ゆっくりいじめ系3038 母性2

 始める前に一言。
 どうも某所で「wikiに投下したら叩かれた」というような書き込みがあって、
 タイミング的にそれを書いたのは私という雰囲気になっちゃってるようだけど、
 私書いてません。やってません。そういうことしません。基本ROM専。


※ゲスれいむいじめ
※まだいじめなし



母性2



母親を食いつくしてすっかり成体になったれいむは、
毎日ベランダで、歌を歌ったり柵ごしに野良ゆっくりを挑発したりしていた。
餌のほうはこれまでどおり朝晩に俺が出すので心配はない。

「ゆっ!!くそじじぃ!!きゃわいいれいみゅのためにあみゃあみゃもっちぇきてにぇっ!!」

俺が顔を出すたびに唾を飛ばして罵ってくるが、それは無視する。


「ここはくちゃいよっ!!きゃわいいれいみゅがゆっくちできにゃいよ!!
れいみゅがゆっくちするにはどうするにょ!!おそうじでしょおぉ!?じぶんでかんがえちぇね!!ぐじゅっ!!」

処理する者がいなくなった排泄物もベランダのあちこちに放置されて溜まっていたが、それも無視。


さて、母親を失い一匹だけになったれいむは全身から寂しさをにじませていた。
素直に「寂しい」などと言ったりはしないが、
野良ゆっくりが通りがかるたびにしきりに話しかけている。

「ゆっ!!のりゃのれいみゅ!!れいみゅはれいみゅだよっ!!」
「ゆゆ………ゆっくりしていってね」
「れいみゅはゆっくちぷれいちゅでゆっくちしちぇるよ!!ゆっくちできにゃいれいみゅはあわれだにぇ!!」

野良ゆっくりのほうは、飼いゆっくりと近づいて、あわよくば自分も飼われようという下心があるので、
飼いゆっくりに話しかけられればほぼ例外なく反応する。
しかし俺のれいむはそんな口ばかり聞いているので、すぐに相手のほうで怒ってしまい、物別れとなる。

立ち去っていく野良ゆっくりの背中に向かって、れいむはいつまでも未練がましく罵りの言葉を投げつけているのだった。


ゆっくりは、人間以上に孤独を嫌がる。
一人では寂しい、家族なり友達が欲しいというのは、食欲や性欲と同等の切実な衝動だ。
頃あいを見計らって、俺はゆっくり観察を次の局面に移すことにした。


「ゆっくりしていってね!!」
「ゆゆっ!?」

ベランダに投げ込んだのは、ペットショップで買ってきた成体のまりさだ。
突然の来訪者に、れいむは思いのほか素直に挨拶を返した。

「ゆっくちしちぇいっちぇね!!」
「まりさはまりさだよっ!ゆっくりしていってね!!」
「れいみゅはれいみゅだよ!!れいみゅのゆっくちぷれいちゅでゆっくちしちぇいっちぇね!!」
「ゆゆっ?れいむ、あかちゃんことばさんがぬけてないよ?」
「ゆっ!?ぬ、ぬけちぇるよっ!へんなこといわにゃいでねっ!!」
「ゆー、ぬけてないよ!でもゆっくりしていってね!!」

今までは薄汚い野良に悪罵を浴びせていたれいむも、
ペットショップ出身の身なりの整ったまりさ相手には興奮を隠しきれないようだ。
まりさの前でぴょんぴょん飛び跳ねている。

わざわざ買ってきた成体まりさ、お値段およそ五千円也。
本来、道を歩けばすぐに見つかるようなゆっくりなど一匹五百円もしないが、
銀バッジまで取得している躾の行き届いた個体となればそれなりの値段だ。
まあ、大人が趣味で生き物にかける値段としてはそう悪い額でもないだろう。

俺がやることは、ベランダにこのまりさを投げ込み、
あとは窓を閉めて、餌をやる以外は放置するだけだ。


たったそれだけで、思い通り、かつ迅速に事は運んだ。
翌日の朝、カーテンを開いた俺の目に飛び込んできたのは、
頭部に赤ゆっくりが鈴なりになった茎を生やしたれいむの姿だった。

