ゆっくりいじめ系2911 ゆっくりできない四畳半

ゆっくりできない四畳半













住宅街から少し離れた河川敷の橋の下。
そこに一匹の身重のれいむが居た。
ゆらゆらと体を揺らしながら幸せそうな顔で歌を歌っている。

「ゆ~ん♪ゆ~ん♪」

周りの草花もれいむに合わせて踊っているかの様に風に揺れる。
その柔らかな風がれいむの頬を撫でた。
すぐ側を流れる川が太陽の光を反射してキラキラとれいむを照らす。
顔をあげて空をゆっくりと流れていく雲を眺めてれいむがにっこりと微笑んだ。

「ゆ~っ!とってもゆっくりできるねっ!」

れいむは群の幼馴染のまりさと番になった。
元々住んでいたゆっくりプレイスはあまり餌が豊富でなかった為に子供を作る事ができなかった。
そこで2匹は群を離れて山から下り、この河川敷に移り住んだのであった。
最初は元のプレイスを出て新たな環境での生活に不安を感じていたが、
草むらに住む豊富な食料や雨風を凌げるホームレスが捨てた家は、
2匹に以前のプレイスよりも裕福なゆっくりライフを提供をしてくれた。

群の仲間からゆっくりを見つけると襲い掛かってくると聞かされていた人間も
「ゆっくりしていってね!」と元気に挨拶をすれば気さくに返事を返してくれた。
きっと無断で人間のゆっくりプレイスに入り込んで、悪さをしたゆっくりの戯言だったのだろう。
そんな事をしたら怒るのはゆっくりでも同じである。
れいむは今までのゆん生の中で最も幸せを感じていた。最もゆっくりしていた。満たされていた。

そう、次の瞬間までは

「ゆっくりにげるよっ!こっちこないでねっ!あっちいってねっ!」

遠くからぽいんぽいん!と草むらを跳ねてくる丸い影。
あの三角帽子のシルエットはれいむの番のまりさである。
しかしまりさの様子が何やらおかしい。
全身から汗を垂れ流して息を荒げながら必死の形相でこちらに叫んでいる。

「ゆっくりかくれてねっ!れいむ!ゆっくりかくれてねぇぇ!」

まりさの取り乱した声をゆっくりと聞いたれいむは顔を強張らせる。
群で一番ゆっくりしていたまりさとは思えない焦りようからも事態の深刻さが伺えた。

「ゆゆっ!れいむはゆっくりかくれるよ!」

れいむはビールケースとビニールシートでできたゆっくりプレイスの影に身を潜める。
れいむがゆっくりと身を隠した事を確認すると
まりさは身をひるがえしてあさっての方向にその進路を変えた。

「ゆっくりまがるよ!まりさはこっちへ逃げるよ!あっちにはいかないでね!」

時折後ろを振り返りながら大声で叫ぶまりさ。
恐怖で震えるまりさの視線の先には、まりさとは比べ物にならない程の大きなシルエット。

それは人間だった。

まりさは人間がゆっくりプレイスへ近づかないように誘導していたのだ。
しかし人間は必死に声を張り上げるまりさの方へは向かわずに真っ直ぐにれいむの居る方へ進む。
その様子を見てまりさは驚きの表情を浮かべて立ち止まった。

「ゆっ!なにしてるの!まりさはここだよ!かわいくてごめんね!」

まりさの呼びかけを無視してれいむの居る方向へ歩みを進める人間。
まりさはオロオロと取り乱した顔をしながら人間を追いかける。

「ゆっ!ゆっ!やめてねっ!そっちにはなにもないからねっ!ゆっくりやめてねっ!」

目に涙を溜めながら人間と併走して叫ぶまりさ。
まりさを無視して歩みを進める人間はれいむとまりさのゆっくりプレイスの前で足を止めた。
プレイスの影からそっとを身を乗り出して人間の様子を伺うれいむ。

「ゆっ・・・!ゆゆっ?」

れいむは人間の顔を見て僅かに安堵した。
人間の表情には怒りとか悲しみといった負の要素は感じられなかった。
むしろゆっくり的にはゆっくりしていると感じた。
まりさが不注意で人間の家に迷い込んで粗相をしてしまったのかも知れない。
自分達は人間に危害をくわえるつもりが無い事を伝えればわかってくれる筈だ。
そして理由を聞いてこちらに比があればゆっくりと謝罪しよう。
れいむはそう思ってプレイスの影から一歩足を踏み出した。
恐怖に引きつった顔を引き締めて精一杯の笑顔を浮かべる。

