ゆっくりいじめ系648 狂ったドスまりさ

ある森に、ドスまりさをリーダーにしたとてもゆっくりしたゆっくりの群れが住んでいました。
その群れはとても平和な群れで人間とも仲良く暮らしています。

「ゆーっくりさーん、あーそびーましょー」
「ゆー、ゆっくりしていってねー♪」
里の子ども達の遊び相手をすることもあります。
みんな野原を駆け回ってとっても楽しそう。

「ゆ!きのこもってきたからまりさたちにたべものちょうだいね!」
「あらあらいつもめずらしいきのこをありがとうね
お礼に今日は少し多めに野菜をあげるわね」
「ゆー!ありがとう!ゆっくりしていってねおねえさん!」
まりさは嬉しくて嬉しくて顔に満面の笑みを浮かべて飛び跳ねます。
こんな風に、ゆっくりと人間の間で取引までなされていました。

特にドスまりさと寺小屋の先生の慧音は個人的な親交関係を持っていました。
ドスまりさは困ったことがあると慧音に相談し、慧音も人手が足りないとき等はよくドスまりさの群れに手伝いを求めて
そのうちに、何も無くても暇なときは一緒にゆっくり談笑するくらい仲良くなりました。
慧音もドスまりさ達の人柄…ゆっくり柄を信頼してよく子ども達の世話を任せるほどでした。
「いつも悪いな、色々と手伝ってもらって」
「けーねはゆっくりできるひとだからけーねのたのみならだいかんげいだよ!」
「ありがとう、そういって貰えるとうれしいよ」
慧音とドスまりさはまるで旧来の親友同士のように楽しくお話をしていました。


その群れは人間に助けられたり、時に人間を手伝ったりしてゆっくりと共存し繁栄していきました。
でも、ゆっくり達は人間達みんなと仲良くしたくても、人間にはそれが嫌な人が居ました。

「なあ、最近思うんだけどさ」
「なんだよ」
「あの森のゆっくり共、里にまで下りてきて我が物顔しやがって
ムカツきやしないか」

「実は俺もそう思っていたんだ」

そう、虐待お兄さん達です。
彼らもゆっくりが向うから来てくれるのは嬉しかったりします。
何せ自分からイジメに向かう手間が省けますから。
でもそれが里で受け入れられているのは我慢なりません。
彼らはドスまりさの群れのゆっくりを里で見かけるたびにイジメたくてイジメたくて仕方がありませんでした。

「やっちまうか」
「そうだな…」
二人は空を見上げて雲の行方とゆっくり達をどういじめるのか考え始めました。



次の日の朝。
ドスまりさ達が住む森の入り口にて。
「「ゆっくりしていっぶべぇ!?」てねれいむううううう!?」
森の入り口で人間を出迎えようとしたゆっくりれいむは頭をかかとで踏み抜かれて餡子をぶちまけて死んでしまいました。
「な゛に゛をずるのおおお!?」
一緒に森の入り口の番をしていたまりさは悲鳴をあげました。
二人は仲良しでいつもいっしょでゆっくりしていたのに、やってきた男に挨拶をした瞬間に
二度とゆっくり出来なくなってしまいました。
まりさは悲しくて涙がぼろぼろこぼれました。
今度、まりさかられいむに告白しようとプレゼントを考えていた矢先の出来事でした。
「そういえば死んだゆっくりの頭飾りをつけた奴ってゆっくりに襲われるんだっけ?」
「やってみるか」
男二人はそんなまりさを無視してれいむの死体からりぼんを千切り取ると、餡子まみれで髪が絡みついてる
りぼんを解いて、まりさの口の辺りにまわしました。
「ゆぎゅう!ゆぎゅう!」
まりさは口を塞がれてうなり声をあげます。
「ははは、おもしれえ」
「もっと力入れてみるか」
そういうと男はぎゅーっとりぼんの端を引っ張りました。
締め付けられてまりさはひょうたんのような形になりました。
「…!…!」
まりさはあたまと顎に餡子が押しこめられて真っ赤に膨れ上がりました。
苦しくて苦しくて目から涙がこぼれます。
男がさらに力を込めるとぱんっ、と両目が飛び出して眼窩から餡子がだくだくこぼれました。
「これはひどい」
「びっくりした時に目が飛び出すって漫画でよくあるけどほんとに目が飛び出すのは初めて見たな」
それを見て、男達はりぼんを緩めて楽しそうにまりさに話しかけました。
「目が飛び出すのってどんな感じだった?」
「ま゛え゛がみ゛え゛な゛いいいい!ま゛り゛さ゛!ま゛り゛ざのおべべどごおおおおおお!?」
「ここですよ」
狂乱して叫ぶまりさに男は落ちた目玉を拾ってまりさの口に放り込みました。
「ゆ!?」
「たーんとお噛み」
男はそう言って今度は口から目玉を吐き出さないように縦にまりさにりぼんを結びつけました。
強く結んだのでまりさはこんどは四葉のクローバーみたいにくびれが出来ました。