元来が即物的な欲望の塊であるゆっくりのやることなど決まりきっている。
なんでもいいから成体二匹を同居させて放置すれば、ほとんどの場合即座にこういうことになる。
もっとも本人たちに言わせれば、
「うんめいのであいだよ!」「びびっときたよ!このれいむしかいないよ!」というつもりでいるようだが。

「ゆゆ~ん♪れいみゅのあかちゃん、とってもゆっくちしてるよぉ~♪」
「ゆっくりしていってね!!まりさのあかちゃんゆっくりしていってね!!」

れいむは初めての子供に相好を崩している。
同年代の話し相手ができたからか、母親になったからか、早くも赤ゆっくり言葉が抜けかけていた。
父親のまりさも嬉しげにぴょんぴょん跳ねている。

しかし、俺の姿を認めると、まりさは急にあわてだした。

「ゆゆっ!!お、おにいさん!!かってにあかちゃんつくってごめんなさい!!
おしおきがんばってうけるよ!!すてないでね!?すてないでね!?」

銀バッジまで取った飼いゆっくりなら、「勝手に子供を作ってはいけない」というルールは刷り込まれている。
しかし、別の成体とひと晩水入らずで放置された結果、結局は我慢できなかったというわけだ。
銀バッジというとすごいようだが、人間と比べれば小学校低学年と大差ない。こんなものだろう。

不干渉のスタンスを通し、俺はそのことについては何も言わず、餌皿だけを置いてベランダから出た。

「おにいさんごめんなさい!」

俺が窓を閉めてからも、まりさの方は律儀に謝ってきていたが、
れいむの方は素早く餌皿に頭を突っ込んで「むーしゃ!!むーしゃ!!」と食べカスをまき散らしている。


「ゆっくちおそうじしてねっ!!」

二匹で争うように餌皿にがっつく食事が終わると、れいむが満面の笑顔で叫んだ。

「ゆゆっ?」
「ゆっくちよくみてねっ!!こんなところじゃあかちゃんがゆっくちできにゃいでしょっ!?」

そう言いながられいむは周囲を見回してみせる。

ベランダ中、れいむがひり捨てたうんうんまみれだった。
こんなところでよくすっきりする気になったものだ。

「ゆゆぅぅ…………」

まりさは逡巡していたが、れいむが一喝する。

「ちゃっちゃとうごいてにぇ!!
あかちゃんがうんうんまみれになっちぇもいいのっ!?」
「ゆぅ………ゆっくりおそうじするよ!
おにいさん!ぞうきんさんちょうだいね!!」

俺のほうに向かって助けを求めてくるが、無視。

「なにやっちぇるの!?はやくぺーろぺーろしてね!!」
「ゆゆぅ!?うんうんさんはくさくてゆっくりできないよ!!」
「そんなこときいてないでしょおぉ!?あかちゃんがゆっくちできないっていってるんだよっ!!
あかちゃんがかわいくにゃいの!?それでもちちおやなのっ!?」
「ゆぅぅぅ!!」

涙目になりながら、まりさは舌でうんうんを舐め取りはじめた。
何度も「ゆぐぇっ」とえずきながら、必死に口中に掻き込む。

「ゆ~ゆ~ゆゆゆ~♪ゆっくち~して~いってね~♪」

れいむの方は、体を左右に揺らしながら呑気に歌っていた。
そんなれいむに向かって、まりさが体を揺らして呼びかけた。

「れいむもゆっくりてつだってね!」
「ゆうううう!!?おうたのじゃまをしないでねええええ!!!」

れいむが爆発するように怒鳴り、まりさはびくりと身をすくませた。

「うまれるまえからゆっくりしたおうたをきかせれば、ゆっくちしたあかちゃんがうまれりゅんだよおおぉお!!
それをじゃまするとか、ばきゃなの!?しぬのっ!?なにかんがえちぇるのっ!!!
ちちおやとしてのじかくをもってねえええ!!!」
「ゆううう!?ごめんね!!ごめんねっ!!」

