7-149

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406 名前:1/3 投稿日:2006/07/28(金) 00:13:32 三人対一人の戦いは終結を迎えようとしていた。 孫堅は右腰と左腕が血まみれになっていたし、華雄は服がズタズタになり、全身切り傷だらけで朱に染まった姿になっていた。 黄忠は辛うじて致命傷を避けてはいたが、疲労は極地に達していた。もう一撃受ければ両断されかねない。 そして項羽は、つい先ほど華雄の決死の攻撃に左肘から先を切り落とされていた。 「……見事だ。借り物の身体とはいえこの項羽をここまで痛めつけるとは」 言って、片手で剣を構え、踏み出す。 「最期は一騎打ちにて決したい。渾身の一撃同士での決着を望む」 「よし……いいだろう、俺が受ける」 出ようとした華雄を止めて、孫堅が七星の剣を構える。 五歩の間を取り、対峙する。 「名を聞こう」 「孫堅文台、孫武の子孫なり」 「なるほど。我が相手に相応しい。身体の方も喜んでいるようだ。この項羽、全身全霊の一撃を放つことを約束しよう!」 気迫と気迫がぶつかり合う。遠くにいた野鳥の群れさえ、恐れをなして逃げて行った。 じりじりと接近する二人。おそらく対決は一瞬で終わるだろう。 華雄と黄忠は構えを崩さない。もし孫堅が斃れれば、次は自分達が戦うのだ。 孫堅と項羽、両雄わずかに笑みを浮かべた後── 魂をかけた渾身の剣閃が二つ、煌いた。 ---- 407 名前:2/3 投稿日:2006/07/28(金) 00:15:19 「が……ふっ」 「ぐおっ……見事だ」 孫堅の七星剣は、流星となって確かに相手の身体に降り注いでいた。肩口から腹までばっさりと切り裂いている。 だが項羽の剣も、深々と孫堅の腹を貫き、臓腑を完膚なきまでに破壊していた。 両者がゆっくりと崩れ落ち……ない。項羽はそのまま剣を横に薙ぐと、臓腑を撒き散らしながら黄忠へと突撃する。 黄忠は巧みに斬撃を受け流していたが、身体ごとの突進にそのまま十数歩押され、切り立った崖のような場所から共に堕ちていった。 「文台!!!」 慌てて華雄が孫堅の下に駆け寄る。 「……よぉ。済まんな、例の約束は果たせそうに無い。無敵の将相手に……不覚にも、戦いを、楽しんじまった」 「大丈夫だ、奴は黄忠が討ち取った! すぐに手当てすれば……」 華雄が必死に呼びかけるも、既に孫堅の命はほとんど流れ出してしまっていた。 「へっ、本当に嘘の下手な馬鹿野郎だ……。それに、俺の……傷は腸を切り裂いて……腎まで、届いてる。助からん」 「しっかりしろ、文台!」 孫堅はまた、この男らしい涼やかな笑みを浮かべる。 「……なあ。また会ったらよ」 「文台……?」 「後の事なんか……考えないで……素直に……殺り合うのも……良……」 常に共にあった七星の剣が、連れ添うように砕けた。見れば、相手の剣も尖端が砕けて破片が転がっていた。 「馬鹿野郎……また裏切りやがって……」 だが何故だろう。これが別れにも思えない。 華雄は男泣きをし、自分の無力さに打ち震えた。 せめてもの救いは、孫堅が実に楽しそうに逝ったことだろう。 ---- 408 名前:3/3 投稿日:2006/07/28(金) 00:16:58 空中で剣を交える二人。 「おおおお!!!!」 「ちいっ!」 あるいは閻行に戻ったのか、先程の項羽とは剣閃が違う。 「じゃが……強いとはいえ、所詮手負いの剣よ!!」 身体を潜らせて横薙ぎを回避すると、身体を引き寄せて左胸に刃を当てる。 そのまま馬乗りになって地面に激突した。 「……あたた。腰が痛いわい」 崖の上を見て、黄忠は呟く。相手の剣はとうに折れていた。 「そろそろ、いいかの」 義理は果たした。 これを契機に黄忠は独りの道を選ぼう。そう決めて老将は荊州に向けて歩いて行った。 ちなみに、黄忠達から離れた場所で。 「すげえあの爺さん……落ちながら戦ってる……!」 いまだうろうろしている陳到の姿もあったりした。 【孫堅 項羽(閻行) 死亡確認】 @華雄[全身切り傷]【吹毛剣】 ※孫堅を手厚く埋葬中。 @黄忠[軽傷、疲労]【サバイバルナイフ】 ※単独行動を選択。荊州へ。 @陳到【ガン鬼の銃(陰陽弾×50)】 ※黄忠の近くにいます。

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