ゆっくりいじめ系348 ゆっくりのある生活

ゆっくりのある生活


朝、まだ日が昇りかけの時間帯が俺の起床時間だ。
布団から抜け出し、まだ覚醒しきっていない頭に活をいれるべく顔を洗いに向かう。
洗面所へ辿り着いたので蛇口を捻る。が、水が出ない。

「ん~? またかぁ」

仕方ないので、予め汲んであった水を使って頭をしゃっきりさせる。
顔を拭きながらとある部屋へ向かい、幾つかある箱の一つを取り出して外へ出る。

向かった先にあるのは珍妙な大きな箱。
箱を開けてみると中には回し車しかなかった。
いつものことなので気にせず、持ってきた箱から飢えたゆっくりを取り出して入れる。

「ゆ…おなかすいたよ…」

回し車へゆっくりをいれて、回せば餌が出てくると教えてやる。
ゆっくりが文字通りゆっくり回し始めると餡子が出てきた。

「うっめ! これめっちゃうめ!!!」
「どんどんまわすよ!!!」

動き始めたのを確認して、箱を閉じて家に戻る。
台所へ向かい蛇口を捻ってみると水が出た。

先ほどの箱は河童が作った発電機というものだ。
回し車を回すことでエネルギーを作り出し、井戸に設置されたポンプを動かす。
汲み上げられた水は一旦貯水樽で溜められて、蛇口を捻ることで水が出るようになる。
ゆっくりの利用法が確立されてから幻想郷も便利になったものである。


それはさておき、次は朝食だ。
台所においてある棚の、一番下の冷蔵棚を開けて食材を取り出して作り始める。
暫くすると食欲を誘う匂いが漂いだす。
と、その匂いに釣られて二匹のゆっくりが高速で近づいてきた。

「ユックリオハヨウ!!! オニイサンオハヨウ!!」
「オハヨウオニイサン!!! ユックリシテイッテネ!!!」

「おはよう。ご飯の備蓄はまだあるかな?」

「ダイジョウブダヨ! マダマダタクサンアルヨ!!」
「デモタマニハアタタカイモノガタベタイヨ!!」

「ん…、まぁいいか。焼き饅頭で良いな?」

「「イイヨ!!! ユックリヨウイシテネ!!!」」

この二匹は三倍れいむという珍種だ。
普通のゆっくりの三倍の速さで動いて喋る。身体能力もそれに応じてか高い。
加工所から売り出された三倍れいむの赤ん坊を番ゆっくりとして買ったのだ。
すくすくと育ち、今では五十センチ台になっている。
これほど育てば大抵のゆっくりには負けまい。

とりあえず自分の朝食を完成させて食卓へ置いておく。
高速でうずうずしている二匹が見ている中、二番目の冷凍棚から冷凍ゆっくりパックを取り出す。
十匹パックなので五匹ずつやればいいかな。

フライパンに油をひいて、凍った赤ゆっくりを落とす。
熱が伝わり徐々に解凍されいく赤ゆっくりたち。

「ぅゆ?? ゆっくちていってね!」
「ゆっくちちていくよ!」
「ゆっくちゆっくち~♪」
「うぬ…これはどういうことだ」

始めは楽しそうなものだ。
が、それも最初の内だけである。

「あぢゅいよ~!! ここからだちて!!!」
「だちてだちて!!!」
「あじゅい゛い゛い゛い゛」
「熱いのはどうにもならぬ…これは…」

程よく焼けるようにコロコロと転がしたり押し付ける。

「「「ゆっぐちぢたかったよ~!!!」」」
「無…念…」

断末魔が響き渡り、おいしそうな焼き饅頭が出来た。
二匹をみると専用の食事場でうずうずと高速で待っている。
そこに焼き饅頭を五つずつ分けて置いてやると高速で喰らい始めた。