れいむの剣幕に押され、まりさは必死に掃除を再開した。


ふーむ。
まりさには気の毒だが、この調子なら俺の見たかった展開が期待できそうだ。


にんっしんっしたれいむは、それから一歩も動かなくなった。
餌皿に近づくにも、ケージの中に入るにも、自分では一切動かずにまりさに押させる。

「ゆっくりしたあかちゃんをうむには、おかあさんがたっぷりゆっくりすることがだいじなんだよ!!
れいむはがんばってゆっくりするから、まりさはゆっくりきょうりょくしてねっ!!」
「ゆっくりりかいしたよ!」

ゆ~ゆ~歌っている妻をまりさが必死にずりずりと押す。
そんな夫を、押し方がゆっくりしていない、茎が折れたらどうするつもりだと言ってはれいむが責め立てた。


「まりさはたべすぎだよっ!!ゆっくりえんりょしてね!!」

子供が実ってから二日したころ、れいむの態度が迅速に変わっていった。
それまで二人で身を寄せ合って頭を突っ込んでいた餌皿を、れいむは舌でまりさから遠ざけた。

「ゆううぅ!?まだはんぶんたべてないよ!!」
「あたりまえだよっ!!れいむのくきにはあかちゃんがいるんだよおぉ!?
あかちゃんのぶんだけよけいにれいむがたべるんだよっ!!はんぶんじゃぜんぜんたりないよ!!」
「ゆぐううう!!」

全く反論できず、まりさはもどかしげに小さくじだんだを踏むしかなかった。
そんなまりさには目もくれず、れいむは必死に餌を掻き込んでいる。

「はぐっ!!はふはふっ!!むはっ!!むーちゃ!!むーちゃ!!しあわせー!!おちびちゃんもしあわせー!!」


ここで譲ったのがまりさの運の尽きで、れいむの要求は日増しに増長していった。

赤ちゃんが大きくなるにはもっと食べなければ。
赤ちゃんが大きくなったからもっと。ゆっくりした赤ちゃんにするためにもっと。雨さんが降ったからもっと。
毎日なんらかの理由をひねり出してはまりさの取り分をどんどん削っていき、
今では、まりさは朝晩一口二口程度しか口にできていなかった。

銀バッジまで取るぐらいだから、元来がゆっくりのいい従順な押しの弱い性格である。
まりさはれいむに逆らえず、ひたすら子供のために耐え忍んでいたが、
赤ゆっくりとともにどんどん膨れていくれいむに対し、まりさのほうは微妙にしぼんでいくように見えた。心なしか顔色も悪い。
自分より一回りも大きくなった妻を必死にずりずりと押すまりさの姿は痛ましかった。


「こんなんじゃあかちゃんがゆっくりできないよ!!あかちゃんがしんぱいじゃないのおぉ!!?」

ついに、れいむが叫び散らしはじめた。
まりさには一口もよこさず自分だけでカラにした餌皿の前で、れいむはぼんぼん飛び跳ねている。

「れ、れいむ、はねちゃだめだよ……あかちゃんのくきがゆれちゃうよ……」
「だまってねっ!!あかちゃんのことはれいむがいちばんわかってるんだよ!!?
いまはあかちゃんのためにれいむがたくさんたべることがだいじでしょおおぉぉ!!
しったかぶりしないでねえええ!!」

要するにこのれいむは、もっと餌が欲しいと吠えているらしい。

「このままじゃごはんさんがたりなくてあかちゃんがゆっくりできなくなっちゃうよ!!
まりさはもっとごはんさんをもってきてねっ!!」
「ゆゆ………でもごはんさんなんかないよ……」
「かりにいってくればいいでしょおぉ!?そんなことがなんでわからないの!?
ほんとうにこそだてするきがあるのっ!?」
「ゆぅ……」

狩りに行って食事を集めてこい、とれいむは命じていた。
しかし、柵に囲まれたベランダの中では外に出ることはできない。
向かうところといえばただひとつ、俺の家の中だ。
ベランダに面したガラス窓を一瞥し、まりさはゆっくりしていないうめき声を上げた。

