ゆっくりいじめ系3054 ゆーでぃーえーふ!(後編)


【Intermission】
「ゆゆ!きょうは、おにいさんとしんへいきのてすとをするよ!」
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O.N.I.S.A.N兵器開発部では、今日も新兵器の開発に余念が無い。
その開発プロジェクトの多くは、既存兵器の改良であるが、
希に全く新しい概念の新兵器を開発する事もある。

「・・・というわけで、れいむ!今日は新兵器のテストだ!」
「ゆっ!ゆっくり、りかいしたよ!」

俺とれいむは、近所の河原にやってきた。

開発部から届いた、ゆがわ急便の段ボールを開き、
その中から、小型のランドセルのような物を取り出す。
これこそが、フォーリナーの技術を応用して作った、
プラズマエネルギー式飛行ユニットだ。
実戦配備の暁には、空を飛ぶゆっくり達による突撃自爆部隊、
『ぺいんゆいんぐ』隊を編成する計画である。


小型のランドセルのようなそれを、れいむの背に接着剤で貼り付ける。

操縦はゆっくりでも簡単、思念コントローラを内蔵している為、
手足の無いゆっくりでも自由自在に操縦することができるのだ。
この辺は、フォーリナーの技術ではなく、すぃーの技術を応用している。

というか、すぃーの機構自体が、饅頭が生きて喋るのと同じくらいに
謎過ぎて解析不能なため、装置内にすぃーそのものを組み込み、
すぃーの車輪やブレーキの動きを歯車やスイッチに伝えることで、
コントロールを行うという、極めてアナログな仕組みになっている。
人類の科学の敗北である。

「よーし、準備できたぞ。れいむ、頭の中で『上昇』と言ってみるんだ。」
「ゆっ!じょうしょう!」
いや、口に出さなくていいからな。

シーン・・・
何も起きない。あれ?おかしいな・・・

「じょうしょう!じょうしょう!」
れいむがぴょんぴょんと飛び跳ねるが、
飛行ユニットは一向に反応する気配を見せない。

「うーん・・・壊れてるのかなぁ・・・」
こりゃ、今日の実験は早速失敗かな、と思い始めた矢先。

「ゆゆぅ!!ひこうゆにっとさんは、ゆっくりしないではやくとんでね!
 れいむ、おそらをとびたいよ!!」

そう言ってれいむがぷくぅぅと膨れた途端、
フイーーーーン・・・・
と不思議な音を立てて、飛行ユニットのバーニア部から光が漏れ出し、
ゆっくりとれいむの体が上昇を始めた。

「ゆっ!?ゆゆっ!?」

あー・・・アレか・・・ゆっくり語で思考しないとダメなのかー・・・


「ゆゆっ!れいむ、おそらをとんでるみたーい!!」
いや、実際に飛んでるから、それ。
ふわふわと宙を浮かんだれいむが、上昇を続けてゆく。

「あ、そうだ。れいむ、言い忘れたけど、その飛行ユニット・・・」
「ゆゆぅぅぅぅぅ!!すごいよ!すごいよ!おにいさんがありのようだよ!!」

調子に乗ったれいむは、既に高度10メートルぐらいまで上昇している。
その時、

ピコーン!ピコーン!ピコーン!

と飛行ユニットからけたたましい警告音が鳴り響いた。

「ゆ?なんのおと?うるさいよ!ゆっくりしずかにしてね!!」
「おーい!れいむー!その飛行ユニットはすぐにエネルギー切れるからなー!
 エネルギー切れたら下に落ちるぞぉー!」
「ゆ?・・・・ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?
 そういうごどは、さきにいってねぇぇ?!」

ピコーン!ピコーン!バシュゥ!ピピピピピピピ!!!

