7-034

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78 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:06:17 「たれか、俺の傷を治しておくれよ……」 苦しそうな声につられ、貂蝉は辺りを見回した。 (声はすれども、姿は見えず……まるで、屁のようなお方ですねえ) 彼女が不思議がっていると、藪の中から一本の手がスーッ。 「ここだ! 怪我人はここにいる!」 貂蝉は、声の主へと呼びかけた。 「どなたですかあ? 一体、どこのどなたですかあ?」 「その前に、ここへ隠れてくれないか? 一人歩きは危険だからな」 指示されるまま、彼女は藪へ入り込む。 そこにいたのは、文官風の男であった。つけている首輪は、自分の しているものと同じ――明らかにバトロワ参加者である。 「俺は、さっきの戦いで、左の腕を怪我してしまった。お嬢さん、傷薬は ないか?」 「救急セットでしたら、持ち合わせておりますよ」 貂蝉は、かの男の左腕を取ってみた。 「何か、異物が入り込んだようですが……」 「鉄砲玉というらしい。それらを除去してくれないか?」 「かしこまりました」 彼女は救急箱を開け、まず銀色のメスを執る。そして左腕を切開し、 弾丸を皆摘出し、その傷口を石炭酸で洗い、ヨードフォルムを振りかけた。 ---- 79 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:07:10 「後は、この傷をふさぐだけです」 貂蝉は包帯を取り、傷口を圧迫するように、くるくるくるっと巻きつける。 これらの手術の間、かの男は、あまり痛みを感じなかった。 (じ、実に麗しいお方……み、見ているだけで癒されてしまう……) 彼は、貂蝉へ礼を述べた。 「ありがとうございます。それにしても、あなたは一体どちらさまで?」 「申し遅れました。私、王子師の娘で貂蝉と申します」 「何と! 王司徒のお嬢さんでしたか」 ここにおいて、かの男は漸く自己紹介を行う。 「私は河内の人で、姓を司馬、名を孚、字を叔達と申します」 「司馬叔達、と申されますと……もしや、仲達殿の弟さんで?」 「いかにも」 「なるほど、そういうお方でしたか……狙われるのももっともですねえ」 司馬孚は、重大な問いを忘れていた。彼女の美貌に気を取られ、すっかり 高揚していたのである。 「ところで、さっきの妙なる調べ……あなたが奏でていたのですか?」 「はい。この小箱に入ってございます」  貂蝉は、懐からオルゴールを取り出し、件の曲を再び聴かせた。 (ああ、何度聴いても癒される……)  司馬孚は、耳を澄まして聴き入った。心なしか、体の痛みと疲れとが、徐々に 抜けていく感じがする。 ---- 80 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:07:49 「叔達殿、少しは楽になられましたか?」  彼は、貂蝉の問いに答えて言った。 「はい、幾らか楽になりました。できることなら、ずっとこのまま、一緒にいたい ぐらいです」 (まあ、何て白々しい台詞……)  半ば呆れながらも、貂蝉は、この貴公子を看護し続ける決意を固めた。 「かしこまりました。それでは、民家へ避難しましょう」 「貂蝉さん! 私、休まなくても平気ですけど……」 「いいえ、やせ我慢はよくありません。声を聴いても姿を見ても、疲労の 色が感じられます」  そして、くるっと向こうを向き、片手で自分の背中を指す。 「さあ、この上へお乗り下さい」 「貂蝉さん! 女の身ではつらいでしょう。私、代わりに負ぶいますから」  結局、司馬孚が彼女を背負い、民家を捜すこととなった。 <<しばてん/2名>> @貂蝉【オルゴール・救急箱】 @司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】 ※民家を捜して移動中。貂蝉を背負っているため、動きが鈍くなっています。
78 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:06:17 「たれか、俺の傷を治しておくれよ……」 苦しそうな声につられ、貂蝉は辺りを見回した。 (声はすれども、姿は見えず……まるで、屁のようなお方ですねえ) 彼女が不思議がっていると、藪の中から一本の手がスーッ。 「ここだ! 怪我人はここにいる!」 貂蝉は、声の主へと呼びかけた。 「どなたですかあ? 一体、どこのどなたですかあ?」 「その前に、ここへ隠れてくれないか? 一人歩きは危険だからな」 指示されるまま、彼女は藪へ入り込む。 そこにいたのは、文官風の男であった。つけている首輪は、自分の しているものと同じ――明らかにバトロワ参加者である。 「俺は、さっきの戦いで、左の腕を怪我してしまった。お嬢さん、傷薬は ないか?」 「救急セットでしたら、持ち合わせておりますよ」 貂蝉は、かの男の左腕を取ってみた。 「何か、異物が入り込んだようですが……」 「鉄砲玉というらしい。それらを除去してくれないか?」 「かしこまりました」 彼女は救急箱を開け、まず銀色のメスを執る。そして左腕を切開し、 弾丸を皆摘出し、その傷口を石炭酸で洗い、ヨードフォルムを振りかけた。 ---- 79 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:07:10 「後は、この傷をふさぐだけです」 貂蝉は包帯を取り、傷口を圧迫するように、くるくるくるっと巻きつける。 これらの手術の間、かの男は、あまり痛みを感じなかった。 (じ、実に麗しいお方……み、見ているだけで癒されてしまう……) 彼は、貂蝉へ礼を述べた。 「ありがとうございます。それにしても、あなたは一体どちらさまで?」 「申し遅れました。私、王子師の娘で貂蝉と申します」 「何と! 王司徒のお嬢さんでしたか」 ここにおいて、かの男は漸く自己紹介を行う。 「私は河内の人で、姓を司馬、名を孚、字を叔達と申します」 「司馬叔達、と申されますと……もしや、仲達殿の弟さんで?」 「いかにも」 「なるほど、そういうお方でしたか……狙われるのももっともですねえ」 司馬孚は、重大な問いを忘れていた。彼女の美貌に気を取られ、すっかり 高揚していたのである。 「ところで、さっきの妙なる調べ……あなたが奏でていたのですか?」 「はい。この小箱に入ってございます」  貂蝉は、懐からオルゴールを取り出し、件の曲を再び聴かせた。 (ああ、何度聴いても癒される……)  司馬孚は、耳を澄まして聴き入った。心なしか、体の痛みと疲れとが、徐々に 抜けていく感じがする。 ---- 80 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17:07:49 「叔達殿、少しは楽になられましたか?」  彼は、貂蝉の問いに答えて言った。 「はい、幾らか楽になりました。できることなら、ずっとこのまま、一緒にいたい ぐらいです」 (まあ、何て白々しい台詞……)  半ば呆れながらも、貂蝉は、この貴公子を看護し続ける決意を固めた。 「かしこまりました。それでは、民家へ避難しましょう」 「貂蝉さん! 私、休まなくても平気ですけど……」 「いいえ、やせ我慢はよくありません。声を聴いても姿を見ても、疲労の 色が感じられます」  そして、くるっと向こうを向き、片手で自分の背中を指す。 「さあ、この上へお乗り下さい」 「貂蝉さん! 女の身ではつらいでしょう。私、代わりに負ぶいますから」  結局、司馬孚が彼女を背負い、民家を捜すこととなった。 ≪しばてん/2名≫ 貂蝉【オルゴール・救急箱】&司馬孚[左腕銃創・疲労・腰痛]【吹き矢(矢10本)】 ※民家を捜して移動中。貂蝉を背負っているため、動きが鈍くなっています。

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