「だめだよ、れいむ……おにいさんにおこられちゃうよ……」
「なにいってるのおおおぉぉぉ!!?そんなことどうでもいいでしょおおおぉぉ!!!
れいむがまいにちあかちゃんのために、おうたをうたったりゆっくりしたりたくさんごはんさんをたべたり、
ゆっくりしないでがんばってるのに!!
まりさはまいにちなんにもしないでごろごろしてるだけでしょおおぉ!!
あかちゃんのためにちょっとははたらいたらどうなのおおぉぉ!!?ぐずっ!!やくたたずっ!!」

ゆっくりしないでがんばってゆっくりしていたのか、このれいむは。不可解。
つくづくゆっくりのいいまりさは、帽子の先が床につくほどにうなだれてしまっている。

「さっさといってきてね!!ぐずぐずしてるとゆっくりできなくさせるよっ!!」

れいむの怒鳴り声に見送られ、仕方なしにまりさは狩りに出た。

「どあさんゆっくりあいてね……ずーり、ずーり……」

ガラス窓に頬を押し付け、まりさは必死に開けようとしていた。


俺は考えた。
重ね重ねまりさには気の毒だが、擬似的な「狩り」に赴く父親役というものをやってみてもらおう。
外敵に怯えながらの、自然生活さながらの狩りに、だ。


まりさが鍵のかかったガラス窓と格闘している間に、俺は準備に移った。
ベランダに面した居間の奥にあるキッチンで、ゆっくりフードの袋をわざと倒し、掃除しやすい程度に中身をぶちまける。
ガラス窓の鍵をこっそり開けると、俺は隣室に繋がるドアの奥に隠れて様子を窺うことにした。

鍵の開いたガラス窓を必死になってずらし、できた隙間に体を滑り込ませてまりさが侵入してきた。
不安げに周囲を見渡し、飼い主の姿が見えないことを確認すると、
「ゆっくりごはんさんをさがすよ……そろーり、そろーり」と言いながら床を這い始めた。

見ているほうが苛立つくらいののたのたしたペースで居間を這いまわり、
やがてまりさはキッチンに散らばるゆっくりフードを見つけた。

「ゆゆゆっ!!ゆっくりごはんさんがあるよ!!ゆっくりできるよ!!」

ぴょんぴょんと飛び跳ね、まりさは散らばったフードを必死に帽子に詰め込み始める。

「ゆっくりごはんさんをつめるよ!これでれいむとあかちゃんがゆっくりできるよぉ!!」

腹が減っているだろうに、その場では食べずに家族のために一刻も早く帰ろうとしている。殊勝だ。

ちょっと恥ずかしいが、そこで俺は飛び出していった。

「こらー、何をしてるー」
「ゆゆゆううぅぅ!!みつかっちゃったよおぉ!!」
「勝手に俺のゆっくりプレイスに入ってごはんを盗もうとするとは、ゆっくりできないぞ!」
「ゆあああぁぁ!!ごべんなざい!!ごべんなざい!!おにいざんごべんなざい!!
あがぢゃんがゆっぐりでぎないんでず!!ごばんざんがだりないんでずうぅ!!」
「駄目だ、おしおきだ!」
「ゆあああぁぁぁ!!!」

俺はおしおき用の道具を持ち出した。
ゆっくりショップで売っているゆっくり用のおしおきグッズ、『ゆっくりぺんぺん』。
扁平な楕円形の薄い革張りの板に取っ手が付いている体のもので、
表面にはコミカルな絵柄の痛がるゆっくりが描かれている。
名前からしてもぬるそうな一品だが、なかなかどうして――

パァン!!