警告音が止み、替わりにエラー音が鳴り響き、
飛行ユニットのバーニアから漏れる光も消える。
それと同時に、ゆっくりと上昇していたれいむの体が、
重力に引かれて急速に落下を始めた。

「ゆわぁぁぁ?!おぢるぅぅぅ!?!?だずげでぇぇ!おにいざぁぁぁん!!」

れいむ・・・無茶しやがって・・・

俺は星になったれいむを、敬礼で見送った。

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【Stage40】「帰路」
ガチャ
俺が本部でマンガを読んでいると、ドアが開く音が聞こえた。

「ゆぅぅぅ・・・やっとかえってこれたよ!」
「あれ?れいむ、生きてたの?」
「いきてるよ!おにいさん、ひどいよ!れいむ、しぬかとおもったよ!」
「あー、もう要員補充の申請しちゃったなぁ・・・
 しょうがない、断りの電話入れておくかぁ・・・」

ガチャ
再びドアが開き、次に入ってきたのは、もう一匹のれいむだった。

「ゆっ!ほんじつづけで、さくせんしれいほんぶしきかんにちゃくにんした、
 『れいむ』であります!
 じゃくはいゆっくりではありますが、ゆっくりおねがいいたします!」

ビシィッ!と、器用にもみあげを動かして敬礼を決める、キリリとした顔のれいむ。

「あー、もう来ちゃったんだ・・・まあ・・・オヤツにでもすればいいか・・・」
「ゆっ・・・?おやつ・・・でありますか・・・?」
「うん。オヤツ。今日の。」
「ゆ・・・ゆぅ?・・・・・・・・・・ゆ!?」
「ゆんy」
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「はやくもどって、あまあまさんをたべようね!」

ゆっくり達の先頭を飛び跳ねながら、一匹のれいむが嬉しそうに笑う。
その後ろに続くのは、複数のゆれんじゃーチームから成る十数匹のゆっくり達。
彼らは、30分前に行われた戦闘に辛くも勝利し、
これから、回収ポイントへと向かう所である。

「ゆ?なにかきこえるわよ?」
不意にありすが、跳ねるのを止めて聞き耳を立てる。

「けいかいするみょん!」
ゆれんじゃー6隊長のみょんが、枝を咥え、
配下の隊員ゆっくり達にも警戒を促す。

怯えた顔でキョロキョロと周囲を見回すゆっくり達。
そして、一匹のれいむが、最初に敵影を発見した。

「ゆぅぅ!ありさんだぁぁぁ!?」

現れたのは、巨大な赤蟻。
しかも一匹だけではなく、数十匹。
ゆれんじゃー部隊を挟み撃ちにするかのように、前後から迫ってくる。

「たくさんいるわよぉぉぉ?!?!」
「せんとうにそなえるみょん!!」
「かずがおおすぎるんだぜぇぇ?!にげるんだぜぇぇ!?」
「まにあわないぃぃ?!ありざんがこっちぐるぅぅぅ!?」
「ごりゆすたいが、まえにでてね!まえにでてね!」
「おずなぁぁ!?れいむがまえにでろぉぉ!!」
「どぉぉして、そんなこというのぉぉ?!」

突然の襲撃にパニック状態に陥るゆれんじゃーチーム。
敵の数は、先程の激戦で多くの仲間を失った満身創痍のゆれんじゃー部隊の数倍。
どう考えても勝ち目は無い。

「ゆっ!ほんぶにおうえんをたのんでねっ!たのんでねっ!
 ゆっくりしてないで、さっさとおうえんをたのめぇっ!このぐずぅっ!!」


「ほんぶ!ほんぶ!こちらゆれんじゃー6なんだぜ!」

『むーしゃ、むーしゃ!れいむ、しあわせぇぇ!
 おにいさん!あまあまさんおいしいね!』
『おい、れいむ、何か通信入ってるぞ?』
『ゆ?ゆぅ~・・・せっかくあまあまあんこさんをたべてるのにぃ・・・』

