一昔前は住居侵入が深刻な問題であったが最近ではそのような問題は滅多に生じていない。留守中に侵入されるケースは年数件あるが。
そもそもゆっくり如きに侵入されるような住宅や防犯意識であるならとっくに泥棒が入っている。ある意味恥である。
ガラスを割って侵入というのも最近のガラスの強度とゆっくりの力から考えればほぼ無理だ。
住居侵入と並び問題だった庭荒らしも庭へ侵入することが困難になったため激減している。
以前は庭に植えてある花や菜園に被害が集中していた。花や野菜が植えてありゆっくりが侵入し易い所…。
都会にもそんな場所がまだあった。
「このおはなさんかれてるよ」
「おかあさん!!あのおおきくてきいろいおはなさんたべたいよ!!」
「ゆぅ…たかすぎて…ゆ!!ゆん!!とどかないよ…」
それは小学校だ。一昔前は自由に行き来できたが最近物騒な事件が増えているため監視の目が多い。
だがゆっくりであればこっそりと侵入することができる。
「ゆ!!ゆ!!ゆぅ……たかすぎるよ…」
「おかあさん!!がんばって!!」
ゆっくり達が今狙っているのは向日葵の花だ。低学年の小学生は理科の授業でアサガオや向日葵を育てることが多い。
その他にも小学校では花壇に色々な花が咲いていたりヘチマなどの野菜を育てている所が多々ある。
しかも虐待お兄さんのような大人もあまりいない。まさに小学校は野良ゆっくりのゆっくりプレイスになりえる場所なのだ。
『ああっ!!オレのひまわりがぁ!!!』
『えーーん!!!わたしのあさがおがぁ!!!!』
虫食い虫なんて可愛いものだ。ゆっくりは葉っぱの一部を拝借、なんてことはしない。葉も花もボロボロになるまで食い散らかす。
被害に遭うのは子供達だ。学校側も自治体も早急に対策を打ち出した。
「あなたたち!!!いったいなにをしているの!!!」
「ゆ!!!!」
「ご…ごめんざいい!!!!」
「ま…まりさはわるくないんだぜええ!!」
不意に注意されたゆっくり達は向日葵から離れた。
「ゆ?」
「ゆうかだ!!おどろかさないでね!!れいむはいまいそがしいんだよ!!」
注意したのはゆっくりゆうかだった。
「いそがしい?なにしてるかわかってるの?」
「そうだよ!!れいむはあのおはなさんをおちびちゃんたちにあげるんだよ!!」
「おいしそうだよ!!」
「おかあさん!!ゆっくりしないでがんばるんだぜ!!」
れいむはぴょんぴょんと跳ねた。ゆっくりの跳躍力ではどうやっても届くはずがないのだが。
「ゆっくりしないでしねぇ!!!!」
「ゆびゃあああ!!!!」
ゆうかはれいむに体当たりを喰らわせた。れいむは吹っ飛んだ。
「おかあさん!!しっかりしてえ!!」
「このゆっくり、ゆっくりできないんだぜ!!」
「かわいいれいむになにするの!!あやまってね!!あやまらないといたいめにあうよ!!」
れいむはぷくぅっと膨れた。子ゆっくり達も膨れている。
「よわいゆっくりほどよくほえるものよ」
れいむを小馬鹿にするゆうか。
「もうおこったよ!!れいむがせいさいするよ!!」
ゆっくりというのは安い挑発に乗りやすい。れいむはゆうかに向かって突進した。
「おかあさんがっばってね!!」
「おかあさんにかかればゆうかなんてひとひねりなんだぜ!!」
子れいむと子まりさはゲラゲラと笑っていた。
「ゆう!!!……ゆびゅっ!!!」
突進するれいむをゆうかはひらりとかわした。れいむはすっ転んだ。
「それでこうげきしたつもり?いい、こうげきってのはこうするのよ!!」
ゆうかはれいむに体当たりをした。
「ゆびょっ!!!い…いだいよお!!!!」
「まだよ。まだこれからよ!!」
ゆうかはれいむの底部に噛みつき思いっきり皮を引き千切った。
「ゆぎゃああ!!!!れいむのあんよじゃんがああ!!!!」
ゆっくりの弱点は底部、つまり足だ。ここを怪我すると強さが一気に半減する。
「もういっかいやっておこうかしらね」
「い…いやああ!!!ゆるじでええ!!!!ゆるじでええ!!!」
「うるさい!!!」
「あぎゃああ!!!いだっ!!ゆぎぃいいいい!!!」