「ゆびゃばぁっ!!?」

頬を思い切り叩いてやると、まりさは飛び上がって叫んだ。
そのまま痛みに七転八倒し、床を転げまわる。

「いぢゃあああい!!いぢゃああああい!!ゆっぐりでぎないいいぃぃ!!!
きいぃんってする!!きいいいいぃぃぃん!!きいいいぃんがやまないよおおぉぉ!!」

うむ、予想以上。
この『ゆっくりぺんぺん』、ゆっくりに外傷をつけずに、それでいて効果的に苦痛を与えることができる。
皮の表面に痛みを与えることを目的としており、
全身聴覚のゆっくりにとっては、皮膚の痛みと同時に、人間で言えば鼓膜が破れるような爆音を聞かされることになる。
全身耳鳴り状態で悶絶するまりさに、俺はさらに打擲を加えた。

パァン!!

「ゆぎぃああああぁぁぁ!!ぼうゆるじでええええぇぇぇ!!!」

単純な見た目に反し、『ゆっくりぺんぺん』のデザインは考え抜かれている。
楕円形の板は二重構造になっており、打った際に内部で二枚の板が打ち合って振動を起こし、
皮の表面を痛くするばかりでなく、衝撃が波のような振動となって体内にまで浸透するようになっている。
いまやまりさの体内の餡子はシンバル状態。

「ゆげっ!!ゆぎっ!!」

あ、いかん、ちょっと吐いた。
強力なおしおき道具だけに、力をセーブして使う必要があるようだ。

まりさがある程度回復した頃に、俺は再びゆっくりたたきを振り上げて見せた。

「ゆぅぎいいいぃぃ!!あがぢゃん!!あがぢゃああああああんんん!!!」

まりさは泣き叫び、しかし我が子を呼びながら必死に帽子でゆっくりフードをすくい取り、
俺の脇を抜けてベランダへ戻ろうとしはじめた。

飼い主への忠誠よりも、家族を選んだというわけだ。
「ゆっくりに家族を作らせるな」というゆっくり飼いのセオリーは、やはり正しいようだ。
これほど躾けられたまりさでさえ、今、この俺に逆らって家族のもとへ逃げ出そうとしている。

ゆっくりにとって一番ゆっくりできることは、やはり人間に飼われるのではなく、ゆっくりの家族でゆっくりすることなのだ。
ゆっくりを飼うなら、それを知らせてはいけない、気付かれてはいけない、ということなのだろう。

さて俺は、最初からそれを想定しての実験なので好都合だ。
「狩り」に危険を伴わせる外敵を演じ、逃げようとするまりさの尻っぺたに、さらに二発ほどゆっくりぺんぺんをくれてやる。

パァン「ゆぎぃ!!」パァン「でいぶうぅぅ!!」

そして最後には、ベランダから逃げ出すのを黙って見送ってやった。


「ゆっくりおそいよっ!!」

全身に打たれた跡を薄く浮かび上がらせ、涙と涎、しーしーまで垂れ流してベランダに這いこんできたまりさに、
我がれいむは手厚いねぎらいの言葉をかけた。

「あかちゃんがおなかをすかせてるでしょおおぉ!?
ゆっくりむーしゃむーしゃするよっ!!ゆっくりしないでもってきてね!!」
「ゆ゛っ…………ゆ゛っ…………」

文句を言う気力もなく、ぜひぜひと息をつきながらまりさはフードの詰まった帽子を妻の元に引きずっていく。
目の前に差し出された帽子の中に舌を伸ばし、れいむはがつがつと食べ始めた。

「はふっ!!はふっ!!はっふっ!!うっめ!めっちゃうっめ!!むーしゃむーしゃ!!おちびちゃんしあわせー!!」

まりさの方も、おずおずと帽子に舌を伸ばした。
しかし、目ざとく見咎めたれいむが素早くその舌を踏みつけた。

「ゆびゅぅっ!?」
「なにぬすみぐいしてるのっ!?どろぼうさんはゆっくりできないよ!!
あかちゃんのまえでそんなすがたをみせてへいきなのっ!?!!」

お前………

「ば、ばりざにも……だべざぜでね………
もう……ずっど、だべで……ないんだよ………」
「ゆがあああぁぁ!!なんでそんなにあつかましいのおおぉぉ!!?
こんなんじゃぜんぜんたりないよ!!あかちゃんのぶんだけでぎりぎりだよ!!
ちちおやなんだからあかちゃんをいちばんゆっくりさせなきゃいけないんだよっ!!
まりさもたべたかったらまりさのぶんもとってくればいいだけでしょおおおぉぉ!!?」
「ゆあっ………ゆぐっ…………」
「なまけもののまりさにあげるぶんはないよっ!!ゆっくりみててね!!」

