ゆっくりいじめ系200 壊された家族

最近、近所で畑が滅茶苦茶に荒らし、作物を食い散らかす事件が多発していた。
犯人は某民族でもなければ野犬の群れでもない。

 「あのゆっくりどものせいで、オラん家さなぐなっちまったよぉ・・」

ゆっくり。
それは、ここ最近発見された生きる饅頭のこと。
人語を理解し、"ゆっくりしていってね!!!"と話すことから、これらを総称して"ゆっくり"と呼ぶようになった。
生物としては畑を荒らすことから害獣指定され忌み嫌われている反面、食べ物としてはその甘い餡子の評価が高く老若男女に人気があった。


荒らす畑の種類は問わず、スイカ畑から桑畑まで、見境なく手当たりしだいに被害にあっていた。
路頭に迷った挙句、一家心中をした農家もあったという。

そんな害獣を捕獲しようと幻想郷農業共同組合が策を講じたものの、あざわらうかのように畑は荒らされ続けた。

しかし、先日からパタリと被害がなくなり、平和な日常が戻ってきた。
誰もその理由が分からなかったが、俺は偶然その理由を知ることになった。




1週間前、俺が会社から帰宅するとものの見事に家は荒らされていた。

 「なんじゃこりゃあ・・・!」

泥だらけの廊下を通って台所へ行くと、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が憎たらしい顔でお出迎えをしてくれた。

 「ゆゆっ!?ここはれいむたちのべっそうだよ!!」
 「ゆっくりしないではやくかえってねおじさん!」
 「ゆっくりタイムをじゃましないでね!」

俺の姿を確認すると、プチトマトほどのゆっくり霊夢やゆっくり魔理沙が口々に抗議を始める。
数えると、5匹。ゆっくり霊夢が3匹にゆっくり魔理沙が2匹。
 「おまえらなあ、ここは俺のい」「ゆゆ!!!みんな逃げるよ!!」
俺が喋り終えないうちに現れたのは、サッカーボールほどもあるゆっくり魔理沙。
どうやらこいつが親のようだ。

 「ゆ!?どうして!?ここはれいむたちのおうちでしょ!まだごはんたべてないよ!!!」
 「まりさもおなかすいたよ!!!」
 「さっきたべたスイカだけじゃがまんできないよ!!!ゆっくりしたいよ!!!」

さっき食べたスイカ。
そういえば帰る途中、農家の人がブルドーザがダンスした後のようなスイカ畑の中心で暴れていた。
なるほど、このゆっくりの一家が巷で話題の畑荒らしか。

 「ゆっ!!早く逃げないとゆっくりできなくなっちゃうよ!!!」

奥から出てきたのは、これまたサッカーボールくらいのゆっくり霊夢。
こいつとさっきのゆっくり魔理沙が両親なのだろう。

 「ゆゆ!ゆっくりできないのはいやだよ!ゆっくりにげるよ!」
 「ゆ!まりさもにげるよ!おじさんはゆっくりしね!!!」
 「ゆっくりタイムをこわしたじじいはゆっくりしね!!!」

ゆっくりできないという言葉に反応したのか、すぐに逃げる体勢をとる子ゆっくり。
だが、ここまで家をボロカスにされて逃がすわけがない。
7人家族は今日限りで終了だ。

 「ゆっくりしていってね!!!」

俺が大声で怒鳴ると、7匹のゆっくりが俺のほうに振り向く。
ゆっくり関係の本は何冊も読んでいるのだ。こうすれば一瞬ではあるが動きを封じることができる。

 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」

バカ丸出しで俺に答えるゆっくり達。
その隙を逃さず、俺はプチトマトどもを素早く回収し、近くにあったビンに詰めた。
プチトマトサイズとはいえ、小さなビンに5匹も入ると窮屈なようだ。

 「やめて!!ゆっくりだして!!!」
 「おじさんはやくだしてね!!ゆっくりだしてね!!!」
 「ゆっくりあやまればまだゆるしてあげてもいいよ!!!」
 「ゆっくりしね!!」
 「ゆゆ!!!!ここじゃゆっくりできないよ!!!」

ビンに詰まった子ゆっくりを高々と掲げ、親まりさと親れいむに見せ付ける。
親れいむが急いで親まりさの横に寄り添う。

 「ゆっくり出してあげてね!!!」

ぷくっと膨れて俺を威嚇する二匹。
大きさも形もサッカーボールに近づく二匹を蹴飛ばしたい欲求を無理矢理押さえる。

 「わかった。出してやる」

そういい、ビンから子まりさを乱暴に指で摘み出す。

 「ゆっ!いたいよ!!おかあさんたすけて!!!」
 「おじさん!!まりさが痛がってるよ!!!もっとゆっくりしてね!!!」

天高く、ふらふらと揺らす。

 「ゆ!おそらをとんでいるみたい!!!」

きゃっきゃと、この状況を忘れて楽しむ子まりさ。
実に頭が悪い生き物だ。

 「おい、返してやるから受取れよ!」

そういい、俺は親まりさの足元めがけてプチトマトを全力で叩き付けた。
ぱちっと小気味のよい音を鳴らせてはじける子まりさ。
親まりさの顔に餡子が少しこびりついた。

 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ま゛り゛ざのあがぢゃんがあああ」
 「な゛んでえ゛え゛え゛え゛え゛れ゛い゛むのあがぢゃ゛ん゛んん!!!!」

