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92 名前:1/2 投稿日:2006/08/04(金) 00:36:44
「い・い・か・げ・ん・離れんかぁー!」
背に付いた諸葛瑾と歩くこと数十分、我慢の限界を迎えた呂布が、諸葛瑾に吼える。
「やだい!やだい!おじちゃんの後ろにくっついているんだい!」
「いい年したおっさんに、おじちゃんとか言われたかねぇ!」
首を激しく横に振りながら、頑として呂ふに引っ付く諸葛瑾に、青筋をぴくぴくさせていた呂布の怒りは、頂点に達した。
「なら力づくで引き剥がして、貴様の骸を野にさらしてやる!」
そう怒鳴り、諸葛瑾に腕を伸ばしたその時、死亡者の放送が始まった。次々と呼ばれる死亡者の名前。その中には、自分がよく知っている名前も呼ばれていた。
「陳宮…貂蝉…」
最後まで、自分に付いてきてくれた信頼できる頭脳。
一目ぼれし、董卓を斬る理由を作った、心の底から愛した女。
その二人の死亡が知らされた呂布は、自分の胸に、ぽっかりと穴が開いたような気がした。ふと気づくと自分の頬を熱いものが流れていた。
諸葛瑾はそれをただ見つめていた。先程までの威勢が、嘘のようになりを潜め、空を見上げ泣いている眼前の男を、かける言葉もなく、只々見つめていた。
「おい、驢馬」
未だ空を見上げ、顔を諸葛瑾とは反対の方向に向けたまま、呂布は諸葛瑾を呼んだ。
「お前は文官のようだが、頭はいいのか?」
「え、ええ。これでも呉を支えてきましたから…」
呂布の問いにおずおずと答える諸葛瑾に、呂布は続ける。
「お前には二つの選択肢がある。一つは俺に従い、その知恵で俺の武を補うか、それとも、この場で死ぬかだ。」
数分の沈黙の後、諸葛瑾は一つの選択を取った。
「どこへ向かえば強敵に会える?」
いつ、どこでやったのか思い出せないが、どこかで陳宮に対してやったように、諸葛瑾を肩に乗せ、呂布は問いかける。
「そうですな。呂布殿が闘いたがっている関羽殿や張飛殿ならば益州より、幽州の桜桑村へ向かっていると思います。曹操の配下の将であるならば許昌か許都にいる確率が高いかと。
そして…ここ楊州ならば我等、孫呉の将が…」
いくら襲われたからといって、仲間を売るのはやはりつらいのか、諸葛瑾は苦い顔を浮かべる。
「安心しろ。ここを探す気はない。」
その言葉に諸葛瑾は驚きの表情を浮かべる。
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93 名前:2/2 投稿日:2006/08/04(金) 00:38:54
「ふん、かつての仲間が、お前と手を組んだ俺に殺されるのは夢見が悪いだろう?それに、幽州辺りに奴がいる確率が高いなら、こんな所で油を売る気はない。
もっとも、運悪く俺に会ったなら話は別だがな」
それだけを告げると呂布は北へと向けて歩きだす。
(何故、こいつと手を組む気になったのか)
呂布は自問自答する。
陳宮らと共に、荊州で快勝を重ねたあの時のように、この男に、陳宮のような智謀を求めているのだろうか?
顔がすこしばかり愛馬に似ていたからだろうか?
この男を死んだ二人の代わりにしようと思ったのだろうか?
様々な考えが浮かぶがそれを全てかき消す。そんなことはどうでもいい。
(そうだ。そんなことはどうでもいい。ぐだぐだ悩むのは性に合わん。考えるのは奴にまかせ、俺は唯、眼前の敵を屠るだけだ)
そして呂布は、また空を見上げる。
(…だが、せめてもの手向けだ。お前達の仇は俺が討とう)
そう、今は亡き二人に誓う。心なしか、二人が微笑んだような気がした。
(何故、私はこの男の条件を飲んだのであろうか?)
諸葛瑾もまた自問自答している。
死にたくないからか?
(いや、違うな)
瞼に浮かぶのは空を見上げ涙を流していた呂布。
泣いているあの男が、まるで子供のように見えた。その時、諸葛瑾はこの男は極めて純粋な人間なんだな、と感じた。
(何故かな。あれを見てから、私はこの男を死なせたくない。そう思っている)
そして諸葛瑾もまた空を見上げる。
(願わくば、孔明の奴やあいつのご学友に出会わなければよいがな)
空を覆っていた雲が一時途切れ、悲しいほどに青い空が二人の前に広がっていた。
<<カミキリムシとオナモミ/2名>>
@呂布[肩の物体により速度低下]【関羽の青龍偃月刀、ドラグノフ・スナイパーライフル】
@諸葛瑾【なし】
※関羽達と戦う為、楊州を北上。幽州・桜桑村を目指します。現在地は盧江。
また、呂布は貂蝉と陳宮を殺した人間が判明した場合、優先的に狙います。