結局、まりさが身を呈して盗んできたゆっくりフードはれいむが全て平らげてしまった。

「ゆっぷー☆ゆっくりごこちがついたよ!!」
「……………」
「あかちゃんたちとすーやすーやするよ!!ゆっくりおうちにはこんでねっ!!」

でっぷりと太ったれいむの背中に回り、まりさは体を震わせながらケージに向かってずりずりと押し始めた。
押されながら、れいむはこう言った。

「あしたのかりはもっとたくさんとってきてねっ!!」

まりさはびくんと体を震わせ、再びれいむに一喝されるまでしばらくの間動かずにいた。


それから毎日、まりさは俺の部屋に侵入して「狩り」を行った。
なけなしのゆっくりフードを帽子にかきこみ、毎回俺に見つかってゆっくりぺんぺんの打擲を全身に浴びる。

俺が待ってやることで、まりさが持って帰るフードの量は調整できる。
しかし、どれだけ多くフードを持ち帰ろうと、
れいむは「あかちゃんのぶんしかないよっ!!」と叫び、まりさの取り分はなかった。

まりさは初めのほうこそ家族の元へ戻ることを最優先にしていたが、れいむが分けてくれないとわかると、
見つけた時点で少しでも食べようとするようになった。

れいむの増長はとどまることを知らず、日に二度、三度も狩りに行かされるようになった。
その度に俺に打たれ、まりさの全身から跡が消えることはなかった。

「ゆ~ゆ~ゆゆゆっ♪ゆっゆっゆ~♪」

まりさがますますやつれていることもあり、
まりさに比べてふたまわりも膨れているれいむが枝を揺らして子守唄を歌っている。

そんなれいむの陰で、まりさは毎日ゆぐゆぐと体を震わせて泣きじゃくっている。
泣きじゃくるまりさに向かって、れいむはさらに叫ぶのだった。

「いいかげんにしてねっ!!ないたってだれもどうじょうしないよ!!
まりさはちちおやでしょおぉ!?ちょっとくろうするぐらいでみっともないよっ!!
ぜんぶぜんぶおちびちゃんのためなんだよっ!!
おちびちゃんがゆっくりすることが、おやはいちばんゆっくりできるんだよおおぉぉ!!」


そうこうするうち、ついに赤ゆっくりが生まれ落ちた。

「「「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!」」」」」

れいむ種三匹、まりさ種二匹の計五匹だった。

「ゆっくりしていってね!!れいむがおかあさんだよっ!!
あかちゃんたちとってもゆっくりしてるよおおぉぉ!!」
「まりさのおちびちゃんゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってねええ!!」

初めての子供に嬉し泣きする両親。
やつれているまりさも、この時ばかりは喜びに沸きたって飛び跳ねていた。

ベランダの床に転がってぷるぷる震える赤ゆっくり達を両親がぺろぺろと舐める。

「ゆー、おきゃーしゃんとしゅーりしゅーりしゅるよ!!」
「おちょーしゃんのおぼうち、とっちぇもゆっくちしちぇるにぇっ!!」
「ゆゆーん☆おしょとはゆっくちできりゅよ!!」
「ゆふふ、おちびちゃんたち、あわてないでゆっくりしようね!!
ゆっ!そうだよ!おちびちゃんたち、おなかぺこぺこだよね!!まりさ、れいむのえださんをおってね!!」

