ゆっくりいじめ系2942 ぎゃくたいプレイス(前編)

「ゆっゆっゆ~っ」
 そこは、ゆっくりプレイス。
「ゆゆゆっ、まりしゃ、まっちぇ~」
 本当の、ゆっくりプレイス。
「むーしゃむーしゃ、しあわせー」
 正に、ゆっくりプレイスであった。
 屋外で、思い思いにゆっくりするゆっくりたち。
 れいむ、まりさ、ありす、ちぇん、みょん、ぱちゅりーの通常種たちである。皆、一様
にゆっくりしている。
「ぽかぽかでゆっくりできるよ!」
 日向ぼっこするもの。
「ゆゆっ、つかまえちゃよ!」
「ゆゆーん、それじゃ、まりしゃがおにさんになりゅよ!」
 おにごっこに興じるもの。
「ゆっゆゆゆ~」
「ゆゆん、おじょうずおじょうず」
 おかあさんに、おうたを披露するもの。
「ゆぴぃ~」
 ゆっくり眠るもの。
 一匹として、ゆっくりしていないものはいないゆっくりの楽園。
 丸々と太った姿から、食事には全く困っていないことが一目でわかるゆっくりたち。
「うー!」
 だが、その楽園に迫る影。
「うー! あまあまー!」
 通常種の天敵、捕食種のれみりゃだ。
「ゆっ、れみりゃが来たよ」
「れみりゃもゆっくりしていってね!」
 危機感が全く無いその台詞。誰もが予想する未来――れみりゃが飛来し、ゆっくりに噛
み付き餡を吸う。それを見てようやく危険を悟って騒ぎ出すゆっくりたち、後は阿鼻叫喚
の地獄。
 しかし、ここでは、そんなことは起こらない。れみりゃは、ある程度まで近付くと、そ
こから先に進むことができない。何度か、どしん、どしん、と見えない壁に当たって、ど
うしてもそれを破れないことを悟り、物欲しげな顔をしつつ、しょんぼりと去っていく。
 それを、ゆっくりたちはもはや見慣れた光景だとでも言うように、ほとんど無視してい
る。
「おおい、ゆっくりたち、ごはんの時間じゃぞぉ」
 その声に、眠っていたゆっくりたちも一斉に跳ね起きて、その声がした方へと嬉しそう
にと跳ねていく。
 そこには、白髪の好々爺の姿。
「ドスおじいさん、ゆっくりごはんちょうだいね!」
「おう、まずはおちびちゃんたちからじゃ」
 そう言って、老人は手に持っていた袋を傾ける。そこからざざーっと音を立てて落ちた
のは、市販されているゆっくりフードだ。ゆっくり好みの甘味をたっぷり配合した栄養満
点の食べ物で、これだけ食べていれば、ゆっくりは必要な栄養素を全て摂取することがで
きる。
「ゆっきゅちいただきまちゅ!」
 小さな赤ゆっくりたちが元気に老人に言ってから、むーちゃむーちゃと食べ始める。も
ちろん、その後に来るのは、
「ち、ち、ち、ちあわちぇ~!」
 の、大合唱だ。
 その間、大人ゆっくりや少し大きくなった子ゆっくりたちは、それをゆっくりした笑顔
で眺めている。大人はともかく、子ゆっくりたちがのんびりと見ているのは、この後にち
ゃんと自分たちの分のごはんが貰えることを確信しているからに他ならない。
「そーら、お次はおねえちゃんたちじゃ」
 老人が子ゆっくりたちが待ちに待った台詞を言って、また別の袋を傾ける。やはり同じ
ゆっくりフードだが、先ほどのよりも少し大きい。あちらは、赤ゆっくり用のものだった
からだ。
「よし、おかあさんとおとうさんの番じゃ」
 最後に、大人たちへのゆっくりフードをばらまいてから、老人は椅子に座って、ゆっく
りたちの食事を眺めている。
「ドスおじいちゃん、ゆっくちごちちょうしゃま! ありがちょう!」
「ドスおじいさん、ゆっくりごちそうさま! ありがとう!」
 食べ終わったゆっくりたちにお礼を言われると、
「ほっほっほっ、どういたしまして」
