ゆっくりいじめ系786 雨の日

雨の日
※久々に東方キャラ以外書いたような気がする。

雨の日、俺は畑仕事から急いで帰ってきた。
びしょびしょになりながらやっとの思いで家にたどり着き、扉を開ける。
「ゆー♪ ゆっゆゆー♪ いいおうちがあってよかったね!」
「そうだにぇ!」
「ねー!」
上機嫌な声が家の中に反響した。
居間を覗いて見ればそこにはゆっくりれいむと子供が二匹、髪の毛を濡らしほんの少しだけ溶けた状態で歌をうたっていた。
ゆっくりをいじめるような性癖は持ち合わせていないため、特になんとも思わない。
強いて言えば家が濡れたところくらいか。
「雨宿りしてるのか?」
俺が尋ねると一家は驚いた風にこっちを見た。そこまで驚かなくてもいいのに。
しかしすぐぷくっと膨らんで親れいむらしきゆっくりが俺に叫ぶ。
「ゆ! おにーさんだれ!? ここはれいむのおうちだよ!」
「しょうだよ! れいみゅたちのおうちだよ!」
「かってにはいりゃないで!」
三匹は膨らんで俺に威嚇する。これで動物を追い返した事があるのだろうか。
そんなことはともかく、説明してみる。
「いや、ちがうよ。俺がもともとこの家に住んでたんだ」
「ちがうよ! れいむがみつけたかられいむのおうちだよ!」
「……そうか」
俺は親れいむの口の中に無理矢理子れいむ達を突っ込む。
もがもが文句をいってるが気にしない。
親れいむを抱きかかえて外に出た。雨が勢いを増しているが、ゆっくり達が濡れないように50メートルくらい歩く。
「もが! もがが!」
子供達を濡らすわけにはいかないためか、親れいむは口を半開きにして文句を言う。何を言っているのか分からない。
俺はそいつを地面に置いて家へ走った。
「んー! んー!」
口を閉じながら一生懸命跳ねて俺の後を追うが、やはり人間の脚力にはかなわない。
俺は家の中にたどり着き、布で拭く体をふきながら戸をあけて待った。
数秒してから半分溶けかけた親れいむが家の中に入ってきた。
「ここは俺が先に入ったんだから俺のおうちだよ、ゆっくりでていってね」
「!!」
なにをいってるんだという顔をして慌てて口から子供達を出す。
子供達は母親の唾液にまみれたせいで体を震わせて体についた液体を落としていた。かわいい。
「どうしてそんなこというの! ここはれいむの――」
「れいむ、今君は俺をどう思ってる?」
俺の質問に親れいむは即答した。
「ぜんぜんゆっくりしてないよ!」
「じゃあお前はゆっくりしてないんだな」
「ゆっ!?」
驚いたときに濡れた髪の毛から水が垂れる。
俺は布でそいつをふき取ってから説明した。
「さっきお前は『れいむが見つけたおうちだよ』って言っただろ」
「うん」
「で、今俺は『先に入ったんだから俺のおうちだよ』って」
「うん」
「言ってる事ほぼ一緒だよな?」
「ちがうよ!」
ちがうわけねーだろ!
とまぁ怒りたいのも分かる気がするが俺は尋ねた。
「なぜ?」
「だってれいむのおうちだもん! おにーさんがかってにはいってきたんでしょ!」
「家に誰も居なければそこはお前の家なのか?」
「そうだよ! だれにもめーわくかけてないよ!」
なるほど、拾った筆に名前が書いてなければそれは拾った俺の物だ思考か。
俺はため息をついてれいむに言う。
「迷惑掛けてるんだな、俺に」
「かってにはいってきたくせになにいってるの!」
「じゃあ俺がここに住んでるって証拠を見せてやろうか」
俺は今に上がって引き出しを開けた。
たしかここの家を貰ったときの写真があった気がする。
丁度子供達が体の掃除を終えて親に食べ物をねだっていた。
「おかーしゃん! おなかしゅいた!」
「れーむも!」
「まっててね! あのおにーさんがれいむのいうことしんじてくれたらね!」
あくまで自分が正しいと思っているらしい。少しは自分に否があるのではくらい思ってくれてもいいのに。
そのほうがまだましだ。
「あったあった、これだよこれ」
俺は一枚の写真を取り出して一家に見せた。
写真には俺と前の家主の人がゆっくりれいむを抱きかかえて笑っている。
写真のれいむは妙に膨らんだ顔をしていた。
「ほれ、今と同じ俺が写ってるだろう? それに後ろの木には梅が咲いている。 今はもう咲いてないからこれは昔撮ったってことがわかるだろ」
「ゆうぅ……!」
ようやく分かってくれたのかれいむはうめく。
しかしすぐに顔を輝かせた。
「おにいさん! ここにれいむもいるからやっぱりれいむのおうちだよ!」
写真に写ったれいむのことを言っているのだろうか。
「でもこれはちがう奴だろ?」
「ちがうれいむでもれいむはおなじれいむだよ!」
言ってる意味がよく分からない。
そうれいむれいむ言ってると頭が痛くなってくる。
そこで、俺の意識が一瞬途切れた。

