7-170 軍師と才女

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76 名前:軍師と才女1/3 投稿日:2006/08/02(水) 01:57:50 劉封達は荊州を抜け、司隷の半ばあたりで朝の放送を聞いた。 劉備の名が呼ばれなかったことに、一同は安堵の息をつく。 「ホウ統様、劉封様」 「ん?」 「なんですか?」 「私がこの戦いでお役に立てることが、何かあるでしょうか」 幽州を目指す道すがら、蔡文姫は2人に問いかけた。 「大丈夫ですよ、貴女は僕が守ります」 劉封が笑顔を向ける。 「…お気持ちはうれしいのですが…それに甘えてばかりもいられません。…何か、ありませんかホウ統様?」 すがるように蔡文姫は尋ねた。 「そうさなあ」 ホウ統は無精髭を撫でつつ答えた。 「戦力って言う点では、アンタに期待するものは何も無いよ」 「ホウ統殿!」 「いえ、いいのですよ劉封殿。本当のことですもの」 蔡文姫は力なく笑った。 「なに、力じゃ私だってそう大したもんじゃない。…だがな、私達にはこれがある。」 ホウ統はとん、と、指先で自分の頭をつつく。 「貴女は名高い学者、蔡ヨウ殿のご息女で、優れた詩人だ。 ここはそこらの軍師・文官にもひけはとらん」 「…そんな…」 蔡文姫は俯く。 ---- 77 名前:軍師と才女2/3 投稿日:2006/08/02(水) 01:59:52 「…そうであっても、そんなことが何の役に立ちましょう」 「立つかどうかじゃあない。立たせるんだ。」 ホウ統は蔡文姫をまっすぐに見つめた。 「何も相手を仕留めるばかりが戦いってもんじゃない。 相手から隠れる方法、逃げる方法…相手と交渉して有利にことを進めたり、騙したりするのだって立派な戦術だ。」 優しく彼女の肩に手を置く。 「どんな武人も考えなしじゃ戦に勝てん。考えることを諦めなければ、そこに活路を見出せる…」 蔡文姫はゆっくりと顔を上げた。ホウ統の諭すような、穏やかな瞳が目に入った。 「折角の上等な脳みそだ。使わない手はないだろう?」 その瞳に師であり、父親であった蔡ヨウを思い出す。 勉学に躓いた時…父はいつも穏やかに諭してくれた。 無理をしてはいけない、焦ってはいけない。ゆっくりと考えなさい。 最善の結果は、最良を尽した時に得られるのだよ。 …ああ、私はあの頃から何も変わっていないのだ。 情けなくて、懐かしくて、優しい言葉が嬉しくて。 押し寄せてきた様々な感情に胸が一杯になって、蔡文姫は涙ぐむ。 「え、あ?!す、すまん…強く言いすぎたか??」 「ホウ統殿ッ!!」 涙を浮かべた蔡文姫にホウ統は取り乱した。劉封もホウ統を責める。 「す、すみません…父を思い出してしまって」 それを聞いて、ホウ統はほっとした表情を浮かべた。 ---- 78 名前:軍師と才女3/3 投稿日:2006/08/02(水) 02:01:51 「そりゃ光栄だが、親父さんに悪いだろ。こんな妖怪ジジイに似てるってんじゃ」 「いえ、そんなことはありませんわ」 蔡文姫は柔らかく微笑む。 「鳳雛殿のご助言、有難くお受けいたします」 「ああ…いや」 いかんせん、女性にこういった笑顔を向けられることに慣れていないので、妙に落ち着かない。 「…あの、よろしければ、何か…兵法の話をお聞かせ願えませんか? 聞いておけば、お役に立てることもあるかもしれません」 おずおずと蔡文姫が尋ねてくる。 「そりゃ…構わんが」 「光栄です!」 花のような笑顔を直視できず、ホウ統は柄にもなく照れて視線を逸らした。 盛り上がる2人に、すっかり蚊帳の外となってしまった劉封は、 「義父上、大変です…僕、まったく活躍してません…」 いつかと同じ台詞を呟くのだった。 <<親子の面影+α/三名>> @蔡文姫【塩胡椒入り麻袋×5】 @劉封【ボウガン・矢×20、塩胡椒入り麻袋×5】 @ホウ統【ワイヤーギミック搭載手袋、塩胡椒入り麻袋×5】 ※司隷を抜け、幽州に向かいます。 ※蔡文姫はホウ統の戦術講義を受けることになりました。