「「ハフハフ! ウッメコレメッチャウメ!!!」」

「足りなかったら餌場から出して食べておけよ」

「「ワカッタヨ!! ユックリアリガトウネオニイサン!!!」

その様子を見ながら、少々さめてしまった朝食を頂いた。
食べてからでも良かったかなーと、少し後悔した。


腹も膨れて満足したので、着替えて花に水をやることにした。
コップに水を満たして花瓶へ向かう。

「ゆ゛…ぶ……」

透明な花瓶に入っているのは一匹のゆっくりれいむ。
俺が近づいたのが分かったのか、何かを嘆願するような視線をこちらに向けてくる。
口を縫い付けてあるので声を出すことは出来無い。
というか、頭頂部から生えている花に養分を吸われて満足に動くことも出来ないだろうけど。
花に話しかけながら水遣りをする。苗床に喋るような言葉は無い。

これでよし。次は畑だ。


籠にいくつかお菓子を入れて準備をしておく。
畑に行くのに何故お菓子が必要なのかという疑問は今は黙殺しておく。
三倍れいむたちに声をかけ、籠を担いで家の裏手にある畑に向かう。

近づいてくと、柵で囲まれた中から挨拶が飛んできた。

「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
「おはようおにいさん!! きょうもこうかんしにきたの?」

中にいたゆっくりれいむの一家の挨拶だ。
適当に挨拶を返しつつ、母れいむの言葉に頷く。

「ああ。ほら、交換用のお菓子だ」

「ゆゆ! こうかんようのおやさいだよ!」
「「ゆっくりもっていってね!!!」」

柵の中に設置された小屋からゆっくりたちが運んできた野菜とお菓子を交換する。
何故野菜を奪わないのかって?
そりゃ畑の世話を出来るようにするまで大変だったからね。
種をやれば、後の世話は勝手にしてくれるっていうのが楽で良い。
毎日交換をしているわけではないが、比較的収穫の早い野菜を育てさせているから備蓄はそれなりにあるはずだ。

ちなみに、このやり方は知人の親父さんに教えてもらった。
知人の家で一緒に酒を飲んでいたときに、親父さんがぽろっと漏らしたのだ。
知人は酔いつぶれて寝ていたが…。

親父さんの話を参考にした俺は、早速それを実践してみた。
柵で囲われた畑はそれほど大きくなく、上には捕食種よけの網が張ってある。
隅っこには雨風を防げるように小屋を設置し、反対側に水場を作った。
貯水樽から水が供給されるので、日照りが続いても大丈夫。

そして、畑の世話をしているゆっくりは餡子の密度を上げた特別製である。
親父さんは野生のゆっくりを調教したため、非常に苦労したそうだ。
だからゆっくり研究所に依頼して、比較的賢いゆっくりを使うことにした。


そうして中にいるゆっくりたちと喋りながら、畑の外にある小屋へ近づく。
するとそこから二匹の三倍れいむが飛び出してきた。

「「ユックリオハヨウオニイサン!!!」」
「「ユックリオハヨウ!!! オツトメゴクロウサマ!!」

「おはよう。さて、交代だな」

「「ユックリミマワッテイッテネ!!! ユックリガンバッテネ!!!」」
「「ユックリオツカレサマ!! ユックリガンバルヨ!!!」

この三倍れいむ二匹には畑の見回りの役目を与えていた。
一日毎の交代制である。
さっそく交代した三倍れいむたちは餌を探すために森へ飛び込もうとする。
俺はそれを慌てて押さえつけた。

「ユギュッ! ナニスルノオニイサン!!!」
「レイムタチハゴハンサガスンダカラネ!!!」

三倍れいむたちの言うご飯とは、他のゆっくりのことだ。
普通のゆっくりはこの三倍れいむを馬鹿にするため、高速体当たりで潰されて餌になる。
どうやら同族食いに抵抗は無いようだ。
しかし、柵の中にいるゆっくりれいむの一家は
こいつらが自分たちを守ってくれる存在だと理解しているのか馬鹿にするようなことは無い。

