ゆっくりいじめ系539 少女と饅頭が地下室で

少女と饅頭が地下室で


トスッ
「いだいぃぃぃぃぃ!!」
「あ、おはよう~。きょうはまりさだったね」

今日もゆっくりの悲鳴で、私は目覚める。
いや、この悲鳴が聞こえているということは、この悲鳴より前にすでにおきていなければならないということであり,
実は私の目覚めとこの悲鳴はほとんど関連性はないのだが,とりあえず私の朝はこれから始まるのだ。
私は七時にセットされていたゆっくり目覚まし(時間になったら包丁が落ちてきて、箱に固定されたゆっくり刺さってそれが悲鳴を上げるというシンプルなもの)が,
今日もしっかり動いていることに満足して、着替えを始める。
スイッチは切らずに放置してあるので,このまま五分毎に新しい包丁が落ちてきて新鮮な悲鳴を上げてくれることだろう。
包丁は13本用意してあるから,一時間後に切ればいい。一本落ずつ微妙に包丁の落下地点がずれているため、全部刺さってくれるはずだ。

トスッ
「ま、まだささっだぁぁぁぁぁ!!おねえざんみてないでたずげでねぇぇぇぇ!!」
「今日の朝食なーにっかなー。昨日みたいにジャムパンと納豆とかじゃなければいいのだけれど」

五分ほど経って着替えが済んだ私は、いつものごとく朝食を取りに行く。
朝食の配給場所は、地上へ繋がる扉のすぐ右にある。
私は朝食を受け取る前にその扉のドアノブをひねってみるが、やはり鍵がかかっていてびくともしない。
もう幾度となく経験したその結果に、もはや私は何も感じずに隣のダクトから今日の朝食を受け取る。
焼いた鮭に、納豆、サラダ、味噌汁、そしてご飯という、和食だけど野菜足らなかったので付け足しました的な献立が母らしいな、と思った。
ちなみに、このご飯を運んでくるダクトも一応地上へと繋がるものではあるが,ここから出口へ出ることは出来ない。
出口側に鍵がかかっているのだ。鍵が開いているときは、すなわち人がいる。
私は幾度となく脱出を試みていたが、三ヶ月ほど頑張ったあとはもう諦めた。今では試すのも馬鹿らしい。
軟禁生活六年という私にとって,それは自明の理といえた。

トスッ
「ぎぃぃぃぃ!!あんこがとびでるよぉぉぉぉぉ!!はやくぬいてねぇぇぇぇ!!」

私はダクトに残っているトレイに、『成体{ま1 れ1}・幼生{ま2 れ2}・家族』と書いた紙を置いて、トレイについている紐を二度引っ張る。
するとトレイはそれに反応して、私の書いた紙と共に地上にむけて上がっていった。
これで明日になれば、頼んだものがやってくるだろう。ストックがなくなってきたから補充だ。
きっと私が寝ている間に、サンタさんのようにこっそりと置いていってくれるだろう。

私はお盆に載せた朝食を寝室まで持ってゆき、ベッドの近くにある、ベッドと同程度の高さである棚に乗っける。
布団に腰掛けながら食べるためだ。だらしがないとか、行儀が悪いとか、そんなことは知らない。

トスッ
「い、いだいよぉぉぉぉ。きぼじわるいよぉぉぉぉ。おねがいだからまりざのごどはやぐだずげでぇぇぇぇ」
「いっただっきまーす!」

私は、しっかりと両手を合わせ、三日前に私が作り上げた神様に大地の恵みを感謝してから朝食に手を付けた。
まずは、嫌いな納豆から。このねばねばと臭いはどうも苦手だ。急いで口の中に掛けこんで、できるだけ食感を感じないようにすばやく飲み込む。
そして後に残るねばねばも、ご飯を口の中に含んで存分に租借して,綺麗さっぱり掃除する。

トスッ
「い゛ぃぃぃぃぃぃ。ま、まりざのあんこ……がえ゛じで……」
「うー、やっぱ納豆は苦手だなぁ。お母さんも私がこれ嫌いってわかったるくせに、なんでいっつも納豆付けてくるかなー」