『ゆっ!こちらほんぶ!
 れいむはいそがしいんだから、じゃましないでね!
 じゃまするばかなゆっくりは、ゆっくりしないでさっさとしんでね!』

「こちらゆれんじゃー6なんだぜ!ありさんとこうせんちゅうなんだぜ!
 あまあまたべてるばあいじゃないんだぜぇぇ?!
 れいむはばかなのぉぉ?!しぬのぉぉ?!」

『・・・・・・よくきこえないよ。もういっかいいってね。』
「こちらゆれんじゃー6なんだぜ!
 ありさんとこうせんちゅうなんだぜ!
 みょんたいちょうも、やられちゃったんだぜ!
 えんぐんをおくってくれなんだぜ!」

『こちらほんぶ。よくきこえないよ。もういっかいいってね。』

「こ・ち・ら!ゆ・れ・ん・じゃー・6!なんだじぇぇぇ!?
 ありさんがどんどんふえてるんだじぇぇぇ?!?!
 おねばいじまずぅぅぅ!
 ゆっぐりじないで、はやぐえんぐんをおぐっでぐだざぁぁい!?」

『ゆぷぷ、ぜんぜんきこえないよ!きっとつうしんぼうがいだね!』


『れいむ、どこからの通信だ?』
『ゆっ!つうしんぼうがいでぜんぜんきこえなかったよ!』
『そうか。通信妨害なら仕方ない。』
『ゆゆ~ん!しかたないから、あまあまさんたべるよ!!
 ゆゆゆん♪れいむのあまあまさ~ん♪ゆっくりれいむにたべらてね♪・・・ゆ?
 ゆゆっ?!どぉじで、れいむのあまあまざんが、なぐなっでるのぉぉ?!』
『ああ、悪い悪い、全部食っちゃった。テヘ☆』
『ゆわぁぁぁぁぁん!!!』

「ほんぶ?!ほんぶぅ?!な゛に゛や゛っでるんだじぇぇぇ?!ゆぎゃあっ!?
 ありさん!かじらないで!ばりざをかじらないで!?
 ばりざのおぼうじがぁぁ!!が、がえじで!ばりざのおぼうじかじらないでぇ!
 ゆびぃぃっ?!いだっ!いだいぃぃぃ!?やべでねっ?!やべでねっ?!
 ありざん、ばりざをだべないでねっ!?たべるなら、ありずをだべでねっ?!」
「まり・・・ざ・・・どう・・・じで・・・ぞんなごど・・・いうのぉ・・・」
「ゆぎゃあぁぁぁっ?!ありずぅぅ!?
 どうじで、ありずのおかおが、はんぶんしかないのぜぇぇ?!
 いだだだだっ!!かじっ!!がじらないでぇっ!ありざん!やべでぇぇぇ!!!」

  +------+
  |再出撃   |
  |退却    |
  +------+

====================================
【Stage47】「魔窟の主 怒る!」
「ゆゆん♪むしさんたちのおうちは、れいむがつぶしちゃったよ!
 むしさんたち、もうゆっくりできないね!ゆぷぷ。
 ゆ?ゆやぁぁぁ!?おっぎなむじざんだぢがおごっでるよぉぉ!?
 きょわいよぉぉぉ!むじざんのおうちをつぶじだのは、まりざだぢだよぉぉ!
 れいむ、なんにもわるいことじでないよぉぉ!?」
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「みょんたちはたたかいつづけるみょん!
 やつらがうちゅうにかえりたくなるまでみょん!」
「「「「ゆおー!!」」」」


『ほくべいせんせんからのじょうほうよ!
 ほくべいにあらわれた、いなかもののまざーしっぷをやっつけるため、
 ゆーでぃーえふは、けっせんどすようさい・"ゆっくししゅるぅ"の
 とうにゅうをけっていしたわ!
 ほくべいをぶたいに、ゆっくりさいごのけっせんがおこわれようとしているわ!』

「ふーん」
寝転がりながら、ポチっとリモコンのスイッチを押して、
チャンネルをYBSから切り替える。
おっ、2時間ドラマの再放送か。ちょうど東尋坊から飛び降りようとするところだ。


