7-227 窓

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360 名前:窓 1/7 投稿日:2006/09/28(木) 22:57:22 あなたが誰を憎もうと憎まんと、私には関係ありません。 あなたがその書を信用しようとしまいと、私には関係ありません。 あなたが首枷を外さんとしようとしまいと、私には関係ありません。 私があなたに差し上げられる言葉は唯、その鍵の名前だけです。 小さくて、黒くて、甘い。その鍵の。 ですから。 殺せ。 ---- 361 名前:窓 2/7 投稿日:2006/09/28(木) 22:57:55 探求者は去った。 どの程度言葉を交わしていただろう。もう日輪が天高く昇っている。 荀彧は目元まで流れてきた赤い水を拭った。 ゆっくりと身体を下ろし、座り込む。 体中に、理解できぬ感情が迸った。 「・・・!」 既に絶命しているはずの禰衡の身体が跳ねた。 自律した将は、厄介だ。流石韓信に例えられるだけはあるという事か――どうやら危なかった。 禰衡の身体に深々と刺さった刺身包丁を抜き取り、また叩きつける。 死体から目玉が飛び落ちた。 昂っている。―――ああ。自分らしくも無く。 こんなに昂ったのは久しぶりだ。エン州で呂布の猛攻を防いだ時以来だろうか。 ―――いや。 ほんの少し前にあったはずだ。 そう。ほんの、四日ほど前くらいに。 ---- 362 名前:窓 3/7 投稿日:2006/09/28(木) 22:58:32 全身が浮遊しているような気がした。 暗闇が空間を包み込んでいる。窓から差し込む光が、何だか青白い。 身体は、水に浮かんでいるときのように弛緩し、指の先すら動かなかった。 起抜けの脳髄もぼんやりと。ただ、瞳だけが暗闇を遊泳していた。 (―――ここ、は・・・・・・。) 自宅ではなかった。かといって、魏の司空府でもなければ、宮廷でもないようだ。 少なくとも、荀彧の訪れたことの無い場所であるらしい。 隔てや柱の意匠が、とても珍しかった。 荀彧の瞳は、隔てや柱から天井へ、そして光の差し込む窓へと移動する。 が、青白い光を放つその窓は、窓のようであって窓ではないようだった。 ちかちかと点滅する四角は、外の景色を写しては居ない。 その代わりに、荀彧の見たことの無い文字だか記号だかが窓の下から上に、 絶え間なく流れていっていた。 目まぐるしく流れていく文字の激流。理解は出来ないが、何故か好奇心を煽られ、 そのまましばらくの間、画数の極端に少ないそれの羅列と戯れた。 (・・・―――!) 突然、耳障りな音が辺りに響いた。 窓に大きく―― 一つの単語だろうか ――五つの文字が表示された。 それは点滅を繰り返し、その意味は理解できずとも、 何か予期せぬ事態が起こったのだろうことは理解できた。 部屋の外から、慌しい足音と怒声が聞こえる。 扉が不可思議な音を立てて開いた。 外から、高価な仕立てを着た文官らしき男達が雪崩込んで来る。 彼らは、荀彧らには眼もくれず、赤い文字の表示されている一番大きな窓際で 何らかの作業を始めたようだった。 いらついた声が各所から聞こえる。何が起こっているのか、まったく理解できなかった。 ---- 363 名前:窓 4/7 投稿日:2006/09/28(木) 22:59:03 いらついた声の波が、その一瞬静寂に包まれた。 何があったのだろう。各所から発される視線を辿る。 その先の扉が、ゆっくりと開いた。 (――――――!!!!!) 光が大きく内部へと差し込み、眩さの中に人影を作る。 人影はやがて光を殺し、その人自体が光を放った。その人そのものが! そう、その人は光り輝いていたのだ。その血が、輝きを創るのかもしれない。 荀彧の脳髄が、全身が、驚愕と興奮に包まれた。 ああ、あの方は、あの方は!! 動かぬ手足が臣下の礼をとろうともがく。 その人は、ゆったりとした足取りで大窓の方へと近づくと、畏まる文官らに 何やら指示を与えた。 そのそれだけの行動のどれほど高貴なことか!眼が、喉が興奮に乾いた。 (皇帝陛下!) 荀彧の心が大声で叫ぶ。 それはもう、声が出たならば脳の血管が切れるかの如く大きな声で。 何で陛下が此処に居るのか。何故自分が、周りに眠る将たちが此処に居るのか。 此処はいったい何処なのか、あの窓は、文字もしくは記号は何なのか。 ―――何故自分は生きているのか! 全ての疑問が今は意味を持たず、ただ礼をとりたい、一瞥を頂きたいという願望が 荀彧の全てを支配した。 ---- 364 名前:窓 5/7 投稿日:2006/09/28(木) 23:00:11 ―――願いは、叶った。 皇帝――劉協の目線が、地に伏せる荀彧のものと重なる。 その一瞬が、とても緩慢に、ゆっくりに思えた。 