7-181 野望と希望の喪失

「7-181 野望と希望の喪失」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

7-181 野望と希望の喪失」(2007/11/17 (土) 18:03:22) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

115 名前:野望と希望の喪失 1/5 投稿日:2006/08/07(月) 05:30:19 虞翻は戦闘に通じていた。 彼は将軍ではないから、兵を統率する才能も知識もない。 しかし個人での戦いにおいては自慢の矛術と素早い身のこなしで、雑兵十人前後なら互角以上に渡り合えることができる。 幾度となく戦に従軍したこともあり、数々の死線を乗り越えてきたのだ。 だからなのか、それとも元からの神経質な性格のためか、とにかく彼は自分を尾行している人物の存在に気付いていた。 相手は相当用心深く、物陰に潜み、気配を消しながら慎重に虞翻を襲う機会を窺っているようだ。 飛び道具はおそらく持っていない。しかしなにか、光沢のあるものを持っている。 時折わずかな光が、虞翻の背後をちらつくことからそれはわかる。金属製の武器だろうか。 虞翻は懐に入れていたカードを一枚取り出す。取り出したカードには一本の荒々しい、この世のどんな物でも打ち砕けそうな雷が描かれている。 これを使えば全てのモンスター(敵のことか?)を破壊できる、と説明書きにはある。 もちろんそれが嘘八百なのはすでに経験してわかっているが、脅しに使えるなら――― 虞翻は体を反転させ、追尾者がいるであろう、岩が立ち並んでいる方向を見つめると、カードを持つ片手を天へ掲げ、高らかに叫んだ。 「私をつける獰猛な戦士よ、身を潜めて隙を狙う狼よ、まずは空を見上げよ!」 ---- 116 名前:野望と希望の喪失 2/5 投稿日:2006/08/07(月) 05:31:18 高順は岩の裏に身を潜めながら、男に言われた通りに天を見上げた。 雲が空の大半を占めていた。所々が黒ずんでおり、暗雲のため太陽はほとんど隠れていた。 いつの間にか、雨がしとしとと降り始めていた。高順の髪はもういくらか濡れている。 四方を見通せば、北の彼方からは重圧感ある緑色の雲が、大量にこちらへ押し寄せている。黄色い光が定期的に、雲の中を駆け回っているのが遠くからもわかる。 「どうだ! 見えるだろう! すでに陽は暗き雲に支配されつつあり、北の豫州では雷雲が成長し続けている。 あれはやがて、北風に吹かれながらこの廬江の地へたどり着くだろう。その爆音を鳴り響かせながら、雨を殴るように降らせ、稲妻は大地を打ち砕く! 大地と砕いた稲妻は、なお四散し周囲の生命へまとわりつくだろう。足から背を伝い首から上まで、全身を針で刺されたかのような刺激が駆けめぐるだろう。 足で二度と地面に立てず、手で物を掴むこともかなわなくなる。 目は二度と景色を移さず、耳は二度と音を拾わない。 心蔵は二度と動かなくなり、脳は何も考えることができなくなる。 さらに衝撃は、その霊魂まで襲うだろう。霊魂は破裂し、復活の望みすらもなくなる。 ただ残るのは、雨に打たれる肉体と、断末魔の残響のみ」 そこで男は一息吐くと、今度はうってかわって低くくぐもった声で話し始めた。 「私の片手にあるこのお札は、妖術を引き起こすことができる。 私がこのお札を持ちつつ、天に向かって『サンダーボルト』と唱え上げれば、あの雲の移動速度を何十倍にも速めることができる。 天は雷雲に満たされ、地上は雨と稲妻と雷鳴に満たされる。天と地上を照らす光は、稲妻から発されるのみであろう。その時こそ、貴様と貴様の霊魂の最後だ。 雨はいよいよ激しくなり、雷鳴はいよいよ大きくなる。稲妻が周囲の岩と木と家を破壊しつくし、ここは荒れ果てた地となる。 そして私が片手を天に掲げれば、貴様は真っ白な光景を最後に、打ち砕かれることになろう。肉体も霊魂も、なにもかもだ。 