「・・・ぐすん・・・しっかり罪を償って生きるんだぞ・・・
 あ、れいむ。そっちどうなった。」
「ゆぴー・・・ゆぴぴー・・・ゆん・・・ゆ?」
「寝るな。」
「ゆへへへ・・・ゆっ!みんなぜんめつしちゃったみたいだよ!」
「そうか。じゃ、いつもの出して、次の部隊投入な。」
「ゆっ!わかったよ!おにいさん!」
「ゆんしょっと・・・」

  +------+
  |再出撃   |
  |退却    |
  +------+

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【Stage48】「蟲の怒り」
「おっきなむしさんたちは、れいむのかつやくでやっつけたよ!
 むしさんたち、おこってかおまっかだよ!おお、こわいこわい。」
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「わかるよー!てきはむこうだよー!せんとうよういなんだよー!」

ゆとーむ2隊長ちぇんが、高く飛び跳ねて、
地平線の向こうに姿を現した敵の大部隊に目を凝らしながら叫ぶ。

「なんというかずだみょん・・・!ちへいせんがうごいているみょん・・・!」

その言葉通り、地平線を埋め尽くすように進軍してくる巨大生物の群に、
隊員ゆっくり達が、固唾を飲む。


「むきゅ!ゆんとりー、せっちいそいで!てきがくるわよ!」

ぱちゅりーの指示の元、ゆっくり達が道路上に何かの機械を設置している。
敵の大部隊を食い止めるために、O.N.I.S.A.N兵器開発部から貸与された、
開発中のゆんとりーがん、"ゆっくしあーる・がん"。
動体センサにより動く物体を捕らえ、秒間12発のBB弾を叩き込む、
自動攻撃兵器である。

「ぱちゅりー!せっちかんりょうよ!」
「れいむもおわったよ!」

設置作業を終えた隊員達が、ぱちゅりーの回りに集まる。
既に敵の大部隊は、目と鼻の先まで迫っている。

「むきゅ!まにあったわ!
 "ゆっくしあーる"きどう!ぱちゅんっ?!?!」

ぱちゅりーが起動リモコンのスイッチを入れたと同時に、
高速で飛来したBB弾によって、ぱちゅりーの頭が弾け飛び、
辺り一面に生クリームを撒き散らした。

「おあちゅりぃぃぃ?!ゆべっ!?ゆべべべべべっ!!」
「いだだだだっ!!やべでぇぇ!!ゆっぐりでぎないぃぃ!
 いだっ!!どおじで、れいむをおっがげでぐるのぉぉぉ?!」

逃げ回るゆっくり達を、ゆっくしあーるの動体センサは的確に捉え、
正確に弾丸を叩き込んでくる。

このゆっくしあーる・がんは、まだ試作段階であるため、
ゆっくりと敵との識別機能を持たない。
当然ながら、ぱちゅりーに渡した説明書には、
きちんとその旨の注意書きをしてあったのだが、
どうやら、読めなかったようだ。

「むきゅ!これは、うしなわれたでんせつのまどうしょね!」
とか言ってた時点で、怪しいとは思っていたんだが・・・



『ろくじのありすのにゅーすのじかんよ。
 ほくべいせんせんからのじょうほうよ。
 いなかもののまざーしっぷのこうげきで、
 けっせんどすようさい・"ゆっくししゅるぅ"は、こわれちゃったわ。
 こうげきぶたいも、ぜんめつしたわ・・・』

「おにいさん!みんなぜんめつしちゃったよ!
 ゆ?ゆぅ~!おにいさんたら、またてれびつけっぱなしでねてるよ!
 おにいさん!かぜひくよ!おにいさん!ゆもぉ~」

  +------+
  |再出撃   |
  |退却    |
  +------+

====================================
【Stage52】「烈火」
「もえろぉぉ!!」
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「「「「ゆぎゃあぁぁぁ!どおおじで、でぎざんがこんなにいるのぉぉぉ?!」」」」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+

