7-219 今は亡き者達へ

「7-219 今は亡き者達へ」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

7-219 今は亡き者達へ」(2007/11/17 (土) 19:20:47) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

319 名前:今は亡き者達へ1/4 投稿日:2006/09/08(金) 00:40:51 「沮授、お前も逝ったのか…」 山間から上る日を見ながら、周囲の見回りに出ていた袁紹は、放送で名を呼ばれた臣下の顔を思い浮かべた。 「とうとう我が軍勢で残ったのは張コウと私のみ、か」 自分を慕っていた三人の息子、自慢の武で自身を支えてくれた顔良と文醜。智謀により勝利へと導いてくれた軍師や、顔良達には及ばずとも、自軍の勝利を担ってきた将兵達。 この戦いで散っていた配下の顔が浮かんでは消えていった。 「今はまだ泣きはせぬ」 朝日を見据えながら、袁紹は呟く。 「私の涙は劉協めを倒し、その首をお前達の墓前に捧げた時初めて流れる」 その目には、太陽の光が、さながら意志の炎が燃えているかのように映っている。 「それまで、天で見ているがいい」 そう言うと、袁紹は悲しげに笑った。 『旦那…』 「うおっまぶし!い、いかん!長い間太陽を見ていたせいで目が、目がぁ~」 そう言うと太陽から目を反らし袁紹は悶え始めた。 『ちょ、旦那!かっこいいシーン台無しじゃん!』 「ええい五月蝿い!ああ~目が~」 『本当、いまいち決まんねぇ…』 目を押さえながら悶える袁紹に聞こえないように、村正はぼやくのだった。 ---- 320 名前:今は亡き者達へ2/4 投稿日:2006/09/08(金) 00:41:52 所は変わり、豫州潁川、曹仁らと夏侯淵が戦った場所から、そう遠くはない家。 例の一戦での精神的なショックで動けなかった曹彰の為に袁紹はこの家を一時的な拠点にしたのだった。 「……」 親族の三人が突然死に、しかもその内の一人は自分の弟が殺し、そのまま逃げたという事実。それは曹彰にとって、重すぎる出来事だった。 「入るぞ」 袁紹が見張りから帰ってきた。 「………」 「………」 沈黙が場を支配する。先の惨劇からこの調子である。 「これから、お前はどうするのだ?」 袁紹が沈黙を破る。 「………」 「ここでじっとしていも始まらぬだろう」 「あいつは…」 沈黙を続けていた曹彰が口を開いた。 「熊の奴は人を殺すような奴じゃないんだ。あいつは病弱で臆病で泣き虫で、何かあるとすぐに俺や植や丕兄に泣き付いてきたんだ」 曹彰の声に段々と嗚咽が混ざていく。 「そんなあいつが…あいつが、進んで人を殺すなんて信じられないんだ。しかもよりにもよって親類を…」 「信じられないなら、お前はどうする?」 ---- 321 名前:今は亡き者達へ3/4 投稿日:2006/09/08(金) 00:42:35 曹彰の言葉を黙って聴いていた袁紹は、それだけを述べる。 「…あいつを捕まえて、理由を問いただす」 泣きはらした目を真っ赤にしながら、曹彰は答える。 「…そうか」 「…ああ、そういう訳で、袁紹殿。ここからは別行動をとらせてもらう。…迷惑をかけてすまなかったな」 そう言って曹彰が立ち上がったその時、袁紹が曹彰を引き止める。 「別行動?何の事だ?私も共に行くに決まっているじゃないか」 そしらぬ顔で、さらりと同行すると言った袁紹を曹彰が信じられないといった顔を向ける。 「いや、これは家族の問題だ。これ以上あんたに迷惑はかけられん」 「お前という戦力が勝手にどこか行く方が迷惑だ」 「なっ…!熊の奴に襲われるかもしれないぞ!?」 「もしかしたら単独行動中に呂布みたいな豪傑に襲われるかもしれん。それに比べれば数百倍マシだ」 「ぬっ…!しかしこれはあんたには関係ない問題だ」 「同行している人間に関係ないも糞もあるか」 「しかし…!」 「しかしも案山子もあるか」 「むむむ」 「何がむむむだ」 ---- 322 名前:今は亡き者達へ4/4 投稿日:2006/09/08(金) 00:43:54 一歩も退かない袁紹に、苛々を募らせていた曹彰がついに爆発した。 「俺はもう仲間を死なせたくないんだよ!」 「それは私も同じだ!」 曹彰の怒声を袁紹が怒声で返し、場が一瞬、沈黙に支配される。 「この殺し合い、わが配下、そして息子達は既に脱落してしまった…」 悲痛な顔で袁紹は続ける。 「そして曹仁殿に曹洪殿、もう仲間が死ぬのは御免だ」 そうい言って、袁紹は曹彰を見る。 「だから、貴様が何と言おうと、私はお前と同行する」 そして、また沈黙が場を支配する。しばしの間、睨み合った後、曹彰が折れた。 「…わかったよ。来るな、と言ってもどうせ来るんだろ?」 「無論だ」 悪びれずにそう告げる袁紹を見て曹彰の顔に苦笑が浮かぶ。 「やれやれ、とんだおっさんに憑かれたもんだ」 そう言うと二人は笑いあった。その後、二人は、曹仁と曹洪の持っていた武器を担ぎ、簡易に作った、夏侯淵、曹仁、曹洪の墓前にいた。 「叔父上、行ってきます。どうか、俺達をお守りください」 曹彰がそう言った後、二人は黙祷をし、その場を後にした。 ―子文を頼む― どこからか、曹仁と曹洪の声が袁紹に聞こえた気がした。 (安心しろ。私の目が黒い内は我が仲間はやらせん) 配下と同じ場所に行ったであろう二人に心の中で誓い、袁紹も曹彰を追った。 曹熊が逃げた方向と見当違いの方向へ <<荀イク孟徳捜索隊/2名>> 袁紹【妖刀村正】曹彰【双剣(やや刃こぼれ)、斧、ごむ風船】 ※曹熊>曹操=荀イクの優先順位で捜索中。ただし曹熊が逃げた方向とは見当違いの方向に向かってます。現在地は豫州潁川

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。