 「お゛ね゛え゛え゛え゛え゛ぢゃ゛あ゛ん゛!!!!」

飛び散った餡子に駆け寄り絶叫する両親とビンの中の兄弟達。
俺はビンの中で一番うるさかった子れいむをつまんだ。

 「ゆ!いやだよ!!!れいむはじけたくないよ!!!」
 「わかったよ、おにいさん優しいからね。投げつけたりなんてしないよ」

優しく大胆に、俺は子れいむを一口でいただくことにした。
ぷちぷちと気持ちいい触感。餡子も残らない死に方だ。

 「ゆ゛う゛う゛う゛!!!!れ゛い゛ぶううううううう!!!!!」

涙やヨダレを撒き散らしながら騒ぐ両親ゆっくり。
それを見て、俺の中に疑問が生まれた。
本の中では、今の俺のように子ゆっくりを殺すと、親ゆっくりが無駄な体当たりを仕掛けてくることが多かった。
しかし目の前の親ゆっくりは嘆きこそすれ、決して体当たりをしてこようとしないのだ。
百戦錬磨の畑荒らしだけあって、人間の力というものを理解し、実際はもう半分子供は諦めているのではないだろうか。
さすがに目の前で我が子を殺されては動揺するが、自身も捕まる愚行は冒さないしたたかさを備えているのかもしれない。

今の俺のいる場所から、親ゆっくりまでは多少距離があった。
畑を荒らされた農家の人いわく、他のゆっくりからは考えられないほどの速度で逃げるという。
俺の家は出るとすぐ目の前が森なので、捕まえるのは難しいだろう。
ならば、と一つ作戦を立てた。

 「おう、そこの親ども。子供を食べつくしたら次はお前らだ。加工場に売り飛ばしてやるから覚悟しろ」

びくっと震える二匹の親ゆっくり。
しかし声を荒げて子供の命乞いをせず、一瞬ではあるが出口の確認をしていた。
加工所送りという現実を突きつけられ、もはや子供よりも保身に走ると決めたのだろう。

俺はビンに残った残り3匹の子ゆっくりを全部掴むと、口の前に持ってきた。

 「ゆっくりの踊り食いだ。胃液の海でゆっくりしていけ!」

ゆーとかやーとか喚く子ゆっくりを口の中に入れる。

 「せまいよ!!なめないで!!!」
 「ゆー!!なまあたたかくてきもちわるいよ!!ゆっくりできない!!!」
 「ちゅぶれるううう!!!!まりさだけはたすけて!!!」

口の中からまだ生きている子ゆっくりの声がよく聞こえる。
親ゆっくりまでは聞こえないだろう、もう逃げる体勢に入っている。
俺は親ゆっくりに分かりやすいよう、飲み込んでいるアピールを大袈裟に行い、子ゆっくりを飲み込んだ。

 「ゆ~ゆっくりながされていくよ~」
 「ゆっくりおちてるよ~」

 「ゆ!せまいよ!!とけちゃう~~!!」

胃から、頭の悪さのにじみ出た叫び声が聞こえる。
胃酸の海ではゆっくり溶けてくれたまえ。

 「さあ、もう残ったのはお前らだけだ。加工場に行く準備はできたか?」

そういい、近づこうとすると噂通りのスピードで親ゆっくりは逃げ出した。

 「ゆゆっ!!おじさんはここでゆっくりしね!!!」
 「ゆ!加工場へはいかないよ!!!ゆっくりしね!!!」

無駄とは思いつつ、追いかけてみたもののやはり無駄であった。
割れた窓から飛び出したゆっくりは、もう森の中に入ってしまったようで姿を見ることはできない。

しかし、本番はこれからだ。
俺は舌の裏に隠していたものを吐き出す。

 「ゆ・・・・?ゆっくり?」

それはさっき踊り食いをしたときに入れた3匹の内の1匹、子まりさである。

 「まりさおはよう。お兄さん、かわいいまりさだけは助けてあげたよ!」

かわいいまりさ、この言葉が嬉しかったのかぴょんぴょん飛び跳ねる子まりさ。
姉妹を皆殺しにした人間に見せる態度とは思えない。

 「ゆ!まりさはかわいいよ!!おかあさんはどこ!!?」
 「お兄さんがオヤツをあげたら家に持って帰ったよ。みんなで食べてるって」
 「ゆ!?まりさのぶんは!!?」
 「さっき帰ったから、早く帰れば食べられるかもね」
 「まりさおうちにかえる!おにいさんそとにだして!!」

はいよ、と俺は子まりさを森の入り口まで持っていく。

 「ありがとうおにいさん!!まりさたちのおうちでゆっくりしててもいいよ!!」

最後まで俺の家だということは認めないようだ。
俺の不機嫌な顔にも気が付かず、子まりさは森の中へと跳ねていった。

作戦は大成功であった。
親ゆっくりは百戦錬磨でも、見たとこ生後1週間もたっていないであろう子ゆっくりの逃げる早さなど、たかが知れている。

後ろからこっそりと後をつけていても、帰る速度がゆっくりすぎてこちらが飽きるほどであった。

子まりさのゆっくりした速度で30分ほど森を進んだ頃、目の前に葉や草でカモフラージュした洞窟が現れた。
子まりさがそこに入ろうとしているようなので、おそらくここがあの親ゆっくりの巣なのであろう。
俺は急いで柄の長い箒を取り出し、子まりさを叩き潰した。
こいつが巣に帰っては、あの百戦錬磨のゆっくり達は足がつくことを恐れ巣を変えてしまうだろう。
潰れた子まりさを隠蔽し、持ってきた双眼鏡で巣をのぞく。

