7-229 それぞれの邂逅

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374 名前:それぞれの邂逅 1/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:31:00 「………」 日が暮れてきた頃、腹が減ったと張飛が騒ぎ始めた。 仕方なく劉禅達一行は、食料を探すために一次解散した。 「…………」 劉禅は火を起こすための木を集め、 「…………」 魯粛は熟れた枇杷を抱えて戻り、 「……子龍」 「……はい」 趙雲が抱えて来た物は… 「お前は獣を狩って来るといったな?」 「………はい」 「…その腕にあるのが獲物か?」 「え、えーと」 「…そんなのどこで拾ってきたんですか…」 「いや、その」 趙雲が抱えて来た物は、子供だった。 ---- 375 名前:それぞれの邂逅 2/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:33:19 「だって、だってほっとけないじゃないですか!」 趙雲は、壊れ物を扱うようそっと子供を抱えていた。 「こんな擦り傷だらけで、服もボロボロでどろどろで…。 いたいけなこの子が今までどんな過酷な目にあったのかと思うと…!」 感極まったか、糸のような目の端に涙が浮かぶ。 「ああ、もう良いもう良い。わかったわかった」 劉禅はうんざりした顔で、子供に壊れた光学迷彩スーツをかけてやる。 長坂で自分を救ったのは、父への忠誠心からだとばかり思っていたが、単なる子供好きであったのか…。 心で嘆息する。折角忠実な部下だと思っていたのに。 「しかし、大人しい子供ですな」 魯粛が抱かれたままの子供の頭を撫でる。 手を近づけた時に一瞬怯えた目を見せたが、声をあげることは無かった。 「ああ、それなんですが…どうもこの子、声が出せないようで」 「唖か?」 「この歳でそうだと、耳が聞えないのかもしれませんね」 魯粛が子供に歳を尋ねると、子供はおずおずと右手の指を4つ立てた。 「ふむ、耳は大丈夫か…。もしかして、一時的に声が出せなくなってしまったのでは」 「一時的に?」 「精神的に耐え切れないほど辛いことや悲しいことがあると、こういった異常が起こることがあります」 「ああ…そういえば…」 戦場から戻った兵士達の中に、時折こういった症状が見られた。 酷い者になると、そのまま精神を病んでしまう。 生き延びて戻った部下を喜ぶ反面、それほど耐え切れぬ思いをしたのかと哀れに思ったものだ。 大の大人ですらそのようなことがあるのだから、この危険な遊戯の中で子供が受けた仕打ちを想像すれば、なんら不思議は無い。 ---- 376 名前:それぞれの邂逅 3/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:34:31 誰に襲われたのか、誰を殺されたのか。 子供がひとり残ってしまうという状況を思うと、胸が詰まる。 「それに、唖であった武将も文官も、聞いたことがありません」 「なるほど」 魯粛が渡した枇杷を子供が齧る様子は、微笑ましくも痛ましかった。 「おや子龍、その刀はどうしたのだ?」 劉禅が声をかける。趙雲は狩りの為に魯粛から圧切長谷部を借りていた。 だが今は腰にもう1本、見知らぬ剣を差している。 「ああ、この子が持っていたんですよ」 「ほう、武器が増えるのは良いことですね」 魯粛が再び子供の頭を撫でる。 「この子にお礼を言わなければ…でも、名前もわからないんですよね」 残念そうに趙雲が言うと、子供は趙雲の腕に指を這わせ始めた。 「ん…?なんだい?」 「おや、これは」 何度も指を動かす様子を見て、何かに気付いた魯粛が驚く。 「…これは…幹、かな?君の名前かい?」 子供は、ぎこちなく微笑んで頷いた。 