「さて、そろそろ行こうか」
「そうだな」
男達はそろそろ飽きたのかまりさをぽいと投げ捨てて森の奥へと入っていきました。

「ゆぎゃあ!」
「や゛べでえええ!」
「お゛があし゛ゃあああん!」
「ゆ゛っぐりでぎないいいい!!」
群れの場所は里に知れ渡っていたので、すぐに男達はたどり着いて
今度は見るゆっくり見るゆっくりを片っ端から踏み潰していました。
「何匹潰した?」
「26匹」
「勝った、27匹」


「うわあああああああん!」
「どずまりざああああ!おがあざんが!おがあざんがあああ!!」
「いだいよおおおおおおおおお!だずげでええええ!!」

「お゛に゛い゛ざんだぢな゛に゛じでるのおおおおおおお!?」

ドスまりさが現場に辿りついたときには
森の中は瞬く間にまさに地獄絵図と化しました。
地獄に餡子地獄というのがあれば、の話ですが。
「ゆっくりに対する蹂躙行為を少々」
男は事も無げに答えました。
「どおぢで…どぼぢでごんなごどおおおおおお!!」
ドスまりさにはあんなに人間と仲良く暮らせていたのに
どうしてこんな仕打ちを人間からされるのかが全く分かりませんでした。
ぶるぶると怒りと悲しみに震えながら男達をにらみつけます。


「趣味的行為の実行を」
「要はゆっくり虐待を」
男達はまたも事も無げに答えました。
「ゆ、ゆぐぐぐぐ…!!」
ドスまりさは呆れと怒りで頭の中がめちゃくちゃに沸騰してしまいそうでした。
しかし人間とことを荒立てるのは得策ではありません。
ドスまりさは歯を食いしばって必死に耐えました。
きっと人間達にこのことを話せば里のルールに従ってこの男達を裁いてくれるはずです。
復讐したい気持ちを抑えて今はとにかくこの男達をここから退けることだけをドスまりさは考えました。
「ご、ごごがらどっどどででいげえええええええ!!」
ドスまりさの咆哮が森を揺らします。
それでも男達は耳を押さえるだけで驚いた様子も無い表情です。
「どうする?」
「そうだな、もういい加減溜飲も下ったし帰るか」
「よし、帰るか」

意外なほどにあっさり帰ってくれそうな様子をみてドスまりさは拍子抜けしました。

「あ、帰る前にちょっと待ってくれ」
思い出したように男の片割れがそういい、ドスまりさの方に歩いてきました。
ドスまりさはそれを呆然と見ていました。
突然こんなことが起こって疲れていたのでしょう。
「おがあしゃ!?」
「27匹目」
「あ、ずるい」
男はドスまりさにすがり拠っておかあさんの名前を呼び続けながら助けを求めていた子ゆっくりれいむを踏み潰しました。
その瞬間、ドスまりさの中で何かがプツンと切れる音がしました。



「ゆっぐりぢねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」



ドスまりさの口が開き、ドスパークが放たれました。
ドスまりさの近くに居て避け損なったその男は体の胸から下を消し飛ばされて吹き飛びました。
もう一人の男は辛うじて避けたものの右腕に火傷を負いました。
辛うじてドスパークを避けた方の男はその男に近寄って聞きました。
「大丈夫か」
「もう駄目だ、無念
あのデカブツを虐待しそこなった」
「後は俺に任せろ」
「頼んだ」
男は男の手を強く握りました。

生き残った男に看取られて、その男はゆっくりと目を閉じました。
無念と言った割には安らかな死に顔でした。
きっと友人のことを信頼して、自分がやりそこなったドスまりさの虐待を託せたからでしょう。

「よいしょ」
男は仲間の死体を背負っていいました。
「言うタイミングを逸してしまったのだが今懐に家に持ち帰って虐待しようと思っていたゆっくりの赤ちゃんが三匹居る
殺されたくなかったら武器を捨てろ
このまま俺を逃がせば危害を加えず放してやろう」
ドスまりさが耳を澄ますと確かに男の胸から小さなゆっくりの声がします。
「…わかったよ、ちゃんとあかちゃんははなしてね」
ドスまりさは冷静になって、男との取引に応じました。
男はそのまま森を出て行きました。
里が見えてくると男は子ゆっくりを放して里へと帰りました。


里に帰ると男は叫びました。
「誰か!誰かこいつを助けてくれ!医者だー!早く医者を呼んでくれー!」
その声に引かれて男の傍に来た人はその死体を見て悲鳴を上げてその悲鳴に釣られてまた人がやってきて
男の周りにはすぐに人だかりが出来ました。
「こいつは駄目だ、もう助からない」
駆けつけた医者が言いました。
「酷いな…妖怪に襲われたのか?」
自警団の男が聞きました。
「違う!ゆっくりだ!あのドスまりさだ!」
野次馬達はそれを聞いて驚きました。
「まさか、あいつらがそんなことをするなんて」
「何かの間違いだろう」
普段からドスまりさの群れと仲良くしている人たちは信じられないという顔をして口々に言い合いました。
「大体お前達は虐待お兄さんじゃないか
きっとゆっくり達に酷いことをしたんじゃないのか?」
愛でお兄さんは男のいうことは信用できないと眉をしかめて言いました。

「確かにあのゆっくり達に腹が立ったから取引と称してぼったくってやろうと思って行ったさ!」
男は懐からくず野菜やガラクタを取り出しました。
「それで適当にだまして、あいつらをからかって…そこまではよかった
それで俺達も溜飲が下ったんで帰ろうとしたらいきなり例の『ドスパーク』って奴で俺達を…!」
男は泣き崩れました。
無論、嘘泣きです。
虐待お兄さんをやっていくにはこういったスキルを身につけておくと便利なのです。
「それで、その後ゆっくり達に追われながらこいつを背負ってなんとか森を逃げ出して…
殺したのはその時だけだ、進行方向に居たから何匹か踏み潰した…」
辺りはしん、と静まり返りました。
男の嘘泣きのすすり声だけが辺りを支配しました。


「悪かった、信じるよ」
愛でお兄さんが男の肩をポン、と叩きました。
「確かにこの傷は何らかの熱線を喰らった傷だ
こんなこと出来るのは妖怪か魔法使いかドスまりさくらいなもんだろう」
医者が死体の切断面と男の右腕の火傷を見て言いました。

