ゆっくりいじめ系3056 ゆっくりのお医者様

『森のお医者様』
]]『村のお医者様』の続きですので、そちらのほうを読んでから
このSSを読んでいただかないと話の流れが分からないと思うので、上記2作を読んでいない方は、お手数ですが
上記2作を読んでからこのSSを読んでください・・・
勝手ですが、作者からのお願いです。






(ちなみに、
青年=えーりんを飼っている男、幼馴染=青年の幼馴染である虐待お兄さん、男=めーりんを飼っている男、と分けていますです。





























えーりんは、幼馴染の言葉にしばし呆然となった。


えーりんは呟いた。

「・・・どうして?」

どうしてなのだ。自分がぷれいすを離れたのはあいつらに言われたことが原因だというのに。あんまりにも身勝手すぎる。

「おい」

えーりんの飼い主の青年は呼びかける。幼馴染は顔を向ける。

「マジで?」

「こんな微妙な嘘つくわけねえだろアホか」

「・・・めんどくせえなぁ・・・えーりん、どうするんだ?」

ガリガリと頭を掻きながら青年はえーりんに問いかける。

「いかないというわけにもいかないでしょう」

「そうか・・・」

その会話に、怪我をして先程治療を受けに来ためーりんを飼っている男が口を挟んだ。

「あー、その・・・行く必要は無くなったみたいだぞ」

「え?」

二人と一匹は男に顔を向ける。
男は、青年の家の窓から少し離れた位置から、地面を見下ろしている。
その方向には・・・


「「「「「えーりんをかえしてね!!ぷんぷん!!!」」」」」

「「「「「ぷきゅーっ!!」」」」」

地面には5匹の成体ゆっくりと、同じく地面に5匹の赤ゆっくり達が固まっていた。
成体ゆっくりのうち2匹(れいむとちぇん)は、腹が膨らんでいる。にんっしんっしているのだろうか。
赤ゆっくりは、まりさが2匹ありすが2匹、みょんが1匹。
その全てが、頬を膨らませて威嚇している。

「そういやあこの家って森に一番近いんだったっけな・・・」

幼馴染は呟く。



えーりんは黙って家の窓のふちまで跳ねていき、そこからそのゆっくり達を見下ろした。青年達はそんなえーりんの後姿を見守っていた。


「ゆ!えーりんだぜ!!」

まりさの一言に弾かれたように、ゆっくり達は威嚇を止めて、

「えーりん!れいむたちのゆっくりぷれいすにもどってきてね!!」

「おねがいするわ!あなたがいないとふあんでゆっくりできないのよ!」

「ちーんぽ!」

「わかってねー」

成体5匹は口々にこう言う。赤ゆっくり達は目を輝かせて「ゆぅ~」と言いながらえーりんを見つめている。
それを見たえーりんは、目を細め、不機嫌そうな表情で、突き放すように言った。

「・・・いやよ」

それを聞いたゆっくり達は、

「「「「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!!???」」」」」

と、涙を撒き散らしながら声をそろえて嘆く。

「いまさらぷれいすにかえるきになんてならないもの」

「なにいっでるのぉぉぉ!!!えーりんはありずだぢのゆっくりぷれいすのおいしゃさまでしょぉぉぉ!!」

そう言うありすに向けて、えーりんは答える。

「それはちがうわ。
わたしはゆっくりのおいしゃさま。あなたたちだけのものになることはできない」

「ぞんなごどいわないでねぇぇぇ!!!」

「えーりん!おねがいなのぜ!かえってきてほしいのぜ!」

そう言うまりさに、えーりんは顔を向け、

「あなたがそれをいうの?どのくちでいってるのよ?」

そこまで言ってから一呼吸置き、さらに咎めるような口調で言った。


「ねえまりさ。あなた、どうしてわたしがぷれいすをはなれたのかわかってるの?」

「・・・ゆ?・・・ぷれいすがゆっくりできなくなったから?」

「うん。じゃあゆっくりできなくなったげんいんは?わかる?」

えーりんは静かに、しかし強い口調で、まりさに言葉をぶつけていく。


このまりさは、ぷれいすが捕食種達に襲われた次の日に、治療をするえーりんを罵倒したゆっくりの一匹である。
頬につけられた、治りかけている大きな傷が目印だ。
そのときに言い放たれた言葉を、えーりんは未だにはっきりと覚えている。