ビシャビシャビシャビシャビシャビシャ・・・
「ゆびぃぃぃぃ!?がらだがどげぢゃうぅぅぅ?!」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+

「あぢぢぢっ!!がんしっぷさんやめてね!やめてね!
 ゆわぁぁぁん!う・ご・け・な・いぃぃぃぃぃ!!あぢゃぢゃぁぁ!!」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+

「ゆっぐ!ゆっぐぅ?!がれきざんじゃまだよぉぉ!?
 れいぶがすすめないでしょぉぉ?!さ、さんだぁぁぁ!!」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+

「ゆれねーどをくらうんだぜ!
 ああああかありさんは、まえをよこぎらないでねぇぇ?!」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+

「ゆっ!ゆっ!ゆとうっ!」ガシーン!
「ゆがるたさん!てきをせんめつするよ!
 どおおじで、たいきゅうりょくが、さんけたしかのこってないのぉぉぉぉ?!」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+

「ゆわーん!ばーなーでどうちゅればいいにょぉぉぉ?!
 れいみゅきょわいよぉぉぉ!!みゃみゃぁぁぁ!?」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+

「てぎがおおずぎるでしょぉぉ?!
 さんどろさんはどSなのぉぉぉ?!4はまだなのぉぉぉ?!」
  +------+
  |再出撃   |
  +------+



「ゆふぅ・・・!ゆふぅ・・・!」

最後のヘクトルを撃破した、5962匹目のゆとーむ1・まりさ。
そのまりさは、まだハンドボール程の大きさしかない、子ゆっくりだった。

子まりさの母であるまりさも、
かつて、ゆとーむ1のコードネームを与えられた戦士だった。
母まりさが戦死した時、まだ赤ゆっくりだった子まりさは、
復讐のためか、死に場所を求めてか、
自ら、ゆーでぃーえふに志願した。

当然ながら、ゆーでぃーえふでは、
直接戦力にならない赤ゆなど、相手にしなかったが、
赤まりさは、勝手に成体ゆっくり達の訓練場に潜り込み、
ボロボロになりながらも、独自に厳しい訓練メニューをこなしていった。

そして、子ゆっくりサイズになるよりも少し前に、
ゆーでぃーえふへの入隊を認められ、幾多の戦場をくぐり抜けた後、
今日、ゆとーむ1のコードネームを与えられる、最年少のゆっくりとなった。

子まりさの口に咥えられているのは、一本のペーパーナイフ。
ゆっくり達に支給される、ゆっとがんの中でも、最高威力を誇る、
"ゆぎゃなー100・ゆっとがん"だった。
人間をも容易く傷つける事ができるその武器を与えられるのは、
人間達が、その危険性を看過せざるを得ない程に、
高い殲滅効果を期待できる、ゆっくり達の中でも最高の戦士だけ。
全世界のゆーでぃーえふで、この子まりさを含めて過去に三例しかない。
その内の一匹が、子まりさの母まりさだった。

しかし、その子まりさも、あまりにも苛烈な敵の攻撃を受けて、今や傷だらけ。
一緒に出撃した仲間達も、皆、戦死した。
遠くの空に、フォーリナーの増援の巨大円盤が見える。
そこから投下される、無数の黒蟻。
そして、2匹の巨大な女王蟻と、見たことも無い、赤いガンシップ。
その絶望の軍勢が、子まりさ一匹にトドメを刺すために、
ゆっくりとこちらに向かってくる。


(ゆ・・・まりさ・・・しぬんだね・・・・・)

戦場に生えていた一本の木の陰で、子まりさは一時の休息を得ていた。

あの日。お母さんが帰ってこなくなった日の前の日。
忙しいお母さんが、まだ赤ちゃんだったまりさを、お散歩に連れていってくれた。
こうして、木の陰で休んで、あんまり得意じゃないお歌を歌ってくれた。

