7-145 凱歌よ響け高らかに

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384 名前:凱歌よ響け高らかに 1/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:28:50 「おっやすみなさいとフクロウ啼くから~」 司馬懿の目は襲撃者を見つけようと忙しなく動く。 夜の五丈原。彼はかつてここで耐える戦を展開し、その瞳はじっと星を見ていた。 だが今ここで必要なのは速攻。時間がかかるほど不利になろう。 どこだ。どこにいる? 「静かな湖畔の森の陰~♪」 戦闘の高揚ゆえ身体が火照っているのか、一際くっきりと浮かび上がる巨体。 …あれか! すう、と息を大きく吸い込み司馬懿は懐中電灯のスイッチを入れる。 「かげ~かげ~かげっかげっかげ~!」 光条が闇を裂き董卓の巨体を照らし出す。 意外に近かった距離に陸遜は一瞬息を呑む。が、声を張り上げる。 「おっやすみなさいとフクロウ啼くから~」 小脇に抱えたぬいぐるみが異様に重い。その重さが陸遜のやる気を萎えさせる。 「静かな湖畔の森の陰~。」 やや投げやりな歌声。 董卓がこちらを見た。手にした銃身は懐中電灯に照らされ鈍く光っている。 銃口がこちらを向く。 「…かげ~かげ~かげっかげっかげ~っ!!」 死にたくはない。 陸遜は手にした瓶を思い切り投げ岩陰に隠れようと斜め後ろに踏み出す。 ---- 385 名前:凱歌よ響け高らかに 2/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:30:21  …おやすみなさいとフクロウ啼くから… どこまでもふざけた連中だ。 間の抜けた輪唱が岩場にわんわんと反響してより一層苛立ちを掻き立てる。 しかもその反響のせいで誰がどこにいるのか、また何人なのかが意外と掴みづらい。 嫌でも聞こえてくる歌声に、董卓も無意識に 視覚よりも聴覚で敵の位置を割り出そうとしてしまっている。  …静かな湖畔の森の陰…♪ 光条で自らを照らしている司馬懿が鬱陶しいが、 P-90で打ち抜くには少々確実性に欠ける距離だ。 だがこちらにはミョルニルがある。 炭となった李儒、ぶち抜いた冀城の城門、的確に潰れた馬玩の頭。 ミョルニルを振るわれ、また自らも振るい、董卓はその必中の性能に気づきつつあった。 適当に放り投げても振り回しても確実に標的を肉塊と化す殺戮兵器。 司馬懿は銃撃に備え岩に半身を隠し姿勢を低くしている。 だがそんなことをしても何の意味も無い。馬鹿め! 嬲り殺しにしてやれないのは残念だが、 小うるさく騒ぐ蠅どもを適当に潰したら残りをじっくりいたぶってやってもいい。 董卓は自らが手にしている絶大な力に酔いしれた。 とりあえず近場で喧しく啼く小雀から撃ち殺すか。  …かげ…かげ…かげかげかげ…♪ ---- 386 名前:凱歌よ響け高らかに 3/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:31:19 「うあああっ!!」 異形の銃、P-90が火を吹く。 その凶弾は陸遜の腕を、腿を掠め、たまらず陸遜はどう、と倒れる。 陸遜が投げた味の素の瓶を銃口の向きを僅かに持ち上げて打ち抜いたので 腹に風穴を空けることは叶わなかったが、 腕と足を傷めたならもう戦力にはなるまい。 フルオートで凶弾をまき散らしたまま、董卓は再び銃口の向きを低く下げる。 地に転がる陸遜に向けて。 「…っ、おやすみなさいとフクロウ啼くから…!」 陸遜が撃たれた。その光景に姜維は凍り付く。 声を上げねば。震える声を励ましながら姜維は歌う。その声に董卓が振り向く。 その化け物染みた愉悦の笑み。 人を喰らう悦びを知っている笑み。 …喰われる…! 「静かな湖畔の、も、り、の…かげ…!」 それは本能的な恐怖。呂律が回らない。 だが歌わなければ、そうでなければ陸遜が…。 (見殺しにすればいい) だってどうせ最後に残るのは一人なのだ。 あいつだっていつ自分を殺すか解ったもんじゃない。 (ここで声を上げて標的が自分に変わってはたまらない) 自分は手を汚さなくともいいのだ。ただ見ていればいい。 今黙っていれば、邪魔者を一人片づけてもらえる―。 ---- 387 名前:凱歌よ響け高らかに 4/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:32:31 姜維はぐっと目を閉じた。 強く頭を左右に振る。そしてカッと目を見開く。 全てを振り払うように姜維は声を張り上げ、 その迷いや躊躇いごと思い切り瓶を投げ捨てる。 「…かげっ!かげっ!かげっかげっかげー!!」 白いきらめきがはらはらと光に照らされ舞い散る。 陸遜の投げた瓶の欠片と、中身の味の素だ。 董卓は若干驚きはしたが、虚仮威しと見抜き更に唇を歪めた。 「それだけか。阿呆が」 異形の銃が冷たく光る。 藁にも縋るような陸遜の叫びと、姜維の投擲はほぼ同じタイミングだった。 「レオ様、ゴー!!」 また同じような瓶が投げつけられた。 董卓は新手に標準を変え、引き金を引いたまままず瓶を撃ち、 そして姜維をも粉々にしようとする。 「何ぃっ?!」 瓶が弾ける。