7-159 血に濡れた道


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

16 名前:血に濡れた道1/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:07:15
かつて、三国のうち最も強大であった魏帝国の、あの賑々しかった都は、今はただ閑散としていた。
人の気配がまったくしない。
月の明かりだけが、あの頃とまったく変わっていない……。
だがその月も、もうすぐ朝の日の光で消えてしまうのだ。

民家から当分の水と保存食を含めた食料をかき集めた司馬孚は、貂蝉を待たせている民家へと急いだ。

3度目の放送が終わった直後に、彼らは潜伏していた司馬邸を出、このギョウへと向かった。
夜通しの強行軍であったが、彼らはそれ以前に十分な休息をとっていたため、朝を迎える前に目的地へとたどり着いた。
だが、目的としていることは果たせなかった。
ギョウに行けば、曹丕か曹植、あるいはかつて魏に仕えた誰かがいるのではないかと期待していた。
しかし都には人っ子一人おらず、まさに閑古鳥の鳴いている有様だったのだ。

(それは、確かにそうだ。もう少し考えるべきだったかもしれない。
 魏に仕えたものといっても、このゲームに参加している者たちの大半は曹操に仕えていたものたちだ。
 彼らにとっての本拠地といえば、ここよりもむしろ許昌だろう)
白くなり出した空を見上げながら、司馬孚はぼんやりとそんなことを考えていた。
当の許昌が灰に帰したことなど、司馬孚には思いも寄らぬことである。

潜伏先の民家に戻ってきたとき、司馬孚は異変に気づいた。
出かける前、司馬孚は扉に木の葉をはさみ、扉が開いたならそれが分かるように仕掛けをしていた。
また貂蝉には決して外に出るな、扉にはつっかえ棒をして、自分が戻ってきたときには合言葉を言うので、
その言葉を聞くまでは絶対に扉を開けるなと、言って聞かせていた。
なのに、木の葉はそこにない。
何かがあって扉は開かれ、落ちた木の葉は風にでもさらわれたのだろうか。
だが、いまは木の葉の行方などどうでもいい。
司馬孚はそっと扉に手をかける。
扉は、何の抵抗もなく開いてしまった。


17 名前:血に濡れた道2/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:08:05
恐る恐る、息を殺して、司馬孚は家の中に入った。
すぐ目に付いたのは、吹き矢だけを抜き取って置いていた自分の鞄である。
荒らされた形跡はなく、自分がそこに置いたときのままであった。
次の部屋には貂蝉がいるはずである。無事ならば。
そっと、覗き込む。

そして司馬孚が目にしたのは、見知らぬ、少し太めの、男の姿であった。


それは数刻前の出来事。


司馬孚を送り出した貂蝉は、言われた通り扉につっかえ棒をすると、成すこともなく時間をもてあましていた。
自然、窓から見える月に目が行く。
月を見つめながら貂蝉は、だんだん自分の中の熱が冷めていっていることに気づいた。
(あれほど人を憎いと思ったことはなかったのに)
前に父が董卓の残党に殺されたときでさえ、あれほどの憎しみに駆られることはなかった。
やはり帝に、あれほどまでに忠誠を尽くした帝に殺されたということが、憎しみの原因だったのだ。
なのに今は、そこまでして帝を殺したいとは思わない。
与えられた武器がこのオルゴールと知ってがっかりしたことが嘘のように。
帝を憎いと思う気持ちは変わっていない。
この不条理な世界と戦う決意も揺るいでいない。
(でも今は、そんなことよりも、もっとずっと大切な)
貂蝉はオルゴールの蓋を開けた。旋律が流れる。
(この音に誘われて、あの人はやってきた。
 怪我をしていた。お父様が支給されるはずだった救急箱で手当てをして差し上げた。
 ずっとこのまま、一緒にいたいと言ってくれた。
 私は、私は……)


18 名前:血に濡れた道3/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:09:02
旋律が少しゆっくりになってきた。
貂蝉は一度蓋を閉め、ぜんまいをまわすと、もう一度蓋を開けた。
(あの人は、私を心配してくれた。
 私の舞を素晴らしいと言ってくれた。
 私は、あの人を死なせたくない)
それが、一番の望みだと。
仇討ちよりも、もっとずっと大切なことだと、貂蝉はそう思った。


