ゆっくりいじめ系3082 ちぇんとお兄さん 2日目

『ちぇんとお兄さん』の続きです。




 ちぇんとお兄さん 2日目




 ホワイトボードには「今回の(ゆ虐)テーマ:狂気」と書かれている。
 男は、秋の初めの遅い夏季休暇をちぇんを苛めて過ごすことにしたのだった。
 事実、その文字に違わず、ゆっくりショップで買い求めたちぇんを、男は狂的な行動で苛め抜いてきた。

 白紙のノートを謎の単語でびっしりと埋め尽くしてみたり、
 ちぇんにおいしいご飯を振舞っておきながら自分はパンの耳しか食べなかったり、
 膝の裏側ですーりすーりしたり、
 挙句の果てには男自身がうんうんしたり。ズボンはいたまま。

 ちなみにそのズボンは今でもはいている。
「おにーざんぐざいよーー!あだらじいずぼんさんはいでよーー!」
「?」
 男は小首をかしげるばかり。
「どぼじで”ぜんぜんいみがわからにゃい”みたいなかおをするのーー!?まじめにきいてよーー!!」
「お兄さんわからないよー、わからないよー(棒読み)」
「ゆうううううう!!!!!」
 ちぇんは地団駄を踏んだり男の足に跳びかかったりするが、悲しいかな、
 人ならざる身には男の世話をすることなど叶わない。
「おねがいだよーー!」

 男はため息をついた。
「……わかった、ちぇんがそこまで言うならそうしよう」
「ゆうう、うれしいよー。でもひととしてあたりまえのことなんだよー、わかってねー……」


 * * * *


「お兄さん!新しいズボンよ!」
 パン工場の助手みたいな口調で独り言を言いつつ、男は新しいズボンに足を通す。
「に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!!
 どぼじでずぼんさんのうえからずぼんさんはくのーーーーー!!??」
 そう、男はうんうん入りズボンの上から新しいズボンをはいたのだ。
「ふっ、このアパートの部屋には、ゆ虐に使うものならなんでも揃っているさ」
「にゃんできんぐさいずのずぼんさんもっでるのーーーー!!」
「あーっはっはっは!お兄さんにもわからないよーー!」
 だぼだぼのズボンを腰で押さえつつ高笑いする男。しかし近所迷惑を考えて音量はほどほどだ。

「これでよし、と」
 ズボンの腰回りを強引にベルトで締める。きちっとしたYシャツの上半身との対比が奇妙だ。
「ぜんぜんよぐないよーー!!みためもおかしいしすごくにおうよーー!!」
 ちぇんは伸びたり縮んだりしながら懇願する。
「おにぇがいだよーー……うんうんさんをかたづけてよーー……」

 男はため息をついた。
「……わかった、ちぇんがそこまで言うならそうしよう」
「ゆうう、うれしいよー。でもひととしてあたりまえのことなんだよー、わかってねー…」


 * * * *


 そんなこんなでまともな装いに戻ったお兄さん。これでおかしいのは頭の中だけだ。
「ちぇん、カラオケに行こう」
「わかるよー!からおけはゆっくりしてるよー!」


 自転車に乗って、いざ出発。
「……さて、どうやって推進力を得よう」
「どうしてちぇんをさどるにのせるのーーー!!わからないよーー!!」
 男はといえば、どのようにしてか自転車の前カゴに体育座りの姿勢で収まっている。
「おにーさんがこいでよーー!!だれかにみられたらはずかしいよーー!!」
「お前ゆっくりだろ?すぃーっと行け。すぃーっと」
「こんなにおもいのむりだよーーー!!!」
 重くなければすぃーできるのだろうか。謎は深まるばかりだ。
「すぃー!すぃー!……人が来たらどうしよう。部下に見られたら一生休んでてくださいって言われるかも。
 すぃーー!!」
「やめ゛でよーーーー!!」


 小一時間ほどちぇんをからかった後で、男はちぇんを連れ徒歩でカラオケ屋に向かう。
「ダンプに轢かれてチコタン死んだ~」
「ゆーー!?」
「横断歩道で黄色い旗握ってチコタン死んだ~」
「おにーさんもっとゆっぐりしたおうたうたってよーー!!」
「誰や!僕のチコタン殺したのん誰や!」
「やべでよーーー!!ちこたんこわいよーーー!!」
 精神的な疲れからか、ちぇんの目の下には隈ができている。


「いらっしゃいませー」
「hi,how are you?Two room please.」
「おにーさんなんでとつぜんえいごでしゃべってるのーーーー!!!!!
 それにしゃべれてないよーー!!おへやふたつもいらないよーーー!!!」
「い、いらっしゃいませ。お一人さまと、一ゆっくり様ですね」
「No no no,
 Two,rooooooom,please.」
「お、お部屋を?二つ……ですか?」
「Yes!」
「わがらないよーーー!!!」



