7-028

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61 名前:1/2 投稿日:2006/07/09(日) 18:19:06 見事な満月だ。 美しいが同時に恐ろしさも感じさせる月だ。 妙に月を近くに感じるからだろうか。重量感というか圧迫感というか、そんなものがある。 陳羣の記憶は徐々に鮮明さを取り戻しているようだったが、 郭嘉の思考は逆にどんどん霞がかかってきているような気さえしていた。 「貴方は、北への遠征中に亡くなられましたから…  北へ拘りを感じるのも、そのせいなのではないですか?」 そう言う陳羣も記憶がはっきりしているのはまだ若かった頃までだ。 「へえ、俺ってやっぱり長生きできなかったんですね」 自分の人生さえ茶化しているような郭嘉の返答に陳羣はムッとする。 「真面目に聞いてください」 「や、真面目ですよ?  ただ自分の死に様を人から聞くってのも妙な話だなって」 確かにそうだ、と陳羣も思ったが、自分の命を軽く考えているようなその態度にはやはり腹が立った。 「貴方の死を、それは多くの方が嘆いたのですよ」 曹操も、荀イクも、武官も文官もその才を惜しみ郭嘉の儚さを哀しんだのだと陳羣は言った。 しかし郭嘉はへらへら笑ってそれを混ぜっ返す。 「陳羣殿も嘆きました?」 「…さあ、どうでしょう?記憶がはっきりしませんので。  それよりいい加減に真面目に話を聞いていただけませんか」 「だから俺は真面目ですって。  しかし陳羣殿も随分都合よく記憶が欠落しますねえ」 笑いながらも郭嘉は考える。 ---- 62 名前:2/2 投稿日:2006/07/09(日) 18:21:21 記憶の欠落。それはやはり誰かの都合によるものなのだろうか。 自分のこの北への衝動も陳羣の言うような感傷から来ているものではない、と思う。 誰の都合か、といえば主催者しかありえないだろう。 主催者…つまり献帝? 『畏れ多くも陛下に対してまであのような言葉遣いを』 陳羣の小言が頭の中で再生される。 まあ確かにそうだ。あの時点で自分の頭も柘榴のように弾けていたっておかしくない。 自分の命がとりあえず今はあることさえも主催者の都合なのか? そもそも主催者は献帝なのか…? そういえば、と郭嘉はふと気になっていたことを口にした。 「冷静ですよね、陳羣殿。  今って結構異常事態だと思いません?」 陳羣は直球な郭嘉の問いに面食らう。 確かに驚くほど自然に自分はこの状況を受け入れて平然としている。何故? 「慣れてるんですか、こういう状況」 「…まさか」 困惑しながら陳羣は答える。 「慣れるほど、何度もあってたまりますか。…こんな状況」 そう、何度もなんて…あってたまるか。 《不品行と品行方正/2名》 郭嘉【S&W M60 チーフスペシャル 弾は5発】陳羣【閃光弾×5】 ※現在地は洛陽北の森の中。夜の間は交代で休みます。夜が明けたらひとまず陳留を目指します。 ※禰衡の天気予報どおり、明るい満月の夜です。
61 名前:1/2 投稿日:2006/07/09(日) 18:19:06 見事な満月だ。 美しいが同時に恐ろしさも感じさせる月だ。 妙に月を近くに感じるからだろうか。重量感というか圧迫感というか、そんなものがある。 陳羣の記憶は徐々に鮮明さを取り戻しているようだったが、 郭嘉の思考は逆にどんどん霞がかかってきているような気さえしていた。 「貴方は、北への遠征中に亡くなられましたから…  北へ拘りを感じるのも、そのせいなのではないですか?」 そう言う陳羣も記憶がはっきりしているのはまだ若かった頃までだ。 「へえ、俺ってやっぱり長生きできなかったんですね」 自分の人生さえ茶化しているような郭嘉の返答に陳羣はムッとする。 「真面目に聞いてください」 「や、真面目ですよ?  ただ自分の死に様を人から聞くってのも妙な話だなって」 確かにそうだ、と陳羣も思ったが、自分の命を軽く考えているようなその態度にはやはり腹が立った。 「貴方の死を、それは多くの方が嘆いたのですよ」 曹操も、荀イクも、武官も文官もその才を惜しみ郭嘉の儚さを哀しんだのだと陳羣は言った。 しかし郭嘉はへらへら笑ってそれを混ぜっ返す。 「陳羣殿も嘆きました?」 「…さあ、どうでしょう?記憶がはっきりしませんので。  それよりいい加減に真面目に話を聞いていただけませんか」 「だから俺は真面目ですって。  しかし陳羣殿も随分都合よく記憶が欠落しますねえ」 笑いながらも郭嘉は考える。 ---- 62 名前:2/2 投稿日:2006/07/09(日) 18:21:21 記憶の欠落。それはやはり誰かの都合によるものなのだろうか。 自分のこの北への衝動も陳羣の言うような感傷から来ているものではない、と思う。 誰の都合か、といえば主催者しかありえないだろう。 主催者…つまり献帝? 『畏れ多くも陛下に対してまであのような言葉遣いを』 陳羣の小言が頭の中で再生される。 まあ確かにそうだ。あの時点で自分の頭も柘榴のように弾けていたっておかしくない。 自分の命がとりあえず今はあることさえも主催者の都合なのか? そもそも主催者は献帝なのか…? そういえば、と郭嘉はふと気になっていたことを口にした。 「冷静ですよね、陳羣殿。  今って結構異常事態だと思いません?」 陳羣は直球な郭嘉の問いに面食らう。 確かに驚くほど自然に自分はこの状況を受け入れて平然としている。何故? 「慣れてるんですか、こういう状況」 「…まさか」 困惑しながら陳羣は答える。 「慣れるほど、何度もあってたまりますか。…こんな状況」 そう、何度もなんて…あってたまるか。 ≪不品行と品行方正/2名≫ 郭嘉【S&W M60 チーフスペシャル 弾は5発】&陳羣【閃光弾×5】 ※現在地は洛陽北の森の中。夜の間は交代で休みます。夜が明けたらひとまず陳留を目指します。 ※禰衡の天気予報どおり、明るい満月の夜です。

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