ゆっくりいじめ系212 ゆっくり達の日常

 森の中を一匹の霊夢が上機嫌で走っていた。
「ゆっくりゆっくり♪」
 訂正、何時ものようにお目出度い頭で走っていた。
「ゆっくり~していってね~♪」
 この霊夢は母親なのだが、今日は久しぶりに朝からゆっくり魔理沙と遊んできたのだ。
 前日に餌を大量に取っておき、二匹の少し大きな霊夢に赤ちゃん達を任せてきた。
 以前も数回このようにして遊んだ事があった子供達は、特に不審にも思わないで母親を見送った。
 もう直ぐ冬。
 家に篭る前に、このお母さんゆっくりも羽を伸ばしたかったのだろう。
「ゆゆ!! きれーなおいけ~~!!!!」
 ふと、近くに大きな池がある事に気が付いた霊夢は、少し道草していく事にした。
「ゆ~すっきり~♪」
 沢山歩いて喉が渇いていたので、勢いよく水を飲んでゆく。
「ごきゅんごきゅん!!! ぷっはぁ~♪ しあわせ~~♪」
 水分を補給し終え、元気いっぱいという感じでその場を後にしようとする霊夢。
 しかし、水場に何かを発見すると、急いで舞い戻ってきた。
「ゆゆ!! かえるさんだ~~~♪」
 そこには、葉っぱに乗ってゆっくりと池に浮かんでいるかえるの姿。
 当然、そのゆっくりしている姿を、ゆっくりが放っておく訳が無い。
「ゆ♪ かえるさん♪ れいむもはっぱにのらせてね!!!」
 勢いよく、かえるの乗っている葉っぱへとジャンプする霊夢。
 そのまま池の中に飛び込む。
「ゆ? ゆゆ!!! なんで!!! どーじで!!! あぶぶ!!」
 見た目より深い池のようで、底に体が付けない霊夢。
「かえるざんはちゃんどのってだのにーー!! だまじたの?!!!」
 見る見る間に水分を吸ってふやけていく。
「あばば!!! だずけで!! まりざーーー!!! ぶぶぶぶぶ……」
「かえるざんといっしょに、ゆっぐりじだがったーーーー!!!!!」
 既に崩れ落ちた眼球が捉えていたのは、のんびりと水中を泳ぐかえるだった。

