7-109 傀儡の紐を断つ悪夢

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267 名前:傀儡の紐を断つ悪夢 1/2 投稿日:2006/07/20(木) 05:21:51 目が覚めたとき、空はまだ下の方に微かな日の光を帯びているだけだった。 余りに喉が渇いていたので、馬岱は中途半端な時間に目が覚めてしまったのだ。 支給された水は、透明で弾性のある容器2本に分けて入れられていた。小さな螺子式の蓋が付いている。 それを開けて少しだけ口に含む。思うがままに飲んでしまったら如何程あっても足りない。 水を飲んだ後、その場に座り込み涼みながら夜明けを待っていた馬岱だったが、ふと微かな声に気付く。 側で未だ眠っている筈の姜維だ。酷くうなされているようだった。 「……ううっ……申し訳ありません丞相……ほんの……出来心……  ああ、馬岱どの、助け……て…………」 一体どんな悪夢を見ているのかと思って姜維の顔を覗き込んだ馬岱だったが、冗談抜きでこの上なく 顔面蒼白の汗びっしょりだったので、そこはかとなく危機感を感じて姜維を揺り起こした。 「う、うわあああぁぁぁっ! …………あ、馬岱どの……」 あまりに派手に驚くものだから、起こした馬岱の方が殊更驚いてしまった。 「……大丈夫か?」 「え、ええ……」 実際のところ余り大丈夫そうには見えない。呼吸が乱れている。汗に濡れた髪が額と頬に張り付き、 憂いと苦悶を帯びた表情と相まって、独特の雰囲気――色っぽい、って言うのかな――を醸し出している。 姜維は何かから逃れるように二、三度頭を振り、身の底から搾り出すような深い溜息をついた。 「……とても厭な夢を見ました」  ……そりゃそうなんだろうな、と馬岱は思った。敢えて内容については聞かない事にした。 ---- 268 名前:傀儡の紐を断つ悪夢 2/2 投稿日:2006/07/20(木) 05:23:37 「ときに馬岱どの、私には、初めからこの『殺し合い』が何か別の意味を持っているように思えてならないのです。  何かを仕組まれているような、試されているような」 何とか少し落ち着いた姜維に出し抜けに問われた。表情からして、先程の悪夢が未だ思考から抜け出てないようだ。 「……そもそも仕組まれてて試されてるんじゃないのか、これ」 いきなり集められて殺し合いをしろ、とか言われちゃう状況がそもそも普通じゃないし、と馬岱は突っ込んだ。 「そうかも知れませんけど……『では何故仕組まれて試されるのか』って辺りが気になりませんか」 確かに気になる。誰が何の為に――いや、献帝なんだろうけど、結局何がしたいのか良く解らない。 「ですが、私には拙い推測しか出来ません……悔しい事に、材料が足りないのです。なので可能な限り情報を集めたいのが一点、  丞相の知恵をお借りしたいのがもう一点。もっとも、聞いたら自分で考えろと言われそうですが――」 と言ってくすくすと笑った。先程の翳りのある表情は既に無い。 「これが私の目的です。改めて聞きますが、もし宜しければ力を貸して頂けないでしょうか? 馬岱どの」 「勿論。オレとしても色々気になってるから、とことん付き合わせて貰うよ」 姜維と馬岱は互いの右拳を付き合わせた。 「そういえば、昨夜何か変な歌声が聞こえたんだけど、誰だろう?」(※陸遜です) 「……さあ? あ、そういえば司馬懿どのは未だ近くにいるんでしょうかね……」(※超ニアミスの予感) 語らう声に、死亡者放送が重なる――(>>221) 諸葛丞相を捜すふたり、間も無く五丈原。 無論、場所が見当違いである事、諸葛亮が姜維達はおろか劉備すら面識の無い状態であること、 そして多くの者が未だ近い範囲にいることも、未だ知らない。 <<丞相を捜せ!/2名>> 姜維【なし】 馬岱【赤外線ゴーグル】 ※雍州横断中。敵意の無い人から情報を聞く意思があります。戦闘は可能な限り回避。  当面の目的は「(このゲームの理由に迫る為に)諸葛亮捜しと情報収集」。

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