たとえ直撃は避けれても、貴様の死は避けられまい。理由はすでに聞いてるな?」 実の所、高順は途中から聞くのをやめていた。 ---- 117 名前:野望と希望の喪失 3/5 投稿日:2006/08/07(月) 05:34:02 虞翻はしゃべり続けた。なるべく一気にまくしたてて、相手に隙を与えないことが大事なはずだった。 「命が惜しくば、貴様がこの世界で少しでも生き延びようと思うなら、今すぐここを立ち退くがいい。 私は戦いは嫌いだ。出来うるば最後まで、誰も殺さずに生き延びたい。しかし貴様がここを去らなければ、私の淡い希望は破られることとなろう。 貴様は死人となり、私は殺人者となる。いいことなど、何もない。 だから、そうだな、今から百を数えよう。私が百を数えている間に、貴様はここから駆け足で走り去るのだ。 それで問題は、なにも起こらない」 そうして虞翻は数を数えていった。しかし十を数えたところで、追尾者が居たはずの場所に、なんら気配がないことに気が付いた。 もはや、私が喋るのを終わらない内に、去っていったのか? いや―――虞翻は急速に、背筋が寒くなっていくのを感じた。 そうだ、あんなチャチな脅しで、このゲームに参加するような名のある武将がおとなしく去ってくれるのか? そんなわけがあるまい。狼のように機会を窺っていた追尾者が、脅しにへこたれて去るわけがない。 ああなんてことだ。こんなカードなど、あの時に捨てておけば――― 背後に殺気を感じた時には、何もかもが手遅れだった。 虞翻の頭と、優勝への野望と、とある二人の希望は、追尾者の振った武器に打ち砕かれることになった。 ---- 118 名前:野望と希望の喪失 4/5 投稿日:2006/08/07(月) 05:35:26 高順は岩陰を伝い、男を狼牙棍、またの名を狼牙槊、またの名を狼牙棒という武器で、背後から思いっきり殴りつけた。 劉禅の持つモーニングスターによく似た、金属製の棘を持つ打撃武器は、まず男の背中にめり込んだ。 本当は頭を狙ったのだが、気付かれてしまい、前に飛び逃げられたのだ。いい反応だったが、それでも男は避けきれず、背中に多くの穴を開けた。 続いての一撃は、正確に男の側頭部にぶつかった。頭蓋骨が破壊される音が響き、それで男は絶命した。 「しかしもっと、強力な武器を手に入れなければ、呂布様には到底勝てんだろうな」 高順は男の持っていた二枚のカードを数秒眺めると、ばらばらにちぎり、地面にまいた。 「銃だな。銃を持っている奴を襲って、奪い、それで殺してやる。そしていつか呂布様をも―――」 彼はぶつぶつ呟きながら、血と脳漿に汚れた武器を拭くこともせずに、その場を立ち去った。 ---- 119 名前:野望と希望の喪失 5/5 投稿日:2006/08/07(月) 05:39:50 俺の名は董衡。太陽の下でしか生きる事ができない男 (そして俺の名は董超。月の下でしか生きる事ができない男) えっ~っと、なんか北から雨雲来そうじゃね? (それってやばくないか?) 箱の中にあった説明書には、月の出ない夜になると死ぬってあったような…… (ちくしょう! そもそもなんで説明書が中にあんだ! 外にあれば開けなかったのに! 開けた後にこの箱は危険なので開けないでねってなんだそりゃ!) 落ち着け董超! 今はとりあえず避難しよう! 西の方はなんか雲少なげだぞ! (そ……そうだな。そうだ、今にも命が消えそうなのに悠長に医者を待ってられないな。 よし、走るぞ! 夜になる前に、雲のない所まで!) 走るの俺だけだけどね! @高順【狼牙棍】 ※現在地は揚州廬江。日没直前。付近を探し、銃を手に入れ、呂布を殺すことが希望です。 ※嵐が来る模様? @董衡&董超[二心同体(朝昼夕方は董衡、夜は董超が活動)]【なし】 ※現在地は揚州南部。西へ、夜になる前に晴れている所を探します。 【虞翻 死亡確認】

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。