そこには期待通り、あの親れいむと親まりさがいた。
ついさっき子供を皆殺しにされたとは思えないほどくつろいでいる。いや、ゆっくりしている。

一度巣を作ったゆっくりは、相当な危険が迫っていると感じない限り自ら巣を変えることはないらしい。

きっとあの二匹は逃げ切ったと思っているだろうから、これからもここに住み続けることだろう。
俺はいつでも殺せることを確認すると、巣を後にした。


それから数週間が過ぎた。
あの2匹は前にも増して畑を荒らし続けた。

そろそろ殺しに行こうか、と準備をしていた矢先に畑荒らしはぴたりと止まった。
俺は急いであの洞窟を見に行った。
するとそこには何食わぬ顔で親れいむと親まりさがゆっくりしていた。

変わっていたのは洞窟内の食料である。

前に来たときに比べ、遥かに食料の備蓄が増えていた。
どこからか盗んできたのであろう水がめにも、綺麗な飲み水が確保してあり、あの2匹だけなら3ヶ月は篭城できそうである。

そしてなにやら2匹の体が全体的に大きくなっているようだった。

それから俺は、しばらくその2匹を観察し続けた。
畑荒らしをやめた理由はすぐに分かった。
2匹は共に妊娠していた。
それも、ゆっくりによく見られる茎が生えてくるタイプの妊娠ではなく、人間のように胎内で子供の成長を待つタイプのものであった。

俺は、ゆっくり加工場に勤める友人がまえに話していたことを思い出した。

『人間型の出産をしたゆっくりは、植物型に比べ、強い母性を持つ傾向にある』

人間型の妊娠は、妊娠初期はともかく出産間近になると1メートル動くのにも大変な苦労をするため、野生のゆっくりではほとんど見ることができない。
また、大抵つがいのゆっくりが妊娠したゆっくりの食事等の面倒を見るため、あの2匹のように両方とも人間型で妊娠するのはきわめて稀であった。

 「普通のゆっくりだったら絶対にムリだな」

そんな独り言が出てしまった。
大量のエサを確保できる、あの2匹だからこその芸当であろう。
あえて危険を冒してまで人間型で出産するのは、かつて自身が守りきれなかった子供達への贖罪か。


順調に大きくなっていく、親れいむと親まりさ。
畑荒らしが終わってから2週間もたったころ、俺はようやく復讐の準備を始めた。



リュックに大量の拷問機具を詰め込み、洞窟の前に来た。
双眼鏡で確認すると、そこにはマンホールの蓋くらいはある丸い物体がゆっくりしていた。
あれでは満足に動くこともできまい。
近所で購入した集音機を設置する。

 「ゆ~♪ゆ♪ゆ~♪ゆっくり育ってね~♪」
 「ゆっくりした子になってね!」
 「ゆ~♪ゆ♪ゆ~♪ゆっくりしようね~♪」
 「みんなでゆっくりしようね!」

親まりさの歌と親れいむの声が聞こえる。
可愛い我が子を待ち望む姿、実に幸せそうな光景だ。早くぶち壊したい。

集音機をしまうと、俺は洞窟のほうに向かって歩き始めた。

目の前には柵がある。
これは俺が設置したものだ。

体が大きくなり、満足に動くこともできなくなったのを確認してから1日がかりで設置した。
洞窟の中に引きこもりっぱなしだった親ゆっくりが気が付くこともなく、洞窟は柵で囲まれた。
仮に気が付いても、身重な体では満足に逃げ出すこともできなかっただろう。
そして出産後の身軽な体になっても抜け出せないよう、頑丈で、高い柵にした。有刺鉄線も巻いている。

俺は一箇所しかない入り口を開け、中に入った。
洞窟に近づいていくと、だんだんゆっくり達の声が聞こえてくる。
これがあと少しすると悲鳴に変わるのだ。楽しみでしょうがない。


 「よお!ゆっくりども!元気でやってるか!?」

洞窟に滑り込んできた人間を見て、顔が引きつる親ゆっくり。
そして、重大な事実に気が付く。

 「まりさ!このおじさんはれいむたちのあかちゃんを食べた人だよ!」
 「ゆ!れいむ!逃げよう!!」

さっきまでの幸せな顔はどこへやら。いまにも死にそうな顔でノタノタと、亀よりも遅く逃げ始める2匹。

 「つれないなあ!ちょっと遊ぼうよ!」

親まりさの口の下、人間で言う顎のあたりを軽くつつく。

 「ゆ!やめて!ここにはまりさの赤ちゃんがいるんだよ!!!ゆっくりでていってね!!」
 「おじさんはゆっくりできない人だよ!!いま帰ったらゆっくり許してあげるよ!!!」

逃げ切れないと分かったのか、こちらを向いて帰れコール。
現状でかなり大きくなっているのに、さらに空気を吸ってぷくっと丸くなる。
こんな威嚇で逃げ出す生き物なんているのだろうか。

 「まあまあ。怒ると赤ちゃんによくないよ。ゆっくりできない子になっちゃうよ」
 「ゆ!じゃあ怒らないよ!でも早く帰ってね!」
 「れいむ達はこれから赤ちゃん産むんだから早く帰ってね!ここはれいむのおうちだよ!!」

