ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後②


翌日、青年の休暇も終わり、今日から再び仕事に行くことになった。
家を建てるくらいの金があるんだから仕事なんて辞めればと思うかもしれないが、青年は仕事にやりがいを感じているので、辞めようとは思わなかった。
しかし、今日からも一家の虐待を止めるつもりは全くない。青年が仕事に出ている最中も、しっかりと恐怖を味わってもらうつもりだ。
具体的にいえば、昨日したことを全部していくということだ。
青年は朝のうちに虐待の準備をすべて済ますと、「れいむ、仕事に行ってくるからな!!」と家を出て行った。


「おがあざああん!!! おながずいだよおおおぉぉぉぉ!!!!」
「ごはんぢょうだいいいぃぃぃ――――!!!」

注射を打たれ、空腹で目が回ってきた子ゆっくりが、両親に泣きわめく。
胃液分泌薬と一緒に栄養剤も言っているので、一日の必要栄養的には何ら問題はない。
しかし、昨日今日と連続して口から物を通していない一家は、食の満足感が全くない。
その一家の目の前では、れいむの映像が延々と流れていた。

『れいむ、今日はハンバーグだぞ!!』
『ゆー!! れいむ、はんばーぐだいすきだよ!!』
『ほら、熱いから気をつけろよ』
『ぱ~く!! ゆゆゆゆゆゆゆっ!!! あじゅいよおおおぉぉ!!!』
『だから言わんこっちゃない!! ほれ、水だ』
『おにいさん、ありがとう!! ごーくごーく、すっきり♪』
『よくフーフーしてから食えよ』
『ふーふーふー……むーしゃむーしゃ、しあわせ~♪♪』
『うまいか、れいむ?』
『おいしいよ、おにいさん!!』 

「れぇぇぇいぃぃぃむぅぅぅのぉぉぉぐぅぅぅぜぇぇぇにぃぃぃぃぃぃぃ――――!!!」
「ざっざとぞのごはんをまりざだぢによごぜえええぇぇぇぇ―――――!!!」
「おがあざんにざからうなんで、どがいはのすることじゃないわあああぁぁぁぁ――――!!!」
「でいぶはざっざとじねえええぇぇぇぇぇ――――!!!」

そんな空腹で我を忘れる一家に、映像のれいむはひとこと、

『しあわせ~~~~♪♪♪』

「ゆぎゃああぁぁぁぁぁ―――――!!!!」
「まりざをむじずるなああぁぁぁぁぁ――――!!!」
「でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜにいいいいいぃぃぃぃぃ――――!!!!」

しばらくれいむの食事風景が流れていたが、一時間もすると、今度は映像が切り替わる。

青年『どうだ、うちのれいむは?』
野良まりさ1『ゆゆっ!! こんなきれいなれいむ、みたことがないよ!!』
野良ちぇん『わかるよー!! とってもいいにおいがするよー!!』
野良まりさ2『ま、まりさとゆ、ゆっくりしていかないか?』
野良ぱちゅりー『むきゅう。うらやましいわ』
野良ありす『ま、まあ、ありすにはかなわないけど、まあまあきれいね!!』
れいむ『ゆー……れいむ、きれいなんかじゃないよ』
野良まりさ2『なにいってるんだぜ!! きれいだぜ!!」
野良ちぇん『わかるよー!! きれいだよー!!』
れいむ『ゆー……』
青年『ははは、うちのれいむは恥ずかしがり屋さんだから、そんなに綺麗綺麗言ってやるな。まだ子供なんだぞ。それに髪についてはあんまり触れてやるな。世の中には髪の毛のない恥ずかしいゆっくりだっているんだぞ』
野良まりさ1『ゆゆっ!? かみのないゆっくりなんているの?』
青年『それがいるんだよ。今度見せてやるよ。爆笑間違いなしだぞ。腹がよじれない様にしっかり腹筋鍛えておけよ、腹筋ないけど……』
野良ぱちぇ『むきゅ!! きょうみぶかいわ!!』
野良まりさ1『はやくみたいよ!!』
野良ありす『かみのけがないなんて、ほんといなかものね!!』
野良ちぇん『わかるよー!! おおわらいするよー!!』
野良まりさ2『みんなでゆっくりばかにしてやろうぜ!!』