「流れ 流れていつか 消え行くとしても
 永遠に変わらない 時の河は 続いて」

どこからか、歌声が聞こえる。
男の人の声である。司馬孚が帰って来たのか、だが声色は、少し違う。
貂蝉は窓から外に見えぬよう身を隠す。
しかし慌てて、オルゴールを落としてしまった。
暗がりで、どこにあるかは分からない。
ぜんまいは先ほど巻いたばかり。旋律は止まない。
この音が聞こえませんようにと、貂蝉は儚い祈りをささげた。

「流れ 流れていつか また生まれ変わる
 誰にも止められない 時の河は 続いてゆく」

こちらへ来るなと祈りながら、貂蝉は男の声に耳を澄ませる。
声はだんだん近くなりそしてついに、壁一枚向こうに、男の気配を感じてしまった。
オルゴールはようやく奏で終わるのか、旋律が次第にゆっくりとなっていく。
そして男の歌声も、それに合わせるように遅くなり、やがてオルゴールの音と共に消えていった。
貂蝉はようやく、男が歌っていた歌がオルゴールの曲と同じであったことこに気づいた。


19 名前:血に濡れた道4/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:10:04
何と馬鹿なことだろう。
不用意にオルゴールなど鳴らしたために、知らない人を招き寄せてしまった。
はじめからこの男はオルゴールの音色が聞こえていたのだ。
ここに到着したときのあまりの人のいなさ加減に、自分は油断しきっていた。
司馬孚は自分のことを心配してあんなにも戸締りに念を入れていたのに。
もし今司馬孚が戻ってきたら、家の前に不信な人がいたら、あの人はどうするだろうか。
逃げてくれるだろうか。
この男が司馬孚を見つける前に、どこか遠くに逃げてくれるだろうか。
(私のせいであの人を死なせるようなことは、絶対に嫌なのに……)
貂蝉は、己を呪った。

「もう、演奏は終わりですか?」
男が始めて歌以外のものを言った。
「それは賢明ですよ。ここは人気が少ないけれど、いつ怖い人が来るか分かりませんからね。
 ああでも、先ほどの曲はよかった。いったい何という曲です? 実は私、どこかで聞いたことがあるんですよね。
 どこだったかな。昔母上が歌ってくれていたような、でも、それとは違う。
 前に、やっぱりその歌を思い出して同じように思ったことがあるんです。あれは母上の歌だったかなと。
 でも、それはいつだったかどこでだったか、すっかり忘れてしまいました。
 そういうことってよくありませんか? 既視感っていうらしいですね」
話し出したと思ったら、男はとどまることなく言葉を続けた。
その言葉の穏やかさに、貂蝉は何度か返答しかけ、ぐっとそれを飲み込んだ。
自分がここにいることはばれているかもしれないが、わざわざそれを確定させてやることはない。
「あの、そこに誰かいますよね。いたら返事してもらえませんか? じゃないと私、かなり馬鹿ですよ」
やはり確信を求めている。
返事をしてはいけない。もしかしてこのまま息を潜めれば、この男はどこかに行ってしまうかもしれないのだ。
「あ~あ。いないのですか。せっかく、やっと人に会えると思えたのに。……ハックチュ!!」
酷く、声が沈んでいる。
くしゃみの後は、鼻をすする音がした。


20 名前:血に濡れた道5/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:10:37
考えてみれば、司馬孚もまた音に誘われてきたのだ。
家の壁一枚しかない距離で、こじ開けようと思えば扉も窓も開くだろうに、男は決して入ってこようとはしなかった。
本当にただ、人を求めて、この殺し合いの世界で信頼できる人を求めようとしただけなら、何も怖いことなどない。
自分たち可愛さに誰かを見捨てるようなことがあれば、それは殺人となんら変わりがない。
帝の意に十分沿った行いになるのだ。