 と、言って、老人は去っていく。
 その姿が見えなくなるまで、ゆっくりたちは見送っていて、その後はまた思い思いにゆ
っくりするのだ。
 ドスおじいさんと呼ばれているその老人。もちろん、れっきとした人間である。
 ただ、ゆっくりをゆっくりさせてくれることから、いつしかゆっくりたちから、
「おじいさんは、まるでゆっくりをゆっくりさせてくれるというドスまりさのようだ」
 という声が上がり、なんとなくドスおじいさんと呼ぶようになり、老人もそう呼ばれる
のを喜んだために、それが定着した。
 実際、老人はここのゆっくりたちにゆっくりを与えた。
 はじめは、街から離れた郊外に居を構えて隠居したこの老人の所に、腹を空かせた野性
のゆっくりたちが現れ、老人が食べ物を与えたのが始まりだった。
 食べ物をくれる優しい人間さんの噂を聞き付け、付近のゆっくりたちがやってきて、老
人も「いい加減にしろ」とか「いくらなんでももう無理だ」とも言わずに、ゆっくりが来
れば来るだけ食べ物を上げた。そのうちに、ゆっくりフードを大量にまとめ買いするよう
になった。
 転機は、れみりゃの襲撃だった。老人の家の周りに住むようになったゆっくりを狙って
れみりゃが現れるようになり、何匹かのゆっくりが食べられてしまった。
 老人は、その場にいればれみりゃを追い払ったが、老人ももう決して健康ではなく、歩
くのには杖を必要としていたから、少し遠くにいれば間に合わなかった。
「ゆっくりできないよぉぉぉぉ!」
 と、泣き喚くゆっくりたちを見ていた老人、力強く頷き、
「よし、ゆっくりさせてあげよう」
 と、請け合ってから数日後、作業着姿の人間がたくさん現れた。一体何が起こるのかと、
重機の音に脅かされてゆっくりできなくなったゆっくりたちは不安そうにしていたが、や
がてそこには、立派なおうちが出来ていた。
 おうちは、人間の家と同じ造りであり、中は三十畳ほどのスペースがあり、たくさんの
ゆっくりがゆっくりできる広さであった。そこから表に出ると、やはり相当なスペースが
あり、そこには自然がそのまま残されている。しかし、そこは透明の壁と屋根によって区
切られており、れみりゃの侵入を許さない。
 まるで魔法だとゆっくりたちは思った。このおじいさんは魔法使いだ、と。
 もちろん、老人は魔法使いではなくただの人間である。その魔法の種は簡単で、金であ
る。今はこうして隠居しているものの、かつてはとある企業の社長をしており、かなりの
財産を老人は持っていた。
「おお、そうじゃ」
 去ったと思った老人が、ひょいと家の窓から顔を出した。
「おいしいケーキが、三日後に届くからのう、楽しみにしとれ」
「ゆゆゆゆゆっ!」
 老人の言葉に、ゆっくりたちは感極まったような鳴き声を上げる。老人の言うおいしい
ケーキ。それは有名な菓子店が通販で取り扱っているケーキのことで、ゆっくりたちは後
にも先にもそんな美味しいものは食べたことがなかった。
「ゆわーい、ケーキたべりぇるね!」
「あのケーキはしあわせーになれるんだぜ」
「ゆゆゆっ、たのしみだよぉ~」
 口々に歓喜の声を上げるゆっくりたち。
「ドスおじいさん、ありがとう! ケーキたのしみにしてるね!」
「たのちみにちてるね!」
「ほっほっほっ」
 ゆっくりたちの感激した声を聞き、老人は嬉しそうに笑って、窓を閉めた。

 三日後をゆっくりたちは待ちに待った。
「むきゅ、今日はケーキの日よ!」
 朝目を覚ましたぱちゅりーが、石を地面に置いて言った。その石は、あれから太陽が沈