「ゆがあああぁぁぁぁぁぁぁ――――――!!! ありずだっで、ぎれいながみがあっだのにいいいいいぃぃぃぃぃ―――――!!!!」
「ありずはいながものじゃないわあああぁぁぁぁぁぁぁ――――!!!!」
「じじいのぜいだあああぁぁぁぁぁ―――――!!!」
「でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜに!! でいぶのぐぜにいいいいいぃぃぃぃぃ――――!!!!」

怒りで目を見開き、映像に向かって罵倒しまくる一家。眼がとても充血している。
しかし、それが悪かった。
あまりに大きな声を上げすぎたせいで、段ボールの中にいる、奴を目覚めさせてしまった。

「う~♪ なんかうるさいんだど~♪ れみりゃをおこすのはだれだど~♪」
「れ、れみりゃだああぁぁぁ―――――!!!」
「ここはどこだど~♪ れみりゃはおなかがすいたど~♪」
「ゆぎいいぃぃぃ――――!!! たずげでええぇぇぇ――――!!!」
「あ、おかしをみつけたど~~♪ たべちゃうど~~♪」
「いやああぁぁぁ!!! ありずをだべないでえええぇぇ!!! おがあさん、だずげでえええぇぇぇぇ!!!!」
「いやあああぁぁぁぁ!!! ありすのごどもがあああぁぁぁぁ―――――!!!!」
「うるさいど~♪ れみりゃはこれをたべるんだど~~♪ さっさとはこからでるんだど~~♪ おかしのくせになまいきだど~~♪」
「ゆぎいいぃぃぃぃ――――!!! いだいよおおおおぉぉぉ――――!!! にぎりじめないでえええぇぇぇぇ――――!!!」
「さっさとはこからでるんだど~~♪ なんででないんだど~~♪ れみりゃはおなかがすいたから、さっさとでるんだど~~~♪」
「いだいいだいいだいいだいいだいいだい…………!!!!」
「もういいど~~♪ そっちのおかしをたべるど~~♪」
「ゆぎゃあああぁぁぁ――――!!! まりざのどころにごないでええぇぇぇ―――!!!」
「だめだど~~♪ たべちゃうど~~♪」
「いぎゃいいぎゃい!!!! おどうざああああんんん――――!!!」
「やめでえええええええぇぇぇぇぇ!!! まりざのこどもがああぁぁぁぁぁ――――!!!」
「こっちのおかしもはこからでないんだど~~♪ もういいど~~♪ つぎはそっじのでっかいはこにするど~~~♪」
「ま、まりさはおとなだから、うまくないんだぜ!!!」
「れみりゃはおっきいほうがいいど~~♪」
「ゆぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――!!!!!」

れみりゃはおかしが箱から出ないと気付いては、箱を行ったり来たりしている。
いつ自分が食べられるのではないかと、一家は気が気じゃない。
部屋の中は、一家の鳴き声と叫び声で充満していた。
隣では再び場面が変わり、れいむが大口を開けて、桃を一口で食べている映像が流れているが、一家にとってはそんなことを気にしていられる状況ではなかった。

夕方、青年は職場から帰ってくると、虐待部屋に行くことなく、れいむとゆっくり食事を取り、遊び、風呂に入ってゆっくりしていた。
ようやく部屋に行ったのは、れいむが寝付いた夜中であった。
部屋に入ると、昨日と同様、ゆっくりゃと一家の鳴き声が青年を迎えてくれた。