印象悪いなあ、俺。
それにしても、まだ子供皆殺しにしたことを覚えているとは。

 「お前ら、赤ちゃん生まれるの楽しみ?」

ゆっくりが言うことには答えず、質問をする。

 「楽しみだよ!だから帰ってね!ここはまりさとれいむのおうちだよ!!!」
 「早く会いたいよ!おじさんは早く帰ってね!」

もう何を言っても帰れとしか返事は返ってこないと思う。
それならしょうがない。さっさと復讐をしよう。

 「赤ちゃんに早く会いたいんだね!じゃあお兄さんがその願いを叶えてあげるね!!!」

俺は親まりさの背後に回り、後頭部、髪の生え際を揉んだ。
前にゆっくりのツボを解説した本を読んだことがあった。ここが出産を促すツボらしい。
なんとも都合の良い設定がある生物だ。

 「ゆ゛ぁあ゛あ゛あ!!?な゛んがぐるよ!!?あがちゃん!!!?あがちゃんがでるうううう!!!!」
 「ま、まりざ!!ゆっりがんばって!!!」

なんという即効性。本当に単純な生き物なんだなあ。
親まりさの口の下、顎の部分にゆっくりと穴が開いた。産道だ。
立ち上がって中をライトで照らすと、奥のほうに赤ちゃんゆっくりの頭が見えた。

 「ん゛ふ゛う゛う゛う゛う゛!!!!ででぐる゛う゛う゛うう!!!!」

相当な痛みなのか、汗のようなものを全身から滲ませる親まりさ。

と、次の瞬間、親れいむのほうまで叫び声をあげ始めた。

 「ゆ゛う゛!!!まりざのみでだられいむもでてぎぞう!!!」

貰いゲロみたいなもんか。
人がゲロ吐いてるの見てると、思わず出ちゃうよね。

 「れ゛い゛む゛う゛!!!がんばっでえ!まりざもがんばるがら!!!!」
 「ゆ゛う゛!!!れいぶがんばるよおお!!!」

もはや俺がいることすら忘れて出産に専念する親れいむ達。
産道が広がり、どんどん頭が押し出されてくる光景は実に不気味である。

最初に産んだのは親まりさであった。
ポンっとシャンパンのコルクを抜いたような乾いた音と共に、勢いよく赤ちゃん霊夢(以下、赤れいむ)が飛び出した。

 「ゆっくちちていっちぇね!!」

誕生して最初に発した言葉。
その言葉を聞いた親まりさは一瞬、天にも上りそうな笑顔を見せたが、次の瞬間にはまた苦痛に顔をゆがめた。

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ま゛だ出る!!ゆ゛っぐりでるよお゛お゛!!!」

腹の中に納まっていたのは一匹だけではなかったようだ。
またゆっくりと、産道から頭が押し出されてくる。


それから20分ほどして、2匹の親ゆっくりは出産を終えた。
結局、3匹ずつ、計6匹の赤ちゃんゆっくりが誕生。内訳は、赤れいむ5匹と赤まりさ1匹であった。

 「ゆ゛ぶうっ!ゆ゛ぶうっ!」
 「ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!」

出産を終えた親ゆっくりは、元のサッカーボールサイズに戻り、興奮しきっていた。

 「ゆっ!かわいいあかちゃん!!おかあさんとゆっくりしようね!!!!」
 「ゆっくりしたいい子だね!!!ずっとみんなでゆっくりしようね!!!」

よちよちと親に頬をすり合わせる、ソフトボールほどの赤ちゃんゆっくり。

 「おにいさん!まりさとれいむの赤ちゃんだよ!!かわいいでしょう!!!」

ようやく俺の存在を思い出したのか、胸(?)をつき出して、某国のチンパンジーのようにフフンとする親まりさ。
その赤ちゃんを数週間前に皆殺しにされたのは忘れたのだろうか。
可愛いさに魅了される、とでも思っているのかもしれない。

俺は一番手前にいた赤れいむの頭に指を乗せて、すりすりと撫でた。

 「ゆっ!きもちいい!!もっとゆっくちなでてね!!」

それを見て、敵意がなくなったと思ったのか、親まりさは満面の笑みを浮かべる。

 「おにいさん、まりさのあかちゃんはかわいいでしょう!!ゆっくりしようね!!!」
 「ずるい!れいむにもれいむにも!!なでなでちて!!!ゆっくちちて!!」
 「ゆゆ!まりさにもゆっくち!!」

俺の人差し指にゆっくり集団の視線が集まる。
そこまで注目されたらもう、潰さないわけにはいかない。
指に力を入れると、プチュッと小気味良い破裂音を出して頭の皮が裂けた。

 「ゆう゛う゛う゛う゛!!!!????れいぶのあがぢゃんがぁあああああぁ!!」
 「ゆ!まりさにはやらないでいいよ!なでなではいらないよ!!このままでもゆっくちできるよ!」
 「ゆ!れいむもいらないよ!」

赤れいむに近寄り、破れた頭の皮を舐めてあげる親れいむ。

 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!いちゃい!!なめちゃや!!!」
 「ゆ!ゆっくりしてね!!ゆっくり我慢すれば直るからね!!!」