「この歳で字を書けるとは…よほど育ちの良い子供では…」 「うわあ…どこの子だろう…」 趙雲はそう言うと、一層大事そうに子供を抱えなおした。 ---- 377 名前:それぞれの邂逅 4/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:38:16 子供に構う2人を見ながら、劉禅は苛立ちを覚えていた。 全く、唖の子供など放っておけばよいのに。ただのお荷物ではないか! そもそも戦力のはずの趙雲があの子供に構うようでは、何かあったときに安心できない。 なんとか"片付けて"しまわないと。どうせ声が出ないんだ、難しいことではない。 ああ、なんて面倒が増えてしまったんだ。 今度はあからさまに嘆息する。 曹幹は何かを感じたのか、そんな劉禅の様子をじっと見ていた。 「…ところで張飛殿はどこまで行かれたのでしょう」 「そういえば、遅いですね…」 「…なんでお前がそれを持ってんだ」 「さて、どうしてだろうな」 張飛は見つけた猪を追って、集合場所からかなり離れた場所まで来てしまっていた。 しかし、猪を追う途中で感じた恐ろしい殺気。 咄嗟に振り向くと、そこに居たのは呂布。そしてその手にあったのは…青龍偃月刀。 「まさか、お前…雲長兄ぃを…?」 「ふん、だったらどうする?」 青龍偃月刀が夕日に煌く。 「てめえ、許さねえ…!」 張飛が鉈を構える。 「驢馬、手を出すなよ。やっと見つけた獲物だ」 「…はい」 諸葛瑾は悲痛な表情で2人を見つめていた。 ---- 378 名前:それぞれの邂逅 5/5 修正 投稿日:2006/10/04(水) 01:38:57 <<皇帝とナース+子供と外交才能零/4名>> 劉禅【バナナ半分、モーニングスター、オルゴール、吹き矢(矢9本)、救急箱、閃光弾×2】 趙雲【ナース服、化粧品 吹毛剣】 魯粛【圧切長谷部】 曹幹【光学迷彩スーツ(故障中)】 @張飛【鉈、桃三個】 <<カミキリムシとオナモミ/2名>> 呂布【関羽の青龍偃月刀、ドラグノフ・スナイパーライフル】 諸葛瑾【なし】 ※現在冀州南部。
374 名前:それぞれの邂逅 1/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:31:00 「………」 日が暮れてきた頃、腹が減ったと張飛が騒ぎ始めた。 仕方なく劉禅達一行は、食料を探すために一次解散した。 「…………」 劉禅は火を起こすための木を集め、 「…………」 魯粛は熟れた枇杷を抱えて戻り、 「……子龍」 「……はい」 趙雲が抱えて来た物は… 「お前は獣を狩って来るといったな?」 「………はい」 「…その腕にあるのが獲物か?」 「え、えーと」 「…そんなのどこで拾ってきたんですか…」 「いや、その」 趙雲が抱えて来た物は、子供だった。 ---- 375 名前:それぞれの邂逅 2/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:33:19 「だって、だってほっとけないじゃないですか!」 趙雲は、壊れ物を扱うようそっと子供を抱えていた。 「こんな擦り傷だらけで、服もボロボロでどろどろで…。 いたいけなこの子が今までどんな過酷な目にあったのかと思うと…!」 感極まったか、糸のような目の端に涙が浮かぶ。 「ああ、もう良いもう良い。わかったわかった」 劉禅はうんざりした顔で、子供に壊れた光学迷彩スーツをかけてやる。 長坂で自分を救ったのは、父への忠誠心からだとばかり思っていたが、単なる子供好きであったのか…。 心で嘆息する。折角忠実な部下だと思っていたのに。 「しかし、大人しい子供ですな」 魯粛が抱かれたままの子供の頭を撫でる。 手を近づけた時に一瞬怯えた目を見せたが、声をあげることは無かった。 「ああ、それなんですが…どうもこの子、声が出せないようで」 「唖か?」 「この歳でそうだと、耳が聞えないのかもしれませんね」 魯粛が子供に歳を尋ねると、子供はおずおずと右手の指を4つ立てた。 