7-070 この醜き世界

166 名前:この醜き世界 1/3 投稿日:2006/07/15(土) 01:40:45
頭に衝撃。星が飛ぶ。
不快な耳鳴りがキーン…と満寵の頭蓋の中を駆け巡る。
不思議に少年のころに帰ったような満寵。
純粋だから?殺意だけは?

『伯寧』

ころせ、ころせと騒がしいノイズの中、公明の声が聞こえた気がする。
「酒糟喰らいが。酔っておるのか」
命のやり取りの合間でさえ禰衡の口からは毒がこぼれる。

誰だ?これは。
…公明じゃない。じゃあ、いらない。

満寵の脳裏に背景のように目の前の垢じみた男の情報が浮かぶ。
禰衡。不愉快な男だった。
酒樽を叩けとかなんとか言われたらしい。
後は、そう、
確か犬殺しとか豚殺しとか言われた、そう、
公明が…。
公明が、殺しで、犬…豚だったかも…ころす…
殺す、殺すのは僕、…僕が、犬を殺す…。
…殺してやるよ。薄汚い畜生が!

満寵が、最期の砦にしていた意識。
…徐晃に再び会うまでは、絶対に自分の意識を失うまい…
それは姿を変えて、友情から執着に、親しみから同一化に不気味に歪む。

ギャリッギャギャギャギャギャ!
嫌な音に両者顔をしかめる。
満寵が振りかざした包丁を運良く禰衡のスコップが防いだ音。
それは本能的に不快な響き。相入れぬ、胸糞悪い互いの関係を現す全て。


168 名前:この醜き世界 2/3 投稿日:2006/07/15(土) 01:42:43
禰衡の脇を狙って満寵の膝が入る。しかし顔をしかめたのは満寵。
…汚いんだよ!畜生!
嫌悪感。まるで自分の膝から腐ってしまいそうな。

地に転がった禰衡はそれでも不遜な態度を崩しはしない。
「…醜いな。見るに耐えん。
 この世は本当に、醜いものだらけだ」
禰衡の腑を狙って満寵は逆刃に構えたまま躍りかかる。
「喰われろ、犬が!!」
身体を捻るが、かわしきれない。
肉が削がれた。それこそ犬だか豚だかのように。
だが禰衡の足も満寵の腹を捉えている。
蹴り捨てた。屑だからだ。
「蛆が人の言葉で騒ぐな」
スコップを支えに禰衡は立ち満寵はバランスを崩し倒れる。
その時だった。
「正平!」
息を切らせながらこちらへやって来るのは、彼が唯一認めた友。
この腐った世界を彷徨ったのも、ただ彼に会わんがため。

『伯寧!』
満寵は、その時確かに聞いた気がしたのだ。彼を呼ぶ声を。
見た気がしたのだ。徐晃がこちらへやってくるのを。
でも―。
「正平、ここにい―」
「…騙したな!!」
膝を突いた満寵は懐から銃を出し包丁を捨てた右手を添える。

…死んじゃえよ。
…死んじゃえよ。
…死んじゃえよ…!



169 名前:この醜き世界 3/3 投稿日:2006/07/15(土) 01:44:45
視界が赤く染まる。
泣けない満寵のために、頭の傷口から溢れた血がその乾いた瞳を慰めたのか。

邪魔。イライラする。

満寵の憎しみを乗せた弾丸が跳ぶ。
それは、まるで、孔融の身体に吸い込まれるように―…。


@禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】
※満寵と交戦中。<<二本刀と錆びた刀>>には気づいています

@満寵[頭部負傷、流血により視界悪し]【S&W M60 チーフスペシャル 弾は3発】
※禰衡と交戦中。頭部から出血有り。
※孔融に発砲しました。
※刺身包丁は満寵のすぐ側に落ちています。

@孔融[?]【???】
※満寵の狙撃を受けました。負傷の程度は不明。

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最終更新:2007年11月18日 11:15
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