7-146

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392 名前:1/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:28:21 劉備は蜀の険しい道を出来る限りの速度で進んでいた。 なんせ道のりはこちらの方が厳しいのだ。少しばかり急いで行かないと遅くなってしまう。 「しっかし、誰もいないな……。まあ蜀の国の将は少ないみたいだから、しゃあねえか」 せめて憲和の奴でもいればなあ、と愚痴をこぼしつつも見方に逢えない不運を嘆く。 だがその不運こそ、言い換えれば敵に遭遇しないで済む彼の強運なのだが。 そのまま北に進み、あっさりと漢中にまで到達してしまった。 人っ子一人なく、不気味なほどに静謐を保っている。休憩をかねて探索をしてみるが何も見つからない 「こりゃ誰もいねえな。ここまで静かだと逆に不気味だねぇ」 そのままトントン拍子に北へ向かうと、陽平関にまで辿りついてしまった。 いくつかの小砦は残されており、そのまま通り過ぎて行こうとして……。 「バカ野郎っ……!」 いきなり背中を引っつかまれて関から見て死角に引きずり込まれた。 「待った、待った、命だけは助けてくれっ」 「うるせえっつの」 ゴツン、と額を軽く殴られた。それで、ようやく月明かりに照らされた相手の顔が見えてくる。 「か、かかかか甘寧!」 「おう、蜀漢の皇帝陛下に覚えられてるとはこりゃ恐悦至極」 ニヤニヤと笑う甘寧。一方劉備は、この男が『マーダー』なのだと気づいて冷や汗をたらす。 「そうビビってんじゃねえよ。今の所殺すつもりは無いからよ、だから余計な真似すんな」 この男の『殺さない』ほど信用のならない言葉も無いのだが、一先ず劉備も胡椒袋から手を離す。 ---- 393 名前:2/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:29:18 「……殺さないって言うなら、なんで俺を呼び止めたんだい?」 落ち着け、落ち着けと念じながら甘寧と話す劉備。 「あんた、陽平関を通ろうとしてたろ」 「そうだが」 甘寧は、二の腕を劉備に見せる。ほんのわずかだが、皮膚が剥がれ、固まり始めのかさぶたが見えていた。 「散った弾の一つが掠っただけのかすり傷だがよ。門の上にいた奴に撃たれた」 「待ち伏せしていたのか!」 「だから声がでかいっつの」 またゴツンとやると、甘寧は獣のような殺気立った視線で城門のほうを見る。 「幸い射程の短い銃だったから回避できたけどよ、俺があの距離に近づくまで気づかせねえとはたいしたタマだ」 「呉随一の将でも狙撃を受けるほどの将、か」 「……あんた、さりげなく人をほめんの上手いってホントだな。お世辞くせえけど」 「え?」 自然に口走っていたらしい。 つられて劉備もそろそろと城門の方を見る。甘寧には「この距離なら命中弾は無理だからびびんな」と言われたが、やはり銃弾は怖い。 「で、多分待ち伏せしてるのは魏延だ」 「魏延だと?」 劉備自身が抜擢し、それに応えて軍の中核となったあの魏延が。 「あいつは私にはしっかり従ってくれた、説得してみよ「コラ待て」 遮られてまた殴られた。そほど痛くは無いとはいえ3発目だ。 下手するとたんこぶが出来そうである。 「こんな狂った世界でまだ奴がお前に忠誠を誓ってるとは限らねえぞ」 「むむむ」 「何が(ry」 ---- 394 名前:3/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:30:39 「で、話は戻るが」 甘寧が支給品だった水を飲み干すと、劉備の方に向き直る。 「俺は単にあんたと話をしてみたかっただけだ。蓆織りから皇帝にまで成り上がった奴がどんな男か知りたくてな」 「失望したか?」 少し自嘲気味に劉備が言う。声をかけられなければ陽平関で射殺されていたかもしれないし、今も甘寧がその気になれば腰の刀でばっさりな立場のせいか、やや元気なさげな声。 「いや。古の劉邦にも劣らぬ男だと思ったよ」 「それ、褒めてるのか?」 甘寧は少し笑っただけだった。 「甘寧、あんたも陽平関を通るつもりで?」 「そのつもりだったがよ、ここに隠れて地図を見たら……あっちを行った方が合肥に近いんだよな」 甘寧が指差したのは、陽平関を東に行った所を流れる漢水。 「合肥に行くのか?」 「一応な。張遼や……いずれ呂布とも戦りてえ。五虎将に会えなかったのは残念だがな。あんたは幽州か徐州行きだろ?」 「ああ、桃園に行くつもりだ」 戦う相手である五虎将の頭を生かすとは、この男の行動原理は今ひとつわからない……と劉備は思う。 「あーそうか、考えてみりゃ趙雲もあっち出身だったか。失敗したな」 「確かに合肥に行くなら漢水沿いに下った方が早いわな。だがかなり険阻だぞ」 心配そうな顔をした劉備に、呆れたような顔の甘寧。 「いや、あんたも大した将の器だな。ま、俺は河育ちだ。いざとなりゃ泳ぐさ」 「そうか。俺は何としてもあの関を越えなきゃなんねえな。西の方を大回りすると何刻か余計に時間を食っちまう」 だがどうやって……と聞きかけた甘寧は、言葉を止めてふと耳を澄ませた。そうして。 「あんた、本当に運がいいな」 「何故だ?」 「魏延の奴……こっちを見切って北上しやがった」 ---- 395 名前:4/4 投稿日:2006/07/27(木) 21:32:44 確かにそうだった。将の端くれである劉備の感覚にも、周囲には虫ほどの殺気も感じない。あるのはその残滓だけ。 「耳を澄ませてみろ。どうやら北で戦闘やってるようだから、そっちに向かったのかもしれないな」 甘寧の勘では他にもそんな漁夫の利を狙うような奴がいるような気もするのだが、確証は無いので言わない。 「本当に運がいい男だよ、羨ましいくらいにな。ところで、あんた豪傑に会ったりしたか?」 「いや、会ったのは息子くらいだ」 「そうか。北で戦ってる奴らはイマイチっぽいし、俺は標的だけを狙うことにすらぁ」 すっくと立ち上がり、甘寧は歩き出す。 「じゃあな。次会ったらぶっ殺すかもしれないんでそこんとこ夜露死苦」 特に別れの言葉も無く、甘寧は去って行った。 「よくわからん奴だが、助かった」 劉備も支度を整えると、敢えて危険の大きそうな北へと向かう。やはり仲間が戦っている可能性もあるし、という結論のようだ。 「よーし、それでは一丁行ってみるかー!」 @魏延[右腕・顔面右側に火傷(痛み止め済)]【ハルバード(少し融けています)、M37ショットガン】 ※北の戦闘に気付いて、そちらに向かいました。 @甘寧【シグ・ザウエルP228、天叢雲剣、コルト・ガバメント、点穴針】 ※漢水沿いに下って襄陽→江夏→合肥へ。 @劉備【李典棍、塩胡椒入り麻袋×5】 ※陽平関を抜け、長安方向に移動。

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