舐める霊夢も、なだめる親まりさも必死だ。
俺に注意があつまらなくなったので、リュックから包丁を取り出した。

一番近くにいた赤れいむを2匹つまむと、顔を残すように真っ二つに切断する。
金太郎飴を切るように切断。顔の部分と、後頭部の部分で別れる。

 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!!!ちんじゃう!!!!いちゃいよおおおおお!!!!!!」
 「おがああああざああああああんん!!!ちんじゃううゆううううううう!!!ゆっくちできないよおおお!!」

俺は切断した顔の部分を二つ、手に取った。
餡子が露出しているが流出はしていない。赤ちゃんではあるが、胎内で十分に育っていたのだろう。

状況は、餡子がつまったお碗を二つもっているようなもの。
そのお碗を合わせて球を作るようにあわせる。
生まれたばかりだけあってサイズもほぼ同じ。ぴったりとくっついた。

 「いぢゃいいいいい!!!!!ゆ゛う゛あ゛あ゛!!!」
 「おがああざんだずげでえええええ!!!!」

世にも奇妙な両面ゆっくり霊夢の誕生だ。
顔は涙とヨダレ、あとはよく分からないヌルヌルした不気味な体液が出ているが、死ぬことはないだろう。
このまま癒着が進めば、前と後ろを同時に見ることができ、死角のない視点を手にすることができるのだ!

一応、接着面に木工用ボンドを塗りたくり、テープで止める。暴れて外れたら死んでしまうし。
若い子なので、数時間もすれば癒着するだろう。

次の瞬間、体に強い衝撃を感じた。
何かと思えば、親れいむと親まりさが俺に物凄い勢いで体当たりをしている。

 「ゆ゛っぐりじね!!わだちだじの゛あがちゃんになにをじだ!!!」
 「じね゛!!!あがちゃんにゆ゛っくりあやまれ!!!」

数週間前は体当たりなぞ一回もしなかったというのに、やはり母性が強いのか。
しかし、いくら母性が強くても衝撃はたいしたことはない。人間に適うわけなどないのだ。

俺は飛び掛ってきた親れいむにアッパーを食らわせ、床に落ちたところで透明な箱に閉じ込めた。
ちなみにこの箱、大ヒット商品らしく入手するのにかなり苦労した。
さらに飛び掛ってくる親まりさを足で踏み潰した。もちろん、動けないようにする程度であり、餡子は飛び出していない。

 「ゆっ!!はやく出してね!!!赤ちゃん逃げてええええええ!!!!」
 「ゆぐぅぅうっぅう!!!!!ゆぐぅぅぅ!!!!」

リュックから今度はアルコールランプを取り出し、火をつける。
火を見た赤ゆっくり達は、蜘蛛の子を散らすように離れる。
どうやらゆっくりは火が苦手なようだ。箱の中の親れいむも顔面蒼白だ。

 「ゆっくり焦げてね!」

俺は親まりさをアルコールランプの上にかざし、地面との接着部分、人間で言う頭と首の付け根部分を焼き始めた。

 「ゆぐあ゛あ゛あ゛あ゛!!!あじゅいいいい!!!!!!やめでえ゛え゛え゛えな゛んでごんなごどずるのおおおお!!!!」
 「まりさが畑を荒らすからだよ。もう悪さしないように、ここを焼いて動けなくするんだよ」
 「ゆ゛ぎゅうふあ゛!?だっであ゛れはまりざが見づげだんだよ!!!!ゆぎゃぁ!!やめでええええ!!!い゛だい゛よお゛!!!」

焼いたお菓子のような甘い臭いが洞窟内に立ち込めた。
地面との接着部分の皮はどんどんと黒く焦げ始める。俺はムラが出ないよう、丹念に親まりさを動かし入念に焼き続ける。

 「や゛べで!!!な゛んでもいうごどぎぎまず!!!焼ぐのや゛め゛べええええ!!!」

汗、涙、ヨダレ、そしてわけのわからない不気味な汁を撒き散らしながら懇願する親まりさ。
俺は親まりさを床に押し付け、一つ提案をした。

 「まりさ、焼かれるのが嫌だったら赤ちゃんを指名してね。そしたらそっちを焼くから、まりさは許してあげるよ」

助かったと思ったのも束の間、親まりさには残酷な二択が待っていた。
赤ちゃんを犠牲にすれば自分は助かる。赤ちゃんを守れば自分は焼かれる。

 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!赤ち゛ゃん゛焼いぢゃだめええ!!」
 「じゃあまりさを焼いていいんだね」
 「ぞれもいや゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ゆっぐりざぜでぐだざいいいい!!!!」

親れいむは言葉にもならない叫び声を上げながら箱を揺らしている。かたかたとうるさかったので箱を蹴飛ばすと、少し静かになった。

 「あまりわがまま言うと、みんな焼いちゃうよ!!」

これに反応したのは赤ゆっくりであった。

 「おかあさん!ゆっくち焼かれてね!!!まりさはあちゅいのはゆっくちできないからやだよ!!!」

赤まりさがそういったのをきっかけに、残る2匹の赤れいむも声を上げる。

 「ゆ!おかあさん!れいむやかれたくないよ!!」
 「こわいよ!!あついのいやだよ!!」

最初に潰した赤れいむはまだ気絶しているようで、反応はない。
両面れいむも自身の痛みに震えていてそれどころではないようだ。
果たして、親まりさの母性はどれほどなのか。