「ゆっ♪にんげ」

次の瞬間、雨さんや風さんがどんなに機嫌が悪くても微動だにしなかった
れいむとまりさ自慢のゆっくりプレイスが粉々に砕けながら上空に舞い上がった。
吹き飛ぶビールケースに体をぶつけたれいむが草むらを転がる。

「ゆ゛っ!ゆっくりっ?ゆっくりぃっ!?」

雨の様に降り注ぐプレイスの破片。
まりさが産まれてくる子供たちの為にせっせと集めていた餌が地面に落ちて音を立てて散らばる。
体を掠めて地面に突き刺さるビールケースに驚いてれいむは「ゆぴぃ!」と声をあげて地面に縋り付いた。
体を縮こませながら小さく震え、目を見開いて崩壊していくプレイスをただ見つめる事しかできなかった。
崩れたプレイスの奥から顔を除かせる足を振り上げた人間。
2匹の自慢のゆっくりプレイスは人間が足を振り上げただけでいとも容易く崩壊してしまったのだった。

「どうじでごんなごどするのぉぉぉ!あやまってねっ!ゆっくりあやまってねっ!」

まりさが人間の足に体当たりしながら涙を撒き散らして叫ぶ。
しかし相手がゆっくりならば一撃で昏倒してしまう程の勢いで
体当たりを続けているのにも関わらず人間は微動だにしない。
逆に人間の脛の辺りに体当たりをしてしまい、その硬さと痛みにまりさの動きが止まる。

「あ゛や゛ばっ・・・・ゆっくりい゛だい゛っ!!」

ズルズルと滑り落ちて人間の足にもたれかかるまりさ。しかし弱みを見せるわけにはいかなかった。
歯を食いしばって涙がこぼれるのをグッと堪える。番のれいむの前で情けない姿を見せるわけにはいかない。
まりさがキッ!と人間を睨みあげる。
まりさから見た人間はまるで巨大な塔の様に聳え立ち、その視線はれいむの方へ向いていたが、
ギョロリとまりさを見下ろす。海底の沈殿物の様な黒い両眼。まりさと人間の目が合う。
ゆっくりにとっては遥か上空から見下ろすその眼にまりさは思わず身を振るわせる。

「ゆぴぃ!!」

数秒前の決意も空しく涙を垂れ流しながらのけぞるまりさ。
そんなまりさの頭を人間が鷲づかみにして持ち上げた。
スーッ!と天へ登っていくまりさ。その視点の高さに血の気ならぬ餡子の気が引いていく。

「ゆぅぅぅ!!たかいぃぃ!!ゆっくりたかいぃぃ!!まるでおそろろらろっ!?」

本能的に「まるでお空を飛んでるみたい」と口にしようとしたが、恐怖の余りそれさえもままならない。
まりさには広大なサバンナの様に感じていた草むらがジオラマの様に一望できる。
その光景にまりさは下腹部がキュッと縮こまるような妙な感覚が走った。
これが人間の視点だった。勝てない。勝てるわけが無い。まりさの心は容易く折れてしまった。
降参の合図の様にまりさのしーしーの穴が膨れ上がりジョロジョロと甘味を帯びた水が地面にこぼれ落ちた。
自分の体からだらしなく排出されるしーしーを見てまりさが頬を赤らめながら涙をポロポロと零した。

「ゆ゛っ!みないでねっ!みないでねっ!」

人間とれいむに向かって涙交じりの声を張り上げるまりさ。
これから赤ゆっくりを設けて一家の大黒柱になる筈だったまりさの痴態を見て
地面に張り付いて事の成り行きを見守っていたれいむが「うゅゅ」とすすり泣く。
人間は表情を変えることも無く、まりさの顔をつまらなそうに眺め続けた。

「やべでねっ!もうおろしてねっ!ゆぅっ!!ゆっぐりざぜでぇぇぇぇ!」

人間の手から逃れようと「じたじた」と身を震わすまりさだったが、
最後の一滴がこぼれ落ちるまで人間の視線はまりさに注がれ続けた。

しーしーを出しつくして屈辱に塗れた表情でグッタリとうな垂れるまりさ。
人間はまりさのお飾りである帽子を奪い取ると無造作に地面に投げ捨てた。
涙も枯れ果てて真っ赤になったまりさの目が見開かれる。