しかし、難所はもう突破した。あとはそこまで嫌いでないものばかりだ。
次は鮭。骨が入っていないかしっかりと確認し、小骨があれば箸でつまんで取り出す。
しっかりと骨がないことを確認してから、私はようやく鮭を口の中に放り込んでみるも、味はまったくしない。
これは母の意地悪ではなく、ただ私が4年程前から味覚障害なだけだ。たぶんストレスのせいだと思う。
記憶を辿って鮭とはどんな味だったか想像だけでもしようと試みるが、味覚というのは思い出すのが難しい。結局何も思い出せずに食べ終えてしまった。

トスッ
「ゆ゛!………………」
「味覚もしっかりと記憶できるといいんだけどねー。あんこだって食べてもぜーんぜんあまくないし」

残ったのは味噌汁とご飯。私はねこまんまにはせず、ご飯を食べて、そのあと味噌汁を少し飲むという上品な感じに食べた。
ねこまんまも悪くないが、あれではご飯を早く食べ過ぎる。早食いはいけない。味わわないといけない。母との接点はこれだけなのだから。

トスッ
「………………」
「ごちそーさまでした」

私は神ミカエル(三日前に作った神だから。明日は神ヨカエルになると思う)に感謝の念をささげて、朝食を終える。
ゆっくりまりさが喋らなくなったが、おそらく死んだフリなので放置。
私は、寝室についてある扉からバスルームへ移動した。
バスルームはピンクのタイル張りの部屋で、そこにはトイレ,洗面台,お風呂,などバスルームとしてほしいものは一通りそろっている。
また湯船は、未来の私に合わせてか少し大きめに作ってあるのか、今の私にはすこし広い。
そこについている洗面台から私は歯ブラシをとって,歯磨き粉をたっぷりと付ける。
そして、寝室に戻って串刺しになっているまりさを眺めながら、歯磨きを開始した。
そのとき、まりさの目にほのかに生気が戻ったのを私は見逃さなかった。やはり、死んだフリだ。
自分にようやく注目してくれたことから、たすけてくれるかもしれないという希望がわいたのだろう。

トスッ
「ひぎぃぃぃぃ!!おねえさんはやくこれとめてぇぇぇぇ!!」

しかしいつまで経っても私はまりさをたすけなかったので,ゆっくりまりさは死んだフリから命乞いにシフト。
ゴシゴシ。

トスッ
「おでえさん、おねがい……まりざなんでもするがらだずげで……」

ゴシゴシ。

トスッ
「まりさにはかわいいこどもがいるんだぜ……まりざがしんだらこどもたちもしんじゃうんだぜ……」

ゴシゴシ。

トスッ
「いだいよぉ……ゆっくりざぜで……」

磨きすぎて口に泡が溜まってきたので,いったん洗面台まで行って排出して来る。
そして再開。ゴシゴシ。

トスッ
「どぼじでごんだごど……」

さすがに一回泡を吐いてきたせいか、これ以上磨いてもあまり効果はなさそうだ。
私は洗面台まで行って、口の中を漱いだ。約25分という、普通の人から見れば長い歯磨きだったが、私にとってはこれが普通だ。
ついでに顔を洗って、顔の油を洗い落とす。まだ少し残っていた眠気もこれで完全に消え去った。

トスッ
「……………………」

私は目覚ましとして役に立たなくなってしまったゆっくりから包丁を引き抜き,スイッチを切って再び明日の朝七時にセットしておく。
動かなくなったゆっくりまりさは、食器とともに地上へ送り返しておいた。
そのあと、倉庫の棚の中にしまってあった箱入りゆっくりれいむを取り出した。この倉庫は防音加工だから、今起きたことはわかっていないだろう。
そして上辺だけ開け放たれているゆっくりれいむの入った箱(もちろんれいむは固定してある)を、私が見える位置においておく。
中に閉じ込められているゆっくりれいむが、私を見つけて不満の声を上げた。