 「ゆぐぅぅぅ・・・・まりざが焼がれまず・・・!あがぢゃんはゆるじでぐだざいぃ・・」

なんと。
魔理沙種といえば、いざというときは親すら見殺しにし、子供さえ囮にするほど邪悪な性格をしていることで有名だというのに。
やはり自分が腹を痛めて産んだ子は守りたいものなのか。

 「わかったよ。じゃあゆっくり焼くね!」

その後、10分間にわたり、ゆっくりと親まりさの地面との接着部分は焼かれた。
黒くこげた後も、じっくりと丹念に、それでいて餡子はあまりいためないように。
焼き終わる頃には、やわらかくモチモチとした温かい皮はなくなり、硬く黒いコゲに覆われた接着部分が誕生した。
涙ももう出ないほど叫んだようで、今は離れたところで気絶している。


 「おがあざんんのあしがまっぐろになっちゃっだあああ!!!」
 「おがあざんがゆっくちできないい!!!」

アルコールランプをリュックにしまいつつ、次の道具を出す。
それにしてもあの部分は足なのか。生首の付け根の部分は。

 「じゃあ、いよいよ君達の番だよ。君達は何も悪くないけど、お母さん達は悪いゆっくりだったんだから、しょうがないよね」

1匹の赤れいむにスプーンとフォークを向ける。
逃げることすらできず、ガタガタと震える赤れいむとは裏腹に、素早く逃げ出す赤まりさ。
もう一匹の赤れいむは、親まりさの隣で泣いていた。

 「ゆ・・・・!!!ゆう・・・・・!!!」
 「怖がらなくても大丈夫だよ。おいしく食べてあげるからね!」
 「ゆががああっ・・・・!!」

 「ゆっくり待って!!れいむを食べていいから、赤ちゃんを許してあげてね!!!」

箱に入って動けない親れいむが声を上げた。
その声で呪縛が解けたかのように、逃げ出す赤れいむ。逃げた先は親れいむの箱の裏。

 「ねえ、お母さんれいむ、本当に食べていいの?」
 「ゆ・・・・!い゛い゛よ゛ぉ゛!!赤ぢゃん食べだいでぐれるだら!・・・ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛っぐり食べて言ってね!!!」
 「おかあじゃあああんん!!!ちなないでええええ!!!」
 「わかった。じゃあお母さんれいむを食べてあげるね」
 「ゆ゛っ!!!ありがどうございばず!!」

箱から取り出しても、親れいむは暴れたりもせず、ただじっとしていた。
ぷるぷると小刻みに震えるものの、覚悟はできているようだ。

 「お母さんれいむ、わかってるとは思うけど、途中で食べるの止めたらあの赤ちゃん食べるからね」
 「ゆ゛っぐりだべでね!!」

涙をボロボロとこぼし、皿の上に乗った。

 「いただきます」

ナイフを背中に突き刺し、皮を切り開く。
中には黒く光る、親れいむのこし餡。
それをスプーンで乱暴にかき取る。聞いたこともない悲鳴を上げて苦しむ親れいむを無視し、口に運ぶ。

 「赤ちゃん産んだばかりだからかな、甘くないし、ちょっとパサパサしてるよ」
 「ゆ゛!ごめ゛ん゛なざい゛!!!でも゛たべてください゛!!!お゛ね゛がいしまず!!」

そこまで頼まれちゃ、食べないわけにはいかないじゃないか。
俺は優しいからね。親れいむのお願いとあれば聞いてあげるよ。

サクサクとスプーンを掘り進めていると、最初はあれほど大きかった悲鳴もどんどんか弱くなっていった。
なるほど、餡子がもうすぐなくなりそうだ。
もう既に2/5は食べている。
少しでも餡子が残っていれば死ぬことはない、というのが最大の特徴であるゆっくり霊夢なので大丈夫とは思うが、いちおう聞いてみる。

 「お母さんれいむ大丈夫?餡子が半分くらいしか残ってないよ?」
 「だいじょうぶでず・・・ゆっぐりだべでぐだざい・・!」

 「おかあしゃん!!ちなないで!!れいむといっしょにずっとゆっくちちよう!!!」

親れいむの前で懸命に励ます赤れいむ。
俺はさらに掘り進める。一回掻き毟るごとにこの世の終わりのような声を上げる親れいむ。
餡子の中心部を掘り進んでいるからだろう。ここの餡子はしっとりと甘くておいしい。
それゆえに親れいむにとっては大事な部分なのだろう。

全体の4/5ほど餡子を食べ終わった頃には、親れいむの髪の毛が全て抜け落ちていた。
それほどこの短い時間でストレスを感じたのだろう。

俺はリュックの中から餡子の缶詰を取り出し、親れいむの中に注入した。
放っておいては死んでしまう。
この缶詰は、最高級あずきを使用した、特製餡子だ。
ヘタな加工ゆっくりよか、よほど高価なのだ。

 「ゆっ・・・ゆっくり元気になってきたよ・・・」

つるっぱげの饅頭が喋れるまでに回復している。
やはり餡子はゆっくりにとって血のようなものなのだろう。
満杯になるまで餡子を詰めると、親れいむは食べ始める前くらいにまで回復した。
ただし、精神的な疲れまでは回復しないとみえて、体は元気なのに気力を感じられない。

 「ゆ・・・おにいさん、これで許してくれるよね!れいむ、ゆっくりがんばったよ・・・!」
 「新しい餡子はどう?」
 「ゆっくりなじんでるよ・・」
 「そう、じゃあ、おかわりをいただきます」
 「ゆぁ嗚呼アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああ!!!!!!!!!!」