そこで、他のお母さんに連れられてお散歩に来ていた、
同じくらいの年のれいむと仲良くなったっけ。

「ゆぅ・・・れいむ、どうしてるかな・・・・・・」

「ゆ・・・そうだ・・・
 まりさ、この戦争が終わったら、れいむと・・・ゆ?」


自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。
もう自分以外に動くゆっくりがいない筈の戦場で。
幻聴か。そう思った瞬間に、また声が聞こえた。

「・・・まりさぁぁ・・・・!」
「ゆゆ・・・!?その声は・・・!れいむ?!」

「なんとかまにあったよ!こちら、ゆめが1!ゆとーむ1をえんごするよ!」

子まりさの前に現れたのは、一匹の子れいむに率いられた、ゆっくりの一団。
そのれいむは、子ゆっくりサイズに成長してはいるが、
子まりさには、それが誰だか、すぐにわかった。

「れいむ?あのときのれいむなの?!」
「そうだよ!れいむは、れいむだよ!まりさ!たすけにきたよ!」

あの日出会った、赤れいむ。
彼女もまた、幼くしてゆーでぃーえふに志願し、
今や一部隊を任される身となっていた。
子れいむの部隊は、全員、子まりさが見たこともない武器を口に咥えている。

彼らこそは、ゆーでぃーえふの最新兵器、ゆめがれーざーらいふるを装備した、
精鋭ゆめがチームだった。

「れーざーほう!ゆっくりはいちにつくよ!!」
「むきゅ!てきさんにかこまれたみたいよ!
 これがさいごのていこうになりそうね!」
「ゆとーむ1,いっしょにたたかえてこうえいなんだぜ!
 さいごは、はでにいくんだぜ!」
「とかいはなじごくであいましょう!」

ゆめがチームが、ゆめがれーざーらいふるの銃口を
迫り来る敵の大群に向けて、一斉に構える

「ゆめがれーざー!・・・・・・てぇっ!!」

子れいむの号令の元、その銃口から同時に光が迸った。

ビビビーーーーーーーー

土煙を上げて前進してくる巨大な女王蟻に向かって、何条もの赤い光が伸びる。
ゆめがれーざーらいふるの正体は、レーザーポインター。
しかも現在、日本国内では販売が禁止されている、強力タイプだ。
光が目に入ったら、失明する恐れがある。

ビビビーーーーーーーー

「・・・・」
「・・・・」

ビビビーーーーーーーー

「・・・・・・」
「・・・・・・」

ビビビーーーーーーーー

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

まあ、目にでも入らない限りは、特にどうという事もない。

「「「「「どおぉぉぉじで、ぎいでないのぉぉぉぉぉ?!?!?!」」」」」

  +------+
  |再出撃   |
  +------+

====================================
【Stage53】「星船」
「まざーしっぷさんだよ!まざーしっぷさんがきたよぉぉ!?
 れいむたちをいじめにきたんだよぉ?!
 みんながやられちゃったら、ほんぶまでこうげきされちゃうよぉぉ?!?!
 ゆんやぁぁぁぁぁ!!れいむ、しぬのやだよぉぉぉ!?
 みんな!がんばってね!しんでもがんばってね!」
------------------------------------

『ゆっ!おにいさん!ないしょのつうしんだよ!
 せかいかくちで、いっせいにせんとうがはじまったよ!
 せかいぢゅうで、ゆーでぃーえふのはたさんがたってるんだって!』
『ん?どういう事?日本以外のゆーでぃーえふって全滅してなかったっけ?』


世界の殆どの国では、フォーリナーの攻撃を逸らすために、
彼らが攻め込みやすい場所に、ゆっくり達の居住エリアを設置していた。
巨大生物が甘いゆっくりを好んで食べる事も手伝って、
目論み通り、フォーリナーの攻撃の殆どは、そのエリアに集中した。

