※俺設定をふんだんに使用しております
※一部虐待されないゆっくりを含みます
とある森の中
ここに小規模のゆっくりの集落があった。
ゆっくりれいむやゆっくりまりさ、少数ではあるがゆっくりありすなどもいる。
俗に言うドスまりさやそれに並ぶ巨大ゆっくりはいなかったが、みんなで協力し合って生きていた。
しかし、最近この集落に危機が訪れていた。
川の向こうにゆっくりありすの集団が越してきたのだ。
時折、川にかけられている小さな橋を渡ってきて好き勝手やっていくありすの集団。
「あら、たべものがいっぱいね! とかいはのありすたちのらんちにしましょう!」
「ゆっ! やめてね! それはふゆのためにためておいたたべものだよ!」
「あらまりさ! きょうはいちだんとかわいいのね!」
「まっ、まっ、まりざああああああぁぁ!!」
「ゆっ! やめろ! ゆっくりしねっ!」
「まりざああああぁぁ! ちっちゃいまりざはいちばんかわいいよおおおおぉぉ!!」
「やめでえええぇぇ!! まりさのあかちゃんがああああぁぁぁ!!」
「ぐるじ・・・ぎゅ・・・ゆ゛・・・」
もちろんこちらのゆっくり達も追い返そうと攻撃を仕掛けるのだが、数の差でいつも押し切られてしまう。
たちの悪いことに、ゆっくりありすたちは全滅させてしまうともう食料その他を奪えなくなることを知っている。
なので、
「きょうはこのくらいでゆるしてあげるわ!」
「これはあたたかいからとかいはのありすのべっどにしましょう!」
「もっでがないでえええぇぇ! それはさとでにんげんにもらってやっともってきたわた・・・げほっ!」
「うるさいわね! いなかものはゆっくりしんでね!」
追いすがったゆっくりぱちゅりーを跳ね飛ばし、ゆっくりありすたちは今日も悠々と川向こうへ帰っていった。
残されたのは散々荒らされた巣と何匹かのゆっくりの死骸だけ。
「ゆぅ・・・このままじゃふゆをこせなくなっちゃうよ!」
「でもありすたちはまたくるよ!」
「どうしよう・・・」
ゆっくりたちが途方に暮れていた時、
「ゆっ! みんなでありすたちをやっつければいいんだよ!」
最近ここへ引っ越してきた一家の1匹が提案した。
しかし当然、
「そんなのできるわけないよ!」
「みんなでいってもかてなかったよ!」
ゆっくり達の反応はイマイチ。
だが、
「ゆっ! だいじょうぶだよ! おとーさんとおかーさんはひゃくせんれんまなんだよ!」
「やっつけるほうほうもしってるよ!」
「おとーさんはゆーじゅーふだんだけどね!」
自身満々に主張する子ゆっくり達に、
「ほんと?」
「いいあんがあるの?」
少数のゆっくり達が食いついてきた。
「ゆー・・・そんなたいそうなものでもないぜ・・・」
「でも、あのいなかものたちはどうにかしてげきたいしないといけないわね。」
「それもそうなんだぜ。 みんな! このままじゃありすたちにのっとられちゃうんだぜ!」
「しょうめんからじゃなく、さくせんをたててやっつけましょう!」
親らしいゆっくりまりさとゆっくりありすの声に、耳を傾けるゆっくりが増えてきたところで
「まず、すこしずつかずをへらさなきゃいけないわね。 だからぐたいてきには・・・」
作戦を話し、出来そうだという事をアピールしていく。
耳を傾けるゆっくりも増えていき、最終的に全員がゆっくりありすの声に耳を傾けていた。
数日後
ゆっくりありすの群れの一部が、今日も対岸のゆっくりたちから食料を巻き上げるために橋を渡っていた。
ゆっくりありすは、一度に全員が略奪をしに来るわけではなく、何度かに分かれて数匹ずつやってくる。
そうしないと発情しすぎて、あるいは略奪しすぎて次に行った時満足に食べ物が無いかもしれない事を理解しているのだ。
「きょうはどのまりさをあいしてあげようかしら!」
「きょうはれいむをあいしてあげるわ!」
「ぱちゅりーはいつもいいものをもってるからきょうもなにかもらってあげましょう!」
言いたい放題言いながら橋を渡っていく。
橋は、川の真ん中に突き出ている大きな岩をつなぎとして板が2枚固定されているだけの代物である。
なので、ゆっくりたちは大勢で追ってくることが出来ない。
さらにありすたちは川の流れが一番速い時間帯を狙って来る。
誰かが追ってきても、川に突き落とせば岸にたどり着くことも出来ず流されていくからだ。
しかし、今日はその慎重さが仇となる。
ブチン!