れいむの底部に2か所餡子が見えるほどの傷ができた。これで動けない…というわけにはならないが素早く動くことは無理だろう。
「お…おかあざあああん!!!」
「ゆびゃああ!!!ま…まりさはにげるんだぜえ!!」
子まりさが逃げ出した。
「にがすかあぁ!!!」
ゆうかはあっという間に子まりさを捕まえた。
「この!!」
「ゆああ!!かえじでええ!!!まりさのおぼうちかえじでええ!!」
ゆうかは子まりさの帽子を取り上げ親れいむが倒れているところへ放り投げた。
「おぼうちさんまってよお!!!」
子まりさは親れいむのもとへ走っていった。
「じっがりじでよお!!!!おがあざああん!!!じんじゃやだよおお!!」
子れいむは親れいむに寄り添って泣いていた。
「さぁて…あんたたち!!このままですむなんておもってないでしょうね!!」
親れいむ、子れいむ、子まりさの3匹の前で仁王立ちするゆうか。3匹は震えて謝っていた。
「すびばぜんでじだああ!!!でいぶがわるがっだでずう!!!ゆるじでえええ!!」
「ごめんなざい!!ごめんなざい!!」
「ごわいよお!!!ゆるじでええ!!!まりさをいじめないでえ!!!」
ゆうかは子れいむのもとへ近づいた。
「ごないでええ!!!ゆるじでよおぉ!!もうしないがらあぁ!!!」
「あんただったわね…。このおはながすきなんだって?」
「すきじゃないでずう!!!ぎらいでず!!!ぎらいだがらああ!!!」
「おでがいだがらああ!!!そのごをゆるじであげで!!!お…おなかがずいで!……だがら…そ……」
「いいわ」
親れいむと子れいむの話を遮ってゆうかが言う。
「あんたたちはそこでまってなさい」
「ま…まづっで??」
「ゆ…ゆるじでぐれるの?」
一瞬ゆっくり達の顔色が良くなった。
「ばかね」
ゆうかは呟くと子まりさの底部を咥えた。
「おろじでえええ!!!ゆるじでぐれるんじゃながっだのおお!!???」
逆さまになった子まりさが泣き叫ぶ。
「だれがゆるすっていった?」
ゆうかは子まりさをパクリと口の中に入れた。
「ゆぎゃびゃああ!!!がばないでええ!!!いじゃいい!!!ゆぎゃっ!!!たびぇ……」
「でいぶのおちびぢゃんがあああ!!!」
「おねぢゃあああああん!!!!」
ゆうかはごっくんと子まりさを飲み込んだ。忘れられがちだがゆうかは捕食種だ。ゆっくりを食べることは珍しいことではない。
「どぼじでたべぢゃうのおお!!!!?」
「まんじゅうだから。なにかほかにりゆうがあるの?」
「おねえぢゃんはまんじゅうじゃないよぉ!!!!」
「ああうるさいうるさい。みんなのおべんきょうのじゃまになっちゃうわ」
ゆうかは動けないでいるれいむと怯えている子れいむのリボンを引き千切り転がっていた子まりさの帽子と一緒に何処かへ持っていった。
「にげるならいまのうちよ」
「ゆがああ!!!がえじでえええ!!!!」
「おりぼんしゃんがえじでよぉぉ!!!!ゆっぐりでぎないよおおお!!!」
数分後ゆうかが戻ってきた。小皿を口に咥えている。ゆうかは小皿を置いた。
「えらいわね。じゃあおのぞみどおり…」
ゆうかは子れいむを咥えた。
「おろじてえええ!!!!ころさないでえ!!!ゆああああ!!!!」
「おでがいじまず…おちびぢゃんを…ゆるじで…ゆるじであげでええ!!」
「なにいってるの?あのおおきなおはなさんがすきなんでしょ。あのたかいところにいきたいんでしょ。のぞみをかなえてあげるわよ」
ゆうかは子れいむを口の中に入れた。
「いやああ!!!だべないでええ!!!!だじでええ!!!!ゆっぐりざせでえええ!!!!」
ゆうかはむしゃむしゃと子れいむを噛み砕いた。だが飲み込む気配はない。
「いじゃっ!!!!だじd…ゆびょおお!!!ゆぎゃあ!!!あぎゃあ!!!いぎぃ!!!」
「たべないでええ!!!おちびぢゃんをだべないでえ!!!!ゆるじでよお!!!ゆるじでえ!!!!だずげでええ!!」
口の中から子れいむの声がしなくなったところでゆうかはペッと小皿に口の中のものを吐き出した。
「ね、たべてないでしょ」
小皿には黒い塊が盛られていた。何やら赤い切れ端も見える。
「ゆぎゃああ!!!へんじじでえええ!!!!おちびぢゃあん!!!おちびぢゃあん!!!」