「ゆぅ!!なにしてるのぉっ!やめてねっ!まりさのお帽・・・じッ!!!」

声を張り上げようとしたまりさの顔面に人間の平手がめり込んだ。
ビリビリとした衝撃がまりさの中を駆け巡る。
今までのゆん生の中で経験した事の無い激痛。
痛い。怖い。ゆっくりできない。人間さんはゆっくりできない。
かえりたい。森にかえりたい。怖い。とにかく怖い。

「ゆ゛っ!・・・ぐっゆっ・・・!」

目をギュッと閉じてガタガタと身を震わせるまりさ。
人間はそんなまりさに気をかける事も無く、
まりさのおさげを解いて髪をパイナップルの様にまとめるとリボンできつく縛った。

「ゆ゛ぅぅぅぅ・・・!やべでぇぇぇ・・・!やべでねぇぇぇ・・・!」

涙で汚れた顔を更にグシャグシャにして力なく声を絞り出すまりさ。
しかしその声はピタリと止まった。
男の手に握られているのはライター。
その先から噴出する火を見てまりさが顔を強張らせる。

「ゆ゛っ!や、やめてねっ!あついあついはゆっくりできないよっ!」
「やべでねっ!まりさをゆっくりさせてあげてねっ!」

草むらに身を潜めていたれいむも人間の足に身を擦り付けて懇願を始める。
ライターの火から身を捻って体を遠ざけるまりさ。
しかし男の手に握られたまりさの体はこれ以上ライターの火から逃れる事はできない。
徐々にまりさの体に近づいていく炎。その熱にまりさは顔を歪める。

「ゆ゛っ・・・ゆゆっ!ごべんなざいぃぃ!よくわからないけどごべんなざいぃぃ!」

まりさはどうして今こんな事になっているのかわからなかった。
まりさの狩りをジッと見つめていたこの人間に元気良く挨拶をしただけである。
それなのに何故こんな事になっているのだろうか?
わからない。わからなかった。しかしそれでもまりさは涙を流しながら必死に人間に謝罪した。
謝罪し続けるしかなかった。人間の気が変わって解放される事を祈るしかなかった。

「ごべんなざいぃぃぃ!ごべ・・・っゆ゛あ゛あ゛あ゛っ!!?」

まりさの謝罪は受け入れられなかった。
ライターの火はパイナップルのようにまとめられたまりさの毛先に引火した。
まりさの髪の毛がチリチリと炎に焼かれて煙をあげる。

「ゆ゛あ゛っ!ゆ゛っぐり゛!!ゆ゛っぐり゛ぃぃぃ!!」

男の手から開放されて地面を転がるまりさ。
草むらに頭を押し付けて火を消そうともがいたが、火の勢いは収まらない。
まりさの頭部に凄まじい熱気と餡子を抉るような鈍い痛みが伝わってくる。

「れいむ!だずげでえええ!ばやぐだずげでねぇぇぇ!」
「まりざぁぁぁぁ!まりざぁぁぁぁ!」

まりさがのたうちまわりながられいむの元を目指して転がる。
れいむはまりさに駆け寄って炎を消そうと舌をまりさの頭に近づけるが
炎に触れる前に煙が立ち上りグニャリと舌先が変形した。

「ゆ゛ぎゅっ!」

少し遅れて伝わってきた激痛にれいむは思わず地面に倒れこむ。
触っても居ないのにこの痛さ。頭を炎で焼かれているまりさの痛みは計り知れない。
まりさは目をこぼれ落ちる程に見開いて耳を劈くような奇声をあげながら地面に頭を叩きつけている。
このままではまりさが二度とゆっくりできなくなってしまう。
幼い頃から一緒に遊んで、歌って、狩りをしたまりさが居なくなってしまう。
れいむにとってまりさの居ないゆん生など考えられなかった。