「しかしえらいことになったもんだ」
「そんな奴らがあんな風に里に下りてきてたなんて…」
「うちの子はあんな酷いことをする奴をリーダーにしたゆっくりなんかと遊んでいたのか!」
「おお怖い怖い」
「とりあえず里の長と慧音さんに報告した方が…」
里の人たちはこの事件のことで持ちきりになりました。
誰もが慌てて他の人と事件のことを話し合います。
特に慧音の回りはそのことを話し合って対策を練ろうとする人たちでごったがえしました。

あの後すぐにドスまりさの群れから事情をきちんと話すために送られてきたゆっくりれいむの話を聞く余裕などあるはずもありません。

「けーねおねーさんにあ゛わ゛ぜでええええ!!おはなしがあるのにいいいいいいい!ゆぶっ!どおじぶぶっ!」
れいむは誰にも気付かれること無く慌しく走り回る人々に踏み潰されて死にました。



「そういう訳でよろしいですかな皆さん」
「賛成!」
「当然の処遇だ!」
「是非も無い」
「決まったならすぐに実行するべきだ!」
「いやいやここは怪我人を出さないためにもしっかり準備をして…」
里の有力者達が集まって会議を行い、すぐにドスまりさの群れのゆっくりを
危険な存在として駆除することが決められました。
その席には慧音も居て、まずゆっくり側に事情を聞くべきだと主張しましたが
子ども達を危険なゆっくりと遊ばせていたことを激しく責め立てられて
反論も出来ずにそのまま押し切られてしまいました。


「行くぞ!みんな!」
「おう!」
「男の敵をとるぞ!」
強行策が圧倒的多数によりすぐに採択されてその日のうちに自警団が鍬や竹やりで武装して森の中に攻め入りました。

「いやあああああああああああ!!!」
「どおぢでごんなごどするのおおおお!?」
「わからない、どうしてちぇんたちばっかりこんなめにあうのかわからないよおおおおお!!」

朝の内に大打撃を受けて、碌に群れの建て直しも仕切れずに居たドスまりさの群れは瞬く間にその日二度目の大虐殺に遭いました。
ドスまりさは生き残ったゆっくり達をつれて森の奥へと逃げ出しました。
なんとか自警団の男達を振り切ったものの、追いつかれるのも時間の問題です。
「どおして…どおしてにんげんたちがこんなことするの…
れいむたちはただおそわれてしかたなくやっただけなのに…」
生き残ったれいむは呟きました。
「むきゅう…にんげんたちはきっとぎゃくたいおにいさんのいいぶんをしんじたのよ…」
ドスまりさの右腕のぱちゅりーが答えました。
「わかるよー…このままじゃみんなにんげんにころされちゃうよー…」
「だいじょうぶよ!きっとドスまりさがなんとかしてくれるわ!」
不安がるちぇんをありすが励ましました。

ドスまりさはそんな周りのゆっくり達の言葉を聴きながら、どうすればみんなを助けられるのかをひたすら考えました。
「とにかくけーねにじじょうをはなさないと…」
ドスまりさは呟きました。
事情を話しに行ったはずのれいむは帰ってくる様子がありません。
伝える前に何か事故にあったのか、それとも伝えたけれど人間に捕まったのか。
とにかくれいむが慧音に事情を伝えるのは失敗したように思われました。
「だったらとかいはのありすにまかせてね!」
「ゆ!?い、いまにんげんのところにいったらあぶないよ!」
「だいじょうぶ!ありすはちょくせつてらごやにいくぬけみちをしってるから!」
「ゆ…わかったよ…けーねにじじょうをはなしてなんとかわかってもらってね!」
「うん!ゆっくりまっててね!」
ありすが志願して、もう一度慧音に事情を伝えに行くことに決まりました。
不安でしたが今はとやかく言っている場合ではありません。

普段子ども達のところに遊びに行くときに使う秘密の抜け道を通って
ありすは寺小屋の近くにたどり着きました。
寺の中をのぞくとそこには慧音が机に座って何か仕事をしています。
頭を抱えて、何か酷く悩んでいるようでした。
「ゆ!やっとみつかった!けーねおねえさん!ゆっくぎゃべえええ!?」

