7-152 許昌葬送曲

420 名前:許昌葬送曲 1/2 投稿日:2006/07/28(金) 03:05:44
散々に暴れまわる炎の中を、一筋の笛の音が響いた。
悲しみと、怒りと、羞恥と、狂気と哀願と。そのどれともつかぬ
音色が、許昌中を駆け巡った。
ゆるりゆるりと。
泣くように。


「公達殿。」
落とし穴に落ちて怪我を負った荀攸のつま先に、自らの衣を破いて作った
包帯を巻きつけながら、典韋は何も言わない軍師の横顔を見上げた。
その顔は、何の感情も映してはいない。
「公た「典韋殿。」
典韋の呼びかけを遮って声を発した荀攸の瞳から、
溢れんばかりに涙が浮かんでは、流れ落ちた。
悲しい、曲だ。
かつて、許昌でよく響いていた曲と、旋律はまるで同じものだが、演奏者の感情を
そのまま叩きつけたようなその音色は、強く心を揺さぶるものだった。
「いやだな。」
この演奏者は、きっと此処で辛い思いをしたのだろう。
何故、何故・・・こんな遊戯が許されるのだろう。このような暴挙が許されるのだろう。
「辛いな、典韋殿。」
典韋は口を噤んだまま、何も言わなかった。・・・言えなかった。
悲しみの笛の泣く音に呼応するかのごとく、ぽつぽつと天も嘆き始めた。
それでも、炎は涙を受け止めながら、その力を落とそうとはしなかった。


421 名前:許昌葬送曲 2/2 投稿日:2006/07/28(金) 03:06:23
「行ってみようか、典韋殿。」
「公達殿、それは・・・」
「この曲は、許でいつか流行った曲だ。きっと魏の誰かだよ。
 もしかしたら、協力できるかもしれない。」
――危険ではないか。
典韋は思った。この人は少々、優しすぎる。
確かに、演技で出せる音色ではないが、万が一ということもありえなくはないのだ。
生は一度だけ。一度だけ、のはず。
それでも。
「行ってみよう。」
澄んだ瞳で言われれば、頷く事しか出来なかった。


獣の音色が都に響く。
それは、恨みと痛みを伴いながら、天をも泣かせ、獲物を呼び寄せた。
ゆるりゆるりと。泣く様に。
どこまでも、響き渡る―――――



<<決意胸に秘め/2名>> 『現在地 豫州・許昌内部・中央部』
@典韋【煙幕弾×4】&荀攸[つま先負傷(手当て済み。走れます)]【デリンジャー】
※于禁の吹く笛の方向に向かいます。
@于禁【AK47カラシニコフ、山刀】 『現在地 豫州・許昌内部・西側于禁宅』
※自宅で泣きながら笛を吹いています。(笛は自宅内にあったものを使用。)
※気配には敏感なようです。先制攻撃も厭いません。
※曹丕、虞翻を中心に、恨みのある将を狙います。
※曹操、張遼、張コウ相手には友好的です。

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最終更新:2007年04月20日 21:21
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