「まりさぁぁぁ!お水さんだよぉぉぉぉ!ゆっくりしないでお水さんに飛び込んでねぇぇぇぇ!」
「ゆ゛あ゛あ゛っ!おびず!!お゛びずざん゛ん゛!!!」

まりさはギリッと歯を食いしばりながら身を翻して
川に向かってばすんばすん!と火の粉を撒き散らしながら弾んでいった。

「おーい、まりさ」
「ゆ゛っ!!!」

川まであと数歩の所で人間がまりさに声をかけた。
血走った目で川へ向かって飛び跳ねながら人間の方へ視線を向けるまりさ。
その人間を見たまりさの足が思わず止まる。

「ゆっくり戻ってね」

人間の手に握られたのはまりさの命と同じくらい大事な帽子。
その帽子には先程のライターがあてがわれている。

「ゆ゛っ!!な゛に゛じで!?な゛に゛じでぇぇぇぇぇぇぇ!?」

形相を浮かべながら川を流れる水と人間の握った帽子を何度も交互に見つめるまりさ。
早く水に入らないとゆっくりできない。でも帽子を焼かれたらゆっくりできない。
頭の上では熱くて痛い塊がバチバチと唸りを上げている。
まりさの体が自然に川へと向かって擦り寄った。

「ゆっくり戻れ」

先程より冷たく重い人間の声。まりさの動きがピタリと止まる。
戻って帽子を返して貰わないといけない。でも水に入らないとゆっくりできない。
しかし火を消しても帽子が無いと一生ゆっくりする事はできない。
でもまず水だ!しかしその前に帽子を!でもこのままだと!しかし!でも!しかし!
帽子!水!ゆっくり!帽子!水!ゆっくり!帽子!水!ゆっ・・・

プツッ!

答えを導き出す事無く、まりさの命は時間切れになった。
熱がまりさの泡だった頭皮を溶かして破き、鈍い音と共に噴水の様に餡子がビュルビュルと噴出した。

「びばっ!ばっ!ばばばばばっ!」

一瞬にしてゆっくりの生命を維持する餡子の大半を失って痙攣をはじめるまりさ。
噴出した餡子によって火は消えたが、それと同時に命の灯火も消えてしまった。
ぶるんぶるんと操り人形の様に身を揺らすまりさを見てれいむが叫び声をあげた。

「まりざぁぁぁぁ!まりざぁぁぁぁぁ!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

「狩りにいってくるねっ!」と何時ものように元気な微笑みを浮かべて草むらへ跳ねていったまりさが
今は目の前で白目を剥いてだらしなく舌を垂れ流して痙攣しながら餡子を撒き散らしている。
どうしてこんなことに。まりさはついさっきまであんなにゆっくりしていたのに。

「どぼじでええええ!どぼじでえええええ!」

れいむは痙攣をやめて崩れ落ちるように地面に倒れこんだまりさの元へフラフラと向かう。
しかしその歩みはたった数歩で止まった。
激しい下腹部の痛み。
まだ赤ゆっくりを出産する時期では無かったが、
まりさの死に直面したショックで本能的に子孫を残すべくれいむが産気ずいた。

「う゛っ!うばれ゛る゛ぅぅぅぅぅ!」

歯茎を剥き出しながらギリギリと歯を鳴らして
涎と汗をダラダラと垂れ流しながられいむは丘に打ち上げられたトドの様に地面に横たわる。
その光景を醒めた目で眺める人間。

「ゆっぐりじでいっでね!おぢびちゃん!お外はゆっぐりできないよぉぉぉっ!」

必死に産まれ落ちようとしている赤ゆっくりに語りかけるれいむ。
気がつくと人間はれいむの傍らに膝を曲げて腰を下ろしていた。
まりさをあんなにもゆっくりできない方法で嬲り殺しにしたというのにも関わらず全く悪びれない表情。
こんな事をしたのに午後までゆっくりと寝過ごしてしまったかの様なとぼけた顔。

れいむのゆん生の中で湧き上がったことの無い煮えたぎる様な怒りの感情。
その「ゆっくり」とは間逆の感情を抑えることが出来ずに
れいむはクワッ!と目を見開いて人間を睨みつけると狂ったように叫んだ。

「じねぇぇぇぇ!ゆ゛っぐり゛ごろじはぞぐざにじね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」

首を振り回して唾を撒き散らしながら大口を開けて人間を罵倒するれいむ。
しかしそれでも人間の表情は変わらない。
人間は地面に落ちている石を拾い上げてれいむのまむまむに宛がうと

