7-160 新しい朝希望の朝?

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27 名前:新しい朝希望の朝? 1/6 投稿日:2006/07/30(日) 09:29:11 荊州南部。 関興はひとり、諦めの境地にいた。 はじめこそ信頼できそうな仲間を探そうなどとも考えていたが、荊州に来て以来誰とも遭遇せずにもう3日目に入ろうとしている。 だんだんと増えていく死者の数。 開始直後に見たではないか。乱世といえどもそれなりの秩序をもって生きていたはずの将たちが、 義も仁もなく殺しあうのを。 結局はみんな敵なんだ。 それぞれ自分に有利を得るため、打算で組むものもいるだろう。 しかし自分に与えられたのはただの煙草と小さな火付け道具だけ。何の役にも立ちゃしない。 仰向けに寝転んで徐々に白んでいく空を眺め、関興はふっと溜め息をついた。 もう何でもいい。誰でもいい。とっとと一息に僕を殺してくれ。 こんな世界に居たくない。 ---- 28 名前:新しい朝希望の朝? 2/6 投稿日:2006/07/30(日) 09:30:14 「なあ、あれ、生きていると思うか?」 「生きてるんじゃないか? 探知機は死んだら表示が消えるっぽいし」 「よし、確かめてやる」 馬謖は足元に落ちていた石を拾い、地面に転がっている青年目掛けて思いっきり投げた。 「……下手だな、お前。というかなんで石投げるんだ?」 「なんか誰でもいいから頭に石ぶつけたい」 「お前な、仕返しなら魏延本人にしろよ」 「あと下手ではないぞ! 水面に投げたら5回は跳ねるんだからな!」 「はいはい」 相棒が馬鹿を言い出すのはいつものこと、と凌統は生温かい笑いを浮かべて受け流した。 「見てろ、今度は絶対当てて(すかっ)今のは手元が狂っただけだ(すかっ)今度こそ(すかっ)なんだこの石は!」 「……お前、本当に狙いつけるの下手だな……」 「これは距離があるせいだ! 見ていろ今度こそ」 何を思ったか馬謖は腕をまくり上げ、凌統が目を剥くのを気にも留めず転がっている青年のほうに駆け寄っていく。 「あのっ! 殺すならもうちょっと真面目にやってくれませんかね!!」 「うおっ!?」 アホな会話と当たりそうで当たらない石に堪忍袋の緒が切れた青年―――関興が突然身を起こして喚いた。 びくっと仰け反る馬謖。凌統はさすがに抜け目なく、支給された武器である銃剣で関興に狙いをつけている。 ---- 29 名前:新しい朝希望の朝? 3/6 投稿日:2006/07/30(日) 09:31:08 「あとこんな小さい石じゃどう頑張っても死ねないでしょうが! せめてもう二周りは大きい……って、あれ、馬謖殿?」 大声で怒鳴っていた関興の口調が突然トーンダウンし、間の抜けた表情になる。 「……知り合いか、馬謖?」 「いいや、知らない。全然見たこともない」 すっぱりと言い切る馬謖に関興は肩を落とした。そのままぺたりとうつ伏せに転がってほろほろと涙を垂れ流す。 「あんまりだあんまりだいくら存在感薄いからってあんまりだ……」 「えーと、すまない……そういえば見覚えがないこともないこともないような……名前なんだっけ?」 「関興です、関興安国」 「あー、うー、あー……っと、あ、関羽将軍の養子の!」 「それは兄の関平です! 僕は実子で次男の!」 「ああそう言われてみればそのような!」 「わざと言ってるんですね? そうでしょうわざとでしょう!?」 「………………」 「あぁ本気だ! 馬謖殿本気で僕のこと忘れてたんだー!!」 うわああぁんと大人気無く泣き始めてしまった関興を前に、凌統は思った。 あ、俺、今また変なの拾っちゃった気がする……と。 ---- 30 名前:新しい朝希望の朝? 4/6 投稿日:2006/07/30(日) 09:33:10 関興を泣き止ませた後、なし崩しに仲間になった三人は白む空にまぎれていく月の下で情報を交換した。 凌統の銃剣にもいいなーいいなーと反応した関興だったが、馬謖の持つ探知機にはことさら惹かれた様子を見せる。 「まあ煙草よりはましだが、そんなにいいものか?」 