7-197 こぼれ落ちる欠片を 掴むその手で

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204 名前:こぼれ落ちる欠片を 掴むその手で 1/4 投稿日:2006/08/18(金) 11:40:24 「も、もう無理…だ……」 姜維を背負って歩いていた司馬懿が、蚊の鳴くような声で呟いてべちゃりとつぶれた。 「あ、やっぱり駄目か……」 「根性の無い人ですね。羽扇より重いものは持てないとでも言うつもりですか役立たずが」 「り、陸遜殿?」 さりげなく言うことが酷い陸遜が、ふと何かに気付いたように空を見上げる。 「雨……ですね。どこかに洞窟でもあればいいんですが」 辺りが暗くなり、遠くに雷鳴も聞こえ始める。 ぱらつき始めた雨はやがて豪雨に変わるだろう。 「困ったな。僕は濡れるの嫌いなのに」 口には出さなかったが、それ以上に問題なのが姜維だ。 雨で体力を奪われればうっかり衰弱死しかねない。 そもそも自分含めて一行のほとんどが怪我人なのだ。 困ったな、ともう一度陸遜が呟いた時、先行していた馬超が戻ってきた。 「……あちらに洞窟があった。移動するか」 来た来た来たァ! これぞ僕の日頃の行いと強運の賜物! 「そうしましょう! 司馬懿殿、もうひと頑張りですよ!」 満面の笑みで言い放った陸遜に司馬懿の返事は無く、ただ姜維の下から覗いている手が ぴくりと動いたのみだった。 「うっわぁ司馬懿殿忘れてた! 司馬懿殿ー!?」 慌てて駆け寄った馬岱に発掘されて、息もたえだえの司馬懿が呟いた。 「雨が降ったら急に重くなったぞ。こいつは増えるワカメか?」 そしてその増えるワカメの隣で仲良く意識を失った。 ---- 205 名前:こぼれ落ちる欠片を 掴むその手で 2/4 投稿日:2006/08/18(金) 11:42:59 馬超がべったりと転がっている2人の間に立った。 何をする気だ? と首をかしげる陸遜と馬岱の前で、2人の腰帯を掴んでそのまま持ち上げる。 「姜維のほうが重いな」 「あ、やっぱり……」 誰もが薄々気付きつつ目を逸らしていた事実をばっちり指摘され、眺める2人は微妙な苦笑いを浮かべた。 そのまま「よっ」と両手の荷物を軽々と肩に担ぎ上げる。 西涼の錦馬超、その腕力は呂布にも比肩するという風聞を証明する瞬間だった。 広くは無いが5人が雨風をしのぐには十分な洞窟の中で、一時の休息を取る事にした。 馬超は入り口近くで壁に背を預けて座り、目を閉じて一見眠っているように見える。 しかしわずかの異常でも飛び起きて一瞬で戦闘態勢に入るのを、馬岱は良く知っていた。 う……、とかすかな呻き声が聞こえ、そちらへ注意を移す。 姜維が弱々しく目を開けて、何かを訴えようとしていた。 「おい、大丈夫か? 無理すんな、寝てろ」 「私は……私は、ここに…置いていって下さい……」 小さな声なのに不思議とよく通り、それが何だか不吉さを馬岱に覚えさせる。 「足手纏いになってしまう……戦場では、弱った者は……切り捨てて……」 何かを諦めかけている姜維の言葉に、馬岱と陸遜は顔をしかめた。 ちなみに司馬懿は絶賛睡眠中である。 「おっまえ、なぁ、」 激昂しかけた馬岱を脇から蹴飛ばし、陸遜が姜維の枕元に立って冷たい目で見下ろした。 ---- 206 名前:こぼれ落ちる欠片を 掴むその手で 3/4 投稿日:2006/08/18(金) 11:49:58 「もう一度。よく聞こえませんでした姜維殿」 「え…私を置いて、皆さんは…先に進んでくださ」 「ふざけるな! 大声だせ! タマ落としたか!」 「は、はい…っ?」 突然大声を張り上げた陸遜に、姜維が戸惑いを蒼白い面に浮かべる。 「貴様は人間ではない! 両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!」 「え、えぇっ?」 「戦いを諦めた戦士はウジ虫だ! 地球上で最下等の生命体だ!」 「え、あ、ご、ごめんなさい?」 「この僕と出会った以上、貴様に勝手にリタイアする権利は無い! 分かったかウジ虫!」 「は、はぁ、しかし」 「口でクソたれる前に『サー』と言え!」 「さ、さー……?」 「声が小さい! じじいのファックの方がまだ気合いが入ってる!  さあ答えろ、貴様はまだ醜い勘違い自己犠牲精神を振りかざして僕らを馬鹿にするのか!」 腹の上に足を軽く置いてイっちゃった気味の笑いを浮かべる陸遜に、 踏み殺されそうな恐怖を覚えて姜維はぶんぶんと首を横に振った。 馬岱は横で唖然とし、大声に目を覚ました司馬懿は必死で寝たフリをしている。 「……良し。次に莫迦な事を言ったら容赦しませんよ、姜維殿」 にっこりと優しげな笑顔を浮かべた陸遜に、姜維は自分を置いて先に行け計画は断念せざるを得ないことを悟る。 狸寝入りをしていた司馬懿も、ぼそりと呟いた。 「捨てていく気があるなら、そもそも背負ったりせんわ、馬鹿めが」 散々罵られたにもかかわらず、何故だか少し爽やかだった。 目の端に滲んだ涙をさりげなく拭う。 仲間たちの様子を見て、西涼馬氏の2人が顔を見合わせ、軽く微笑んだ。 雲の向こうで陽が沈み、星も月も無い夜が来る。 雨音はまだ止まないが、不思議と心は温かかった。 ---- 207 名前:こぼれ落ちる欠片を 掴むその手で 4/4 投稿日:2006/08/18(金) 11:52:52 <<めるへんカルテット/4名>> 陸遜[左腕裂傷]【真紅の花飾り、P90(弾倉残り×4)】 姜維[頭部損傷]【魔法のステッキミョルニル】 馬岱[軽症、香水アレルギー(顔及び手に発疹)]【シャムシール・ロープ・投げナイフ×20】 司馬懿[軽傷]【赤外線ゴーグル、付け髭、RPG-7(あと4発)、香水、陳宮の鞄】 ※益州、漢中より少し南。南下の予定ですが雨宿り中 ※ミョルニルは、魔法のステッキと化した時点で魔女っ子しか使えない(=現時点で誰も使えない)ので、  現在はただのファンシーなステッキです。殴ったらそれなりに痛いかも知れません。 ※香水(ゴスロリセットの一部)は、嗅ぐとハッピーな気分になれる成分が含まれています。但し、稀に体質に合わない場合があり、  その場合は発疹が出たり、怒りっぽくなったりします。ちなみに浴び続けていると魔女っ子になれ……る訳が無い。司馬懿は試す気満々です。 @馬超【高威力手榴弾×7個、MP5、ダガー、ジャベリン】 ※カルテット(というか馬岱)に同行します。現時点では好意的です。

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