「そ、そのようにくしゃみをなされて、夜の風はそれほど冷たいのですか?」
意を決して、貂蝉は言葉を発した。
返事はすぐには来なかった。
今まで黙っていたものが突然話し、驚いているのだろうか。
ややあって、男は答えた。
「ええ、とても。それに私は近くの川で足を滑らせて、着物が完全に乾いていないのです」
それは暗に、中へ入れてもらえないかと尋ねられたのと同じことであった。
貂蝉はなんと無遠慮なのかと少しあきれたが、それは司馬孚があの白々しいセリフを言ったときに感じたあきれと、同質のものであった。
だから貂蝉は、司馬孚に決して開けるなと言われた扉を開けてしまった。
「どうぞ。何もないところですけど、雨風はしのげると思います」
「ありがとう。綺麗な人」
その男は少し太めの、決して武官ではなさそうな、だが文官とも違う、そんな印象与えた。
「私は劉禅。生まれは荊州新野。しかし人生の大半を益州の成都で過ごした者です」


そして、それから数刻。


貂蝉がいるべきはずの部屋に劉禅の姿を認めた司馬孚は、ほとんど何も考えられずに大声を発した。
「何者だ、貴様はッ!!!」
劉禅はゆっくり振り向いた。
口元には、なんとも意地悪そうな笑みを浮かべていた。


21 名前:血に濡れた道6/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:11:31
「そんな大声を出さないでもらいたいですね。
 それにそんな顔をして、まるで奥方に間男された亭主のようではないですか」
「なっなっ、なんだとッッッ!!!!」
司馬孚は顔を真っ赤にして劉禅の胸倉を掴んだ。
こいつだけは殺してやらないと気がすまない。殴り殺すんだ。
たとえ自分にそんな力がなくても、相手がどんなに剛の者でも、たとえ自分の両腕が、以降使い物にならなくなっても!!!!
「まあまあ旦那さん。落ち着いて落ち着いて」
茶化す言葉が癇に障る。
まず一発目をお見舞いしてやろうとしたそのとき、笑い声が聞こえた。
劉禅のものではなく、少し高い、女性の。
「ああ奥さん。旦那さんを少し静めてもらえませんか。これでは話にもならない」
貂蝉が笑っている。
「大丈夫ですよ旦那さん。奥さんは無事です。傷一つ付いちゃいない」
劉禅の茶々は相変わらず癇に障ったが、司馬孚は安堵のあまり腰を抜かしていた。

「まったく、どういうつもりなんですか。勝手に扉を開けてはいけないと、あれほど言ったのに。
 それに入れたら入れたで、どうして戸締りしておかなかったんです。
 扉が開いたとき、私がどれほど心配したことか……」
「まあまあ、私が中に入るにいたっては、かなりごり押しした私のほうに責任がありますよ。
 それに戸締りのことも、私がやめさせたんです。貂蝉さんは悪くない」
「だからどうして!!!」
ようやく勢いを取り戻した司馬孚はともかくここに至った経緯を聞いた。
それは貂蝉が不用意にオルゴールを鳴らしたところから始まって、聞きながら司馬孚は胃の痛くなる思いをしなければならなかった。
貂蝉が、劉禅を家の中に入れたことはまあいいだろう。
もともと貂蝉は優しい人で、その優しさに自分も救われた口である。
だが戸締りをしなかったことは、どうあっても納得しがたい。
まるで自分をからかうためにわざとそうしておいたかのようにも感じてしまう。
(これはなにも、自分がからかわれて腹を立てているわけではなく、無用心さを攻めているのであって……)