んでからまた登った回数だけ置いてあり、今、その石が三つ目になった。つまり、三日が
経ったということを示していた。
「ゆわーい、ゆわーい!」
「はやくケーキしゃんたべちゃいよ!」
「ドスおじいしゃん、はやくきちぇね!」
「ゆゆーん、ケーキはさんじのおやつかな、まちきれないよ~」
「ゆへへ、まりさは知ってるんだぜ、人間さんのスィーのぶろろろろ~って音がすると、
ケーキが来たってことなんだぜ」
 まりさのその言葉に、ゆっくりたちは、ぶろろろろ~、を待つようになった。
 そして、お昼頃、遂に待ちに待った時が来た。
 ぶろろろろ~。
「ゆゆっ! ぶろろろろ~っていったよね、きこえたよね!」
「ゆっゆっ、ケーキさんがきたんだね、わかるよー」
「ケーキしゃん、ケーキしゃん」
「たのちみだにぇ、ケーキしゃん!」
 しばらくすると、もう一度、スィーの音がした。ぱちゅりーが、きっとケーキを持って
きたスィーが帰った音だろう、と言った。
 しかし、待てども待てども、美味しいケーキを持ったドスおじいさんが現れることもな
く、陽は傾いていく。
「ゆがががが! もうまちきれないよ! ドスおじいさん、なにしてるの!」
「ゆゆぅ、おにゃかすいちゃよ、ドスおじいしゃん、ゆっくちちないではやくちてね!」
 ゆっくりたちは、ケーキどころかゆっくりフードすら貰えずに空腹になって、次第次第
に老人への不満が出てくる。
「ごはんをくれにゃいドスおじいしゃんは、ゆっくちちね!」
 だが、さすがにゆっくりしねと最大限の罵倒をした子まりさは、大人ゆっくりや他の子
ゆっくりに総出で責められてしまい、泣きじゃくりながら謝ることになった。
「むきゅぅ、まさかドスおじいさんに何かあったのかしら」
 賢いぱちゅりーがそのことに思い当たっていたが、皆を不安にさせまいと口には出さな
かった。
 それは、不幸にも的中していた。
 先ほどの、人間さんのスィー、つまり自動車のエンジン音はケーキを届けに来た運送屋
の車ではなく、老人を病院に運ぶための、隣人の車の音だったのである。

「ゆゆぅ、おなかすいたよ」
「しょうがないから、くささんをたべようね」
「むーちゃ、むーちゃ、それにゃりぃ」
「むーしゃ、むーしゃ、にがにがぁ~」
 あれから丸一日が経ち、ケーキどころかゆっくりフードすら食べられなかったゆっくり
たちは、仕方なく草を食べていた。しかし、ゆっくりフードに慣れた舌には、既にその辺
に生えている雑草は不味いものでしかなかった。
「ゆぅ、やっぱり、ドスおじいさんになにかあったのかも」
 不平不満を言っていたゆっくりたちだが、時間が経つにつれて、ぱちゅりーだけでなく
他のものたちも、その不安を思うようになっていった。
 お昼頃、人間さんのスィーの音が聞こえてきた。出かけていたおじいさんが帰ってきた
のでは、と思ったゆっくりたちは期待を込めてゆっゆっゆっと声を上げる。
「うわ、こんなにいたのか」
 しばらくすると、一人の人間が現れた。見たことが無い人間の登場に、ゆっくりたちは
警戒する。
「ある程度大きいものが五十匹……小さな赤ん坊も加えたらもっといそうですね」
 もう一人の人間が現れて言った。
 ゆっくりは、子沢山である。一度のにんっしんっで五匹六匹ぐらいは普通に産む。野生
ならば脆弱な赤ゆっくりはどんどん死んでしまい自然に数が調整されるのだが、ここでは
極力危険が排除されているためにそれだけの数になっていた。これでも、少しはちょっと
した事故で死んでいるのである。
 後から来た人間が、ゆっくりフードの入った袋を持っているのに気付くと、ゆっくりた