■■■

「ゆぶぇっ!」
れいむは思い切り吹き飛ばされ、床に転がった。
男は首を鳴らして転がったゆっくりの元へ向かう。
「そうだよなぁ、ここにいるれいむもあの写真のれいむも一緒だよなぁ」
先程の男とは違うゆったりとした、だが威圧感のある声に変わる。
何が起きたのかわからない親れいむは少し膨らんだ頬をたるませながら男へ向かった。
「なにするの! ゆっくりやめてね!」
「なにするだぁ? 写真のれいむと同じにするんだよ。今俺が写真と同じように、お前もあの写真のようにしてやる」
写真の通り。その言葉に親れいむは2秒ほど考えて思い出した。
あの膨らんだ顔の奇妙なれいむ。
怯えたようすの奇妙なれいむ。
あれはこの男のせいだったのだ。
「やめてね! おうちかえる! ちびちゃんたちこっちにきてね!」
危険を察知したれいむは子供達を集めて外に出ようとする。
男は追おうとしないので少しだけ余裕の表情だ。
「いいのかぁ? 出てって。外は雨だぜぇ?」
すっかり忘れていたのに気づき、れいむは立ち止まる。
開けっ放しの外は、土砂降りだった。
「さて、まずは子供達から行こうか」
背後からやってくる恐怖と目の前にある恐怖にれいむは右往左往する。
やがて決心を決めたらしく口を開いて子供を出した。
「ちびちゃんたちはもりににげてね! すぐくさのなかにはいればだいじょうぶだよ!」
「おかーしゃんありがとう! あとでゆっくりにげてね!」
「ありがちょー!」
子供達は助かった事を喜び雨の中に突っ込んだ。
次の瞬間、まず長女が銃弾を浴びたように蜂の巣になった。
「びゅげばばばばばばばばばっ…………!」
横殴りの雨に叩きつけられ、形が保てなくなるほどに崩れた。
「どぼじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
「あっはっはっは! 当たり前だろう? お前と違って子供はやわらかいんだ、この雨の中突っ込んだら死んじまうに決まってるだろぉ!」
次女はその様子を見て一瞬ひるむが、走り出す。
「だめえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」
「おねーちゃんのぶんまでゆっきゅりすりゅよー! ――ぶばっ!」
丁度大粒の雨が次女の脳天を突き抜ける。
そして他の雨に叩きつけられ体が崩れていく。
「ど……じで……おが……じゃん」
ぴくぴくとうごき、零れ落ちた目玉が母親を見据える。
だがそれも雨に叩き潰された。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ぢびぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「おもしろいなぁゆっくりってのは! 他は駄目でも自分は違うって思ってるんだろうなぁ!」
もはや物言わぬ餡子となった子ゆっくりが外に二つ。
いきなり殴りかかった男が背後に一人。
親れいむはがくがくと震えていた。
自分も外に出たらああなるのだろうか。
さっきは助かったけど何度も外に出られるのか。
「ゆぐぐぐぐぐぐ!! むぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
もう何もかもが分からなくなり目を血走らせ歯を剥き出しにして男に噛み付いた。
しかし余裕の表情で言う。
「人間に腕を捕まれた程度だなぁ、全然痛くない」
「いぎぎぎぎぎががががあががあがががが!!!」
「そろそろうるさいぜ」
ばちん、と音を立てて噛み付いていたれいむに平手打ちをする。
再び地面に転がって右頬にたるみを作る。
「ぢびぢゃんだじのがだぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」
「仇ってお前が逃がしたんだろうが、責任転換はよくないぜぇ?」
「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぶべぇえ!!!」
蹴りを顔面に食らい折れた歯を撒き散らす。
口からは餡子が漏れていた。
「まだまだあの写真のれいむには程遠いなぁ、そういやあの目は確か義眼だったよなぁ」
「ゆ゛っ!?」
男はしゃがんで倒れたれいむのまぶた(?)に指を突っ込む。
そして目玉の入っている奥底までに指を侵入させた。
「い゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
親指も入れて目がつまめるようにしてから思いっきり引っ張る。
ぶちゅ、という音がしてれいむの目玉が取れた。
「お゛べめ゛!! でいぶのおべべえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
「目から餡子飛びでてるぞぉ、泣いてるのかぁ」
「ぎっ……ぎぎ……」
「ほら、目玉入れてやるぞ」
男が引き出しから小さな目玉の模型を取り出してれいむの片目にはめ込む。
その間れいむはなにも言わなかった。
「なんだ、もう壊れたのかぁ。つまんねぇな、……うっ?」
男は急にふらついて地面に手をついた。
そして彼の目玉がぐるりと上に向く。

■■■

「ん……寝ちまったのかな、畑仕事疲れてたしな」
俺は雷の音で目を覚ました。
まだ雨はやんでいないらしい。
「そうだ、ゆっくりは……れいむ!?」
足元を見ると体がたるみだらけで餡子を漏らし、不器用に目の中に目玉の玩具が突っ込まれた親れいむがいた。
俺が寝ている間に何があったんだ。
「ど、どうしたんだ? 誰にやられたんだ!?」
「……まえ」
「え?」
「おばえだろ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!! ゆっぎりじね! ゆっぎりじねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
俺は首をかしげた。
はて、何かしただろうか。子供に危害を加えてないしここは俺の家だって教えただけだし。
なんだってんだ。
「ぢびぢゃんもごろじだんだがらわだじもごろぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」
「殺してないよ、なに言ってんだ」
「どおじでぞんなごどいうの゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」
遠くで雷の音がしたとき、外を見たら餡子の塊が二つ、散らばっていた。
「ひどい、誰がこんな事を……あれ子供か?」
「むげいえぎあいぇいぎょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!!!!!!!!!」
餡子と涙と涎を流しながら俺に折れた歯で向かってくる親れいむ。
俺はなにもしてないぞ!? なんだってこんな―――

「なぁーんだ、まだ元気じゃねぇか! どれ、今度はもう一つの目を……」
「ぎゅぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






その時、ひらりとあの写真が床に落ちた。
写真に写っているのは家と梅の木と男と怯えたれいむ。
それだけだった。


あとがき
二重人格。
声を想像してみると楽しいな、ちなみに人格変換後はゲーム版DIO。




書いた機械化航空歩兵の整備士:神社バイト




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最終更新:2008年09月14日 08:45
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