 ――

「おかーしゃんおしょいねーーー?」
 先ほどのゆっくり霊夢の巣の中では、二匹の子供霊夢と十匹ほどの赤ちゃん霊夢が未だ帰らぬ母親の心配をしていた。
「きっとゆっくりしてるんだよ!! れいむたちでごはんたべようね!!!」
「ゆゆ!! でももうごはんにゃいよ!!!」
 母親が用意して言った食事は、普通に食べたら二日分あった。
 しかし、稼がなくなった子供達は二回の食事で全て食べ終えてしまったのだ。
 当然、そうなれば外へ探しに行かなければならない。
「ゆ~!! もうすぐくらくなるけど、みんなでいけばへっちゃらだね!!!」
「みんなでごはんをさがしにいこうね!!!」
「「「「ゆっくりいこうね!!!!」」」」
 本人達は遠足気分で巣を後にしていった。
 もう二度と、ここには戻ってこないだろうが。
「ゆっくり~♪」
「ゆゆ!! おねーちゃんおうたじょ~ず~!!」
「ゆへへ!!」
 赤ちゃんの為に、歩くペースは遅いがゆっくり達は気にせずに森のなかをひた走る。
 そうしていつの間にか森を抜け、たどり着いたのは洞窟。
「ゆ~おっきいね!!」
「……だれ?」
「「「ゆゆ!!」」」
 どうやら中にはゆっくりがすんで居るようだ。
 薄暗い外よりも暗いその中から出てきたのは、一匹のゆっくりアリスだった。
「ゆ? れーむのこども? どうしたの?」
 どうやら、直ぐに交尾に進もうとはしないようだ。
「おかーしゃんがかえっちぇこないから、ごはんをさがしにきたの!!」
「そしたらここについたの!!」
「そうなの!! とっとかいはのありすが、いっしょにごはんをさがしてああげても、……いいわよ?」
 恐る恐る子ゆっくり達に提案する。
 勿論、子供達に断る理由はない。
「ゆ!! ありがとーーー!!!」
「いっしょにさがしてね!!!」
「!! ゆ!! まかせて!!! ありすはとってもとかいはなんだから!!」
 こっちに美味しいのがある。
 そう言って、子供達を山の方へ連れて行く。
 急な斜面、下は川。
 そんな人間でも入る事をためらうが場所の入り口まで、アリスは子供達を案内した。
「ここで、ぜんまいっていうとってもゆっくりできるおいしいたべものがとれるの!!」
 勿論、これは人間の話を立ち聞きして得た知識だ。
「ほんと!! ゆっくりおいしいの?」
「れいみゅたちもたべちゃい!!!」
「じゃあ!! みんなでゆっくりさがしましょ!!!」
 子供達と一緒に、ぜんまいを探し出すゆっくりアリス。
 しかし、こんな時期にぜんまいなど取れるはずが無く、ゆっくり♪ という楽しそうな声が響くだけである。
「ゆ!! ゆっくり~~!!」
 そんな中、一匹のゆっくりが下目掛けて転がり落ちた。
 それは事故だったのだが、コロコロ転がり落ちていったその様子を見て、他のゆっくり達は何か楽しい事だと感じたらしい。
「ゆ!! れーみゅもころころすりゅ~♪」
「おねーちゃんもころころするよ!!!!」
「「「ゆっゆ♪」」」
 コロコロと楽しそうに転がっていく子供達。
 当然下には流れの速い川があるのだが、このゆっくり達は知るはずもない。
「ゆゆ!! これはね!! すきーっていうんだよ!! とかいはのありすはすきーもとくいなんだよ!!!」
 負けじとアリスも転がり落ちる。
 それに続いて、最後まで残っていた赤ちゃん霊夢も勇気を出して滑り落ちていった。
「ゆ~♪」
 上機嫌で転がっているのはゆっくりアリスである。
 彼女の頭の中では、この後の計画が綿密にシミュレートされていた。
 この後は、みんなでゆっくりして、ゆっくりごはんを食べて、みんなでゆっくり寝よう。
 そうだ、もしお母さんが帰ってこなかったらみんなでゆっくりしよう。
「ゆっゆ♪ ゆ! ゆゆゆ!!!!」
 上機嫌で滑り降りていたアリスの目に坂の終わりが見えてきた。
 そこでは、沢山のこゆっくりが楽しそうにはしゃいでいる。
「ゆゆ!! あっぷ!! だずげでーーー!!!」
「あがーーしゃーーん!!!」
「ゆゆ!! どげちゃうよ!! れーみゅのかっりゃだがとけじゃうよーー!!!!!」
 そう見えたのはアリスだけで、本当は溺れているだけなのだが。
「ゆゆ!! れーむたち!! ありすもまぜてね!!!!!」
 そんな中へ勢いよくゆっくりアリスが飛び込んでいった。
「!!! ゆ!! おぼれるよ!! はやぐきゅうじょのでんはをじでじょーだい!!!」
 漸く子供達の状況を理解したが、流れの速いこの川に入った時点で運命は決まっていた。
「ゆゆ!! ながされる!! だれがだずけで!!! れーむ!! まりざーーー!!! ぱじゅりーーーー!!!!!」
 ゆっくりアリス伝えに聞いた名前を連呼する、しかし助けてくれるものはいない。
「ゆぶぶ!! とげじゃうーーー!!! だずげでーーー!!!」
 激しい流れで、アリスの頭から髪飾りが流れ落ちる。
「あああ!!! ありずのとがいはでこーでねーとしたかみかざりがーーーー!!」
「だれがだずけでーーー!! こまっでるありずをたずけるのはとがいはのしごとだよーーー!!!」
「……だれ……がーー!!!」
「だ……す……」
 明け方。
 人里の川岸には、何時ものようにゆっくりのリボンと帽子が流れ着いていた。


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最終更新:2011年07月28日 00:53
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