「ちっちっち……部屋を二つ借りたからって、二手に分かれてヒトカラをするとは限らないんだぞ」
「ゆぅ、そんなしんぱいはしてなかったけどそれをきいてあんしんしたよー」
「部屋を二つ借りたからって、両方使う。
 そうやってなんでもすぐに決め付けるところが、お兄さんがちぇんのこと嫌いな理由」
「なにもきめつけてないよー!?かんがえてもいなかったよー!」
「まあいい。次から気をつけろ」
「ゆううう……!」
「あ。言い忘れてたけど、C〇cco縛りね」
「からおけでこ〇こはあんまりゆっぐりできないよーーー!!!」


「つーきーがとーおーくでー、ゆっくりないてるんだよー」
「うっ……うっうっうひひひひ……うっくっくっくっくっくくく……んひひうっ、うっ」
「ひからーびてーゆくー、もふもふらんしゃま……
 おにーさん、ちぇんがうたってるときにないたりわらったりしないでね!」
「ほっひひ……す、すま……ごっほうふほ……悪い悪い」
「ひかりーにまけーてもー、ここーにいるんだよー」
「うふっふひひひひ……(小声)」


 * * * *


「いやーカラオケはゆっくりできたな!」
「ちぇんはこ〇こさんあんまりとくいじゃなかったからゆっくりできなかったよー…」
「そんなことないって!上手だったよ!」
「そういわれるとてれるよー。…おにーさん、さっきからきげんがいいんだねー。わかるよー」
「わかる?わかっちゃう?いやーカラオケ最高だなー!おほっ、ぶはははほっほっひうんんいいい」


 男とちぇんは、買い物など何箇所か町を周って帰宅した。
 時刻は間もなく18時にさしかかるところだ。
「ちぇん!今度はクラシック聴こうぜ!」
「くらしっくはゆっくりだよー」
「ようし!リストの『パガニーニによる超絶技巧練習曲』だ」
 男は大音量で部屋に音楽を流す。
「おとがおっきくてちょっとゆっくりできないけど、おんがくはゆっくりなんだねーわかるよー」
「音が大きいのは……ふんっひひ……それなりの理由があるってものさー」
「すてきなきょくだよー」
「おひゃほへあんん゛に゛ょ゛おおあええああ!!じあわぜーーーー!!!!」
「おにーさん、もうちょっとだけおとをちいさくしてほしいよー」
「駄目。それだけは駄目。外の音になど耳を傾けずにリストを聞くのだ。それがゆっくりなのだ」
「わかったよー」


 * * * *


 男の住んでいる町では、18時になると時を報せる音楽を鳴らす。
 いつもならそれは、オルゴールバージョンの童謡『ふるさと』なのだが今日は違っていた。
「くそっ!誰だ!テープを差し替えたのは!」
「会社員風の男が防犯カメラに映っていました。しかし、顔は巧妙に隠しています」


 何人かの通行人が違和感を覚えて足を停めた。
 夕暮れせまる町に鳴り響く、ノイズまみれのこ〇このメロディといかにも素人っぽい誰かの歌声――
「つーきーがとーおーくでー、ゆっくりないてるんだよー」
「うっ……うっうっうひひひひ……うっくっくっくっくっくくく……んひひうっ、うっ」
「ひからーびてーゆくー、もふもふらんしゃま……
 おにーさん、ちぇんがうたってるときにないたりわらったりしないでね!」
「ほっひひ……す、すま……ごっほうふほ……悪い悪い」
「ひかりーにまけーてもー、ここーにいるんだよー」


「何これ?」
「キモーイ」
「宅録?しょっぱ!」
「嘘!どんどん音が大きくなるんだけど!」
「ちょ、この声ゆっくりだろ(笑)」


 * * * *


  • 次のニュースです。
 S玉県K市で定時のチャイムが外部からの侵入者によって差し替えられ、
 ゆっくりのものと思われる歌声が大音量で流されるという事件が発生しました。
 警察は悪質ないたずらと見てしらb-
 ブチッ
「さあさあ。テレビなんか見てないで風呂だ」
「ゆう、おふろはいるよー」


 この日は普通に就寝した。
「ちぇん、今日はゆっくりできたか?」
「とってもゆっくりできたよー」
「そうかそうか!ちぇんは(何も知らなくて)幸せだなあ!」
「ちぇんはとってもしあわせだよー」
「ちぇんが(何も知らないで)幸せだと、
お兄さんもなんだかしあわせだよおおおーーー!!!!うっばああああ!!!!!」
「てんしょんがたかすぎるよーー!わからないよーーーー!!」
「ちぇぇぇぇぇぇん!!!!カラオケ楽しかったーーーー!?」
「とってもたのしかったよー。またいきたいんだよー」
「うおおおおんんん!!うんああああーーーー!!!」
「わがらないよーー!?しずかにすーやすーやしようよー!?」








 END

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最終更新:2011年07月29日 02:45
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