ちは我先にとその人間の足元に駆け寄ってきた。
「わ、わ、わ、なんだなんだ」
「人間さん、それちょうだいね!」
「おにゃかすいちゃよ~」
「はやくちょうだいね、れいむたち、おなかぺこぺこなんだよ!」
「社長……」
「ん、ああ、やってくれ」
「はい」
 初めに入ってきた社長と呼ばれた中年男がそう言うと、後から入ってきた若い男が頷い
て袋の口を下に向けた。
 ざざーっと、ゆっくりフードが地面に降り積もっていく。
「ゆゆ! これは大きいね、おちびちゃんたちのが先だよ」
「ん? 適当に持ってきたんだけど、違うのかい?」
「おちびちゃんが食べやすいように、小さいやつがあるはずだよ、ごはんはおちびちゃん
たちがさいしょだから、そっちを持ってきてね!」
「はあ……そんじゃ、取ってきますね」
 と、中年男に言って、若い男は老人の家の方へと行った。
「人間さんはゆっくりできるひとだね!」
「ここでいっしょにゆっくりしていってね!」
「ゆっゆっゆ~、おうたをきかせてあげるね!」
「ゆっきゅちちていっちぇね!」
 ゆっくりたちはごはんをくれた人間たちを友好的な存在と認識して、残った中年男に話
しかけるが、男は答えずに、呆然とした顔で、
「まさかこんなにいるとは……」
 と呟きながら、考え込んでいた
 若い男が、袋を二つ持って戻ってきた。
「えーっと、なんか凄く小さいのと、それより少し大きいのがあったから、どっちも持っ
てきたんだけど」
「すごくちいさいのは、赤ちゃんたちのだよ、それよりすこし大きいのはおねえちゃんた
ちのだよ」
「へえ、なるほどねえ」
 と、言いつつ、若い男は二種類のゆっくりフードを地面にまいていく。
「人間さん、ドスおじいさんはどうしたの! おじいさんがいないとゆっくりできないよ!

「ドスおじいしゃん、ゆっきゅちちてにゃいの?」
「え! ……ああ、親父……おじいさんは、ちょっと病気になって入院してるんだ」
「ゆゆゆっ! おびょうきなの!」
「ゆわーん、ドスおじいしゃん、ちんじゃうにょ~?」
「ドスおじいしゃん、ちんじゃやじゃよぉぉぉぉ!」
「にんげんさん、ドスおじいさんはなおるんだぜ? ぜったいになおるんだぜ?」
 ゆっくりたちのあまりの取り乱し様に、思わず男は、
「ああ、なおるさ、すぐに戻ってくるよ」
 と、言ってしまった。
「ゆわーい、よかっちゃー」
「ゆゆーん、それならあんしんだね!」
「ドスおじいさんがいないとゆっくりできないからね!」
「ドスおじいしゃん、はやくかえってきちぇね!」
 そのゆっくりたちの喜ぶ姿から、男は、すっと目を逸らしてから、
「それじゃ、私たちは帰るからね」
 そう言い残して、足早に去っていった。若い男も後に続いた。
「ゆゆーん、あの人間さんたちもドスおじいさんほどじゃないけど、ゆっくりできるみた
いだね」
「ゆゆっ、おにゃかすいちゃよぉ、むーちゃむーちゃするにぇ!」
「むーちゃむーちゃちようにぇ!」
「むーしゃむーしゃ、しあわせぇ~」
 不安が解消された上に、久しぶりのゆっくりフードにありついて、とてもゆっくりして
いるゆっくりたち。
 一方、ゆっくりプレイスを出た二人の男は、老人の家へと行き、若い男がポケットから
デジカメを取り出し、家の写真を何枚か撮った。
 それから家の扉に一枚のプラスチック製のプレートを貼り付けて帰っていった。
 売家
 と、そのプレートには書いてあった。

 翌日、あの若い男は、とあるビルの一室を訪れていた。
「やあ、ちょっと困ったことになったねえ」
「ええ」
 その部屋の主は、恰幅のいい中年男で、男が「社長」と呼んでいた人物だ。