「まだたりないわ」
泣き叫ぶれいむの頬にゆうかは思いっきり噛み付いた。
「ゆびゃああ!!やべでえ!!かまないでえ!!!いだいい!!!」
「うぇぇ…まっず…」
咀嚼してからペッと吐き出した。
「もうちょっといただくわよ」
「どぼじでぞんなごどずるのお!!!!??いだいよぉ!!!おうぢにがえらぜでよおおお!!!!」
「あんたたちはあのおはなさんのごはんになるのよ。あんたたちのえいようがあのおおきなおはなになるのよ」
「いやああ!!!じにだぐないよおお!!!!ゆるじでえ!!!ぼうゆるじでえええ!!!!」
「もっとなくといいわ!!すこしはおいしくなってよね」
ゆうかはれいむを攻撃してからもう一度齧り付いた。
「ゆびゃあ!!!!い…いじゃああ!!!!……ゆぎぃいい!!!!あっ…ひぎゃあああああ!!!」
「ん~、すこしはおいしくなったわね。たべないけど」
小皿に吐き出した餡子も山盛りになった。これだけあれば肥料には十分だ。
「ごくろうさま。これであのおはなさんもよろこぶわ」
「ゆひぃぃ……ぼ…ぼう…じゅ…うぶんで…じょ…。ゆるじで……ここがらだじでぇ……」
ぐったりとれいむが呻く。
「そうね。もうじゅうぶんよ。だから……」
「もう……おはなざん…どらないがら……ゆるじで……」
ゆうかの顔に少し影が差した。日当たりが悪くなったのか中身の餡子が透けているのやら。
「ようずみよ。ごみはごみばこにすてないとね」
「ぞんなぁ……ゆるじで……おちびぢゃん……じんじゃっだのにぃ……ゆっぐ……えっぐ…」
ゆうか種は捕食種だ。数匹のゆっくりであれば難なく撃退することが可能である。それに希少種らしく知能も中々良い。
さらに特筆すべきはゆうか種は草花を愛しており花や野菜を育てることに生き甲斐を感じている点だ。
学校にある花壇や菜園は用務員が世話をするがやるべきことはこれ以外にも沢山ある。ゆっくりの駆除も四六時中できるわけではない。
そこでゆうかに草花の手入れ兼ゆっくりの駆除を任せることにしたのだ。
『おねえさん、おみずのやりすぎよ』
『これで大丈夫なの?』
『だいじょうぶよ。これくらいでちょうどいいわ』
草花の手入れが大好きなだけあって子供達に的確なアドバイスもする。クールなところもあって今やゆうかは小学生のアイドルだ。
「ほら!!すこしはじぶんであしでうごきなさい!!」
「ゆぼぉっ!!いだいっ!!!ぶべっ!!」
ゆうかはれいむを押し飛ばしながら何処かへ向かった。
「だじでええ!!!ここがらだじでえ!!!」
「ごめんなざいい!!!!ゆるじえぐだざいい!!」
「ゆっくちできにゃいよおお!!!!」
「あんよしゃんがいじゃいよおお!!!」
ゆっくり達の悲鳴が聞こえる。
「ゆ、ゆっぐりでぎないよおお!!!!ごわいよおお!!!」
その悲鳴にれいむが叫びだした。
「あそこにごみばこがあるのよ。すてられたらにげてもいいのよ。まぁそのあしじゃむりでしょうけど」
れいむの目の前に大きな穴が見えた。ボロボロになったゆっくり達が沢山転がっていた。
「いやああ!!!ゆるじでええ!!!なんでもずるがらああ!!!!おぢだぐないいい!!!」
「ほれほれ!いまからにげだしてもいいのよ!」
ゆうかはわざと力を抜いて少しずつれいむを押した。
「ごんなのどがいはじゃないわああ!!!ゆがああ!!!じにだぐないい!!!じにだぐないい!!!」
れいむの隣でありすが落とされた。落としたのは別のゆうかだった。
「あ、それって」
そのゆうかがれいむを見て言った。
「これ?このまんじゅうがどうかしたの?」
「いいなぁ。わたしがつかまえたのってくりーむだから。これじゃひりょうにならないのよ」
「じゃあこれあげるわ。あとしまつはちゃんとやってよね」
「ありがたくうけとるわ」
れいむは再び中身を抜かれることとなった。
「ぼういやだああ!!!!ずわないでええ!!!いだいのはいやだあああ!!!」
「あっちのこにもあげようかしら?なかなかいきのいいひりょうね」
「ゆるじでええ!!!はなじでえええ!!!!おうぢがえらぜでええ!!!」