「えーりんなんてえいえんにゆっくりできなくなっちまえなのぜ!!!」

そうまで言ってのけたまりさが、今こうしてえーりんを連れ戻そうと説得しているのは、ひどく滑稽に思える。


「・・・わからないのぜ」

まりさは数十秒間悩んだが、答えを導き出すことができなかった。
自分に都合の悪いことは忘れてしまうという通常ゆっくりの性質を、えーりんは改めて確認した。

「そう。まあ、あなたがおぼえていたとしてもわたしはぷれいすにもどったりすることはないけどね」

「どういうことなのぜ?」

「ねえまりさ。わたしがぷれいすをでていったのは、あなたにもげんいんがあるのよ」

「ゆ!?・・・なにいってるのかわからないのぜ」

「はぁ・・・」

えーりんは溜め息をついた。

えーりんを見上げていたゆっくり達も、折れないえーりんを見て、すっかり元気を無くしてしまっている。

数秒の沈黙の後、えーりんは振り向いて、青年達に向かって、

「こいつら、どうおもいます?」

と問いかけた。

「勝手だな」

「しつこい」

「いじめまくりたい」

と、青年、男、幼馴染の順に言った。

「・・・さいごいがい、わたしもどうかんです」

えーりんは言う。

「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!!??」

幼馴染は叫ぶ。

「・・・おにいさんのおともだちさん、ゆっくりがそのごしゅみをりかいするわけにはいかないのです」

「・・・そうか・・・」

「そのごしゅみは、ぐたいてきにどういうことをするのかは、どすゆかりんからきいています」

「なんでそんなこと知ってるの君のところのドスは・・・」

「しょうじき、そのごしゅみのたいしょうがわたしにむけられたら・・・とおもうと、すごくこわいです。
まあ、でも、そのごしゅみのたいしょうをわたしにむけられることがなければ」

「なんだそうか。安心しろ、君を虐めたいなんて思わないから」

幼馴染は満足げに頷きながら言う。

「というか、そのごしゅみじたいなくしていただけると、ほんとうにあんしんできるのですが」

「すまぬ、それは無理だ」


「・・・まあ、それはともかく、こいつら、なんとかしていただけませんか?」

「え?マジ!?」

「あ・・・その・・・わたしがおねがいしたいのは、こいつらを、
おにいさんたちのほうからもとのぷれいすにもどるようなんとかしていただきたいというだけです。
いじめたり、えいえんにゆっくりできなくなるようなことはしないでいただけますね?」

「ゆ・・・?」「え、えーりん、なにいってるの?」

ゆっくり達と同様に、青年達も困惑した。

「・・・いいのか?その、言うこと聞いてやらなくて」

幼馴染は確認する。それに、えーりんは頷く。

「いいんです」

「そうか。あ・・・その、さ、君のとこのドスからなんか報復されたりする可能性があるのかもしれないのが心配」

「だいじょうぶだとおもいます。どすはわたしがぷれいすからはなれることにはんたいはしませんでしたし、
こいつらは、どうせどすからのきょかもとっていないでしょう。どすがこんなおおぜいをよこしてくるとはおもえませんから」

ちなみに、許可を出された?のはまりさ一匹だけである。

「ドスねえ・・・君のとこのドスって、そんな優秀なのか?」

再び聞いてきた幼馴染に、またえーりんは頷く。

「どすは・・・きびしくもありますが、どすのいうとおりにすれば、どんなこともうまくいくんです。」

「・・・そうか。ドスには怒られ、さらに時間を割いて村まで来たのにえーりんを連れ戻せなかった、じゃあ
得することがなんも無くなっちまうから、絶対にえーりんを連れ戻さなくちゃいけないわけだ」