劉協の優しげな瞳が、荀彧の見開いた瞳を凝視する。 昂揚で全身の血液が沸騰するかのように感じた。 (陛下、陛下) すぐさま足下に馳せ参じ、伏せ、非礼を侘びたいと思った。 何故、身体が動かぬのか!ああ煩わしい。 しかしかの人はその非礼を問おうともせず、逆に柔和な御顔を微笑ませ。 ―――期待している。 荀令君。 唇の動きだけで紡がれた言葉は、荀彧の脳を白く爆発させるには、十分すぎた。 ---- 365 名前:窓 6/7 投稿日:2006/09/28(木) 23:00:53 室内は再び暗闇に包まれた。 先程よりもより暗い。大窓一つ残して、小さな窓たちはその光を消した。 荀彧は立ち尽くしていた。 先程まで指一本動かなかったのが嘘であるかのように、身体が軽かった。 脳髄もやたらとすっきりしており、今ならどのような難題を持ちかけられても、 即座に解決できそうだ。 大窓から眼を外した。暗闇の中、地に伏せる将たちを見渡す。 何人か―― 本当に少数だが ――目覚めているような気配がした。 その眼には動揺、もしくは混乱――荀彧は人と人の合間を縫い、彼らの元へと向かう。 (郭嘉。その智謀と、貪欲に過ぎる好奇心。) (于禁殿。その武勇、忠節。底無き絶望。) (張繍殿。その野望。愚直さ。) (徐庶殿。その後悔・・・・・・。・・・・・・。・・・、・・・・・・。 一人一人、慈しむかのように説いた。 あるいはその貪欲な好奇心を刺激してやり、あるいはその絶望を宥め賺し 造り替えてやり、あるいは燻る野心を優しく撫で上げてやり、あるいは・・・・・・。 荀彧の脳には、荀彧の知らないはずの事まで浮かび上がっていた。 禁止エリア?この遊戯?何のことか、理解できない。 だが、唇は皇帝陛下への上奏を述べるが如く滑らかに動き、途切れることを知らない。 そして、曹操様。言葉は其処へ行き着いた。 曹操様。そう、あの方への復讐。なんと甘美な言葉だろうか。 安っぽいほど劇的な目的だ。皇帝陛下は、きっと喜んでくれるだろう。きっと。 嗚呼、陛下。嗚呼、嗚呼。あああ! ――陛下!! 眼を開くと、とうとう肉片になった禰衡が辺りに散らばっていた。 包丁は欠け、血糊は取れそうに無く、荀彧はうっそりと優美な溜息を吐いた。 ---- 366 名前:窓 7/7 投稿日:2006/09/28(木) 23:01:28 走る。走る。木々の間を抜け、血溜りを踏み越え、走る。 芙蓉の微笑みは、今は既に狂気の所有であった。 所作に変化は無いものの、見ていただけで方寸がざわつき、自らさえ おぞましい悦楽に身を投じようとしてしまうが如く。 息が上がる。 森の奥深に、小さな洞穴を見つけ、隠れた。 今は心を抑えろ。さもなくば隙が出来る。危ない。 すう、はあ。すう。息を整える。 穴の最奥にたどり着くと、足が崩れた。 「―――――!!」 出そうになる悲鳴を、唇を血が出るほどかみ締めてようやく堪えた。 怖かった。恐ろしかった! かつては癒されすらした微笑がこれほど恐怖を煽るとは。 心臓がドクドクと鼓動を速め、暫しの間腰がたたなかった。 (公達殿、すまん!) 自分には、かの人を正すことも殺すことも出来そうに無い。 せいぜい、荀彧の明かした『小さく、黒く、甘い』の正体らしき言葉を 記憶することしか出来なかった。 震える手で、書を取り出す。その最後の頁に、その言葉を書いた。 当て字で。 『ちろるちょこ』 と。 この先自分の理性が欲に勝てるのかを考えると、予期せず恐怖に身が震えた。 ---- 367 名前:窓 結果 投稿日:2006/09/28(木) 23:02:29 @荀イク[洗脳されている?、額に切り傷] 『現在地 豫州』 【ガリルAR(ワイヤーカッターと栓抜きつきのアサルトライフル)、刺身包丁】 ※劉備、曹操、孫権を中心に、無差別に殺戮を望んでいます。 ※また、ゲームに乗らない者を狙います。  積極的にゲームに参加している者は殺しません。  殺意はありますが冷静です。 ※取りあえずは呉に向かうようです。 @張コウ[顔面負傷、全身軽傷]【斬鉄剣(腰伸び)、デリンジャー、首輪解体新書?、DEATH NOTE】 『現在地 司隷・東』 ※きっかけがあればマーダー化も? ※DEATH NOTEに参加者の名前を綴った場合、 その人物を殺さなければならないという激しい強迫観念に囚われ、 身体能力は大幅に増加します。 ※DEATH NOTEの持ち主でなくなったあとも影響は継続します。 ※一度誰かが書いたあとに、他の誰かが拾っても影響はありません。 ※ただ新たに名前を書き込むか、もう一つのノートに名前を書き込まれれば、持ち主に同上の影響が出ます。

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