足元で何か音がしたかと思った瞬間、来たほうの側の板がバランスを崩し、川に落下した。
「ゆ゛あ!?」
「ごぼっ!」
「だずげ・・・」
まだそちら側の板にいたゆっくりありす4匹がものすごい速さで流されていく。
板はと言えば、岩に縄で固定されたままぷかぷかと浮かんでいる。
どうやら問題があったのは対岸の縄のようだ。
「ゆ!? なんではしがおちたの!?」
「ながされていっちゃったわ!」
「しょうがないわ! とりあえず、まりさたちにはしをしゅうりしてもらいましょう!」
自分で修理するつもりなど全く無いありすたちは、ゆっくり達に修理させようと対岸へとたどり着いた。
そして、
「さあ、はやくまりさたちのところへいきましょう!」
と1歩踏み出した瞬間、
ブンッ・・・ベチィッ!
「ゆぐっ!」
「ぎゅっ!?」
「むぎゅ!」
草に隠れてしならされていた竹が、横薙ぎにありすたちを直撃した。
先頭のありすはひとたまりもなく潰れ、後ろにいたありすたちは弾き飛ばされて川に落ちる。
「ごぼ・・・だずげ・・・」
「とがいはの・・・ぼごぼご・・・」
流されたのはまた4匹、潰れたのを含めれば5匹だ。
「な、なんなの!?」
「このへんにたけなんてはえていないわ! まりさたちのしわざよ!」
残りのありすたちは憤慨しながら集落にたどり着き、文句を言う。
「なんてことするの!? なかまがかわにおちちゃったじゃない!!」
対するゆっくり達は、
「もうありすにあげるものなんてなにもないよ!」
「とっととここからでてけ!」
「ゆっくりしね!」
「なんですって!? とかいはのありすたちをおこらせるとひどいめにあうわよ!!」
今までにない反発にありすたちは激高するが、
「ありす! じょうきょうをよくかんがえるんだぜ!」
言われて周りを見回してみる。
あたりにはこの集落のゆっくりがほぼ全員。
対するこちらは、先ほどのトラップでほぼ全員が川に流され、残っているのは3匹だけ。
圧倒的不利をようやく認識するありす達。
「な、な、な、・・・」
衝撃に言葉も出ず後ずさるありす達。
と、一瞬の隙を突き、
「まりざあああぁぁ!!」
「まりさはわかってくれるよねええぇぇ!!」
「たすけてまりさああぁ!!」
1匹のゆっくりまりさに突進していく。
「ゆ・・・しらないよ! たよるならこっちにしてね!」
なんと隣にいたゆっくりれいむ(子供)を前に押し出すゆっくりまりさ。
「ゆ!?」
押し出された方は迫ってくるありすたちに顔を引きつらせたまま動けない。
「れいむううううぅぅ!!」
半狂乱になったありすは、何を思ったのかその子れいむを咥えた。
「ゆ・・・ゆうううぅぅぅ!! はなしてえええぇぇ!!」
と、
「・・・チッ」
(とりあえずのリーダーになっている)例の一家の子ゆっくりまりさが突進する。
そして、勢いをつけ追いつこうとしていたアリス2匹を跳ね飛ばした。
「むぅ!?」
そちらに気を取られ、子れいむを咥えたままそちらを振り向いたアリスに、
「はやくはなすんだぜっ!」
親まりさが突撃する。
ありすの頬を咥え、振り回す親まりさ。
「むぅ、むむっ!?」
そのまま木の幹に思い切り後頭部を叩きつける。
「ぶふぇぁっ!?」
反射で咥えていた子れいむを離し、クリームを少し吐き出すアリス。
「いたいだろ? そのいたみはみをもってしってるんだぜ!」
「ま・・・まりざああぁぁぁ! ゆるじでえええぇぇぇ!!」
「ざんねんだが・・・おまえたちにどうじょうのよちはないんだぜ」