れいむを蹴り飛ばした。

「んぎゅんッ!」

強引にまむまむに蓋をされて出産を阻止された。
ぷるんぷるんと体を波打たせながられいむが地面を弾む。
コロコロと地面を転がり仰向けになった所でようやくれいむの体が止まった。
全身を駆け巡る激痛に白目を剥いて痙攣するれいむ。
その視線の先には先程と変わらないゆっくりと流れる雲。
れいむがこんなにもゆっくりしていないのに、雲さんは何をそんなにもゆっくりしているのだろう。
憎々しげな視線を空に向けていたれいむだったが、その視線が人間によって遮られる。
れいむの視界が人間の振り上げた足で一杯になった瞬間、その意識はプツリと途切れた。





それから数日後



薄暗い廊下を進む男。
男の足音と時計の針が時間を刻む音だけが辺りに響く。男が立ち止まった先には固く閉ざされた扉。
そこは未整理の品々が乱雑に置かれた物置だった。その一角のクローゼットに男は手をかける。

ギィ

木材の軋む音。開かれたクローゼットの中は空っぽだった。
物が何も置いて無いという意味ではない。本当に何も無かった。
ただの空洞。トンネルの様にただそこに置かれているだけだった。
目の前には再び扉。クローゼットはこの扉を隠す為だけに存在していた。
男はポケットから鍵を取り出し、その隠し扉の南京錠にそれを差し込んで扉を開いた。

中は四畳半ほどの狭い空間。
部屋の脇の棚にはうず高く積まれた水槽。その水槽の中には無数のゆっくり達が蠢いていた。
ゆっくりすることを信条としてゆっくりできる者ほど優れた個体とされるゆっくり達だったが、
ここに居るゆっくり達の表情はおおよそ「ゆっくり」などという単語とはかけ離れていた。
虚ろな目で薄笑いを浮かべて虚空に目を泳がすだけのゆっくり。
ひたすら痙攣を繰り返し時折耳を劈くような奇声を上げるゆっくり。
息絶えた親ゆっくりの体に無数に埋め込まれた狂ったように泣き叫ぶ赤ゆっくり達。
延々とすっきりを行い頭から生える実ゆっくりを奪い合うように喰らう番のゆっくり。

すべて男の仕業だった。
自然に住む野生のゆっくり、街に住む野良ゆっくり、誰かに飼われていたであろう飼いゆっくり。
それらを見境無くここに連れ込んで虐待と更なる虐待の為の治療を繰り返した。
多くのゆっくりは命を落としたが、
その前に精神を病んで奇行に走り出したゆっくりを棚に並ぶ水槽に入れて延命させた。
それが男の今のコレクションである。
それには何の意味も無かった。飽きればゴミのようにそれを捨てるだろう。

部屋の真ん中の作業台の上に置いてある透明な箱の中にまだ精神を病んでいないゆっくりの親子が居た。
数日前に番のまりさを殺されて、ここに連れて来られたれいむとその赤ゆっくり達だ。
棚に陳列された精神を破壊されたゆっくり達の視線に怯えながらこの薄暗い部屋の透明な箱の中で
れいむは7匹の赤ゆっくりを出産した。れいむ種が5匹、まりさ種が2匹。
この8匹のゆっくり達はこれから数時間で死ぬか、棚の水槽で死んだように生き続ける事になるだけの存在。
少なくともこの時点では、このゆっくりの親子達には逃れられない2つの運命が待つのみだった。

「い゛っい゛や゛じゃぁぁぁ!!ばなじでにぇぇぇぇ!!」

もみあげをパタパタと振りながら赤れいむが身をよじって男の手の中で暴れる。
男は手のひらの赤れいむを人差し指と親指で摘み上げると潰れる限界までその体を押し潰した。
赤れいむの動きはピタリと止まり顔を真っ赤にして涙を零しながら小さく呻き声をあげる。

「んぎゅ・・・・!んぎゅぅぅぅぅぅ・・・・!!」
「やべでええええ!やべでね!おちびちゃんはいやがっでるよぉぉぉ!」

透明な壁に顔を押し付けて号泣する親れいむ。
男は空いた片方の手を机に滑らせると一本の針を取り出した。
その先端を赤れいむに突きつける。
顔を真っ赤にしながら圧力に耐える赤れいむの顔が更に醜く歪む。