「ゆっくりここからだしてね!いまだしてくれればゆるしてあげるよ!!」
「えーっと、ここにセットして……あ、間違えたこっちだった」

私はそれを無視して、包丁をセットする作業を続けた。
包丁はあんこを取ることもなくそのまま再利用。ゆっくりは皮膚が柔らかいから多少切れ味が悪くなっても問題ない。

「むししないでね!!さっさとれいむをここからだしてね!!れいむほんきでおこるよ!」
「ごめんね。私には出来ないの。その箱硬いから」
「ゆゆ!おねえさんやくたたずだね!!ごみくずのおねえさんはさっさとしんでね!!」
「これがこっちで、うん、こうだね」
「もう!むししないでっていってるでしょ!!おねえさんばかなの!?」

あまりにうるさかったので、私はとりあえず嘘をついておく。
それでもれいむはひたすら私に罵声を浴びせ続けるので、私はあきらめて淡々と作業を続けていくことにした。
れいむは私が箱から出してくれないからか、私の作業そのものに興味を持ち出した。

「おねえさん、それなぁに?」
「これ?これは包丁って行って,これに当たると切れちゃうの。ちょっと切ってみようか」

私は動けないれいむの頭を、ほんの少しだけ突いてあげた。

「い、いたいよおねえさん!ゆっくりやめてね!」
「わかった?私は、この包丁をあそこにぶら下げてるの。これで最後だね。よいしょ、っと」

私は手に持っていた包丁をそれにぶら下げた。その光景は、箱の中のゆっくりれいむもよく見えていることだろう。

「これね?明日の七時なったらあそこから一本ずつ落ちていくの。もしそれに当たったら、あなたの体じゃ耐えられないかもしれないわね」
「それがどうしたの!そんなことよりさっさとここかられいむをだしてね!のろまはきらいだよ!」
「うふふっ。じゃあ、れいむをあそこに置いてあげるね」

私は一旦、れいむから包丁が見える向きでゆっくりれいむを包丁の下に置いた。
れいむはというと、意外にまだ怖がっていないようで、余裕綽々の笑みを浮かべている。

「ぷぷ!おねえさんはやっぱりばかだね!れいむのまえにはとうめいなかべがあるからあたんないよ!!
わかったらさっさとここからだしてね!!おなじことなんどもいわせないでね!!」
「そう。じゃあ向きを変えてあげましょう」

私は、今度は何も盾がない,れいむの頭頂部を包丁に向けなおした。このまま包丁が落ちたら、当然ながらゆっくりれいむの頭に直撃する。
れいむは今度こそ事態を把握したらしく、いまさらになって青くなりながら命乞いを始めだした。

「お、おねえさんそんなことしないでね!はこがあるほうをむけてね!!」
「そうだ。時計おいとくね。この針の短い方が、もう二回だけ7をさしたら、包丁がふって来るからね。
あ、でももしかすると、明日の七時よりもっと早い時間に包丁落っこちてくるかもしれないの。結構あれも古いから」
「ゆぅぅぅぅぅ!!ごめんなさい!!あやまるからここからだしてぇぇぇぇぇ!!」
「あはハッ、わたしに謝ってもなにもでないよ?」

私は、ついつい笑ってしまった。れいむが私に謝ることなんて何一つないのにいきなり謝ってきたから、おかしかったのだ。
でもまあ、これで準備は終わりだ。私はこれからの計画を立てようと、頭の中で思考を開始した。

「これから何しようかな……。あ、そうだ!昨日はお母さんが新しい本を用意してくれたんだっけ。それでも読んでいようかな」
「ゆ!おねえさんまってね!れいむをここからだしてからいってね!!おねがいだからここからだしてぇぇぇぇ!!」
「でも本を渡す時もダクトからドサッ、だもんね~。お母さんも、めんどくさいことしないで直接渡してくれればいいのに」
「おねえさんたすけて!!れいむをここからださなくてもいいからせめてむきをかえてぇぇぇぇぇ!!」

読書中に声が外に漏れることがないように、私は寝室から出るときに扉をきちんと閉めておいた。


母から届いた新刊は、とっても面白かった。




―――――――――――――――あとがき―――――――――――――――――

みーじかーいぞー!いーじめ-たぞー?
直接包丁を見せ続けるのもありだと思いましたが見せなかったら見せないで怖いと思います。


これまでに書いた物

ゆっくりハンターの生活1,2
ゆっくりハンターの昔話
男と女がゆっくりと
少女と饅頭が地下室で

by味覚障害の人



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最終更新:2008年09月14日 07:04
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