「・・・わたしにはなんともいえませんが・・・そうなのかもしれませんね。こんなにしつこいのは」

「ハハッ、こいつらも馬鹿だな。苦しんで殺される位なら怒られるほうがマシなのに」

「え?」

「いやなんでもない」


彼は、少々心が痛むが、えーりんに言われたことを守るつもりは無い。
幼馴染は、猛スピードで玄関へ向かい、青年の家から飛び出して、頬を膨らませるゆっくり達を捕まえようとした、その時・・・


「ま、まって、ください!にんげんさん!!」

という声が聞こえた。

えーりんとゆっくり達と幼馴染は、声のした方向に顔を向けた。こちらに向かってきたのは・・・

「「「「「「「らん!」」」」」」」「らんとは。珍しい」

群れの幹部の、あのらんであった。

「はぁ、・・・はぁ・・・」

「らん、どうしたのよ?!」

えーりんはぽいんと窓から降りて、らんに尋ねる。青年はそれを追うように窓に歩み寄って、窓から地面を見下ろす。

らんは、息を切らしながら告げた。

「・・・っ、そいつらを、つれもどしに、きた」

「?」

「ら、ら、らんだぁぁぁぁぁぁ!!」

「ゆっくりできないわぁぁぁぁぁ!!!!」

「ゆっくりごろしがれいむにぢがづがないでねぇぇぇ!!」

「ちっ、ちんぽ!!」

「・・・」ガタガタ

叫ぶ4匹、みょんの背後に隠れて震えるちぇん。五匹の普通ではない反応と、そしてれいむがらんに向けて言った言葉が、えーりんは気にかかった。

「らん、あなた、なにをしたの?」

「・・・」

らんは俯きながら黙っている。

「らんは・・・らんは、れいむをえいえんにゆっくりできなくさせちゃったんだぜ!!!」

まりさが叫ぶ。その言葉に、えーりんはにんっしんっれいむを見ながら首を傾げる。

「れいむならそこにいるじゃない。なにいってるの?」

「そうじゃないぃいいい!!!もうひとりれいむがきてたのぉぉぉお!!!」

「ああ、そういうことね・・・でも、」

えーりんの知っているらんは・・・というか捕食種でないゆっくりなら当然のことだが、
無闇に他のゆっくりを殺したりはしない。らんは群れの幹部をやっていけるくらいなのだからなおさらのことだ。
らんが我を忘れてそんなことをするとは、ただ事ではない。恐らく・・・

「そのれいむが、らんをおこらせるようなことをしちゃったんでしょ?」

「ゆ・・・まあ、それは・・・」

「やっぱり」

「それよりらん、れいむのあかちゃんはどうしたのよ!?まさかおきざりに・・・」

らんは黙ったまま尻尾で帽子を上げて頭頂部を見せる。そこに、

「ゆぅ~・・・」「ゆぴー」

あの3匹の赤れいむ達がいた。グッスリと眠っている。目に隈が出来ている。泣き疲れてしまったのだろうか。

「あぁ・・・」

五匹は安堵の溜め息をつく。
それを見てから、らんは口を開く。

「れいむのことは、ほんとうにすまなかった。ばつはかならずうける。
おまえたちといっしょにぷれいすにもどってからな」

「・・・」

「だからたのむ、ぷれいすにもどってくれ、みんな」

「えーりんは・・・どうするの?」

ちぇんはえーりんのほうを向いて尋ねる。

「なんどいえばわかるの?」

「わっ・・・わかるよ~・・・ごめんなんだよ~」

「っていうかあなたたちなんでわざわざおちびちゃんたちまでつれてきたのよ?あしでまといじゃない?」

「ゆ・・・それはね・・・」

れいむはまりさのほうをちらりと横目で見る。
まりさは口を開いた。

「おちびちゃんはゆっくりできるものだぜ!かわいいぜ!
だからおちびちゃんたちをみせればにんげんもめろめろになって、えーりんをつれてかえってもひきとめられないだろうとおもったのぜ!」