飛沫が散る。 クロロホルム。 目眩、頭痛、吐き気、酷ければ意識を失わせ死に至らしめることもある毒物だ。 飛沫は風となり、その凶悪な毒性を辺りにまき散らす。 標的の董卓はもちろん、陸遜や姜維までもが広がる毒ガスに喘ぎ苦しむ。 だが月明かりの下すっくと立つ姿が一つ。 陸遜のダメもとの叫びに応えし獣。 それこそがレオ様であった。 ---- 388 名前:凱歌よ響け高らかに 5/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:33:36 レオ様はその肉体美を存分に見せつけながら躍動し董卓に躍りかかる。 だが何という董卓の生命力。せき込み目を瞬かせながらも銃を捨て、 自由の利かぬ自らの身体を意志でねじ伏せるようにミョルニルを持ち上げた。 振りぬく! ミョルニルから放たれた雷撃は董卓の意志に従い正確にレオ様を射止める。 流石のレオ様もこれには耐えきれずもんどり打って倒れた。 いくらか戻ってきた視界でそれを確認した董卓。 その口元の笑いにはまだ余裕がある。 何人たりとも儂を止められはせぬ! 「おっやすみなさいとフクロウ啼くから~」 拡散する毒ガスと人間離れした董卓の力、 そしてあまりな展開に静まり返っていた五丈原に伸びやかな陳宮の歌声が響きわたる。 呼吸を乱し始めていた連携を統率するように、朗々と歌う陳宮。 …喧しいわっ! 未だ朦朧としている頭にがんがんと響く歌に苛立ち、 董卓はその巨大な槌を投擲する。 月に舞う血塗られたミョルニル。 それは陳宮の頭蓋を目指して弧を描く。 「静かな湖畔の森の陰~♪」 陳宮はそれから逃れようとした。 だがミョルニルはまるで意志があるかのように陳宮を追う。 ---- 389 名前:凱歌よ響け高らかに 6/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:35:28 あんな巨大な槌にぶつかればもうおしまいだろう。 せめてもっと小さければ、たんこぶ程度で済んだかもしれないが…。 だが陳宮は決して歌うことを止めはしない。 「かげ~かげ~かげっかげっかげ~♪」 「ぐぎゃああああああああぁ!!」 苦痛の絶叫。 その叫びをあげたのは…董卓?! 董卓の両腕の骨は粉々に砕け散り、 想像を絶する痛みに目玉と舌を半ば飛び出させながらのた打つ。 ミョルニル。 凄まじい破壊力を持つそれは、それを振るう雷の神ですら 力を増す為の魔法の帯と、特別な籠手を身につけなければ扱えぬ代物なのだ。 人の身ならば一度その力を使えれば上等。 その力を三度も行使できた董卓がいかに人間離れした、 巨人じみた力の持ち主であるかが窺えよう。 だがミョルニルは巨人を打ち倒すための槌。 邪悪を払う聖なる武具なのだ。 陳宮めがけて飛んで来たミョルニルはみるみるうちに小さくなりその手に収まった。 これもまたミョルニルに秘められし力。 使用者の望むままにその大きさを変えるのだ。 また伝説に曰く。 ある時、聖なるミョルニルが巨人族に奪われた。 巨人はミョルニルと引き替えに美しい女神を差し出せと要求した。 ---- 390 名前:凱歌よ響け高らかに 7/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:36:47 そこでミョルニルの振るい手たる雷の神は、 自ら女装して女神になりすまし、ミョルニルを取り戻したという…。 「おっやすみなさいとフクロウ啼くから~」 歌声は重なり響きあう。 スカートとペチコートを翻しながら、 魔女っ子ステッキサイズになったミョルニルを振る陳宮。 聖なる雷が董卓へと走る! 「静かな湖畔の森の陰~♪」 魔法のステッキ・ミョルニルが放った雷は やはり本来の大きさで放たれた雷より威力は弱く止めを刺すには至らない。 だが密やかに迫っていた馬岱の刃が暴君を断罪する。 「かげ~かげ~かげっかげっかげ~♪」 董卓の血と脂で汚れたシャムシールをどうにか引き抜き、 馬岱が彼らの歌を凱歌と成した。 彼は、斬るべきならば確実に斬る。 そんな男だった。 ---- 391 名前:凱歌よ響け高らかに 8/8 投稿日:2006/07/27(木) 16:39:02 高台で戦況を見定めていた司馬懿は呆気にとられていた。 この世界でもう一度諸葛亮と智を競いたい。 そう願っていた彼だったが。 必中の雷を放つ魔女っ子ステッキ。 月明かりの下、ぷりぷりとした尻を晒して悶絶するぬいぐるみ。 「…そんなもんがまかり通る世界で兵法もへったくれもあるかっ!  馬鹿めがああああああぁあー!!!」 【董卓 死亡確認】 <<めるへんクインテット/5名>> 陸遜[右腕・右太股銃創、軽い目眩]【レオ様(ぬいぐるみ)】 陳宮[軽傷]【ゴスロリドレスセット、魔法のステッキミョルニル】 姜維[左下第三臼歯破折、軽い目眩]【なし】 馬岱【シャムシール、ロープ】 司馬懿[軽傷]【赤外線ゴーグル、付け髭】 ※現在地は五丈原。 ※董卓の所持品(ミョルニルを含めP-90(弾倉あと4)、RPG-7(あと4発)、ジャベリン、投げナイフ20本)の分配はこれから考えます。

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