それが、各国のゆーでぃーえふ本部になっているわけだが、
この所、相次いで、各国の"本部"は陥落、
仕方なく各国の軍隊は、ゆっくりを食い尽くしたフォーリナーが、
人間の住むエリアに侵攻してくる前に、駆除に乗りだし始めていた。
生憎と、我が国は余分な土地が少ないため、そういった政策は取れず、
市街地での戦闘を余儀なくされている。


『れいむにきかれてもしらないよ!ゆーっとね・・・
 ゆ?!はたさんをあげてるのは、あかちゃんたちだよ!
 いきのこったあかちゃんたちが、ゆーでぃーえふのはたをたてて、
 せかいぢゅうで、せんとうをかいししたみたいだよ!
 きっと、れいむたちをたすけるための、ようっどうっさくせんだよ!』
『れいむを助けるためぇ?』

『かくちからつうしんがはいってるよ!すべておんなじないようだよ!
 "ユン、ヤアタチュ、ケテェ"
 だって!なにいってるかわからないよ!』

れいむ、それきっと切るとこ違うからな。
それにしても、王仁三やオネエソワーヌ、オニサンコンにオネッサ・・・
同期のみんな、頑張ってるみたいだな・・・!


「ゆっ?!みんな、いまのつうしん、きいた!?」
「きこえたわ!あかちゃんたちが・・・たたかってる・・・
 とかいはなあかちゃんたちも、たたかってるのね!」
「まけられないんだぜぇぇ!!」
「ゆうもうにたたかえみょん!そしてしぬなみょん!いいなみょん!」
「「「ゆーでぃーえーふ!!!」」」

赤ゆ達が自分達を助けるために戦っていると聞き、俄然士気が上がる
ゆーでぃーえふ隊員達。
ここ日本の某所でも、陽動作戦のため、戦っている赤ゆ達がいた。


「ゆんやぁぁぁぁぁ!!たちゅけてぇぇぇぇ!!」
「きょわいよぉぉぉぉ!!ありしゃんがきゅるよぉぉぉ!!」
「おきゃーしゃぁん!たちゅけてぇぇ!まりしゃのあちがうごかないよぉぉ!!」

ある海岸の砂浜に、赤ゆ達の泣き声がこだましている。
広い砂浜に敷き詰められた赤ゆは、およそ、三万匹。
赤ゆ達の中心に大きな看板が掲げられ、そこにはこう書かれていた。

歓迎フォーリナー御一行様 津川浦観光組合
   ゆっくりたべていってね!

看板の両端には、カラーで描かれた、れいむとまりさのイラストがあり、
「おたべなさい!」「ゆっくりしていってね!」等とフキダシが書かれている。

「ゆやぁぁぁ!!たべにゃいぢぇぇぇ!れいみゅをたべちゃやぢゃぁぁ!?」
「どうちちぇ、まりしゃをたべりゅにょぉぉぉ?!?!」
「やめちぇぇぇ!ゆっくちできにゃぃぃぃ!ゆっくちちたいよぉぉ!」

足を丁寧に焼かれ、動く事のできない赤ゆ達を、
蟻や蜘蛛達がガツガツと美味しそうに貪っている。

「ちょ、ちょうだよ!こんにゃときは、きゃわいさ・あっぴーるだよ!
 おきゃーしゃんがいってちゃよ!」
「ゆゆっ!ちょうだね!きゃわいいれいみゅたちをみれば、
 むししゃんたちも、ゆっくちちてくれるにぇ!」
「「「「むししゃん!ゆっくちちていってにぇ!!」」」」
「「「「きゃわいくっちぇ、ごめんにぇぇぇ!!!」」」」

「ゆやぁぁぁ!!たべにゃいぢぇぇぇ!れいみゅをたべちゃやぢゃぁぁ!?」
「どうちちぇ、まりしゃをたべりゅにょぉぉぉ?!?!」
「やめちぇぇぇ!ゆっくちできにゃぃぃぃ!ゆっくちちたいよぉぉ!」