22 名前:血に濡れた道7/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:12:21
何かをぶつぶつ言う司馬孚に劉禅は肩をすくめて、バナナを一本差し出した。
「それは私の支給品です。
 それを食べて、少し落ち着いてください。説明しますから。
 いいですか? たとえばここに、殺し合いに乗った怖い人が来たとします。
 その人がもしこの家の扉に手をかけ、扉が開かなかったら、その人はまずこの家に人が居るということを理解してしまいます。
 そうしたら、そんな怖い人のことです。
 おびえて震えているだけの獲物を逃がすでしょうか?
 扉を蹴破って、或いは壁に穴を開けて、入ってくるのが関の山です。
 もっと悪ければ帝の兵たちが持っていたような武器の、もっと威力の強いもので蜂の巣にされるだけでしょう?
 逆に扉が簡単に開いて、家の中に人の居る痕跡がなかったら、ここに人が居るとは気づきません。
 少なくとも最初は気づきません。
 あとはその人がすぐ出てゆけばよし。
 より詳しく調べようとすればその隙を突いて逃げ出すことだって出来ます。
 どうですか? こっちのほうがより安全で、より生き延びる可能性が高いとは思いませんか?」
司馬孚はバナナを半分ほど口に入れ、この説明に聞き入ってしまった。
襲撃者が複数であることを考えていなかったり、多少運に任せたところがあるなど、この論にはいくつかの問題もあったが、
少なくとも、まったく考えなしにやったのではないのだということに、司馬孚は感心した。

「取り乱して、大変失礼いたしました。
 貴方の言ったことは、今後参考にいたしましょう。
 ところで、まだお名前を伺っていませんでしたが」
「ああ。こちらは益州の劉禅さんとおっしゃいますの」
貂蝉がとりなして紹介する。
その名を聞いたとき司馬孚は少なからず驚き、残った半分のバナナが少なからず変形した。
「蜀漢、皇帝……?」
劉禅は口の端を吊り上げて笑た。
その笑い方を、司馬孚はどこかで見た気がしたが、すぐには思い出せなかった。
「その通りですよ。晋皇帝の大叔父殿」


23 名前:血に濡れた道8/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:12:58
そういう風に呼ばないでほしいと、司馬孚は言う。
自分はあくまで魏の臣であると。
劉禅は口の端を吊り上げて笑っている。

何故だろう。
貂蝉はその会話を、とても遠くで聞いているような気がした。
鳥肌が立っているのがわかる。
何時からだろう。
それは多分、「皇帝」という言葉を聞いたときから。
それは、呪いの言葉。
今言われている「皇帝」は、あの「皇帝」とは違うのに、震えが止まらない。
「皇帝」と「皇帝の大叔父」が駆け寄ってくる。
(嫌!!)
貂蝉の、良く整えられた舞姫の爪が、司馬孚の頬を裂いた。
細い血の線が出来る。
「私、私なんてことを……。ごめんなさい、ごめんなさい」
「大丈夫。大丈夫ですよ。ちょっと混乱しただけですから、さあ、落ち着いて」
「私、私本当に醜い。
 ついさっき、仇討ちより大切なこと、見つけたはずだったのに。
 憎しみに駆られて司馬孚さんを傷つけるなんて、私、私……」
貂蝉の声は、最期のほうは消え入りそうに弱くなり、すすり泣く音に取って代わった。
司馬孚は貂蝉の背中に手をやり深呼吸を促す。
「大丈夫ですよ。貴方は綺麗です。私が出会ったすべての女性の中で、貴方が一番綺麗です。多分、世界中で一番綺麗です。
 だから、そんな風に、醜いだなんて思わないでください。
 大切な人を殺されて、憎まない人なんていないんです」
司馬孚は必死に囁いた。
そして少しずつ、貂蝉の震えが収まってきた。


24 名前:血に濡れた道9/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:16:30
「彼女、どうかなさったんですか?」
「最初の洛陽城で、献帝に殺された文官がいたでしょう?
 彼女は彼の娘なんです。
 我々が「皇帝」と「皇帝の親戚」と知って、少し混乱したんだと思います」
「ああそれは、残念だな」
それは、小さな違和感だった。
果たしてこの場で「残念」という言葉は適切なのだろうか。
決しておかしいわけではないのだけれど、「気の毒」のほうがずっと適切である。
つい気になって、貂蝉へ向けていた視線を劉禅へと流す。
彼は自分の鞄から、モーニングスターを取り出していた。
それは、薄明かりの中でも明らかに、血に汚れていることが分かった。
「あな、貴方の支給品はバナナだといった」
「ええ。その通りですよ」
自分でもばかばかしくなるような問いが口に出る。
劉禅はそれに馬鹿正直に答え、そしてモーニングスターを振るった。
全然、大したことのない音がして、とたんに貂蝉の体が何倍にも重くなった。
恐る恐る視線を戻すと、貂蝉の後頭部がつぶれ、中の生暖かいものがはみ出していた。
首はがっくりと垂れ、下を向いた彼女の顔は、以前となんら変わりがなく美しいままだった。
ただ、大きく見開かれた眼は、安っぽい、玉の偽物になっていた。
自分は何も出来なかった。

