そのちびれいむは、ずっと妹が欲しかった。
親れいむが病弱であり、植物的出産でありながら自分一人しか茎から生えなかったため、仲のいい姉妹が欲しかったのだ。
他のゆっくり家族に可愛いちびゆっくりがいるのを、いつもうらやましそうに眺めていた。
だから、親れいむがもう一匹の赤ちゃんを茎で生やしたとき、とても嬉しかった。
これで自分にも妹ができる。たくさんかわいがって、たくさんゆっくりさせてあげたい。
そう思って、毎日赤ちゃんに声をかけ、ほっぺをすりすりしてあげていたのだ。
だが、その希望は呆気なく潰えてしまった。
早すぎた出産。まだ妹れいむが生れ落ちる準備もできていないのに、親の体調が急変し、未熟なまま妹れいむはこの世に産み落とされた。
地面を力強く蹴って元気に跳ねるための体は、表皮がしっかり作られていないので立つことはおろか動くことすらできず、ただぶよぶよと体を揺らすだけ。
輝きを湛え、姉としての自分の姿を映してくれる筈だった瞳は、どこにも焦点を合わせることなく虚空を彷徨っている。
おねえちゃん、と甘えた声を出してくれるのを期待していた口からは、「ゆっくりしていってね!」も聞くことが出来ず、
イビツで壊れた鳴き声しか聞こえてこない。
自分の思い描いていたそれとあまりにかけ離れた妹の姿を見ながら、れいむはゆっくりと理解した。
この子は、ゆっくりできない子なんだと。そして、元気に自分の後をついてくることはこの先ずっとできやしないのだと。
エサをれいむから口移しで食べさせられるまま、壊れたレコード盤のように変わらない鳴き声を繰り返すだけの妹に、
ちびれいむは今日もひっそりと涙するのである。
挿絵:【未熟児ゆっくり.jpg】
ちびゆっくりの人です。
そろそろ自分のHNも決めていい頃かなと思ったり(`・ω・´)
とりあえず『クラムボン』でお願いしますー。
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最終更新:2008年09月14日 07:06