その言葉を皮切りに、一斉にありすたちに襲い掛かるゆっくり達。
「ゆぶぇ・・・ぐぎゃ・・・やべでええええぇぇぇぇぇ!!」
「まりっ・・・だずっ・・・げええええぇぇぇえっ!!!」
「いやああああぁぁぁ!! とがいはのありずを・・・っぎゅえ・・・・」
3匹ともそう長くは持たなかった。
ゆっくりありすの一団を撃退し大騒ぎのゆっくり達。
そこに、
「おまえはしんようできないんだぜ!」
リーダーの親まりさの声が響く。
親まりさに向き合っているのは、先ほど子れいむを押し出して逃げたゆっくりまりさ。
「ゆ・・・ちがうよ! あのときは・・・」
「もちばをぜったいはなれるなっていったはずだぜ!」
「ゆ・・・でも・・・!」
「こどもをおしつけてにげるようなやつはしんようできないんだぜ!」
「ゆ! そっちこそしんいりのくせにゆっくりしてないよ!」
親まりさはため息を一つ吐き、
「そうだな・・・わたしにはおまえをさばくけんりはないんだぜ・・・」
「ゆっ! ようやくわかったんだね! おばかさん!」
「だからおさにはんだんしてもらうんだぜ」
長と言うのはこの集落でもっとも長生きの、みんなより一回り大きいゆっくりれいむ。
この一家が来るまでは(来てからもだが)この長がいろいろなことを取り仕切っていた。
「そうですね・・・まりさ」
「ゆ? まりさはわるくないよ!」
「あなたはじぶんのしごとをほうきしました」
「ちがうよ! れいむがわりこんできただけだよ!」
「さらにこどもをたてにしたことはみすごせません」
長の言葉が響き渡る。
「あなたをこのしゅうらくからついほうします!」
「ゆ!? まってね! まりさは・・・」
「ゆっくりでてけ!」
「ゆっくりできないやつとはいっしょにいられないよ!」
「ちがうよ! みんなはそのまりさにだまされてるんだよ!」
言い訳もむなしく、全員から体当たりされて追い出されるまりさ。
「ゆっ! ゆぶっ! ぶえっ!」
「ゆっくりしないでとっととでてけ!」
「はやくでてけー!」
「ゆぅ・・うう・・・うああああぁぁぁん!!」
まりさは泣きながら、とぼとぼとどこかへ去っていった。
「さて・・・このしたいもしょくりょうにしないといけませんね・・・」
「しょうがないんだぜ・・・このままだとふゆをこせなくなるんだぜ・・・」
「ではまず、あなたたちがすきなだけとってください」
少し考えた親まりさは、
「ゆ・・・やっぱりいらないんだ・・・」
「じゃあいっぴきぶんください!」
末っ子の言葉に遮られる。
「ゆ? なにをい・・・」
「ちょっとだまってて! つぎからはなにもいりません! だからこのいっぴきを・・・」
「わかりました。 そのいっぴきはあなたたちのものです。 あとはみんなでびょうどうにわけましょう!」
同属喰いに少々の抵抗を感じながらも、ゆっくり達は食料が少しでも増えたことに安心していた。
「それ、なににつかうんだぜ?」
「ん~・・・いざというときのためのほけん、かな・・・」
「・・・?」
「じゃあ、これしかけてくる」
「きをつけるんだぜ!」
「おとーさんみたいによくぼうにながされないからだいじょうぶだよ!」
「うっ! ・・・いや、そういうことじゃなくて・・・」
・・・
・・
・
それからも罠、奇襲、分散などを駆使してゆっくり達は少しずつ食料を増やしていった。
寒くなったためか、近頃はゆっくりありす達もほとんど来なくなり、冬支度も無事済んだ。
そしてもう狩りに行く時期も過ぎ、巣の中で団欒するようになったある夜。
突如その平和が打ち砕かれた。
バァン!
