変わらない、 自宅や、近所の風景、俺の知り合い達。 大勢の人や車が通る、賑やかな通りを歩きながら、 俺はリリア・ミスティーズ主催の殺し合いの事を思い出す。 遼平、アレックス、ドーラ、エルザ、ガーゴイル、クリス、レオン、高原。 俺が出会った仲間達。 生き延びたアレックス、ドーラ、ガーゴイルは、今も自分の世界で 元気に生きているだろうか。 生き残るためとは言え、俺はアレックスの知人のムシャや、 リリア・ミスティーズ配下の兵士達を何人も殺してしまった。 俺が黙ってさえいれば、何の罪にも問われる事はない。 だが、あの出来事を誰にも話せず心の奥底にしまうしかできないのは正直辛い。 ――背負っていかなければならない。 遼平やエルザ、クリス達を始め、あの殺し合いで死んでいった多くの参加者。 彼らの分まで、精一杯生きるのが自分や、アレックス、ドーラ、ガーゴイルの、 生き残った者の使命、だろう。 だから俺は生きていく。 どんなに辛い事があっても、どんなに苦しくても。 ◆◆◆ あの殺し合いから戻ってきてからどれくらい経つかねぇ。 アレックス、ガーゴイル、ピタゴラス。 あいつら、元気でやってるといいんだけど。 あの殺し合いの事は話そうとも思ったけど、信じて貰えそうにないからやめた。 進んで話す気にもなれないしねぇ。 アイン隊長が、シェリーが行方不明になっていると言った。 まあ自分の元情婦なら、多少は心配するだろうね。 元々群れるのが嫌いな性分みたいだったし、アイン隊長も然程は心配していないみたい。 その内また現れるだろうって。 ――悪いけど、隊長。アタイは知ってるんだ。 シェリー・ラクソマーコスはもうこの世にはいないんだよ。二つの意味で。 この世界とは別の、殺し合いの舞台で死んじまったからね。 死体もあの世界の崩壊に巻き込まれて――塵も残っていない。 一生見付かる事はないだろうさ。 殺し合いで死んじまった奴の分まで生きる、なんて青臭い真似、 アタイには似合わないけど。 まぁ、自分の命は大切にするってのは正解だね。 死んじまったらそこで終わり。アタイも精々長生きしたいものさね。 ◆◆◆ 三人の生還者の、それぞれの世界での、それぞれの未来。 彼らの行く末に幸運有らん事を。 俺得バトルロワイアル――ガーゴイル、ピタゴラス、ドーラ・システィール  完 |[[相変わらずの二人]]|時系列順|| |[[相変わらずの二人]]|投下順|| |[[妖星乱舞>妖星乱舞-第一楽章-]]|&color(blue){ガーゴイル}|&color(blue){THE END}| |[[妖星乱舞>妖星乱舞-第一楽章-]]|&color(blue){ピタゴラス}|&color(blue){THE END}| |[[妖星乱舞>妖星乱舞-第一楽章-]]|&color(blue){ドーラ・システィール}|&color(blue){THE END}|
93話 それぞれの未来 あの殺し合いを生き延び、このヴァルハラに帰還してからもう一カ月は経つ。 帝国軍も消滅した今、俺は辺境の森で気ままに暮らしている。 風の便りで、時の塔の巫女が行方不明になったと聞いた。 現在も捜索は続けられているが一生見付かる事はないだろう。 時の塔の巫女――亜美は、この世界とは別の異世界で命を落としたのだから。 今でも時々思う、あの殺し合いは夢だったのではないかと。 だが、俺の胸元にできた傷跡、そして、この世界に戻ってきた時、 俺の傍に落ちていた、参加者用のデイパックが、あれは現実に起きた事だと証明した。 ドーラ・システィール、ピタゴラス、久保遼平、エルザ・ウェイバー、 アレックス、ムシャ、高原正封、クリス・ミスティーズ、レオン・ミスティーズ。 そして、殺し合いの主催者、リリア・ミスティーズ。 実に色々な異世界の人間と出会った。これはかなり貴重な体験だな。 今の所、この事は誰にも話していない。 話した所で信じて貰えるかどうか分からんし、時の塔の巫女の事を迂闊に話して、 事が大きくなるのは望まない。 帝国軍で散々戦いに明け暮れ、次はバトルロワイアルで戦って。 俺はもう戦いは疲れた。これからは静かに暮らしたい。 今日もあの豪邸で調達した本でも読むとしよう。 ◆◆◆ 俺――ピタゴラスは元の自分の世界に戻ってきた。 アルベルト博士による殺し合いに呼ばれる前と、何も変わらない、 自宅や、近所の風景、俺の知り合い達。 大勢の人や車が通る、賑やかな通りを歩きながら、 俺はリリア・ミスティーズ主催の殺し合いの事を思い出す。 遼平、アレックス、ドーラ、エルザ、ガーゴイル、クリス、レオン、高原。 俺が出会った仲間達。 生き延びたアレックス、ドーラ、ガーゴイルは、今も自分の世界で 元気に生きているだろうか。 生き残るためとは言え、俺はアレックスの知人のムシャや、 リリア・ミスティーズ配下の兵士達を何人も殺してしまった。 俺が黙ってさえいれば、何の罪にも問われる事はない。 だが、あの出来事を誰にも話せず心の奥底にしまうしかできないのは正直辛い。 ――背負っていかなければならない。 遼平やエルザ、クリス達を始め、あの殺し合いで死んでいった多くの参加者。 彼らの分まで、精一杯生きるのが自分や、アレックス、ドーラ、ガーゴイルの、 生き残った者の使命、だろう。 だから俺は生きていく。 どんなに辛い事があっても、どんなに苦しくても。 ◆◆◆ あの殺し合いから戻ってきてからどれくらい経つかねぇ。 アレックス、ガーゴイル、ピタゴラス。 あいつら、元気でやってるといいんだけど。 あの殺し合いの事は話そうとも思ったけど、信じて貰えそうにないからやめた。 進んで話す気にもなれないしねぇ。 アイン隊長が、シェリーが行方不明になっていると言った。 まあ自分の元情婦なら、多少は心配するだろうね。 元々群れるのが嫌いな性分みたいだったし、アイン隊長も然程は心配していないみたい。 その内また現れるだろうって。 ――悪いけど、隊長。アタイは知ってるんだ。 シェリー・ラクソマーコスはもうこの世にはいないんだよ。二つの意味で。 この世界とは別の、殺し合いの舞台で死んじまったからね。 死体もあの世界の崩壊に巻き込まれて――塵も残っていない。 一生見付かる事はないだろうさ。 殺し合いで死んじまった奴の分まで生きる、なんて青臭い真似、 アタイには似合わないけど。 まぁ、自分の命は大切にするってのは正解だね。 死んじまったらそこで終わり。アタイも精々長生きしたいものさね。 ◆◆◆ 三人の生還者の、それぞれの世界での、それぞれの未来。 彼らの行く末に幸運有らん事を。 俺得バトルロワイアル――ガーゴイル、ピタゴラス、ドーラ・システィール  完 |[[相変わらずの二人]]|時系列順|[[生還、めでてぇwwww]]| |[[相変わらずの二人]]|投下順|[[生還、めでてぇwwww]]| |[[妖星乱舞>妖星乱舞-第一楽章-]]|&color(blue){ガーゴイル}|&color(blue){THE END}| |[[妖星乱舞>妖星乱舞-第一楽章-]]|&color(blue){ピタゴラス}|&color(blue){THE END}| |[[妖星乱舞>妖星乱舞-第一楽章-]]|&color(blue){ドーラ・システィール}|&color(blue){THE END}|

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