「親父の家がすぐ売れそうなのはいいんだが、できるだけ早く、か」
「はい、なんでも、あの家の前を何度か通ったことがあって、一目で気に入っていたらし
いんですね。それで、もう入れるなら明日にも入りたい、と」
「うーん、それほど気に入ってくれたのなら、是非その人に買っていただきたいところだ
が、家の整理はなんとかなるだろうが、例のゆっくりがなあ……親父がゆっくりを世話し
ているとは聞いていたが、せいぜい五、六匹だろうと思ってたんだ。それなら、親父が可
愛がっていたんだし、里親を探してやろうと思っていたんだが……」
「あれは凄い数でしたねえ。実は私、以前にゆっくり駆除の会社に勤めていたことがあり
まして」
「ほほう、そうなのかね」
「あれの生態にはそこそこ詳しいんですが、ゆっくりは一度その場所を自分たちのもの、
ゆっくり流に言えばゆっくりプレイスだと認識すると厄介ですよ。追い出しても、すぐに
戻ってくるでしょうね。後の住人に餌をよこせ、中に入れろ、そこは自分たちのうちだか
ら出て行け、とか言うでしょうね」
「それはまずいな。あのゆっくりをなんとかしないと売るに売れんというわけか」
 社長は、悩んでいた。どの方法を採ろうかを悩んでいるのではなく、もう方法は決めて
いて、それを決断するのに迷っていたが、やがてそれを口にした。
「……よし、駆除しよう。実は、それ以外に無いだろうとはわかっていたんだ。ただ、や
はり親父が可愛がっていたと思うと、忍びなくてね」
「と、なると業者を頼みますか」
「あそこは辺鄙な所だし、業者の都合が合わなければ……私がやることになるなあ。……
自分の手でやるのは気が進まんのだが」
「あれは素人さんがやろうとするとけっこう大変ですよ。効率的に一瞬でやらないと泣き
叫ぶわ暴れるわで」
「……そうかあ、ますます気が進まんな……」
「私が、やりましょうか」
「え? ……いいのかね?」
「はい、昔取った杵柄で、当時の同僚で付き合いの続いているのが何人かいますし、そっ
ちに応援を頼めれば。幸い明日は土曜日ですしね」
 社長は少し考えた。男の申し出は唐突にも見えるが、彼は不動産会社の社員であり、売
りに出した家を買いたいと言う客がいればすぐに売ってしまいたいのは当然だ。駆除業者
の都合がつくかはわからずそれなら経験があることでもあり、自分の手でさっさと済ませ
てしまいたいと思うのも頷けることだ。
「そうか、それでは悪いが頼むよ」
「ええ、やり方がちゃんとあって、苦しまずに一瞬で死なせることができますよ」
「そうか……是非そうしてやってくれ」
 若い男は「はい」と言って深々と頭を下げた。にやけた顔を、隠したかったからだ。
 男が引き上げるのを見届けてから、社長は机上にあった封筒を手に取り、中に入ってい
た紙を取り出した。そこには一目でそれとわかる父親の筆跡で文字が書かれていた。
 社長は、来客用の大きな灰皿を引き寄せて、その上にその紙を置いた。
 灰皿の傍らに置いてあったライターを手に取り、紙に近づける。
「む……」
 小さく呻いて、ライターを置き、紙をひっくり返して、再びライターを取る。
 ――このこと、必ず頼む。私の最期の願いだ。
 という文字が目に入ってしまったからだ。
 ライターから、ぽっ、と小さな火が立ち上った。

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最終更新:2011年07月30日 02:06
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