「ふむ、耳は大丈夫か…。もしかして、一時的に声が出せなくなってしまったのでは」 「一時的に?」 「精神的に耐え切れないほど辛いことや悲しいことがあると、こういった異常が起こることがあります」 「ああ…そういえば…」 戦場から戻った兵士達の中に、時折こういった症状が見られた。 酷い者になると、そのまま精神を病んでしまう。 生き延びて戻った部下を喜ぶ反面、それほど耐え切れぬ思いをしたのかと哀れに思ったものだ。 大の大人ですらそのようなことがあるのだから、この危険な遊戯の中で子供が受けた仕打ちを想像すれば、なんら不思議は無い。 ---- 376 名前:それぞれの邂逅 3/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:34:31 誰に襲われたのか、誰を殺されたのか。 子供がひとり残ってしまうという状況を思うと、胸が詰まる。 「それに、唖であった武将も文官も、聞いたことがありません」 「なるほど」 魯粛が渡した枇杷を子供が齧る様子は、微笑ましくも痛ましかった。 「おや子龍、その刀はどうしたのだ?」 劉禅が声をかける。趙雲は狩りの為に魯粛から圧切長谷部を借りていた。 だが今は腰にもう1本、見知らぬ剣を差している。 「ああ、この子が持っていたんですよ」 「ほう、武器が増えるのは良いことですね」 魯粛が再び子供の頭を撫でる。 「この子にお礼を言わなければ…でも、名前もわからないんですよね」 残念そうに趙雲が言うと、子供は趙雲の腕に指を這わせ始めた。 「ん…?なんだい?」 「おや、これは」 何度も指を動かす様子を見て、何かに気付いた魯粛が驚く。 「…これは…幹、かな?君の名前かい?」 子供は、ぎこちなく微笑んで頷いた。 「この歳で字を書けるとは…よほど育ちの良い子供では…」 「うわあ…どこの子だろう…」 趙雲はそう言うと、一層大事そうに子供を抱えなおした。 ---- 377 名前:それぞれの邂逅 4/5 投稿日:2006/10/04(水) 01:38:16 子供に構う2人を見ながら、劉禅は苛立ちを覚えていた。 全く、唖の子供など放っておけばよいのに。ただのお荷物ではないか! そもそも戦力のはずの趙雲があの子供に構うようでは、何かあったときに安心できない。 なんとか"片付けて"しまわないと。どうせ声が出ないんだ、難しいことではない。 ああ、なんて面倒が増えてしまったんだ。 今度はあからさまに嘆息する。 曹幹は何かを感じたのか、そんな劉禅の様子をじっと見ていた。 「…ところで張飛殿はどこまで行かれたのでしょう」 「そういえば、遅いですね…」 「…なんでお前がそれを持ってんだ」 「さて、どうしてだろうな」 張飛は見つけた猪を追って、集合場所からかなり離れた場所まで来てしまっていた。 しかし、猪を追う途中で感じた恐ろしい殺気。 咄嗟に振り向くと、そこに居たのは呂布。そしてその手にあったのは…青龍偃月刀。 「まさか、お前…雲長兄ぃを…?」 「ふん、だったらどうする?」 青龍偃月刀が夕日に煌く。 「てめえ、許さねえ…!」 張飛が鉈を構える。 「驢馬、手を出すなよ。やっと見つけた獲物だ」 「…はい」 諸葛瑾は悲痛な表情で2人を見つめていた。 ---- 378 名前:それぞれの邂逅 5/5 修正 投稿日:2006/10/04(水) 01:38:57 <<皇帝とナース+子供と外交才能零/4名>> 劉禅【バナナ半分、モーニングスター、オルゴール、吹き矢(矢9本)、救急箱、閃光弾×2】 趙雲【ナース服、化粧品 吹毛剣】 魯粛【圧切長谷部】 曹幹【光学迷彩スーツ(故障中)】 @張飛【鉈、桃三個】 <<カミキリムシとオナモミ/2名>> 呂布【関羽の青龍偃月刀、ドラグノフ・スナイパーライフル】 諸葛瑾【なし】 ※現在冀州南部。

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