76 名前:軍師と才女1/3 投稿日:2006/08/02(水) 01:57:50 劉封達は荊州を抜け、司隷の半ばあたりで朝の放送を聞いた。 劉備の名が呼ばれなかったことに、一同は安堵の息をつく。 「ホウ統様、劉封様」 「ん?」 「なんですか?」 「私がこの戦いでお役に立てることが、何かあるでしょうか」 幽州を目指す道すがら、蔡文姫は2人に問いかけた。 「大丈夫ですよ、貴女は僕が守ります」 劉封が笑顔を向ける。 「…お気持ちはうれしいのですが…それに甘えてばかりもいられません。…何か、ありませんかホウ統様?」 すがるように蔡文姫は尋ねた。 「そうさなあ」 ホウ統は無精髭を撫でつつ答えた。 「戦力って言う点では、アンタに期待するものは何も無いよ」 「ホウ統殿!」 「いえ、いいのですよ劉封殿。本当のことですもの」 蔡文姫は力なく笑った。 「なに、力じゃ私だってそう大したもんじゃない。…だがな、私達にはこれがある。」 ホウ統はとん、と、指先で自分の頭をつつく。 「貴女は名高い学者、蔡ヨウ殿のご息女で、優れた詩人だ。 ここはそこらの軍師・文官にもひけはとらん」 「…そんな…」 蔡文姫は俯く。 ---- 77 名前:軍師と才女2/3 投稿日:2006/08/02(水) 01:59:52 「…そうであっても、そんなことが何の役に立ちましょう」 「立つかどうかじゃあない。立たせるんだ。」 ホウ統は蔡文姫をまっすぐに見つめた。 「何も相手を仕留めるばかりが戦いってもんじゃない。 相手から隠れる方法、逃げる方法…相手と交渉して有利にことを進めたり、騙したりするのだって立派な戦術だ。」 優しく彼女の肩に手を置く。 「どんな武人も考えなしじゃ戦に勝てん。考えることを諦めなければ、そこに活路を見出せる…」 蔡文姫はゆっくりと顔を上げた。ホウ統の諭すような、穏やかな瞳が目に入った。 「折角の上等な脳みそだ。使わない手はないだろう?」 その瞳に師であり、父親であった蔡ヨウを思い出す。 勉学に躓いた時…父はいつも穏やかに諭してくれた。 無理をしてはいけない、焦ってはいけない。ゆっくりと考えなさい。 最善の結果は、最良を尽した時に得られるのだよ。 …ああ、私はあの頃から何も変わっていないのだ。 情けなくて、懐かしくて、優しい言葉が嬉しくて。 押し寄せてきた様々な感情に胸が一杯になって、蔡文姫は涙ぐむ。 「え、あ?!す、すまん…強く言いすぎたか??」 「ホウ統殿ッ!!」 涙を浮かべた蔡文姫にホウ統は取り乱した。劉封もホウ統を責める。 「す、すみません…父を思い出してしまって」 それを聞いて、ホウ統はほっとした表情を浮かべた。 ---- 78 名前:軍師と才女3/3 投稿日:2006/08/02(水) 02:01:51 「そりゃ光栄だが、親父さんに悪いだろ。こんな妖怪ジジイに似てるってんじゃ」 「いえ、そんなことはありませんわ」 蔡文姫は柔らかく微笑む。 「鳳雛殿のご助言、有難くお受けいたします」 「ああ…いや」 いかんせん、女性にこういった笑顔を向けられることに慣れていないので、妙に落ち着かない。 「…あの、よろしければ、何か…兵法の話をお聞かせ願えませんか? 聞いておけば、お役に立てることもあるかもしれません」 おずおずと蔡文姫が尋ねてくる。 「そりゃ…構わんが」 「光栄です!」 花のような笑顔を直視できず、ホウ統は柄にもなく照れて視線を逸らした。 盛り上がる2人に、すっかり蚊帳の外となってしまった劉封は、 「義父上、大変です…僕、まったく活躍してません…」 いつかと同じ台詞を呟くのだった。 <<親子の面影+α/三名>> @蔡文姫【塩胡椒入り麻袋×5】 @劉封【ボウガン・矢×20、塩胡椒入り麻袋×5】 @ホウ統【ワイヤーギミック搭載手袋、塩胡椒入り麻袋×5】 ※司隷を抜け、幽州に向かいます。 ※蔡文姫はホウ統の戦術講義を受けることになりました。

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