まりさが茎を折り取ると、れいむがそれを小さく噛みちぎり、咀嚼して柔らかくしてから赤ゆっくりに与えた。

「おちびちゃんたち、これをたべてね!!
ゆっくりはじめてのごはんさんをむーしゃむーしゃしようね!!」
「ゆっくちいただきまちゅ!!」
「むーちゃ!!むーちゃ!!うっめ!!これめっちゃうっめ!!」
「ゆっくちできりゅよぉぉ!!」

夫婦は眼を細めながら、そんな子供たちの様子を満足げに見守っていた。

ふーむ、なんともほのぼのした一家団欒だ。
このぶんだとこのれいむも、なかなかまともなんじゃないだろうか。


しばらくの間、一家は仲良く騒いでいたが、
やがてれいむがまりさに向かって言った。

「それじゃまりさ、かりにいってきてね!!」

まりさの体がびくっと硬直する。
しかし、待ちに待った我が子を見回してからまりさは気丈に言った。

「ゆっくりかりにいってくるよ!!まっててね、おちびちゃん!!」

「おちょーしゃんどきょいきゅにょ?」
「まりしゃもちゅれてっちぇえ!!おいちぇかにゃいでぇ!!」
「ゆふふ、だいじょうぶだよ!!おとうさんはごはんさんをとりにいっただけだよ!!
すぐにゆっくりできるごはんさんをもってかえってくるからね!!
さあ、おかあさんとすりすりしようね!!」
「ゆゆっ!!しゅーりしゅーりしゅるよ!!」

呑気に微笑んで、れいむは赤ゆっくり達と頬をすりつけ合っていた。


パァン!!「ゆぎゃあああぁぁあ!!ごべんなざいいいいぃぃぃいいいぃぃ!!!」


「ゆっ!?」

突然家の中から聞こえてきた音と悲鳴に、赤ゆっくり達が身をこわばらせる。


パァン!!「ぼういだいごどじないでぐだざいいいいいいぃぃ!!!」
パァン!!「おぢびじゃああああああん!!おぢびじゃあああああああんんん!!!」


「ゆゆっ!?おちょーしゃんのこえだよっ!?」
「おちょーしゃんゆっくちしちぇにゃいの!?」
「だいじょうぶだよ!かりはちょっとだけたいへんなんだよ!!
だけど、おとうさんもおかあさんも、あかちゃんたちがゆっくりするためならへいきだからね!!しんぱいしないでね!!」

父親の悲鳴に怯える子供たちを、れいむはにこにこしながらなだめていた。


「ゆ゛あ゛っ……………あ゛っ…………」

満身創痍でベランダに這いこんできたまりさを、赤ゆっくり達が取り囲んで泣き叫んだ。

「ゆあああぁぁ!!おちょーしゃん!ゆっくちしちぇええぇ!!」
「おちょーしゃんどうちたにょ!?いちゃいいちゃいなにょっ!?」
「ゆえええぇん!!ゆええええぇぇん!!」
「ゆ゛………おぢびぢゃん………ばりざの、おぢびぢゃん………
ばりざは……だいじょうぶ……だよ…………ゆっぶ……ゆっぐじ、ごばんにじようね………」
「ゆっ!!おちびちゃんたち、いっぱいむーしゃむーしゃしようね!!
おとうさんのことはしんぱいしなくていいからね!!」
「でみょぉ!!でみょおおぉぉ!!」
「おちょーしゃあああん!!!」
「だいじょうぶだよ!!おかあさんのいうことをきこうね!!」

父親にすがりつこうとする赤ゆっくり達をれいむは舌で優しくひきはがし、
まりさが引きずってきた帽子の前に並ばせた。

「ゆっくりむーしゃむーしゃしてね!!」

赤ゆっくり達はまだ父親のほうが気になる様子だったが、
食欲には勝てず、帽子に詰まったゆっくりフードをがつがつ咀嚼しはじめた。

やがて子供たちは満腹になり、帽子には半分以上のゆっくりフードが残った。

「ゆーん☆おなきゃいっぴゃいになっちゃよ!!」
「ゆっくちうんうんちゅるよ!!」
「しゅっきりー!!」

ゆっくりという生物は、おおむね食事と排便がセットになっている。
食後のうんうんをそのへんにひり出す赤ゆっくり達。

「おちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるね!!
それじゃあのこりはおかあさんがたべるね!!」