「・・・点火」「点火!」

海岸を見下ろす山の山頂で、男達が声を交わすと、
海岸に埋設されていた、C70高性能爆弾が爆発し、
巨大生物と赤ゆ達がまとめて空高く吹っ飛んだ。

「汚ねぇ花火だぜ。」



『まざーしっぷさんがたいはしたよ!ついらくするよ!
 みんな、にげてね!まざーしっぷさんがおちてくるよ!
 できるだけとおくににげてね!はやくしないと、つぶれちゃうよ!』

    Mission Clear


「やった!やったな!れいむ!」
「やったよ!おにいさん!」
「内部潜入自爆一択だと思ったが、まさか、あんな方法で倒すとは・・・!」
「れいむ、びっくりしたよぉ!」

ひとしきり、喜びを分かち合った後、一人と一匹は、作戦指令本部の室内を見回す。
駅から徒歩15分・築12年の都内のアパートの一室。
通信コンソール、キッチン、冷蔵庫、ちゃぶ台、
14型ブラウン管テレビ、マンガの詰まった本棚、
XBOX365、偶像マスター、夢倶楽部。

そのどれもが、れいむとお兄さんの思い出が詰まった品々だった。

「これで、俺達の仕事も終わりか・・・
 ここも、もう引き払わなきゃな。れいむともお別れか。」
「ゆ・・・」

押入の襖に目をやると、そこには、3枚のコピー用紙が張られている。
西日で色あせたその紙には、
手書きの「Y」「D」「F」の文字がデカデカと書かれていた。

「ゆ・・・おにいさん・・・もしいやじゃなかったら・・・れいむを・・・」
「れいむ!そんな顔すんな!」

お兄さんがれいむの背中をバンバンと叩く。

「そうだ!これから、O.N.I.S.A.Nの祝勝会があるんだ!
 れいむも来るか?美味しい物一杯あるぞ!」
「ゆっ!?おいしいもの!れいむもたべていいの?!」
「れいむも一杯食べられるぞ!」
「ゆゆぅ!いくよ!れいむもしゅくしょうかい、いくよ!」
「はっはー!よし!いくか!」

れいむがお兄さんの腕に抱えられ、部屋から出ようとする。
その時、背後で、パサッと何か音がした。

「ゆ?おにいさん?かみがおちたよ?」
「ん?・・・あー、いいよ、いいよ。あれでいい。」

押入に張られていた、「YDF」の文字。
「D」の紙が剥がれ、その下には、別の文字が書かれた紙が張られていた。

「ゆゆぅ・・・!どうしよう!れいむ、さっきおやつたべちゃったよぉ!
 ごちそう、たべられるかなぁ?!」
「はっはっはっ、れいむは一杯食べられるぞ!」
「おにいさん、あまあまさんもあるの?!れいむ、あまあまさんたべたいよ!」
「あまあまさんもあるぞ!れいむも一杯食べられるぞ!」
「ゆふふぅぅ!れいむ、がんばってたべるよ!」
「れいむも一杯食べられるぞ!」

バタン

アパートのドアが閉まる。
誰もいなくなった部屋の押入では、「YGF」の文字が西日で赤く照らされていた。






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あとがき

EDFのセリフパクって、適当にゆっくりに喚かせるだけだから、
余裕で30kb以内に収まるよね!

そう思っていた時期が俺にもありました・・・

隊員や本部のセリフを書くために、EDF3 Wiki を利用させていただきました。
編集を行ってくださってる有志の皆さん、いつも、ありがとうございます。
きっと、この界隈は見てないでしょうけど。

"血戦どす要塞ゆっくししゅるぅ"の末路が気になる方は、
「ゆーでぃーえーふ! ~番外編~」も読んでやってください。
ただし、こっちとは、270度くらい毛色の違うお話です。


今までに書いたもの
「スーパー赤ゆっくりボール」
「お化けまりさ」
「まりさのおうた」
「うまいが一番」



どの程度需要があったもんか興味があったので、ちょいと設置してみました。
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最終更新:2023年11月23日 00:26
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