それを聞いた青年は呟く。

「ゆっくり理論は理解出来ん・・・」

それを聞いたえーりんが振り向き、青年を見上げて、そして苦々しげに笑いかけ、言った。

「しょうがないです。にんげんさんとわたしたちはちがいますから」

「そうだな」

青年とえーりんは笑いあった。


「えーりん、なにしてるのぜ?」

まりさの呼ぶような声が背後から聞こえたので、えーりんはまた振り向いた。

「なんでもないわ。それより、いつまでここにいるつもりよ?」

「えーりんがまりさたちといっしょにぷれいすまでかえるけっしんをつけるまでだぜ」

それを聞いたらんは、イライラしたような声でまりさに言い放つ。

「・・・まりさ」

「ゆ?」

「いいかげんにしろ。もうすぐひがくれる、れみりゃやふらんがあらわれるじかんだ。はやくもどらないといけないぞ」

「そうなったら、にんげんのおうちをうばえばいいのぜ。そんなこともわからないのぜ?」




「えっ」



「何それ怖い」



まりさの言った言葉に、青年と幼馴染は反射的に呟いた。
それに対し、まりさはこう言った。

「ゆ?なにまぬけなかおしてるの?まりさたちにできないわけないでしょ?」

「「「「・・・」」」」

青年と男とえーりんとらんは、心底呆れたような顔でまりさを見つめている。

「な、なんなのぜ?できないとでもおもってるのぜ?」

それに対して、幼馴染が答える。

「何なの?出来るとでも思ってんの?」

「あたりまえだぜ。にんげんがたばになってかかってきてもまりさにかなうわけないでしょ」

「いつも思う。その自信の根拠はどこから来るのかと。お前今まで人間に会った事あるか?」

「これがはじめてだぜ」

「えっ・・・おかしいって思ったことは無いか?」

「ないぜ。でも、まりさはもりのなかならつよいほうにはいるとはおもってるぜ!」

「えっ・・・その、もう一回聞くが、ゆっくりが人間に勝てると思ってるのか?」

「そうだぜ!ひとめみてわかったぜ!にんげんにまりさがまけるわけないぜ!
おおきさなら、にんげんとまりさはおなじくらいなのぜ!!」

どうやらこいつは頭の大きさで敵の強弱を見極めるタイプのゆっくりのようだ。

「ああ・・・なるほどね。でもさ・・・本気で思ってる?」

「あたりまえだよ!!!なんかいいわせるの!?」

「えぇ~何コイツ思考回路おかしいよ絶対・・・えーりんに診てもらうべきだろ・・・」

と嘆く青年に、幼馴染は諭すように言い始めた。

「まあそう嘆くな我が友よ・・・
ゆっくりにも個性ってものは当然ある。その個性が形成されていく過程で、ゆっくりは色んなことを吸収していくわけだ。
親のからの知識だったり、自分の体験からだったりな。
そんで、このまりさはたまたま、自分と同じくらいの大きさの敵に勝ち続けてきちまったんだ」

「れみりゃにぼろぼろにされちゃったことはわすれたみたいですけどね」

「・・・だから、ゆっくりの基準なら、特別頭がおかしいってわけじゃないのさ。こんなこと言うゆっくりはたくさんいるぜ。
それに、さっきえーりんが言ってただろ。人間とゆっくりは違うって」