突然大きな音を立てて突き破られる扉。
そこには、
「とかいはのわたしたちにすべてをさしだしなさい!」
貞淑さ(?)を捨て去ったゆっくりありす達の、勝ち誇った顔があった。
そしてその後ろには、
「まりさをおいだしたりするからだよ! みんなはゆっくりしんでね!」
以前追放されたはずのゆっくりまりさがニヤニヤしてふてぶてしく座っていた。
「まりさ! ありすにここをおしえたの!?」
「まりさはいいまりさね! とかいはのわたしたちがいちばんだってことをしっていたわ!」
「それにくらべてここのまりさはいなかものね!」
「ぜんぜんゆっくりできていないもの! さあ、きょうからここはとかいはのありすたちのおうちよ!」
まりさは得意げに話し始める。
「さくせんをたてるとき、よるはこないはずだっていってたもんね!」
「な・・・」
「ぎゃくによるはけいかいしてないもんね! ねらいめだよ!」
「・・・うらぎりもの・・・!」
「まりさはありすたちのおうだよ! なまいきなこというとしんでもらうよ!」
「ぐぅ・・・!」
まりさはありす達をとある一家の巣まで連れて行く。
「ここだよ! ここのいっかがりーだーになってありすたちをくるしめていたんだよ!」
「このいっかはしけいね!」
「いっしょうどれいでもいいわね!」
そして扉を開き、
「ありすたちのほうがうわてだったわね!」
「ざんねんね!」
そういって中に押し入ろうとした、その時。
「いや、やはり私達が一枚上手だったよ・・・」
末っ子が何か小さい声でつぶやく前からその音はしていた。
ただ皆ありすの方に注意がいっていて、ありす達は気が高ぶっていて気がつかなかっただけだ。
もう耳を澄まさなくても聞こえる。
すぐ近くに、人間の足音が。
「いました! ゆっくりありすの群れです!」
「やはり夜だったか・・・ゆっくりありすの物らしいクリームはそこかしこに散らばっていたからな・・・」
「先輩すごいッスね! 夜行性のゆっくりありすなんて始めてッスよ、自分」
「いや、俺も初めてだよ。 ただ、昼に全然姿を見せないなら夜だっていう単純な考え方をしただけさ」
「でもバッチリ当たってるんだからやっぱすごいッスよ!」
男達が着ているのは、一部のゆっくりなら見たことがあるかもしれない、加工所の制服である。
「ん・・・いや、夜行性じゃないのかも知れん。 ほら、ほかのゆっくりの巣を襲っている。」
「うわ~・・・計算高いやつらッスね~・・・」
そんな会話をしながら担いでいる籠らしい物に次々とゆっくりありすを詰め込んでいく。
「と、とかいはのありすになにす・・・ぎゅっ!」
「に、にげましょ・・・むぎゅ!」
「はやくあっちにい・・・きゅ!」
かさばってきたゆっくりありす達を押しつぶしながら後輩らしい男が言う。
「で、ここにいる他のゆっくりは連れてっちゃいけないんスよね?」
「ああ、春になれば繁殖するからな。 そこが狙い目だ。」
「ウィッス!」
目に付くゆっくりありすをほぼ詰め終わった男達は、思った以上の収穫に上機嫌で去っていった。
さてこちらは残されたゆっくりありす(6匹)と裏切ったゆっくりまりさ。
この敗残者達に対し、リーダーの親まりさは
「ゆっくりありすたちは、まずすまであんないしてもらおうか」
巣まで案内させ、今まで略奪されたものを全て引っぺがして持っていく。
「ま、まって!それがないとわたしたち・・・!」
「ちょっとだけのこして! そうじゃないと飢え死にしちゃう!」
「まって! それだけはもってかないで!」
ゆっくりありす達の言葉などまるっきり無視して、自分のものを我が家へと持ち帰るゆっくり達。
そして、
「おさ。 どうするんだぜ?」
「そうですね。 あなたたちはここからさりなさい。」
「え・・・?」
「このちかくからさるのです。 いのちまではとりません」
「まって・・・うっ・・・はい・・・」
周りのゆっくり達の視線に怯み返事をするゆっくりありす達。
そのまま6匹は身を寄せ合いながらとぼとぼとどこへともなく消えていった。
さて、残るはゆっくりまりさ。
「ま、まりさはわるくないんだよ! ありすたちが・・・」
「だまれ!」
「あなたにはもうどうじょうのよちはまったくありませんね。 あなたにまかせましょう。」
「う~ん・・・じゃあこうするんだぜ!」
皆で押さえつけ、まずまりさの帽子を取る。
次に川の真ん中にある岩にまりさを置き、橋を2枚とも?がす。
これでこの岩は、(少し変な言い方だが)川の孤島となった。