何を隠そう、俺はテレビちゃんぽん大食い王選手権で2回の優勝経験があるのだ。
そして餡子は大好物。
二回目の餡子は高級品であることと、ゆっくりの体になじんだこともありとてもおいしく、結局3回もおかわりをしてしまった。
大量に餡子缶詰を買い込んでおいて正解だった。
親れいむはというと、ごちそうさまの時には精神的にかなり崩壊していたので、一応餡子を満杯につめて親まりさの隣に捨てておいた。


 「じゃあ、箱に入ろうね」

逃げ場を失った赤れいむ2匹を捕まえると、透明な箱に収納した。
こりもせずに、ゆーだのやーだの騒いでいたが箱に入れると涙を流すだけで何も言わなくなった。

洞窟内には、気絶した親ゆっくりが2匹、まだ気絶している赤れいむ1匹、両面れいむが1匹(元2匹)、箱入りの赤れいむが2匹いる。
さっき逃げ出した赤まりさは洞窟の外にまで逃げたようだ。

外に出ると、柵を必死に越えようとしている赤まりさがいたので、さくっと箱に収納した。

 「ゆ!おにいさん、れいむはどうなってもいいからまりさはにがちてね!!ゆっくちちたいよ!!!」


箱を思い切り洞窟に投げる、俺はその日の虐待を終了することにした。
一日で終わると思うなよ。

こないだの襲撃で壊された、夏のボーナスで買ったプラズマテレビ。
まだ買って3日しか経ってなかったのに・・・。

許さん。絶対に許さんぞゆっくりども・・・!





3日後、洞窟を訪れると1匹の赤れいむと、両面れいむが出迎えてくれた。

 「ゆっくちちね!!」
 「なにちにきたの!!」「ゆっくちできないおにいさんはゆっくちちね!!!」

学習能力が無いようなので、赤れいむに思い切りデコピンをする。
べこりと皮がへこみ、また気絶した。ある意味いままでで一番幸せなヤツかもしれない。

俺は両面れいむを手に取り、接着面を見る。
テープが既に外れているのは、気絶している赤れいむにでも頼んで取ってもらったのだろうか。
ボンドの跡もほとんどない。
そして、接着させた部分は見事に癒着し、顔が二つある不気味なゆっくり霊夢が完成していた。

ためしに地面においてみると、ぴょんぴょんと垂直に跳ねるだけで前や後ろに跳ねることがない。
二つの顔が全く正反対の方向に行こうとするので力が相殺されて、結果垂直ジャンプになっているのだ。
姿だけでなく行動まで不気味だ。

 「おじさんでせいでゆっくちできない!!!」「かぞくがおじさんのせいでめちゃくちゃだよ!!!」

こいつはヘタにいじくるより、そのまま自然で生きていったほうが面白そうなので殺さないように気をつけよう。
ちょっと大きめで隙間ができてしまうが、とりあえず箱に入れておいた。

洞窟の中に行くと、3日前と比べて箱の位置が微妙に変化していた。
おそらく、あの2匹(3匹)の赤れいむがなんとか箱を開けようとしたのだろう。
もちろん、あんなバカどもにあけられるわけがない。

 「やあ!ゆっくりしてるかね!」

満面の笑みを見せるが、予想通り非難の嵐が始まった。

 「箱から早く出してね!まりさも赤ちゃんもお腹すいたよ!」
 「れいむのあかちゃんがお腹すいてるよ!!!ご飯食べさせるんだから早く出してね!」

親れいむも親まりさも精神面では復活しているようだ。
体はどうかと、親まりさを箱から引っ張り出す。
そこには3日前と変わらぬ焦げた足(?)がそこにあった。

地面に親まりさを置いてみることにした。

 「・・・・!?ゆっ!?うごけないよ!!!」

足(?)を丸コゲにされたせいか、もはや全然飛び跳ねることができなくなっていた。
自然に放てば即日死亡だな。

 「おじさんゆっくり治してね!!おじさんのせいでゆっくりできなくなっちゃったよ!!」

うるさいので蹴飛ばして洞窟の外まで飛ばす。
動けないので、きっとそのまま帰ってこないはずだ。

親れいむの姿を見ると、相変わらずハゲのままだった。
精神面は回復してるようなので、後遺症はハゲだけか。
そう思い、箱から出そうと手を伸ばすと、ビクリと震え始めた。
かたかたとゆれる箱。
箱から取り出そうと親れいむの体をつまむと、信じられないような大絶叫を上げ泡を吹いて気絶した。
どうやら、人間に触られることがトラウマにでもなったのだ。