「やべちぃぇぇぇ!ゆっぐちちゃちぇてぇぇぇぇ!」
「ゆっくりさせてぇぇぇ!おちびちゃんをがえじでぇぇぇ!」

水槽の中から嗚咽を漏らす親れいむ。
それにしがみ付いてブルブルと身を震わせる赤ゆっくり達。
男はそれをつまらなそうな目で見下ろした。
男にとってそれは腐るほど見た光景だった。心底どうでもいい光景だった。
芸の無いテンプレートな台詞に苛立ちを覚える程であった。

男が小さくため息を吐いた。
身重だったかられいむ種の方を選んだが、やはりまりさ種を持ってくるべきだった。
れいむ種はつまらない。殆どのれいむ種は虐待を前にして泣き喚くだけである。
この状況を打開しようとする意思が無い。その点まりさ種は違う。反応が多彩だ。
子を捨てて逃げ出す者。子を差し出す代わりに自分を見逃して欲しいと懇願する者。
自分の身を差し出す代わりに子を見逃して欲しいと懇願する者。
なんとかこちら側に入ろうと画策する者。その反応は多岐にわたる。

「返してやろう」

男は針を床に投げ捨て、果物ナイフを手に取ると淀みない動作で赤れいむの頭部を切り開いて
小指で中の餡子をクルリとひとかきすると頭部を閉じてオレンジジュースが入った小皿に
赤れいむを軽く浸して傷を塞ぎ、箱の中に赤れいむを投げ入れた。

親れいむにはこの一瞬の動作を認識することができずに、赤れいむは無傷で返されたと思った。
目を輝かせながら転がる赤れいむに擦り寄ると、涙を零しながら満面の笑顔を浮かべた。

「ゆっ!おちびちゃん!よかったね!ゆっくりしようね!」
「ゆっ?ゆっ?ゆっ?ゆっ?」

しかし赤れいむは箱の中でころころと転がり続ける。
他の赤ゆっくりや壁にぶつかってもその動きを止めない。

「ゆぅ!?どぼじだの!?おちびちゃん!ゆっくりしようねっ!」
「ゆ゛っ!あばっ!ばばばっ!ばひっ!」

男の手によって中身の餡子をかき混ぜられた赤れいむは
思考を司り、体の動きをコントロールする中枢餡が破壊された為に体は動いているが、
既に死亡していた。
そして姉妹のゆっくり達を払いのけて狂ったように透明な壁に何度も体を叩きつけていたが、
突然赤ゆっくりらしからぬ無駄に立派なぺにぺにをそそり立たせると

「へひっ!ゆ゛っ!しゅっ!しゅしゅっ!しゅきりぃぃぃぃ!!」

と焦点の合わない目を輝かせながら絶叫するとぺにぺにから餡子を噴出させた。
そのまま仰け反るように倒れこみ噴出させた餡子を全身に浴びる。

「しゅっきり!!しゅっきり!!しゅっきり!!しゅっ!しゅっ!しゅっ!しゅっ!」

体の餡子を出し尽くした後も満面の笑顔で痙攣しながら悶えていた赤れいむだったが、
突然この世の終わりのような苦悶の表情を浮かべた途端、
親れいむから4番目に産まれた赤ゆっくり、四女れいむは動かなくなった。
四女れいむの奇行に身を震わせて親れいむの後ろに隠れてフルフルと身を震わせる赤ゆっくり達。
親れいむも歯をガチガチと鳴らしながらその光景を呆然と見ていた。

「なにごれぇぇぇぇ!」
「ゆっぐりできないぃぃぃぃぃ」
「きょわいよぉぉぉ!」
「だしゅげでえええええ」

そんなゆっくり達の様子を詰まらなそう見ていた男が口を開く。

「腹が減った。お前らの中から3匹差し出せ、食べるから」
「ゆ゛っ!!!」

その言葉に親ゆっくりは目を見開く。
そして顔を強張らせながら男を見上げて恐る恐る口を開いた。

「ぞっ・・・ぞんなのえらべるばけ」
「全員食べてもいいんだぞ」
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

男から放たれた冷たい一言。
れいむは歯茎を剥き出して叫んだ。もう叫ぶくらいしかできなかった。
男の手に渡ったおちびちゃんがあんな事になったのだ。
差し出せる訳がない。しかも食べると言っているのだ。
選べない。全員かわいいれいむのおちびちゃんだ。
選べる筈が無い。しかしだ。選ばなければ全員が食べられる。