「ふゆがあけるまでそこでいきてられたらゆるしてあげるぜ!」
川はものすごく冷たく、泳ごうとすれば即身体の力が抜けて溺れる。
誰かに助けを求めても帽子がないので絶対に助けられる事はない。
ある意味その場で殺されるよりも残酷な刑である。
「ゆ・・・みんな・・・まって・・・ごめんなさい・・・ゆっくりしよ・・・ねぇ・・・ゆっくりしたいよぅ・・・」
ゆっくりまりさの途切れ途切れの言葉を背に、ゆっくり達は個々の家に帰っていった。
「しかし、にんげんにここがばれてしまいました。 ひっこさなくてはなりませんね・・・」
「ゆ! じゃあわたしたちがまえすんでたところがいいとおもうぜ!」
「ほぅ。 そこはどのようなところですか?」
「ふつうのもりなんだけど、いろいろあってわたしたちいがいのゆっくりがぜんめつしちゃったんだぜ」
「では、わたしたちのきょういになるようなものもいないと」
「だれもいないからありすもよりつかないんだぜ! きけんはないんだぜ!」
「では、ふゆがあけたらはやいうちにそこにあんないしていただけますか?」
「おーけーなんだぜ!」
一方ゆっくりありす達は
「うぅ・・・さむいよ・・・」
「こごえそうだわ・・・」
「ゆっくりできないよぅ・・・」
ほほを寄せ合いながら少しずつ移動していた。
すでに1匹が寒さで倒れて二度と起きない身体になっている。
いつ自分もああなるか、恐怖にも耐えなければならなかった。
と、
「あ・・・あれは!?」
前方の倒木の上にゆっくりまりさが座ってこっちを見ているのが見えた。
「ま・・まりざあああああぁぁぁ!!」
「ゆるじでぐれだのねえええええぇぇぇ!!」
歓喜の涙を流しながらぴょんぴょんと跳ねて行くありす達。
もう皆のものを奪うのはやめよう。
皆のためになることをして信用を取り戻そう。
今度こそは失敗しない!
皆と一緒に生きていこう!
そんな思いを胸にまりさの元へ向かおうとしたその時、
ズボボッ!
枯葉でうまく隠されていた穴へ落ちるゆっくりありす達。
「ゆ゛ぐっ!」
「うああああぁぁ!!」
「ぐ・・・きたないいいいぃぃ!!」
「ゆっくりできないいいいぃぃ!!」
「・・・やはりな」
上から響いてきた冷ややかな言葉にそちらを見上げるありすたち。
「お前達はやはり反省などしていない。」
「ゆ・・・まりさ・・・?」
「自分が助かることしか・・・その点ではどいつも一緒だね。」
「な・・・なにいってるの? わたしたちは・・・」
「私はね。 以前もゆっくりありすの集団に家族をめちゃくちゃにされたことがあるんだよ。」
「ゆ・・・」
「それ以来・・・私は、お母さん以外のありすが、死ぬほど、大嫌いなんだ!!!!」
「そ・・・そんな・・・」
「お父さんも長も甘いんだ。 こんなやつらを野放しにしておくなんて・・・」
「ち、ちが・・・」
寒さでうまく喋れないありすたちを尻目に一人怨嗟の言葉を吐いているゆっくりまりさ。
「あのまりさがいなければ私達もありすに殺されていた・・・。」
「な・・・なにを・・・」
「いや、独り言。」
そう言ってありす達に向き直るまりさ。
「そこは湧き水が出ていて壁がどろどろしているからゆっくりでは這い上がれない。」
「ゆ゛! きたない! とかいはのありすにはあわないわ!」
「あと、ここいらには冬の間も活動する虫が大量に湧いてるから気をつけて。」
「ゆ゛・・・いやああああああああああぁぁあ!!」
「むしいやああああああああぁぁぁ!!」
「たべられたくないいいいいいいいぃぃぃ!!」
「そろそろ私もやばいかな・・・」
そういって背を向けるまりさ。
「ま・・・まっでえええええええぇぇぇ!!」
「まりざあああああぁぁぁ!!」
「ゆるじでえええええええぇぇ!!」
「食べられる前に誰かに見つけてもらえるといいね」
言葉とは裏腹に念入りに木の葉でその穴をカムフラージュして去ろうとする。
穴から聞こえてくるありす達のくぐもった叫び声には一切反応せず、まりさは家へと急いだ。
優柔不断な父と、家族に甘すぎる母、能天気な姉達の待つ暖かい我が家へと。
終わり
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- 今回の話は弟の国語の教科書の中の「流れ橋」読んでいて思いつきました。
- 即興で書いたので突っ込みどころがいつもより多いのはご容赦を
- 他の職人様方のSSの中で気に入ったフレーズがあったりすると自分のSSにパクったりしてます。
by598
最終更新:2008年09月14日 05:57