7-166 記憶

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53 名前:記憶1/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 00:10:45 馬超は司隷の国境近くで、雍州に行くか荊州に行くか迷っていた。 知っていたより、随分と距離が短い。小さくなっている土地。 …本当に、どういう世界なんだろう。 ふと、思う。 自分達はやっぱり死んでいて、ここは地獄ではないのだろうか。 それならばこの残酷な試みも納得がいく。生前に犯した罪を思えば当然だ。 …そうだとしても、何が変わるわけでもないのだが。 空を見上げる。空は、生前と変わらぬ美しさを見せていた。 煌く星。穏やかに光を放つ月。 東から夜が明け始め、かすかに闇を暁に染めている。 地獄でも、こんな美しい物があるのだろうか…。 「…ん?」 どん、という鈍い音が聞こえた。爆音…?誰か戦っているのか。 雍州の方角だった。 それにしてもこうも音が響くとは、随分と大掛かりな武器もあった物だ。 …まあ、人のことが言えた義理ではないが。 誰か死んだだろうな、と思った。 「……」 急に不安になる。もしあの方角に、馬岱がいたら。 「…まさか、な」 だけど、もしも、もしも。気にし始めたら止まらない。 もし、あの方角に、馬岱の死体でもあったら。 ---- 54 名前:記憶2/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 00:12:14 「…………」 確かめに行こう。行って見ればわかることだ。 そこで見知らぬ死体を見て、安心できればそれで良い。 進みながら思う。放送が聞こえて来る時間も近い。 …死体が無くとも、そこで馬岱が呼ばれたら、自分はどうすればいいのだろう。 もし、馬岱が死者に数えられたら。 「死体を、探すんだろうな」 守りたいと思う半面、死んでいたらそれまでとも思う自分が居る。 奇妙な感覚だ。どこか冷めた気持ちがずっと続いている。 馬岱を守ろうと思った時は、生きていた頃の熱を感じたのだが…。 そもそも生きていた頃、などと考えること自体がおかしい。 だが、以前は己の武を持ってすれば優勝など難しくはないと 「…?」 以前?今、俺は何を考えた? ---- 55 名前:記憶3/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 00:13:15 以前…いや、こんなことが何度もあってたまるか。 そうだ、もう仲間を殺されるのは――― 「…………俺は、何を考えているんだ?」 霞がかった記憶のむこう。 仲間を殺されるのは、嫌だ。その感情が強く蘇ってくるのを感じる。 誰に殺された?曹操?いや、違う…あの時、あいつを殺したのは… と、風に乗って硝煙と血の臭いが漂ってくる。 …五丈原。爆音の元はここだったのか。 遠目にいくつか人影が見える。死体もあるようだが…生きている者がいる。 馬超は思考を振り切り、血の海で蠢く人影に向かって歩き始めた。 @馬超【高威力手榴弾×7個、MP5、ダガー】 ※五丈原に着きました。 ※記憶混乱気味?第3回の記憶が残っている様子。 ----
53 名前:記憶1/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 00:10:45 馬超は司隷の国境近くで、雍州に行くか荊州に行くか迷っていた。 知っていたより、随分と距離が短い。小さくなっている土地。 …本当に、どういう世界なんだろう。 ふと、思う。 自分達はやっぱり死んでいて、ここは地獄ではないのだろうか。 それならばこの残酷な試みも納得がいく。生前に犯した罪を思えば当然だ。 …そうだとしても、何が変わるわけでもないのだが。 空を見上げる。空は、生前と変わらぬ美しさを見せていた。 煌く星。穏やかに光を放つ月。 東から夜が明け始め、かすかに闇を暁に染めている。 地獄でも、こんな美しい物があるのだろうか…。 「…ん?」 どん、という鈍い音が聞こえた。爆音…?誰か戦っているのか。 雍州の方角だった。 それにしてもこうも音が響くとは、随分と大掛かりな武器もあった物だ。 …まあ、人のことが言えた義理ではないが。 誰か死んだだろうな、と思った。 「……」 急に不安になる。もしあの方角に、馬岱がいたら。 「…まさか、な」 だけど、もしも、もしも。気にし始めたら止まらない。 もし、あの方角に、馬岱の死体でもあったら。 ---- 54 名前:記憶2/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 00:12:14 「…………」 確かめに行こう。行って見ればわかることだ。 そこで見知らぬ死体を見て、安心できればそれで良い。 進みながら思う。放送が聞こえて来る時間も近い。 …死体が無くとも、そこで馬岱が呼ばれたら、自分はどうすればいいのだろう。 もし、馬岱が死者に数えられたら。 「死体を、探すんだろうな」 守りたいと思う半面、死んでいたらそれまでとも思う自分が居る。 奇妙な感覚だ。どこか冷めた気持ちがずっと続いている。 馬岱を守ろうと思った時は、生きていた頃の熱を感じたのだが…。 そもそも生きていた頃、などと考えること自体がおかしい。 だが、以前は己の武を持ってすれば優勝など難しくはないと 「…?」 以前?今、俺は何を考えた? ---- 55 名前:記憶3/3[sage] 投稿日:2006/08/01(火) 00:13:15 以前…いや、こんなことが何度もあってたまるか。 そうだ、もう仲間を殺されるのは――― 「…………俺は、何を考えているんだ?」 霞がかった記憶のむこう。 仲間を殺されるのは、嫌だ。その感情が強く蘇ってくるのを感じる。 誰に殺された?曹操?いや、違う…あの時、あいつを殺したのは… と、風に乗って硝煙と血の臭いが漂ってくる。 …五丈原。爆音の元はここだったのか。 遠目にいくつか人影が見える。死体もあるようだが…生きている者がいる。 馬超は思考を振り切り、血の海で蠢く人影に向かって歩き始めた。 @馬超【高威力手榴弾×7個、MP5、ダガー】 ※五丈原に着きました。 ※記憶混乱気味?第3回の記憶が残っている様子。

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