「・・・ふーん。ためになるお話をありがとう」

青年は、別になんとも思っていないような表情で幼馴染に礼を言った。


「・・・で、らん、どうするのよ?」

えーりんは、無表情のままらんに問う。
それに対し、らんは、呆れ顔で言った。

「・・・さっき、もりのなかでわたしのいったことをおぼえてないようなら、わたしと、れいむのあかちゃんだけでぷれいすにもどる」

「「「「ゆ!?」」」」「ら、らんしゃま?」


「・・・らん、ぷれいすにかえるの?」

えーりんは確認する。

「そうだな。もうかえる。・・・ゆかりんさまから、つれもどしてこいとしれいをうけていたのだがな。
そのけっかがあかれいむさんにんだけとは、もうしわけないきもするが」

「どすになんていうつもり?」

「ありのままをはなすしかないだろう」

「そう。・・・らん、たっしゃでね」

「ああ」

「・・・あ、らん。いつもの、わすれてたわね」

「え?」

「ゆっくりしていってね」

「・・・ああ。ゆっくりしていってね!」


えーりんと別れの挨拶を交わしたらんが後姿を見せた瞬間、ちぇんはその後を追おうとした。

「ちょ、ちょっとまってらんしゃま!まって、おいてかないで!!」

「・・・どうしたのちぇん?にんげんさんはこわくないんじゃなくて?」

えーりんの問いに立ち止まって、振り向いて、ちぇんは答えた。

「・・・らんしゃまは、どすがあいてをしてもにんげんさんにはかなわないっていってたよ~・・・はじめはしんじられなかったけど、
らんしゃまのいうことはいつもただしいんだよ・・・だから、いまさらだけどこわくなってきたよ・・・それに、」

「ん?」

「らんしゃまにみすてられるのも、おなじくらいこわいよ~・・・ゆっくりできないんだy・・・ゆ?」

「・・・」

そこまでえーりんに向けて言ったとき、ふと、ちぇんは、まりさの様子がおかしいことに気付いた。


「まりs」

どうしたの?と続くはずだったのだが・・・

「ゆっくりでぎないえーりんはゆっぐりじねぇぇぇぇぇぇ!!!」

まりさはそう叫び、えーりんに体当たりをした。

「ゆ゛っ!?」

えーりんはそのまま幼馴染の足元まで転がる。
それを見たちぇんは・・・いや、まりさ以外の、そこに居合わせた全ての生き物が驚愕した。
叫び声を聞きつけたらんがこちらまで戻ってくるのが見えた。

「ちょ、ちょっとまってねまりさ!えーりんをゆっくりできなくさせちゃだめだよ!!」

れいむはそう言うが、まりさは怒りの形相のまま再び叫ぶ。

「なんでえーりんはまりさたちのいうことをきいてくれないのぜ!?いうこときいてくれないと、まりさおこるのぜ!!
まりさをおこらせるといたいめにあうんだよ!!またいたいめにあいたくないなら、いまのうちにぷれいすにもどるけっしんをしてね!
でないと、まりさがえーりんをえいえんにゆっくりできなくさせるよ!!!」

その言葉を聞いた他の4匹はうろたえた。

「・・・ふふっ」

えーりんは、横になったまま砂だらけの顔に笑みを浮かべるだけだ。

「えーりん!さっさt」

「このばかまりさがぁぁぁぁ!!!」

「ゆべっ」

その時、らんがまりさに体当たりをして突き飛ばした。まりさの帽子が舞い上がる。
突き飛ばされたまりさのほうに、成体4匹は跳ねていく。

落ちてきた帽子を咥えて横に置くと、らんはまりさに向かって言い放つ。

「じぶんのいうとおりにならなければゆっくりできなくなれだと?・・・きさまがそんなわがままだとはおもいもしなかったぞ」

「ら、らん・・・」

「それにまりさ・・・いつもいつも、もじどおり『みをけずって』けがをなおすえーりんがいたみになれていないわけがないだろう。
こうげきでえーりんをおることはできん。 そんなちょうしだからえーりんにあいそをつかされるのだ」

