「7-231」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「7-231」(2007/11/17 (土) 19:49:54) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
15 名前:1/2 投稿日:2006/10/09(月) 10:31:41
荊州から豫州までさしたる戦闘もなく辿り着いた夏侯惇。
「ここから豫州か…」
眼の奥がチリチリとする。いつもそうだ。大戦の前にはよく左眼の奥が痛んだものだった。
(孟徳も…劉備たちも生きているのか?)
一瞬別のことを考えかけたが、次の瞬間そんな思いは消し飛んだ。
このゲームが始まった直後、襲いかかってきた男――高順がすぐそこにいた。
(まずい…!見つかったか!?)
心臓の鼓動が早まる。あの時はともかく、今では銃器もあるやもしれず、さらにまだ自分の勘が戻っている保証はない。
この状況では戦闘はしたくない。幸いそこには雑木林があり、そこに身を伏せた。
どうやら何か考えているようだ。ぶつぶつ喋りながら、歩いている。
と、伏せている夏侯惇と歩みを止めた高順の目が合った。
沈黙と静寂がその場を支配する。自分の鼓動音だけがやけに大きく聞こえる――。
…………。
夕陽が地平線上で残照を残すように、ゆっくりと時間が過ぎる。
…………………………。
――いっそこちらから仕掛けようか。
そんな思いも去来したが、できれば確率の悪い博奕はしたくない。夏侯惇の理性が、ついには勝った。
どうやら高順とは偶然目が合っただけらしい。黄昏のなかの僅かな闇の中に姿が消えるまで、高順を見守り続けた。
なんとかやり過ごしたが、まだ目の奥の痛みは消えない。
----
16 名前:2/2 投稿日:2006/10/09(月) 10:32:33
できるだけ目立たないように、道を急いだ。
しばらく進むと、『穎川郡』という看板が確認できた。
ここに来て、目の奥がさらに痛むようになった。大気の緊張が目を通して伝わる。
近くに殺気を感じる。
後ろを振り向く。
日が沈みかけていて見えづらかったが、その巨大な影で思い当たるのは一人しか居なかった。
「――虎痴。」
「できれば、将軍が気づかないうちに楽にしてやりたかったが、そうもいかねえようだ…」
その殺気、存在感からして戦闘は避けられなさそうだ。
「…虎痴、一つだけ聞きたい。貴様はなぜ俺に刃を向ける」
許チョに限って、この戦場の狂気に呑まれることは無いと言っていいだろう。
そしておそらく、俺は既に此奴の戦う理由を知っている。
それなのに、なんだってこんな分かり切ったことを聞くのだろう?
「……曹操さまを守るためだぁ。だから、おらは…曹操さまとおら以外を全て殺す!!」
ああ。分かってたぜ。どうやら俺とお前はどちらかが死ぬまで戦うしかないみたいだ。
「俺も孟徳に会うまで、死ぬ訳にはいかん!!行くぞ!!!」
僅かに残っていた夕陽が沈もうとしていた。
夏侯惇【金属バット】VS 許チョ【大斧】
戦闘開始!現在地、穎川郡。
@高順【狼牙棒】荊州方面へ向かった模様。