近田 怜王(兵庫・報徳学園)投手 176/82 左/左

 

兵庫、三田シニアの頃からその名は全国クラス。当然全国の強豪校からオファーが殺到し、その進路が注目されたが、すでに中学から通学していた地元の強豪、報徳学園にそのまま進学。入学早々の春からベンチ入りし登板の機会も与えられるが結果を残せず、さらには肩の故障。これが近田にとって最初の試練となる。しかしここから秋までの間に徹底した走り込み、トレーニングを積み重ねることが出来、肩の疲労をとり高校レベルの体力を身につける機会となった。
昨秋はエース石田が県秋季大会中に怪我したのもあり、近畿大会より背番号1を任せられ同じ一年生糸井との息のあったバッテリーで近畿大会を勝ち上がっていった。県大会は決勝の市川戦まで失点無し。近畿大会も熊野戦の立ち上がり以外は全く危なげ無しのピッチング。決勝戦では、中田翔をホームランのみの一安打に抑えたことも印象的だ。球自体も素晴らしいがとても一年生とは思えない落ち着きが一番の魅力

 

(印象)

 

176cmとそれほど上背はないが、重心が低く、とにかく下半身(軸足)の強さがすばらしい。

変化球は主にスライダー
しかし懐をつけ、キレのいい球で将来的にも十分に武器になる。
ただ落ちる球が欲しいところ

直球と同じ腕の振りからチェンジアップを投げるとのこと

バッティングもいいです

フォーム)

 

強靭な軸足でしっかりと体重を支えられ右足が着地した際もまだ左腕は引きあがらずCアーチをキープしており肩の開きも抑えられている。ここまでの流れが「鉛」と言われるほど球威のあるボールを投げられる要因であろう。それを可能にしているのは高校生離れした下半身の強さ、リリースの祭の足の甲の押し付けも素晴らしいの一言。ただ変化球を投げるときに肘がやや下がるので修正すべき。
また、体格的に176cmと上背のある身体ではなく、フォームもややスリクォーター気味であるため、今後縦の角度のあるボールを投げられるか、落ちるボールなどを取得できるかが疑問ではある。

 

(課題)

 

下半身に比べて上半身が弱いので強化すべし。上体がまだしっかりと回れず、その結果十分インコースに投げ切れていない。また絶対の勝負球もないので習得していくべき。特にこの課題が露呈したのが神宮大会で、近畿大会時の彼とは全く別人の内容だった。疲労の蓄積からか下半身が粘りきれず、その影響で上体がしっかり回らなくなりボールは走らず高めに行き、痛打される状況だった。

 

(最後に)

 

大雑把ではありますが読んでいただきありがとうございます。彼のことは138キロを投げる中学生左腕ということで早く見てみたいと思っていたんですが、神宮に出てきてくれて良かったです。とにかく1年生としては素晴らしいの一言に尽きると思います。
追記 もしこれが今二年生であったとしても十分ドラ1かなと思わせる素質はあります。素人目ですが。選抜でも一見の価値あり

 

動画:http://www.youtube.com/watch?v=Sgc9picoAgs

神戸新聞特集記事:こちら

(課題)2007年夏甲子園


予選終盤から、思ったほど良い投球が出来ていなかった印象がつきまとった
彼ですが甲子園初戦の青森山田戦で、その不安を露呈することになった。
7回足の痙攣で途中降板するまで1失点という内容ながら、
本来の出来からはほど遠い内容であった。
やはり兵庫大会を勝ち抜いて甲子園で勝つには心技体に置ける心体の
部分でまだ不足しているものが多い。
裏を返せば、兵庫の試合日程の組み方が、他の地域に比べ
過酷であるという裏返しでもある。
近年、兵庫代表で1回戦を突破したチームはほとんどの場合、
同じくらいの力を持つ投手を複数抱えたチームで、今年の報徳のような
近田が頭一つ抜けた能力を持つチームが初戦を突破したのは
昨年の東洋大姫路くらいである。
特に報徳は、選抜優勝時の大谷(トヨタ)や同じく春夏連続出場を
果たした片山(楽天)の時も、夏は本来の力の半分も出せず敗退している。
来年、彼本来のポテンシャルを見せてくれるには、岡田をはじめとする
控え投手陣の底上げが必要なのかもしれない。
否、それ以上に連戦にも負けない体力精神力を培って戻ってきてくれることを
信じてやまない。

 

 

2008年夏(復活)

 

2007年秋以降、甲子園で熱中症で倒れた後遺症から近田は泥沼にはまりました。

思うように投げられない状態が続き、秋は背番号1から11に、試合も主に一塁手での

出場がほとんどになり、エースは岡田が完全に背負う形となってしまうこととなる。

それでも県大会終盤、東洋大姫路戦の終盤で何とか登板を果たすものの、

本調子とは言い難い投球内容、そして近畿大会1回戦で打たれた岡田の後を受けて

登板した近田のフォームは見る影もなく崩れていました。

本来の強い下半身を生かしたしなやかなフォームは影を潜め、上半身の力を使おうと

力みかえり、全く別人と化したその姿は、すでに近田は投手として終わってしまったと

思わせるほどでした。

春、ようやく調子が上向きはじめながらも、甲南高校にまさかの地区大会敗戦で

シード権を失うなど、逆境は続き、今年の近田を甲子園で見ることはないかと思いましたが、

このことが逆に近田の精神面の強さを培うこととなりました。

夏の県大会、本調子とはまだ言えない状態ながら序盤を順調に勝ち上がることで

身体の成長に伴うフォームの修正を出来た近田は見事に復活。

精神的にも強い投手となって戻ってきました。

今年の高校生投手の中で、最もタフな投手となったと思います。

そして苦しんだことで投球フォームも次のように進化しています。

 

1.大きな変化

 2年生まで振りかぶって投げていたフォームをノーワインドアップに修正。

 これにより1年生時から気になっていた足を上げた際上半身の力みがでるクセが

 完全に消えているほか、本来の下半身の強さをより生かしたモーションの始動に

 変貌している。試合終盤になっても球威が落ちなくなったのは、元から充実した

 下半身の強さをしっかり無駄なく使えることになっているからだと思われる。

 

2.ステップ幅の変化

 近田の代名詞とも言える、強い下半身。

 これを生かした深い踏みだしからの速球が2年までの近田でしたが、

 3年の現在、踏み出し幅が約1足~半足ほど狭くなっている様に見える。

 2年までの近田は踏みだしが、その体格の割に大きく上半身が

 あまり使えていないフォームだったのだが、このことで上半身の回転力が

 上手く使えるようになっている。当然、このことが下半身に頼るあまりに

 負担がかかっていた投げ方の効果的な修正になり、試合終盤でも

 球威の落ちないボールをなげられることに繋がっていると思われる。

 

 

以上2点に於いて、大きな進化を遂げている近田ですが、

最も大きな成長をしているのは精神面です。

非常にタフな投手になった印象が強い。接戦でも物ともしない強さを持ち合わせる

近年まれに見る「節目に強い投手」という好投手へ成長を遂げています。

 

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最終更新:2008年08月14日 21:24