「うああああぁあああぁぁぁぁん!!! れみりゃはおながずいだど~~!! おがじのぐせになまいぎだど~~!! ぷっでぃ~んだべだいど~~~!!!」
「いだいよおおぉぉぉ―――!!! なんでまりさだげ、ごんなにながいのおおぉぉぉ―――!!! はやぐあっぢにいっでよおおぉぉぉ――――!!!」

見たところ一家は誰一人かけていないようだ。
しかし、ゆっくりゃを含めた全員が全員、疲労を全身で表わしている。うむ、満足満足。
青年は昨日同様、れみりゃの後ろから麻酔を打ち込み、れみりゃを眠らせた。
れみりゃは知能があれなので、今日の出来事など一晩経てばすっかり忘れているから、明日もまた一家相手に頑張ってくれるだろう。
今日はたまたま一家の大声で間が覚めたが、例え一家が騒がなくても、この麻酔は半日くらいの効果なので、遅くても明日の正午には起きだしてくる。
そんなれみりゃが栄養不足で死なないように、一家同様栄養剤を打って、段ボールの中に寝かせてやった。

「おじさあああんんん―――――――!!!! もうゆるじでええええぇぇぇぇ――――!!!!」

れみりゃを段ボールに片づけた青年に、父まりさが懇願する。
母ありすと子ゆっくりは、れみりゃの脅威からやっと解放されるや、ばったりを倒れた。体力的なこともあるが、それ以上に神経をすり減らしすぎたのだろう。
さすがに父まりさは一家の大黒柱だけあって、体力は随一のようだ。

「ふむ、なら『まりさは愚図です。ハゲです。れいむ、ごめんなさい』って1000回言ってみな。そしたら考えてやらんこともない」
「ゆっ!? まりざはぐずでもはげでもないよ!! それになんでぐずのれいむにごめんなさいなんていわなきゃならないの!!」
「ま、言わないなら言わないで構わんよ。明日もれみりゃに食べられない様に頑張ってな」
「ゆうううぅぅぅぅ――――!!! なんでええええぇぇぇぇ――――!!! まりざだぢなんにもわるいごとじでないのにいいぃぃぃぃ――――!!!」
「……お前、じつはそこに居たいんじゃないか?」

自分で自分の首を絞めるまりさを見ていると、本当はそこに居たいんじゃないかと思えてくる。
まあ、例え1000回言ったとしても、「考えたけど、やっぱり駄目」とか言って、出すつもりはさらさらなかったのだが……
あれだけの恐怖を味わってもこんなセリフが出るくらいだ、少なくとも二週間は持つだろう。
「おねがいでずううぅぅぅぅ――――!!! だずげでええぇぇぇ―――!!!」と五月蠅いまりさを尻目に、青年は部屋を出て鍵を閉めると、床についた。


あれから一週間が経過した。
青年は毎日職場に行く前に、一家に栄養剤と空腹剤の注射を打っては、ビデオを回していった。
最初の三日ほどは、相も変わらず、ビデオ相手にさんざん罵声をまき散らし、昼ごろに目を覚ましたゆっくりゃに脅え震え痛い思いをする毎日。
しかし、さすがに四日も過ぎると、一家の様子が変わってきた。というのも、敵がゆっくりゃだけじゃなくなってきたのだ。
いい加減同じことを三日もすると、一家の神経も限界まですり減らしすぎたのか、一匹の子まりさが、まりさ種特有のスキルを発揮した。