「ゆ・・・」

「まりさ、こんごいっさいぷれいすにはもどってくるな。このぼうしはつかえなくしておく」

「ゆぅ!?」

言い終えたらんは、まりさの帽子を尻尾に引っ掛けたまま、今度こそ森の方向へ去っていった。

「ち、ぢょっどまっでぇぇぇぇ!!!ばりざのおぼうじぃぃぃぃ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!がえじでぇぇぇぇ!!!」

まりさは横になったまま顔を歪めて号泣するが、らんが振り向くことはなかった。

そんなまりさを、周りの成体4匹は冷ややかな目で見つめていた。
えーりんは、玄関から外に出てきた青年に抱きかかえられたまま、5匹を見下ろしていた。


いたたまれなくなったちぇんはらんの向かっていった方向に顔を向ける。既にらんの姿は見えなくなっていた。


ちぇんは口を開いた。

「みんな・・・かえろうよ・・・」

まりさ以外の3匹は、その言葉に無言で頷いた。


4匹は、抱きかかえられているえーりんを見上げ、一斉に言った。

「「「えーりん、にんげんのむらでゆっくりしていってね!!!」」」「ちーんぽ!!!」

その言葉に、えーりんは答えた。

「ゆっくりしていってね!!!」

と。




「なんか日本語として成立してない気がするんだが」

「だから人間とゆっくりは違うんだってば」

「いや、きっと今のえーりんの『ゆっくりしていってね』は『ゆっくりしていくね』って意味なんだろ」

「なら『ゆっくりしていくね』って返せばいいじゃん」

「それは『ゆっくりしていってね』って言われたから仕方ないことさ。これが定番だし」

「えっ・・・俺初対面のとき『ゆっくりしていくよ』って返しちまったんだが」

「まあそれは、お前は人間だから気にしなくていいんだよ。俺なんて『うるせえ死ね』って返すし」

「「それは無いわ」」

頭上で繰り広げられる『ゆっくりしていってね』についての議論に耳を傾けながら、
らんと同じ方向へ去っていった4匹をえーりんは見送った。




「・・・そう。分かったわ。残念だけれど」

「もうしわけありません」

運よく、捕食種に出会うことなくぷれいすに帰ったらんは、元の親れいむの家の中に、食料を添えて赤れいむ3匹をそっと置いた後、
ドスゆかりんの巣穴に戻り、今回のことのありのままを報告した。

「らん、あなたもゆっくりだから、もちろん失敗することもあるのはわかるわ。とは言えど、今回が初めてよね。失敗したのは」

「はい」

「正直、意外だったわ」

ゆかりんは笑いながららんに言う。

「私は『なんとしてでも連れ戻して来い』って言ったのにね。あなたが私の指令を破るなんて思ってもみなかったわ」

「ほんとうに、もうしわけありませんでした」

「良いのよ、気にしなくて。ま、ゆっくり殺しの件の罰は考えておくけれど」

「はい」

「今日は、あとはゆっくりおやすみなさい」

なんとも妙なことだ。数時間前と言っていることが違っている。

「はい。おやすみなさいませ」

「ええ」

自室に戻るらんの後姿を見送り、ゆかりんは考える。

(人間さんと交流をなくしてしばらくすれば、こういうことは必ず起きるっていうことを覚えとかなくちゃね)

思えば、森の奥にぷれいすを移してから2年が経っている。
ちなみに、群れの創立は6年前、らんが幹部になったのは3年前である。

(群れのゆっくりがまた減ったのは大変だけど、よく考えたら結構簡単に私たちは数を増やすことができるし、
このぷれいすに住んでるわけじゃない他のゆっくりがここに住み始めることはちょくちょくあるのよね)

事実、らんが人間の村に行っている間にも、一匹のまりさが、このぷれいすでおうち宣言をさせてもらったりしている。

(大丈夫だと思っておこうかしら。きっとあのまりさ達はもう帰って来ないだろうから、もう人間さんに関わろうなんて誰も思わないだろうし。
あのまりさ達には申し訳ないけど、誰かがこういう目に会わないといけなかったのよね。
 ・・・でも、食料調達のとき以外は、しばらくは群れの外出を制限しようかしらねぇ・・・)