れいむが捨てられたときには皮と僅かな餡子だけが残っていた。
「ゆうかたちのおはなさん!!ゆっくりそだってね!」
向日葵の前でにっこりとゆうかが微笑んだ。かくして子供達の花はゆうかによって守られたのであった。
「だれもいないね?ゆうかはもうねたよね?」
「だいじょうぶよ。だれもいないわ。いまのうちよ…」
深夜、街灯の灯りを頼りに2匹のゆっくりが小学校に侵入した。ゆっくりが学校を狙うのはお昼だけではない。
「「そろーり…そろーり…」」
ゆっくりと、静かに2匹は花壇に近づいた。昼間ここを見張っていたゆうかはいない。
「だいじょうぶだよね?ありす」
「ええ。ゆうかはいないわ」
流石のゆうかも夜は眠っている。
「おちびちゃんのためにもがんばってごはんをあつめるよ!」
「がんばってまりさ。ありすはみはってるわ」
まりさの狙いは大きく実ったトマトだ。このままでは子供達が作った野菜が荒らされてしまう。
「ゆ?」
「どうしたのまり……ゆゆ?」
突然2匹は底部に違和感を感じた。何かに触れている感覚がしないのだ。
「ど…どうなってるの!??」
「ゆ…ゆゆ…ゆ…」
おろおろする2匹。と、声が聞こえた。
「うっうー!」
「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」
「れみりゃだああああ!!!ゆぎゃああ!!!」
「ゆがああ!!!!ふ…ふらんだああ!!!!」
れみりゃとふらん。この2種は捕食種でありゆっくりの天敵である。夜行性で昼間は寝ている。夜になると空を飛びながら餌を探すのだ。
「うっうー♪あまあま~」
「おねえさま!あまあま!!」
「おろじでええ!!!!たべないでええ!!!」
「ゆるじでええ!!!ごべんなざいい!!!」
れみりゃとふらんの大好物は甘いものだ。つまりゆっくりは最高の餌なのだ。さらに好き嫌いが激しく野菜は嫌いなのだ。
このためれみりゃとふらんに草花の見張りをやらせても野菜をこっそり齧るなんてことはしないのだ。
「うっうー。うまうま~。ちゅーちゅー」
「ちゅー。おいしい!」
ゆっくりに噛み付き中身を吸い上げるのだ。これがゆっくりの食べ方である。
「ゆぎゃあああ!!ずわないでええ!!!!ずわないぢぇええええ!!!!!!!」
「じにだぐないい!!!おちびぢゃああん!!どがいはああ!!!どがいはああああああ!!!!」
徐々に小さくなる2匹。そして皮だけになった。
「っぽいするんだど~」
「ごみはいらない!!ぽいするの~」
昼間はゆうかが、夜はれみりゃとふらんが子供達の草花を守る。子供達がゆっくりのせいで泣くこともなくなった。
「ゆびょおおおおおお!!!」
「かばないでええ!!!いだあああいい!!!」
「おろちちぇええ!!!!きょわいよおお!!」
また違うところからゆっくり達の悲鳴が聞こえる。それだけ小学校はゆっくりにとって魅力的な場所なのだ。
「うっうー!」
「れーばてぃん!ゆっくりしね!!」
食べるのに飽きると空から落としたり木の枝で叩いたりしてゆっくりを虐める。
「どぼじでれみりゃがいるのおお!!!!」
「いじゃいい!!やべでええ!!」
捕食種の宴は夜が明けるまで続いた。
「う~。おぜうさまはもうねるんだど~」
「つかれた~。ふらんもうねる!」
朝になるとれみりゃとふらんは巣に戻り眠りにつく。太陽が昇り明るくなった花壇の周りにはゆっくりの死骸が転がっていた。
「柵を強化するかな…毎日毎日よく来るよ」
ゆっくりの死骸を片づけながら用務員の男性が呟く。目を覚ましたゆうかも巣から飛び出し早速草花の世話をしている。
「おにいさん!おにいさん!」
「おや、ゆうかじゃないか。どうした?」
「かざりいっぱいあつめたからまたこうかんしてちょうだい!」
ゆうかは彼の前に駆除したゆっくりの飾りを並べた。リボン、カチューシャ、帽子…大小合わせて10個ほどだ。
「よくやったな。ほれ、どれとこうかんしたい?」
「えーっと……じゃあこのたねをいただくわ」
ゆうかは嬉しそうに種の入った袋を持ち帰った。
また会う日まで
by 虐待おにいちゃん
最終更新:2011年07月28日 19:54