「まりざよりあっぢのありずのほうがおいじいよおおぉぉぉ―――!!! だがら、まりざだけはだべないでええぇぇぇぇ―――!!!」

子まりさの裏切り行為である。
これを聞いて、今まで鉄の結束を誇っていた一家がガタガタに揺れた。

「なんでぞんなごどいうのおおぉぉぉぉ――――!!!」
「そんなごどいうわるいいもうどは、れみりゃにゆっぐりだべられろ!!!」

最初は一匹の子まりさの裏切りだった。
しかし、それをきっかけに、他のまりさ種も「あっちの~のほうが…」と裏切り、それに対抗するように「ばかな~はゆっくりしね!!」と反抗する。
精神が摩耗しきった一家には、既に鉄の結束はなく、最初はなんとか止めようとしていた両親も、「おかあさんからたべられてね!!」という子供の言葉に遂に切れて、家族は見事バラバラになった。
今まではゆっくりゃだけが敵だった。捕まっても、家族全員で「がんばってね!! たえてね!!」と励ましあっていた。
しかし、今では家族全員が敵同士になる始末。
これで全員が同じ箱に入れられていれば、皆殺しで終わっただろう。
しかし、一家は分断された箱の中。ゆっくりゃ以外接触することは出来ない。
ゆっくりゃに誰かが捕まれば「ゆっくりたべられてね!!」と、家族全員からの大合唱。
一旦れみりゃに捕まってしまえば、部屋中の全員が敵。一家に休まる時間など皆無だった。



同じことを延々と繰り返し二週間。一家の肉体と精神は、すでに極限状態まで達していた。
一家の唯一の共同作業は、誰かを罵倒するときだけ。
しかも、最近は自分たちがれいむより愚図なのではないかと思うようになっていた。
毎日、美味しいものもを食べては日々綺麗になっていくれいむに比べ、自分はこの二週間何も口にせずに、しかも毎日体力と神経をすり減らしたことで、もちもちだった皮も、今ではすっかり瑞々しさを失っていた。
家族との結束があれば、全員でれいむを罵倒し、多数決の理論でプライドを保っていられただろう。ブスのグループが綺麗な女の子を妬んで、全員で悪口を言うようなものだ。
しかし、いざ一人になると、そんなれいむと今の自分を比べ、今のれいむが綺麗で幸せであることをいやでも認めざるを得ない。内心では今の自分とれいむを比べ、どちらが上であるかなど、頭の弱いゆっくりでも分かっているのだ。
さらには、今や敵である家族に「おまえたちは、れいむいかだよ!!」と親がれいむと子ゆっくりを比較すれば、子ゆっくりたちも「れいむのほうがかわいかったよ!!」と、姉妹とれいむを比べる始末。
一家のアイデンティティもプライドも、この時すでに崩壊した。
しかし、一家は狂えない。狂えればどんなに楽か分からない。しかし、狂えない。
毎日昼になれば、ゆっくりゃによる痛みが全身を襲うのだ。
狂いたくても、痛みが一家を否応なく現実に引きもどす。
毎日、死にも等しい恐怖と痛みを味わい、しかも愚図のれいむより愚図な自分。
もはや、生きている価値があるのだろうか?
一家はそんな哲学的なことまで考えるようになった。



そんな日々が、薬が無くなる二週間後まで続けられた。



一月後、青年はその様子を見て、そろそろ潮時かと考える。
一家の今の状況を見て、青年の溜飲も完全に下がっていた。
これはれいむの為というより、れいむを馬鹿にされたことに腹が立った青年の自己満足に過ぎない。
青年はゆっくりと一家に話しかける。

「れいむはあんなに幸せなのに、そのれいむより上の存在であるお前らは、なんでこんなに苦しい思いをしているか分かるか?」
「……わからないよ」
「なんだ、もう言い返さないのか? 自分たちのほうがれいむより幸せだよ、とか。まあ、そんな気力ももう無いんだろうな。なら、教えてやるよ」


「お前たちのほうが、れいむより下の存在で愚図だった、というだけだよ」


「……………」
一家は何も言わない。
言うだけの気力もないが、それ以上に、そんなこと二週間目の時点で分かっていた。

「俺はな、お前らがれいむにしてきたことを、そのままお前らにしてやっただけなんだよ。こういうのを因果応報っていうんだ。よく覚えておけよ」
「……………」
「ホントは薬が無くなった時点で殺そうかと思ってたんだが、なんか今のお前ら見てたら、殺す気もなくなったわ。もう出してやるよ」
「……ころしてよ」
「殺してほしいのか?」
「うん……いきてても、もうかぞくいっしょにいられないよ。いきてるほうがつらいよ」

