7-001

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4 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:38:01 しかしそれまでは、俺達は走り続けなければならない。 ――そのように生まれついたようだ。 ---- 5 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:38:49 曹操は、薄ぼんやりとした寝覚めの中に違和感を感じていた。 何か、空気が違うのだ。許昌の邸宅でもなければ陣中の幕舎でもない、ましてや幼少を時期を過ごした生家でもない。 知っているようで、まるで知らないこの場所は──? 劉備が目覚めたのは、いつか参じたことのある洛陽の宮廷だった。 ……だが、記憶にある場所とは何かが違う。虚ろで、そして肌に焼き付くほどの禍々しい空気が充満しているのだ。 そして百人ほどの武将達が、この空間にひしめき合っている。 孫策は首にまとわりつくような感覚に、思わず舌打ちした。 見れば、周りの連中にも銀色の首輪が付けられている。一体これは何なのか? なぜかはわからないが、彼にはこの首輪がひどく不吉な物に感じられるのだった。 ---- 6 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:40:12 眠っていた武将が次々と目覚め始めると、あちこちで諍いが始まった。 何せ敵味方全て一緒くたにしているのだ。各々が状況を理解できないこともあって、各所で怒号も飛び始めた時だった。 「皆、静まれ!! 陛下の開会宣言が始まるぞ!!」 いつの間に出てきたのか、妙な金属製の武器を構えた兵士達が玉座の周りに集っている。そして。 「はっはっは、皆元気で良いではないか。朕は嬉しいよ」 諸将を睥睨するように、ゆっくりと現れる人影。 皇帝の正装に身を固め、現れたのは後漢最後の皇帝、献帝だった。 「……!?」 献帝を知る者からは、ざわめきが漏れる。が、献帝の傍らに立つ兵士が不意に武器を構え、威嚇の発砲を行った。 「静粛にせよ! 陛下の御前であるぞ!!」 その武器──『機関銃』の轟音が響き渡り、本能的に危険を感じ取った武将達は口を閉ざした。 「そうそう、撃ち殺されたくなかったら黙っていた方が長生きできますよ」 幾多の猛将達ですら黙り込む光景を見て、献帝は満足そうに頷き、玉座に座った。 「さて……今日、諸君に集まってもらったのは他でもありません」 射るような殺気に満ちた視線を飛ばしてくる呂布を見て、献帝の口の端がさらにつり上がる。そして。 「この国はすっすりダメになってしまいました。そこで今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます」 ざわ……と武将達の周りの空気が揺らぐ。そしてその波は大きくなり、やがて「ふざけるな」だの「何を言う!」等といった声が出始める。その中で一際、大きな声があった。 「陛下、なぜこんな事をなさるのです!」 気骨の老臣、司徒王允。董卓暗殺を謀った漢の忠臣である。 ---- 7 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:40:56 「王允か。何か朕に言いたいことがあるみたいだね。いいよ、言ってごらん」 献帝は顔色一つ変えずに、王允に向かって冷笑を浴びせる。 「このような事をして何になります! いくら陛下といえども、意味もなく殺し合いをしろなどと、私は従えませんぞ!」 主君に向かって堂々と諫言を行う王允。護衛兵が彼に向けて銃を構えるが、献帝はそれを止めさせた。 「そうか、君なら正直に従ってくれると思ったんだけどね。仕方ない」 貼り付けたような笑みのままで、献帝が指を鳴らす。すると。 ピピピピピピピピピ…… 「な、なんじゃ、儂のこの首輪が鳴っておる?」 王允の首輪から甲高い機械音が響き始め、やがてそれが大きくなっていく。 「ああ、周りの人は一応離れておいた方がいいですよ、危ないから」 献帝の声を聞き、周囲の武将が一斉に王允から飛び退る。 そして献帝が合図を送ると……。 「陛下、何をなさ……!!!!」 ボン、と嫌な音を鳴らして爆発が起き、まるでこの奇妙なゲームの開会を告げるように、王允の首が高々と宙を舞う。 そして間抜けな音を立てて、その首が地に落ちる。 ざわめきが、今度こそ完全に止まった。 ---- 8 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:41:35 「おっと、ついつい殺ってしまいました。主催者が手を下すのは本来ルール違反なんですが……まあ、順序が省けましたね」 ──この首輪は主催者の意志一つで爆破できます。余計なことはしない方がいいでしょう。 その言葉で武将達から反抗の意志が薄れたのを見て、献帝は玉座から立ち上がりさらに続ける。 「この殺し合いには、特別扱いも忠も義も情も信もない。ただ殺し合いだけがルールなのです。最後の一人になるまでね」 天を仰いでから、さらに続きを低く言う。 「君達は良い臣下ではありませんでした。むしろ悪い臣下でした。この意味がわかりますか、名軍師の郭嘉君?」 名指しで一人の将を指名する献帝。郭嘉と呼ばれた男が、億劫そうに答える。 「漢をダメにしたのは俺らのせいでもあるってことだろう?」 不作法な言葉遣い、やる気のなさそうな面構えのまま、郭嘉がそう言って献帝を睨む。 「そうです。君達が愚かだから漢はダメになったのです。だから殺し合いなんですよ?」 「最後の一人まで殺し合って……生き残った優秀な将には首輪を外してあげて、この世の全てを与えましょう。だから頑張って殺し合ってくださいね」 私からは以上ですと言って、献帝は玉座に座り直す。 やがて幹部らしき男が出てきて、ルールの詳細を説明し始めた。 ---- 9 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/07/05(水) 22:43:19 「さあ、それでは順番に一人ずつここ洛陽を出て行ってもらいましょうか。先ほど説明があったとおり、それぞれ違った道具の入った鞄を支給しますからね。 ……皆さんが扱ったことのない銃器でも、おぼろげに使用のための記憶があるでしょう? どんどん殺し合って、朕ともう一度会いましょうね」 献帝が手を振るが、誰も答えようとする者はいなかった。 一人一人が順番に名前を呼ばれ、鞄を支給される。 「あ、そうそう。皆が出終わった時点でここ洛陽は禁止区域になります。居残って王允みたいにならないように気をつけてくださいね? はい、では一人目からどうぞ」 一人二人と武将が出て行くのを見て、三国無双と謳われた呂布は忌々しげに……しかしどこか嬉しそうな目で戦いの始まりを待つのだった。 【王允 死亡確認】 【曹操、劉備、孫策、郭嘉、呂布 生存確認】 【ゲーム開始です】

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