選ばないといけない。選ばなければ。誰だ。いらない奴は誰だ。
れいむの餡子脳がグルグルと無駄な回転を始めた。
視線を下に移すと赤ゆっくり達が身を摺り寄せながらプルプルと震えている。
親れいむにすがりつきながらもその目には微かな不信感が伺える。

まさか、まさかとは思うが自分が選ばれるのでは無いかという不信感。
選ばない!選ぶわけがない!そんな顔でこっちを見ないで!ゆっくり!ゆっくりできない!
答えなど出ない。視界が歪んで餡子が口から出そうになるだけだった。
いらない子など居ない。しかし選ばないと。いらない子など居ない。しかし・・・
れいむの餡子脳が無限にループを始めた。れいむの心は何故か楽しくなってきた。
こんな状況なのにれいむの心がゆっくりしはじめた。わからない。ただただわからなかった。
れいむの思考が行き場を失って安全地帯である「ゆっくり」に逃げ込んだのだ。

「ゆっ!まりさがいくのじぇl」

親れいむの泥沼に陥った思考を断ち切るかのように
三女の赤まりさがぽいん!と一歩前にでた。親れいむが驚いた表情で三女まりさを見る。
目には涙を溜めてガタガタと震えていたが、その瞳の奥には確固たる意思を感じた。
その目を見た親れいむはギリギリのところで精神の崩壊を免れた。
それは数日前まで一緒に暮らしていた幼馴染の番のまりさの目だった。

「おねぇちゃん!いもうちょを一緒に守ろうにぇ!」
「ゆ゛っ!!」
「どぼじで!?」

三女まりさの視線の先には長女れいむと次女れいむ。
2匹はクワッ!と目を見開いて驚きの表情を浮かべた。
何故こんな時にそんな事をいうの?バカなの?死ぬの?英雄気取りなの?
2匹は見事にシンクロした動きで口をパクパクさせながら首をフルフルと振り回す。
そんな3匹を交互に見ながらオロオロと取り乱す親れいむ。

「決まったようだな」

面倒くさそうにゆっくり達の三文芝居を見ていた男が箱の蓋をあけて手を伸ばす。
それに噛み付くようにしてくっつく三女まりさ。
一方、長女れいむと次女れいむは涙を撒き散らしながら箱の中を飛び回った。

「がっでにばなじをちゅちゅめにゃいでにぇぇぇぇ!」
「のーきゃん!のーきゃんだからにぇぇぇぇ!」

他の赤ゆっくりを突き飛ばしながら逃げまとう2匹。
男はそんな長女れいむを人差し指で押しつぶした。

「あっちいっちぇ・・・・・・ん゛ぎゅぶばッ!」

プパッ!と餡子と砕けた歯を撒き散らす長女れいむ。
パタタタタ!ともみあげを床に叩きつけて暴れるがそんなものでは男の指から逃れる事はできない。
徐々に長女れいむを押し付ける力が強くなる。
長女れいむは「げっ!げっ!」と変な声を漏らしながら悶絶した。

「ゆぴぇっ!ゆ゛っぐち゛ぃぃぃ!ゆ゛っぐぢぃぃぃ!!」

それを見た次女れいむはしーしーをぷしゃー!と霧吹きの様に垂れ流すとピタリと逃げるのを止めて
汗を垂らしながら死にそうな顔で微笑むと「ゆっくりのるね」と男の手に飛び移った。
男の手に齧り付く三女まりさ、餡子を吐きながら痙攣する長女れいむ、
目を丸めて呆然とする次女れいむを乗せた男の手が静かに箱の中から出て行った。

「洗って禿饅頭にしてから喰うか」

そう呟いて踵を返した男。
それが男の最後の言葉だった。

ガシャン!