そう言うと、れいむは帽子に頭を突っ込んでがつがつやりはじめた。

「ゆ゛……ゆ゛……ばりざも……」

まりさも必死に震える体を起こし、ゆっくりフードにありつこうとする。
そんな夫を、れいむは肥満した身体で弾き飛ばした。

「ゆぎゃぁっ!?」
「まりさのぶんはないよ!!
まだまだたりてないよ!!ゆっくりりかいしてね!!」
「ゆ……な……なんでえええぇ!?
おちびちゃんたちはもうじゅうぶんたべたでしょおおぉぉ!?」

「あかちゃんのため」「あかちゃんのぶん」と言われて、
今までずっと食事を削られるのも、辛い狩りも耐えてきた。
そして今ようやく生まれた子供たちは、それぞれ満腹だと言っている。
なんだ、充分足りてるんじゃないか。
ようやく自分の取り分が取れると喜んだ矢先のことだったのだろう。
まりさはいつになく食い下がり、妻に向かって怒鳴った。
途端に、それをはるかに超える声量の怒鳴り声が返ってきた。

「れいむはこどもをうんだばっかりでつかれてるんだよおおぉぉ!?
しゅっさんっちょくごのははおやのごはんさんをよこどりしようとか、ばかなの!?しぬのっ!?」

妊娠型ならともかく、植生型の出産なんだからそんなに母体に負担がかかってるようには見えないが。

「れいむはこれからあかちゃんたちをそだてなくちゃいけないんだよっ!!
ゆっくりできるおうたをおしえなきゃいけないし!!ゆっくりできるおさほうもおしえなきゃいけないし!!
おちびちゃんたちがゆっくりできるようにたくさんたくさんおせわしなきゃいけないんだよっ!!
きょうかられいむはあかちゃんたちのゆっくりのためにすべてをぎせいにするんだからね!!
たくさんごはんさんをたべてがんばらなきゃいけないんだよおおぉぉ!!
まりさはかりをするしかのうがないんだからもっともっともってきてねええぇぇ!!!」

まりさはとうとう折れ、ぐったりとうなだれてしまった。
妻の体格が自分よりはるかに大きくなっていることも大きかったのだろう。もはや逆らうすべはなかった。

赤ゆっくり達はというと、母親の剣幕にすっかりおびえてしまっていた。

「ゆぅぅ………おきゃーしゃん……ゆっくちしちぇえ……」
「おちょーしゃんをいじめにゃいでね……?」
「おちょーしゃん!おちょーしゃん!!」

なお父親に駆け寄ろうとする赤ゆっくり達を舌で制し、れいむは再びにこにこ顔に戻って言った。

「ゆっ、おちびちゃんたちはしんぱいしなくていいよ!!
おとうさんがなまけものだから、ちょっとおこっただけだよ!もうこわくないよ!!
おかあさんとおうたをうたおうね!!ゆっくりできるおうたをおしえてあげるよ!!」
「ゆゆぅ……ゆっくちうちゃうよ!」
「おちょーしゃん……」
「おうちゃはゆっくちできりゅよ!」
「まりさはおちびちゃんたちのうんうんをかたづけてね!!」

まりさはうなだれたまま、答える気力もなく子供たちのうんうんを舐め取り始めた。
それを見て子供たちがまた声をあげる。

「ゆぅぅ!?おちょーしゃんなにしちぇるにょ!?」
「おちょーしゃんやめちぇえ!!うんうんしゃんはくしゃくてゆっくちできにゃいよぉ!!」
「おちびちゃんたち、だいじょうぶだからね!!
ゆっくりぷれいすがくさいくさいのはいやだよね?
おちびちゃんたちのうんうんだったら、おかあさんたちはぜんぜんへいきなんだよ!!」


子供たちと過ごす、夫婦の初めての一日はこんな調子だった。
さて、どうなるか。





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最終更新:2011年07月30日 02:11
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