「やっぱり来ると思ったよ」
ありすの頭の上にあの男の足が乗っかっていました。
「今慧音さんに事情を話されると、ひょっとしたら厄介なことになるかもしれないんでね
大勢は殆ど決しているがなんせ彼女は半分は妖怪、予想外の行動を取って大勢にも影響しうる
念のために子どもが襲われないよう寺小屋の警備をしたいと申し出てよかったよ」
「ゆううう!はなじで!とかいはのありずのうえにあじをのぜるなんでい゛な゛がもげぼっ」
男は最後まで言わせずに踏み潰してトドメを刺しました。
「しかしいい時代になった
ゆっくりを虐待しても友の敵を討とうとするという扱いなんだから
これもあいつのおかげだな」
男は死んだ友人のことを思い出して笑顔を浮かべました。


三日ほど経ちましたが、自警団の追跡は止みません。
どんどんドスまりさ達は追い詰められていきました。
「もうだめだよ…ゆっくりできずにみんなしぬんだよ…」
「わかるよー、もうおわりだよー…」
群れ全体に絶望感が漂っていました。

「………」
ドスまりさは考えました。
まずもう慧音に連絡しても無駄だと思いました。
何かいい考えは無いか、必死に考えてある一つの作戦を思いつきました。
しかしそれは犠牲を伴うやり方でした。
「むきゅう、なにかかんがえたみたいねドスまりさ」
右腕のぱちゅりーにそのことを見抜かれて、ドスまりさはその作戦について話して見ました。
「むきゅー、もう…それしかないでしょうね…
みんなにはなしてみましょう」
ぱちゅりーに促されて仲間達に話しました。
「ぞんなのだめええええええ!」
「ぞれじゃドズま゛り゛ざがぢんぢゃううううううううう!!」
「わ゛がら゛ないよおおおお!どおぢでドスまりざがぞごまでじなぐぢゃいげないのがわ゛がら゛な゛いよおおおお!!」
仲間達はその話を聞いて驚きました。
しかし、ぱちゅりーに説得され最終的にそれしかないという結論に達しました。

ドスまりさが考えはこうでした。
まず男を殺した罪を全てドスまりさが被れば仲間は助かるはずと考え
そのためには、全て狂ったドスまりさが勝手に行ったことということにすればいいのです。
人間達に怪しまれないためには何匹か、人間達の目の前でドスまりさにやられて
群れとドスまりさはもう仲間ではないことを見せなければいけません。
そして最後はドスまりさが暴れまわって人間の誰かに殺されれば
ゆっくり達も人間もドスまりさの被害者という落とし所にたどり着けると考えました。
そして新たにドスではない別のリーダーを立てて、一から人間との信頼関係を作り直すのです。
ドスまりさを二度と仲間にしないと誓えばきっとわかってくれるはずです。


ドスまりさに殺される役目はぱちゅりーと、その後志願した何匹かのゆっくりに決まりました。

また、最後のドスまりさが暴れる時に手加減をしたら狂言がバレてしまいかねません。
かといってこれ以上里に被害を出してはもう人間との共存は不可能でしょう。
ドスまりさが思い切り暴れても、里に被害を出さない方法が必要でした。

「そうだ!けーねおねえさんならドスまりさよりつよいよ!」
確かに慧音ならドスまりさを赤子の腕を捻るかのように簡単に倒してくれるでしょう。
里のことを考えてる彼女ならきっと周りに被害も出さないでしょう。
ドスまりさは慧音が居るときを見計らって寺小屋を襲うことに決まりました。
心苦しかったですがゆっくり達なりに彼女を信頼しての決定でした。