作業台に乗った小物を撒き散らしながら男が膝から崩れるように倒れた。
男は胸を病に侵されていた。
医師は男に病状を伝える家族が存在しない事がわかると直接男に告知した。

淡々とそれを聞かされた男は残された時間で何かを成すべく奮起する事もなく、
かと言って残された時間を静かに有意義に使う事もなく、
目に付いた幸せそうなゆっくりをさらって虐殺をはじめた。
輝く未来に胸を躍らせるゆっくり達を蹂躙して弄ぶ事によって現状から逃避した。
男にはそれが楽しくて楽しくて仕方がなかった。
楽しすぎて残された時間がもう0になりつつあることも忘れてしまっていた。

後悔はあった。やり残した事は両手では数え切れない程あった。
しかし手からこぼれ落ちた3匹の赤ゆっくりと
それを箱から形相を浮かべて見ているゆっくり達。

こいつらの末路を想像すると途端に楽しくなってきた。
自らの手を下さずに自然と崩壊していくゆっくりの親子。これは面白いかもしれない。
無表情だった男の顔に久方ぶりの笑みが浮ぶ。
その横をゆっくりとは思えない速さでぱしんぱしん!と弾む長女れいむが通り過ぎた。
目を血走らせて必死の形相を浮かべながら一心不乱に扉の外を目指す。
親も姉妹も見捨てて本能的にゆっくりできない場所からの逃走・・・。

本能的?どうだろうか?この糞袋は産まれて早々にゲスの才能を開花させたのかも知れない。
分厚い扉の隙間を抜けて長女れいむが四畳半の部屋を抜け出す。
恐怖に引きつった顔がコロリと笑顔に変わる。

「ゆゆん♪おそとに」
(でられないよ)

扉の隙間から手が伸びて長女れいむを捕らえた。
檻の様に5本の指が長女れいむの周りに突き刺さる。

「ゆぴぇっ!どいちぇにぇ!どいちぇにぇぇぇ!」

指の間に体を押し付けて尻を振って脱出をはかる長女れいむ。
男の指先に濡れた感触と弱々しい長女れいむの力が伝わってくる。
えぐえぐと嗚咽しながら長女れいむが耳障りな甲高い声で叫ぶ。

「どいちぇぇぇぇ!どげぇぇぇぇ!じじいいいいぃぃl!」

男は腕を手繰り寄せて後方へ振り下ろした。
指の牢獄が床を滑る。
指の間から醜く顔をはみ出しながら長女れいむも床を滑った。
再びゆっくりできない部屋に引きずり込まれる。遠ざかっていく扉の隙間。
まるで底の無い落とし穴に突き落とされるような感覚。長女れいむの表情が恐怖に歪んだ。

「ゆ゛ん゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

それと同時に長女れいむの足元に焼けるような痛み。
床との摩擦で長女れいむの体が擦り切れていった。
餡子を撒き散らしながら床を転がる長女れいむ。

男は最後の力を振り絞って立ち上がり、
倒れこむようにして四畳半の部屋から出ると扉を蹴り飛ばして閉じた。
中の音はもう一切聞こえない。
あの耳障りな奇声と嗚咽が嘘のように静まり返る室内。
時計の針が時間を刻む音だけが部屋の中に響く。
その微かな音も男の耳にはもう届いていなかった。
男は満足気な表情を浮かべると眠るように目を閉じて動かなくなった。

「じねぇぇぇぇ!じねぇぇぇぇぇ!ゆっぐちじねぇぇぇぇ!」

餡子を滴らせながら固く閉ざされてしまった扉に向かって
呪いの言葉を吐き続ける長女れいむ。その言葉は男にはもう絶対に届かない。
「ゆひゅーゆひゅー」と息を切らせながら天を仰ぐ長女れいむ。
赤ゆっくりにとっては遥か上空に佇む棚に並ぶ水槽の中の
「目」しかないつるつるの丸いゆっくりと長女れいむの目が合う。

(・・・ゆっくりしていってね)
「ゆ゛っ!!!」

突如聞こえた聞こえるはずの無いその声に長女れいむは
歯を剥き出して驚きの表情を浮かべてその場で飛び上がった。
そして着地した時の湿った音で自分の中身が取り返しのつかないほど
流れ出してしまった事に気がついて目に一杯の涙を浮かべた。









つづく








※ついに名前を貰ったよ!代表作が「お○んぽ大好き!みょんの大自然丸かじり」とかだったら
「お○んぽ丸かじりの人」とかになってたんだね!わかるよ!わからないよ!

  • ゆっくり見せしめ
  • ゆっくり電柱
  • ゆっくり脳内補完
  • 副工場長れいむの末路
  • ゲスの見た夢
  • 元野良れいむの里帰り
  • ゆっくりできない四畳半

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最終更新:2011年07月28日 12:33
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