7-140 ひぐらしが鳴く 開かずの森へ

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375 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 1/4 投稿日:2006/07/26(水) 20:56:18 「街亭のほうには行くな、と神が告げている」 「どこの脳内神だそれ」 「むしろ私が神? 天から舞い降りた神童?」 「そうかそうか、ところでこの毒草食うか?」 食後のデザートに甘い木の実をかじりながら、凌統と馬謖はまったりと目的地を検討していた。 「孔明先生を探すなら徐州か成都か、臥竜丘も無いとは言い切れないな。  しかしもう劉備あたりと合流してそうな気がするが」 「お前自分の君主呼び捨てかよ」 「だってあの耳長野郎嫌いだし」 劉備が死に際に馬謖は大口叩きのヘボだから重用するなよ、と言い残したことを割と根に持っている馬謖である。 劉備のその遺言が正しかった事はもちろん丸々無視している。 「あぁあの大耳、思い出すだに腹が立つ! 次に会ったら是非殺す。脇の下くすぐり殺す」 「なんだその奇怪な死因」 「知らんのか? くすぐられ続けると笑いを通り越して苦しみと快楽の狭間の天国が見えるんだぞ」 「誰がそんな特殊性癖の話しろって言ったよ」 呆れ声でツッコミを入れて、きゃんきゃん声を上げながら跳ね回っている仔犬を膝の上に抱き上げる。 ああ、父上。何だか変な相棒を引き当てちゃったけど、俺はがんばってます。 ---- 376 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 2/4 投稿日:2006/07/26(水) 20:59:47 「そっちはどうなんだ? ほら、周瑜とか呂蒙とか陸遜とか言ってただろう」 「確か生まれは周瑜様が廬江、呂蒙殿が汝南、陸遜殿が呉郡……だったと思うけど」 「そこに居るとは限らない?」 「実際呉郡の俺がこんなところに居るし……」 「まあ私が荊州生まれだがな。どの辺に皆が集まっているのか……あれ」 探知機で人の分布を見ようとした馬謖が軽い驚きの声を上げた。 「見ろ、ボタン押したらお前と魏延の名前が出てきた」 馬謖の指差す小さな2つの点の傍に、それぞれ名が記されていた。 持ち主である馬謖を示す色違いの点のすぐ傍の光点は『凌統』。 漢中方面に向かって動いているものは『魏延』である。 「便利……なんかなぁ」 「まぁ、使いようによっては便利かもしれないな」 「どこを押したんだ?」 「肩の後ろの二本のゴボウの真ん中のスネ毛の下のロココ調の右」 「……は?」 「裏側にある黄色いボタンとも言うかな」 「他に言いようがない気がするけどな、俺は!」 ああ、父上。俺はこのアホの相手、そろそろ挫けそうです。 馬謖の訳の判らない言動に肩を落とす凌統を他所に、馬謖が行き先を検討していく。 ---- 377 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 3/4 投稿日:2006/07/26(水) 21:03:20 「周瑜は言うまでもないが、陸遜も呉郡四姓の陸家だったな?  とすると実家の辺りで仲間を待つか……いや、逆に離れる可能性もあるな。有名人は有名な分だけ妬みも買うし」 実際は周瑜も陸遜も2人の割合近くに居るのだが、もちろん知る由もない。 「呂蒙についてはよく知らないが、どう動くと考える?」 「うーん……判らないけど、孫権様の元に向かうなら揚州かな」 「建業か。周瑜と陸遜は?」 「どうかなあ。孫策様が亡くなられたみたいだから周瑜様が孫家に固執する可能性は低いし、  陸遜殿は孫家に恨みすら持ちかねない事情があるから……」 「その2人の行き先は推測しにくいということだな。ではとりあえず建業に向かうか?」 「結果的に孫権様の元に行く事にならないか? 俺はいいけど、お前は?」 「劉備よりは孫権殿のほうがだいぶいい」 凌統の膝の仔犬をつついて嫌そうな声を上げさせた馬謖は、無駄に胸を張りながら答えた。 「そうか。じゃあさっそく移動するか?」 「あ、言い忘れたが、強そうな奴は出来るだけ避けながら移動しよう。元の仲間でも過信するな」 「ゲームとやらに乗ってるかもしれない……と?」 「ああ。私は見ての通り頭脳労働専門だから野蛮な筋肉など持ち合わせていないし、  お前は見るからに二戦級の将軍だからな」 「二戦級言うな二戦級言うな二戦級言うな!」 ああ、父上。 ここでこいつ叩っ斬ってもいいでしょうか? ---- 378 名前:ひぐらしが鳴く 開かずの森へ 4/4 投稿日:2006/07/26(水) 21:06:57 荷物を持って数歩歩き出した所で、奇妙に静かな声で馬謖が問いかけた。 「凌統、私たちは正直かなり有利な立場にある。  探知機を頼りに逃げ回り続ければ、最後の最後すれすれまで残れるだろう。  それでも逃げるのではなく、進むほうを選ぶか?」 口を開けばたいてい理解不能な軽口ばかりの相棒の真面目な問いかけに戸惑い、 凌統は一瞬目を丸くしたが、答えはひとつしか無かったのですぐに答えた。 「逃げるのってあんまり好きじゃないんだよ。  戦でも、安全な所で見ているよりも先鋒を務める方が楽しいし」 何を言おうとしたのか馬謖は口を開きかけて、視線を落とした。 「……そうか、分かった」 冷めた風がざぁっと吹き抜けたあと、虫たちが競うように鳴き声をあげはじめた。 そこで凌統はやっと、煩いほどだった虫の声が止んでいた事を知った。 <<既視感を追う旅/2名>> 凌統【???、犬の母子】馬謖【探知機】 ※現在荊州北東部。とりあえずの目的地は建業ですが、一旦南下します ※近くに人間が居ればこっそり観察しつつ、呂蒙、周瑜、陸遜、諸葛亮との合流を目指します ※探知機で近づく人間を察知可能。馬謖が直接認識した相手は以後も場所の特定が可能 ※「ところで俺ら最近既視感追ってなくない?」「じゃあユニット名≪天才とその下僕≫で」「却下」

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