猶予はもはやありません。
作戦は次の日の朝に結構されることになりました。


「だずげでええええ!」
「むぎゅううううん!」
朝、再びゆっくり狩りに赴いた自警団の人たちの前にゆっくり達が現れました。
さあやっつけるぞと自警団の人たちが鍬やら竹やりやらを構えますがどうも様子がおかしいことに気付きます。
自分達を無視してゆっくりたちがこちらへ向かって逃げてくるのですからおかしいですね。
何事かと傍観していると、その後ろから目を真っ赤にして口からよだれをたらして笑い声をあげるドスまりさが現れました。
「ゆヒヒひひひひひひいいいいいいいいいいい!
みんなぢねえええええええええええええええ!」
ドスまりさは見事な演技で暴れまわりました。
自警団の人たちはその勢いに怯えた瞬間に吹き飛ばされていきます。
その魔の手はゆっくり達にも及びます。
「ゆべっ!」
「やべでドズまりぎゃあああああああああ!?」
「もっどゆっぐりぢだがっだあああああ!!」

次々とこの作戦に志願したゆっくり達が潰されていきます。
自警団はどうなっているんだと目を丸くしてそれを眺めていました。

やがて、ドスまりさの右腕のぱちゅりーの番がやってきました。
「…!」
ドスまりさは一瞬、動きを止めてぱちゅりーと見つめあいました。
ぱちゅりーは悲しそうに笑うと、声を出さないように「ゆっくりしていってね」
と口を動かしました。
「ゆっぐがあああああああああああ!!!」
ドスまりさは、心の中で何度もごめんねと繰り返しながらぱちゅりーを潰しました。

そしてドスまりさは狂った演技を続けながらどこかへと去っていきます。
「どうなっているんだ…」
自警団の一人が呟きました。
「おにいさん!たすけて!ドスまりさが!ドスまりさがおがぢぐなっぢゃっだのおおおおおおお!」
「ドスまりさがぎゅうにゆっぐりでぎなぐなっぢゃっだああああああ!」
「ドスまりさがみんなやおにいさんをころぢだのおおおおおおおお!」

自警団の男に縋り付いて、生き残ったゆっくり達は偽りの事情を話しました。
「なんてこった…」
自警団の隊長が呟きました。
「おい…あいつが向かった方向…寺小屋だぞ!!」
「なんだって!?」
事情を把握した自警団はすぐさま立ち上がって、泣き喚くゆっくり達を後にしてドスまりさを追いました。


ドスまりさの視界に寺小屋が入りました。
「ゆっぴいいいいいいいい!みんなしねしねみんなしねええええええええ!!」
ドスまりさは寺小屋へと突進していきます。
何人かの人間が止めようと喰らいついて来ましたが適当に弾き飛ばして進みました。
そのドスまりさの前に、遂に慧音が立ちふさがりました。
ドスまりさはゴクリと息を呑みました。
ここで、手加減をしてバレてしまっては全てが水の泡です。
ドスまりさは全力で向かっていくために息を吸い、目を瞑ります。
「ゆびゃっはあああ!しぬんだぜええええええええ!」
そして思い切り力をためて慧音を間に挟んで子ども達の居る寺小屋に向かって
全力全開のドスパークを放ちました。
ドスまりさの口から光の奔流が、まっすぐと伸びていきました。
「国符『三種の神器 鏡』」
慧音が片手をかざすと、鏡の様に丸くて大きな緑色の弾幕がドスパークをかき消したかと思うと
次の瞬間両側から現れた大量の苦無弾にドスまりさは貫かれてまるでサボテンのようになりました。