「あ、ああ、あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」

「少し、静かにしてもらえませんか? 近くに人がいたらことですよ」
その一言で、声が枯れた。体が固まった。
まるで魔法にでもかかっているように、言葉は音にならなくなり、体は石になった。
自分は叫び続けているのに。
涙すら、出てはくれない。


25 名前:血に濡れた道10/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:17:16
「本当に残念です。やっと信頼できる仲間に出会ったと思ったのに。
 でも、「皇帝」という言葉だけであんなに取り乱す人と、一緒にいられるわけはないですよね。
 私は、皇帝ですから」
それはただの言い訳だと、司馬孚は思った。
いったいどうして言い訳などするのかは、司馬孚にはまったく分からなかったし、分かりたくもなかったが、それは確かにいい訳だった。
劉禅はまた、口の端を吊り上げて笑った。

「そうだ。思い出した」
ようやく言葉が出た。
「それは、その笑い方は洛陽城で見たんだ。
 献帝が、あの男が笑っていた。あんたと同じように」
体が少しずつ動き出す。
立ち上がると、貂蝉の体が床に落ちた。
「それで、貴方はどうするんです?」
劉禅が問いかける。どうするのかなど、決まっているのに、どうしてわざわざ聞くのだろうか?
(ああ)
司馬孚はようやく、全てに合点がいった。
(あの言い訳は、私に向けたものだったのか)
まったくどうしようもなく腹立たしい。
この自分勝手な理論を、まかり通すつもりなのか。
このままここで殺してやりたい。殴り殺してやりたい。
けれど自分にその力はないと、自分の冷静な部分が待ったをかける。
自分にまだ冷静な部分が残っていることが驚きだが、確かに武器の不利は否めない。
吹き矢はこの場では使えない。相手の武器は、使い慣れていないようだが振り回されるだけで脅威になる。
体力の差は、ない。ならば……。
「分かりました。臣はこれより、陛下に仕えましょう」
「ああ、よかった。ようやく仲間一人ですよ。正直、断られたらどうしようかと思っていました。
 もう自分の手で殺すなんて真っ平です。気持ち悪いんですよ。やるなら銃のほうがいいのに」


26 名前:血に濡れた道11/11 投稿日:2006/07/30(日) 03:19:40
司馬孚にとってのチャンスは、すぐには巡ってこなかった。
劉禅はモーニングスターを放さなかったし、吹き矢も没収された。
完全に信用されてないのだろう。時間をかけなければならない。

劉禅は貂蝉の荷物のうち、オルゴールだけをやけに気に入り、それ以外は司馬孚に持たせた。
蓋を開け、音色に聞き入る。
「どこかで聴いた曲なんだけどな。どこだったかな。
 もう少し、そうか北のほうで聴いたんだ。あれ、でも北になんか行ったことはないし」
「準備は整いましたが」
「そうですね。じゃあ、ちょっと北のほうまで行きましょうか?」
「北というと、幽州ですか?」
「違ったら引き返しましょう。時間はたっぷりあるんですから」

二人は北へむけて進む。
貂蝉の遺体をそのままにしておいたことだけが、司馬孚の心残りだった。
もうすぐ夜が明ける。貂蝉の名を呼ぶために、放送が流れる。

<<皇帝と忠臣(偽造)/2名>>『現在地 冀州・ギョウ都』
劉禅【バナナ1本、モーニングスター、オルゴール、吹き矢(矢10本)】
司馬孚[左腕負傷、手当済]【救急箱(応急処置の手引き付)】
※『時の河』を聞いた場所を探して北へ向かいます。(劉禅@第4回の記憶)
※司馬孚は隙あらば劉禅を殺すつもりです。

【貂蝉 死亡確認】
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。