父まりさの言葉を、他も一家にも聞き返す。
母ありすも子ゆっくりたちもそろって、「……ころしてよ」と、気力を振り絞って答えた。
これが家族最後の共同作業であった。

「……いいだろう。まあ、最後の情けだ。痛みも感じる間もなく、一瞬で殺してやるよ」
「ありがとう、おじさん……」

こんな目に合わせた張本人にありがとうとはな……
確かにこんな廃人一歩手前では、例え生かしてもすぐに死んでしまうだろう。死んだほうがどれだけ楽か分からない。

青年は最初に持ってきた木箱の中に一家を入れていく。
殺してやるとは言ったが、ここで殺すと餡子やクリームが飛び散るので、さすがにここではしたくない。
青年は一家の入った箱を担ぐと、部屋のドアを開けて、箱を出し、鍵を閉めた。
麻酔を打たれているとはいえ、ゆっくりゃがいるので気を抜くわけにはいかない。
今はれいむは、居間で昼寝をしているはずだ。素早く一家を外に運び、ひと思いに潰して帰ってこよう。
青年は廊下を歩き、玄関まで箱を運んだ。

しかし、神が最後にいたずらをしたのだろうか? 箱を担いでいて前の見えない青年が、玄関の段差に躓いて盛大に転んでしまった。

「痛ってえええぇぇぇぇ――――!!!」

青年が持っていた木箱が投げ出され、大音量を上げて破壊される。
箱詰めの一家は、玄関に投げ出された。
玄関は防音加工していないので、そんな音に目が覚めたのだろう。

「おにいさんん!!!! けがしたのおぉぉ!? いまのすごいおとどうしたのぉ!?」

れいむが青年の叫びと箱の破壊音で目を覚まし、青年が怪我をしたのでは? と、急いで玄関に駆けつけてきたのだ。

「れいむ、来ちゃだめだ!!!」

青年はれいむにここに来るなと、大声で叫ぶ。
しかし、自分の大好きな青年の一大事かもと、れいむは青年の言葉を初めて無視して、玄関に走った。
青年がしまった!! と思っても、後も祭り。
合わせたくなかったれいむと一家が、玄関で邂逅してしまった!!


一家は玄関の一段下から、廊下のれいむを見上げていた。
あれが本当にあの愚図のれいむだろうか? 昨日見た時より、また一段と美しくなっている。
一家は最後まで気づかなかったが、一家が見ていたのはビデオの映像。しかも、一週間前に撮影したものだ。
一家からすれば、たった一日でさらに綺麗になったと思っても不思議ではない。

父まりさは死ぬ前に声をかけようと思った。
傲慢なまりさだが、自分があんな目にあって初めて理解出来た。自分は、あんなに酷いこと、ずっとれいむにしてきたのだ。
母ありすも声を掛けたかった。
なんであんな綺麗で都会派なれいむを苛めてたんだろう。むしろ、あんな子が自分から生まれてきたなんて誇らしいじゃないか。実に都会派じゃないか。

「れ、れいむ……その……まりさ、いままでれいむのこと……」

「れいむのこといじめてごめんね」
まりさはそう言おうと思った。
しかし、まりさの後半の言葉は、れいむの言葉によってかき消された。

「ゆゆっ!! かみのないゆっくりがいるよ!! おにいさん、ほんとうにいたんだね!!」
「れ、れいむ!?」
「かみのないゆっくりさん、ゆっくりしていってね!! れいむとおともだちになってね!!」