その一撃のみで、ドスまりさは動けなくなりました。
「ゆ…」
ドスまりさは全身を激痛に苛まれながらも慧音が期待通りに被害を出すことなく自分を倒してくれてよかったと胸を撫で下ろしました。
後はきっと仲間たちがうまくやってくれることでしょう。
ドスまりさは体の力を抜いて、このまま眠るように逝こうとしました。
そんなドスまりさにゆっくりと慧音が歩み寄って、そっと手を触れてささやきました。
「事情は大体察しが付く、仲間達のために狂言をやったんだな…?」
「…!ゆ…あ…」
ドスまりさは慧音の瞳をじっと見つめました。
ドスまりさは慧音が全て分かってくれたことが嬉しくて嬉しくて胸が熱くなりました。
「最初に事情を話したあの男達の性根が腐っているのも知っているから
あの男が嘘をついているのも、真相も最初から察しが付いていた
証拠となるものは何も無かったから動くことはできなかったが…」
そう言って慧音は振り向かずに親指で寺小屋の方を指差しました。
そこには最初にゆっくり達を殺したあの男が縄で縛られて捕まっていました。
「ゆぅ…ゆぅ…!」
ドスまりさは動かない体で必死にうんうんと慧音の言葉を肯定しました。
慧音は残念そうに俯きました。
ドスまりさは仲間のことも慧音がなんとかしてくれる
もうこれで思い残すことは無いと安心して、このままゆっくりと天国へ逝こうと思いました。

「慧音様!大変ですさっきゆっくり達に事情を聞いたら…」
自警団の男達が慧音のもとに集まり、今しがたゆっくり達に聞いた事情を報告しようとします。
「ああ、全てはこのドスまりさが狂ってやったことだ」
「でしたら残ったゆっくり達は…」

「殲滅する」


慧音が言い放ったその言葉に場が凍りついきました。
「…え?」
「し、しかし慧音様…」
「残ったゆっくりもそいつの仲間だ、同じ様に狂って人間を襲うかもしれない
ドスでなくても成長して巨大ゆっくりになって襲われればまた同じような悲劇が起こるかもしれない
その危険性は今回の件で示されたはずだ
私もこのゆっくりにトドメを刺したらすぐに向かうから先に行ってくれ」

「…わかりました」
自警団の人達はさっきのゆっくりを殺すために来た道を引き返しました。

「どぼぢっ!?がぼぁ!」
ドスまりさは何故なのかと慧音に話かけようとしますが言葉になりません。
慧音はもう一度ドスまりさの体に手を当てて悲しそうに言いました。

「どうして私達を信じて最後まで事情を話そうとしてくれなかったんだ
あと一度…あと一度伝えに来てくれれば今度こそちゃんと伝わったはずなんだ
そしたら少しでもお前達を助けるために動くことが出来たはずなのに…
だから信じて待っていたのに…何故よりにもよってこんなことをした?
もし私がお前の技を防ぐ力がなかったら、何かの拍子で防ぐのに失敗したら
外で遊んでいる子どもが飛び出したりしたら…
あの子達の誰かが死んでしまったのかもしれないんだぞ!?」

「ま゛、ま゛り゛ざだぢはげぇね゛をぢんじで…」
ドスまりさは最後の力を振り絞って喋りました。

「そんなものは断じて信頼では無い!」
優しくドスまりさの体に触れていた慧音の指に力がこもり、ドスまりさに爪を立てました。
「私には…どんな事情があろうと子ども達に刃を向けたお前や、そのことを肯定し協力したお前の仲間達を
もう信じることも許すことも出来無い

いっそ、本当に狂っていてくれればと思って尋ねては見たが…本当に残念だ」
慧音は本当に残念で悲しそうな表情を浮かべて首を横に振り、手を離しました。

「ゆ゛、ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


「虚史『幻想郷伝説』」

本当に狂ってしまったのではないかというほど凄まじい後悔の断末魔を上げるドスまりさを
慧音が放った赤く鋭い弾幕達が貫いていき、やがて最初からドスまりさなんて居なかったみたいに完全に消し飛ばしました。



「美しいな、弾幕美ここに極まれりだ
死んだあいつにも見せてやりたかったよ」
寺小屋の横で縛られたあの男は、ウットリとしながらその様子を見ていました。

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最終更新:2008年09月14日 08:09
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