親まりさは肉体面、親れいむは精神面で上手いこと潰れてくれた。



今日ここに来たのは最後の仕上げのためだ。

赤ゆっくりの箱を集める。ついでに外で気絶していた赤れいむも拾ってくる。

これは親にも見てもらいたいものなので、仕方なく親まりさも取りに行く。
案の定動けなかったようで、ぽつんと一人、誰かが来るのをまっていたようだ。

洞窟に戻り、赤れいむの箱をあける。
すぐに飛び出すと思いきや、全然動かない。

死んでいるのかと思ったが、空腹で動けないようだ。
生まれた瞬間から何も食べていないのだから、それもしょうがないといえばしょうがない。

赤れいむ5匹を元からあった食料の山に投げ込み、しばらく待つことにした。

 「うんめえ!!いきかえたよ!!!」
 「うっめ!めっちゃうめ!!」
 「ぐちゅあぐっちゃ」
 「おいちー!」
 「むーちゃむーちゃ!ちあわせー!!!」

親まりさと親れいむがうらやましそうに眺めているので、家から持ってきた生ゴミ食べさせてあげた。
赤れいむを一匹貰って、台所の三角コーナーにでも設置しようかな。

 「はーい、ちゅうもーく!」

手を叩くと、おびえる目でこちらをみる赤ゆっくり。

 「お兄さんは今日でここに来るのを最後にしまーす」

ぱあっと顔が明るくする一家。

 「ゆっくりさようなら!」
 「もうこないでね!!」
 「ゆっくちちね!」

もう帰す気まんまんのようだ。
でも帰らない。お土産を残していかないと。

まず俺は気絶していた赤れいむを手に取った。
口を開き、ペンチを突っ込む。

 「ゆびゅうぶうぶう!?!??!?!」

目を覚ます赤れいむを無視し、問答無用で歯を抜いていく。

 「ゆびゅびゅっぶぶびゅ!!!」

 「ああああああれいむのあがぢちゃんがああああああ!!!!!!」
 「まりざのあがぢゃんいじめないでええええ!!!!」

カチン、カチン、と投げ捨てた歯が石に当たって音を立てる。
ゆっくり霊夢は生まれたときに生えている歯が永久歯であるため、これを抜くともう二度と生えてこないそうだ。
1分もしないうちに全ての歯を抜き終わった。

 「ひひゃいいいいいい!!!!ふぇいひゅひょひゃひゃあああああ!!!!」
 「あがぢゃんの歯ががあああ!!!!えじでえええ!!!!!」

こいつに関してはこれで完成だ。
俺は歯が一本もない赤れいむを洞窟の外に投げすてた。

残るは2匹の赤れいむと1匹の赤まりさ。

俺は赤れいむを手に取り、上あごと下あごをがっしりと掴み、思い切り広げた、

 「ごへええええああああゆああ!!??」

広がった赤れいむはまるで洋式便所のようであった。
ぱっくりと開いた口を固定するため、頭に鉄製の串を刺す。

 「ゆううう!!!!まりさのあかちゃんのくちがああ」

便器のようになった赤れいむも、もうこれ以上することはないので外に投げ捨てる。



その後、俺は残った一匹の赤れいむの眼を潰し、赤まりさの中身の餡子を半分、シリコンに入れ替えた。




終わった頃には既に夜が近くなっていたので、俺はそうそうに柵を撤去して帰路につくことにした。

出て行く際、ここにはもうこない、ここを誰にも教えないと、言っておいた。
俺を信じるかは知らないが、今のこの家族に引越しは難しいだろう。


その後、俺がそのゆっくり一家を見ることはなかった。









数ヵ月後。

小さな洞窟に7匹のゆっくり家族がいた。
大きなゆっくり霊夢と大きなゆっくり魔理沙。
小さなゆっくり魔理沙が1匹と、小さなゆっくり霊夢が3匹。そして顔が二つある不思議なゆっくり霊夢が1匹。


大きなゆっくり魔理沙はいつも部屋の中心にいた。
地面との接着面が全て黒コゲになっており、まるで動くことができないのだ。
毎日、動くこともできずに何をするわけでもなく過ごしていた。

大きなゆっくり霊夢は休む暇もなく狩りに出ていた。
歴戦の勇士。かつての相棒は引退したが、愛するつがいと子供のため、寝る間も惜しんで畑を荒らし続ける。
そう、この一家でエサを取ってこられるのはこの大きなゆっくり霊夢だけだったのだ。
神経をすり減らしながらエサを取り続ける毎日に、ゆっくり霊夢は疲れることすら忘れていた。

小さなゆっくり魔理沙は何を考えているのかも分からなかった。
げへげへと笑ったかと思えば、いきなり暴れ始める。
言葉も理解できず、ゆっくりしているのかさえ分からない。
大きなゆっくり霊夢を見ても、誰なのかすらわからなかった。

小さなゆっくり霊夢は目が見えなかった。
真っ暗な洞窟の中で、さらに真っ暗な世界をさまよっていた。
体は健康なのに、狩りに出ることもできない。
そんな現状に神経をすり減らす毎日であった。

小さなゆっくり霊夢は口が開いたまま動けなかった。
大きなゆっくり霊夢が噛み砕いたご飯を口移しで食べさせてもらって生きている。
開きすぎた口が邪魔して何もできず、いつも洞窟の天井を眺めていた。

小さなゆっくり霊夢は歯がなかった。
大きなゆっくり霊夢が優しく口移しをして生きている。
「ひゅっひゅひひふぇふぃっふぇふぇ」おきまりのフレーズすら言えず
仲間からもばかにされすっかり洞窟に引きこもってしまった。

小さなゆっくり霊夢は顔が二つあった。
二つの顔を見た他のゆっくり達は恐れ、みんな逃げていった。
優しくしてくれるのは大きなゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙だけ。
満足に運動もできず、常に二つの人格が存在するストレスは多大なものであった。




ある日、大きなゆっくり霊夢は畑を荒らしているところを捕獲されて殺された。

その家族がどうなったのかは誰にも分からない。



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最終更新:2011年07月28日 00:17
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