「そりゃいいじゃないですか! これがあれば最後まで逃げ続けられますよ!」 後ろ向きな言葉をうきうきと言い放った関興に向かう馬謖の目が、すっと細められた。 「逃げるのか? 戦わない?」 「仁の無い殺し合いは僕好きじゃないんですよ、不要なら回避しなきゃ」 「……そうか。帝の御意志に逆らう愚か者……あれ?……殺さなければ……そうだ、殺さないと」 ゆらり、と立ち上がった馬謖の纏う雰囲気が一変していた。暗い目に虚ろな笑み。 らしくもない素早い動きで脇においてあった凌統の銃剣を拾い、関興に飛び掛る勢いで振り下ろす。 「馬謖!?」 如何に不意打ちでもさすがに武将、転がるようにして関興は斬撃を回避する。 次に銃剣が振り下ろされるより早く、飛びつくようにして凌統が馬謖を組み伏せる。 「放せ凌統! お前も帝に逆らう愚民か!?」 「なに言ってるんだお前、どうした!」 いかに暴れても所詮は文官の悲しさで、凌統の戒めを揺るがすことはもちろんできない。 「そいつを殺せ! 世を汚す害悪を殺せ!」 「くっそ何言ってんだこいつ……」 様子がおかしい馬謖に埒があかないと判断して、軽く腹に一撃入れて馬謖の意識を落とす。 「……凌統殿、今のは」 「分からない。今まではこんなこと言って無かったぞ?」 「様子、明らかにおかしかったですよね……?」 首を傾げた二人は、とりあえず衣服の裾を裂いた紐で馬謖の後ろ手に縛って目が覚めるのを待つことにした。 ---- 31 名前:新しい朝希望の朝? 5/6 投稿日:2006/07/30(日) 09:35:19 馬謖が目を覚ましたのは、それからほどなくして朝日が地平線から顔を覗かせた頃だった。 「……おはよう、凌統、関興殿。なんで私縛られてんの? お前らそういう趣味でもあるのか?」 いつも通り焦点のずれたことを口走る馬謖に、とりあえず正気は戻っていると判断して戒めを解く。 「とりあえず普通みたいだな。まともではないけど」 「ですね」 「何の話だ? あぁ、それにしても嫌な夢を見た」 悪夢見たのはこっちだ! と突っ込みたいのを我慢してお愛想笑いを浮かべ、どんな夢かと関興が訊ねる。 馬謖は言いたいことを言わせないといつまででも騒ぎ続ける、とこの2日間で学んでいるので、凌統も特に止めはしない。 「なんか暗いところでいっぱい寝てるんだ。ほとんど文官で、私もその中に居た。  それでなんか帝が来て」 帝、というキーワードに凌統と関興が反応する。 「私の隣に寝てた姜維にいろいろ話し掛けてるんだ。何言ってたっけ……」 「とりあえず姜維って誰だ?」 「私の弟弟子。それでその後、私の前に来てだな、帝のアホが『こいつは要らないよね』などと口走って爽やかに通り過ぎおった!  なんか分からんけどムカつく! 夢だけど腹立たしい!  あぁどいつもこいつも姜維ばっかり贔屓しやがってそんなやつら全員頭に石ぶつけられてしまえばかあああ」 なんだか無駄にヒートアップして朝日に吼え始めた馬謖の背を眺め、凌統と関興は目を見合わせた。 その夢とやらに何か意味はあるのか。馬謖の様子がおかしくなったのは何だったのか。 彼らにはまったく分からないまま、3日目の旅は始まる。 ---- 32 名前:新しい朝希望の朝? 6/6 投稿日:2006/07/30(日) 09:36:59 <<既視感を追う旅/3名>> 凌統【銃剣、犬の母子】馬謖【探知機】関興【ラッキーストライク(煙草)、ジッポライター】 ※現在荊州南部。とりあえずの目的地建業にむけてのんびり進みます ※近くに人間が居ればこっそり観察しつつ、呂蒙、周瑜、陸遜、諸葛亮との合流を目指します ※探知機で近づく人間を察知可能。馬謖が直接認識した相手は以後も場所の特定が可能 ※馬謖が中途半端に献帝の洗脳?の影響を受けています ※関興の軽傷は自然治癒済み ※「ひ弱い文官呼ばわりされたがな、某大戦で私とお前の武力差はたった1なんだぞ」「あれえええぇえ!?」「コモンとは違うのだよコモンとは!」「僕カードにすらなってない……」

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