そこまで考えたとき、外から、数匹のゆっくりの声が聞こえてきた。
声の雰囲気からすると、なぜだか知らないが、安堵したような様子である。
なにやら良い予感がしたゆかりんは、隙間をつなげて、上空からぷれいすを見下ろした。
ゆかりんの視線の先には、成体ゆっくり4匹と、その子供達が映っていた。

(・・・らん。これだけ帰らせてきたなら、十分に仕事はしてきてくれたみたいね。
外出制限じゃなくて、代わりに人間さんについての勉強が必要になっちゃうでしょうけど)


ゆかりんとらんが居る限り、このぷれいすは安泰だろう。









いつものとおり、村のゆっくりの診察をし、夕食を食べ、そしてまた診察をし、
と言った調子で過ごしたこの日の夜。


「えーりん、本当に良かったのか?」

青年は布団にえーりんを入れながら尋ねる。

「はい?」

えーりんは首をかしげる。

「ぷれいすに戻らなくてさ・・・必要とされてるんだぞ?」

「いいんです。・・・ここにもひつようとしてくれるゆっくりがいます。それにわたしは、ここのほうがゆっくりできるんです」

「・・・そうか」

「はい。とっても」

「・・・」

「それに、このむらにすんでるひとたちもやさしいですしね」

「・・・そうか」

「はい!」

えーりんは笑顔で言う。

そんなえーりんを見て、青年は思った。

(なら、絶対にあいつに手は出させないようにしないとな。飼いゆっくりに手を出したことは無いって言ってたけど、それでも心配だ)


「それと、えーりん」

「はい?」

「君でも怒ることがあるんだな」

「・・・うふふっ、あたりまえですよ」

「そうか」

「ええ」




「おやすみ、えーりん」

「はい、おやすみなさい。おにいさん」



一人と一匹は夢の世界へ入っていった。










「ひゃ、ひゃめるのふぇ!まりふぁにほんなことひないでほひいのへ!!」

部屋の中には、頬を膨らませた帽子の無い成体まりさと、一人の男がいる。

「やめるわけねーだろカス。とっととその口ん中のお前の子供吐き出せよ。それともその口、二度と開けないようにするか?」

「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」

口を閉じて涙を撒き散らしながら首・・・?身体を振るまりさに平手打ちをしているこの男は、
先程のえーりんの飼い主の幼馴染だ。彼は筋金入りの虐待家なのだ。

「喋れ。どうして欲しいのか言ってみろ。子供を吐き出して自分だけは助かりたいのか。
それとも子供を飲み込まざるを得ないような口にさせられて、子供だけは俺の手に触れさせないようにして、あと自分は餓死したいのか」

「ん゛ん゛っ」

どちらに対しても首を振るまりさを見て、にやりと笑った彼は、今度は拳を握り締めて、まりさの顔面を殴りつけた。

「ゆ゛っ!!」

嫌な音と共に、まりさは壁に激突した。その拍子にまりさは横になり、あんよを晒した。
真っ黒に変色している。つまり、このまりさはもう動くことはできない。
つまり・・・まりさのゆん生は、いわゆる『詰み』に嵌ってしまっているのだ。

近づいてくる彼を見るまりさの心に、絶望が広がっていった。



次の日、大きな餡子の塊が入ったゴミ袋が、ゴミに出されていた。






































あとがき



結局、全体的にあっさり気味になってしまった。
あと、本当はあの5匹とその子供達も虐めたかったんだけれど途中で飽きたのでこんなんになっちゃいました。



まあ、そんなことより、
何回も地の文とか台詞を書き直してるせいか、書いてる最中「えーりん」の文字がゲシュタルト崩壊した。


byめーりん萌え

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最終更新:2011年07月28日 03:44
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