れいむは家族に向かって、まるで初めて会ったかのような対応を示す。
これには、一家ばかりか青年も驚いた。

「なあ、れいむ。あれが誰だか分からないのか?」
「ゆっ? おにいさん。れいむ、はじめてあったよ!!」
「は、初めてって……本当に分からないのか?」
「ゆー……そんなこといわれても、わからないよ」

通常、ゆっくりは髪飾りで個体を識別する。
これは実験結果からも明らかで、リボンや帽子をしていれば、例えどんなに顔が変わってもゆっくりには分かるし、逆に無ければ、例え家族ですら個体識別が出来なくなる。
確かに今の一家は青年によって髪は剃られているが、しっかりと帽子やカチューシャはしているのだ。判別できないはずがない。

「れ、れいむ、まりさはれいむのおとうさんだよ!!」
「ありすはおかあさんよ!!」

一家はれいむがなぜ自分たちを知らないのかが分からなく、大声で呼びかける。
しかし、れいむは首をかしげ、考え込んでいる。

「れいむにおとうさんもおかあさんもいないよ。れいむのおとうさんとおかあさんは、れいむがちいさいころにしんじゃったんだよ。ゆっくりうそをつかないでね!!」
「うそじゃないよ!! まりさがれいむのおとうさんだよ!!」
「うそつきはどろぼうのはじまりだって、おにいさんがおしえてくれたよ!! そんなうそをつくゆっくりとは、ゆっくりできないよ!! ぷんぷん!!」

れいむは嘘つきとは一緒にいられないとばかりに、プリプリ怒っている。
青年が怪我をしていないことを確認すると、頬を膨らませて、来た廊下を戻っていった。
青年はそんな光景を見て、なんとなく状況が理解出来た。
れいむは、青年との生活をするようになって、過去の辛く悲しい生活を忘れ去っていたのだ。
人間でも、虐待を受けた子供が自己を防衛するため、虐待時の記憶を忘れたり、脳の奥底に記憶を封印したりすることが稀にある。
おそらくれいむは、自己を保つために、虐待時に記憶の部分に、自分の都合のいい記憶を改ざんしたのだろう。
自分には家族がいない、家族はすべて殺された、やさしい青年に助けられた、というように……


「……れ、れいむ」

まりさが、れいむの後ろ姿を見て小さく洩らす。
まりさに限らず、一家全員がその光景を呆然と眺めていた。
今まで散々苦しい目にあった。
初めはれいむがご飯を食べているのを、全員で罵倒した。
れいむが綺麗になっていくのを、全員で貶した。
しかし、徐々に自分がれいむより下なんだと理解していくようになった。
なんで自分はれいむにあんな酷いことをしていたのか、考えるようになった。
れいむと偶然再会した。チャンスだった。
れいむに謝ろうと思った。
しかし、れいむはそんな一家のことなど、すでに頭の片隅にもなかった。
一家は最初から最後まで、一人相撲を取っていたのに、たった今気がついた。

「ゅゅ……ゆゆゆ…………ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ――――――――!!!!」

まりさは玄関で笑った。笑い続けた。
釣られるように、ありすや子ゆっくりも、乾いた笑い声を上げていく。
青年はそんな一家を外に出し、少し離れた場所に連れていくと、足を高くあげ、踏みつぶしてやった。
一家は最後の最後まで、狂ったように笑い続けていた。


終わり








ちょっと最後が弱かったかな。

坊主の人、もしこれを読んで怒ってたらごめんね。
作者も、高校球児だったので、小学校の時からずっと坊主でした。
坊主なら頭じょりじょりは誰でもやられた経験があるはず。

ちなみに作中のビデオテープは3時間テープを3倍で撮ったもの。
終わればそれを自動で巻き戻し、最初から繰り変えすような仕様です。
だからテープは変える必要がないよ。


今まで書いたもの
  • ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす
  • ゆっくりいじめ系452 表札
  • ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦)
  • ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前
  • ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中


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最終更新:2008年09月14日 07:48
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