7-206 さようなら、文挙殿

257 名前:さようなら、文挙殿 1/4 投稿日:2006/08/26(土) 22:35:40
「文挙殿、お久しぶりです。この世界でお会いするのは初めてですね」
孔融は無言で頷いた。この男は…荀文若。
名門荀家の俊才として華々しい栄華に包まれていた男。
朝廷で、私的な場で、幾度か顔を合わせて会話を交わし、表面上は友好的な態度を取っていた。
しかし、孔融は彼を嫌っていた。
漢室に忠誠を誓うように見せて、その実逆臣曹操を補佐し簒奪に導く偽善者と見ていたからだ。

しかしそれも今では昔のこと。
己の感情なぞこの珍奇な世界では何の役にも立たぬであろう。




「……これは文若殿、久しいですな」



258 名前:さようなら、文挙殿 2/4 投稿日:2006/08/26(土) 22:36:14
禰衡は相変わらず奇天烈な行動を取りたがった。
木から下りてきたと思ったら、続けて川へと飛び込んだのだ。
派手な水しぶきを上げて、変人は水中へと潜り込む。

「腹が減ったではないか!」

奴は明るくそう叫んだ。

「私は魚を捕るぞ!」
「それは楽しみだ。ついでに私の分も取ってくれ」
「無論だとも。火を起こす準備をしておけよ」
「しかしお前、脇腹の傷は大丈夫なのか?」

返事は無い。……相変わらず無茶をする奴だ。
小枝を集め、摩擦を起こして火を起こそうと試みた。
悪戦苦闘するうちになんとか小さな炎を出現させることに成功する。
細い煙が雨上がりの空を棚引く様をぼんやりと眺めていると、
背後から声をかけられたのだ。

そう、荀文若に。



259 名前:さようなら、文挙殿 3/4 投稿日:2006/08/26(土) 22:36:51
「何をしておられるのですか?」
うっすらと笑い、彼は問う。
「見ての通り火を起こしている」
「何のために? 貴殿はおひとりですか?」

涼やかな表情を崩さぬ男だった。
彼の主が喜怒哀楽の激しい性質だったのとは対照的に、
どのような事が起こっても常に冷静さを保つのが彼だった。
今も変わらぬその穏やかな表情……しかしどこか違和感を覚える。
狂気めいた何かが、その奥に潜んでいるようにも思え、孔融は思わず肩を震わせた。

「ひとりだ」

胸騒ぎがした。頭ががんがんと痛む。
無意識に嘘をついたが、彼は気にする様子もなく微笑んだ。

「曹操様の居場所をご存じですか?」
「は? 知るわけないだろう」

「……そうですか」




260 名前:さようなら、文挙殿 4/4 投稿日:2006/08/26(土) 22:38:33
撃たれたと気がついた時、己の視線は空に向かっていた。
雨上がりの澄んだ空に細く棚引く煙。

「うふふ、仲尼殿の末孫の最期がこれとは哀れですね。
 ……貴殿には真剣さが足りません。
 いつだって、世を茶化すことしか考えていなかった。
 貴殿の独りよがりの傲岸さ、私は嫌いです」
「何を、言っているのだ」
「おや、未だ言葉を発せられるとは貴殿もなかなかしぶといですね。
 うふふ……血が……綺麗です。
 外側がどんなに唾棄すべき汚れにまみれていたとしても、
 体内を流れるものは、実に鮮やかですね」

禰衡、来るな。
こちらには来るな。
物音に気が付いて戻ってきたが最期、お前まで殺されてしまう。

彼は、彼は狂人だ。
間違いなく狂っている。

「さようなら、文挙殿」


銃声がもう一度響いた。


【孔融 死亡確認】





261 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/08/26(土) 22:39:13
@荀イク[洗脳されている?] 現在地 豫州
【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)、刺身包丁】
※劉備、曹操、孫権を中心に、無差別に殺戮を望んでいます。
※また、ゲームに乗らない者を狙います。
 積極的にゲームに参加している者は殺しません。
 殺意はありますが冷静です。
※取りあえずは呉に向かうようです。
※農業用ショベルはその場に放置しました。

現在工事中解散
@禰衡[脇腹負傷]【農業用スコップ】
※現在禰衡は素っ裸で水中で魚を捕っています。

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最終更新:2007年11月17日 19:00
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