「今日は俺もゆっくりを狩りに行く予定だから、一緒に行こうじゃないか」

「「ユユ!! ソレナラユックリイッショニイコウネ!!!」」

「昼から行くから、それまではゆっくりしてな」

「ワカッタヨ!! イッパイトロウネ!!!」
「タクサンタベルヨ!!! タクサンカロウネ!!!」

納得してくれたようなので、開放する。
うーん、中身の密度を上げたわけじゃないのにここまで賢いとは。
一体どうなってるんだろうなー。
今度研究所に依頼してみようかな。


それから柵の調子を確かめたりして昼まで過ごした後、昼食をとるために家に戻る。
ゆっくり家に戻る俺をよそに、三倍れいむたちは高速で移動して玄関で待っていた。

「「ユックリオソイヨ!!!」」

「お前たちが早いだけだと思うが…まぁいいや」

籠から出した野菜を冷蔵棚に入れて、昼食の準備をする。
三倍れいむたちには焼き饅頭を与えた。
自分たちに無いのは不公平だとかで仲間割れされても面倒だし。

「ハッフハフ!! ウッメコレメッチャウメ!!!」
「チョットタリナイネ!! エサバカラダスヨ!!」

「適当に腹を空かせておけよー。そうすればおやつもおいしいぞ」

「「ユユ!! ソウダネ!! ユックリオナカヲスカセテオクヨ!!!」」

本当に賢いなぁ、こいつら。


昼食を終えたので、狩りの準備をする。
籠を二つ担ぎ、ゆっくりを捕まえる棒を腰に差しておく。
準備完了かな。

「よし、行こうか」

「「ユックリハヤクイコウネ!!!」」

三倍を先頭に、俺たちは森へと入っていった。
普段からゆっくりを狩っている為か森の中をスルスルと進んでいく三倍たち。
こっちは籠を二つも背負っているため少し遅い。

と、二匹がいきなり戻ってきた。
高速で揺れていて判別がしにくいが、どうやら獲物を見つけたようだ。
案内するよう顎で示し、ゆっくりと近づく。

「ゆっくり~♪ ゆっくりしていってね!!!」
「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
「「ゆっくちちていってにぇ!」」

ゆっくりれいむか、数は…親が一匹、子供が三匹、赤ん坊が二匹か。
まずまずかな。
三倍は俺のほうを見て待っている。

「…よし、行け」

「「ユユ!!!」」

未だに気づいていないれいむ一家に、三倍たちが襲い掛かる。

「「ユックリシネ! ユックリシネ!」」

三倍の狙いは親れいむだ。通常の三倍強力な体当たりを同時に当てる。

「ゆゆ?! ゆべっ!!」

「「「ああ! おかあざーん!!」」」
「「ゆ???」」

親が突然吹っ飛び混乱する子ゆっくりと赤ゆっくり。
呆然と親がいたところを見つめている。
後ろから忍び寄った俺は、それらをなんなく籠に放り込む。

「ここからだしてー!! おうちかえるー!!!」
「「おかあざーん!!!!!!!!」」

うるさいので籠の蓋を閉める。
籠には防音用の布を被せてあるので、少量の音しか漏れない。
手早く終わったので、三倍たちのほうを見る。

「ユックリシネ!!! ユックリシネ!!!」
「ユックリハヤクツブスヨ!!!」
「ゆべべべ!! ゆっぐりやべでぇええええ!!!」

三倍たちが二匹がかりで親れいむを潰して食べていた。
近づくと、三倍たちが潰した残骸を差し出してくる。
それをもう片方の籠に入れて、俺は一息ついた。


それから幾つかの巣や家族を襲撃した。
大きい個体は三倍たちが潰して餌にし、混乱している小さな個体は俺が回収する。
見事なコンビネーションであっという間に二つの籠は一杯になった。

「そろそろ戻るぞー」

「ユユ!! ユックリモドルヨ!! イッパイトレタヨ!!」
「コレダケアレバトウブンコマラナイネ!!!」

加工所へ向かう前に一度家に戻ることにした。
さすがに二つも籠一杯で加工所まで行くのはつらい。
三倍も留守番として家においておこう。


「それじゃあ加工所へ行ってくるから。しっかり留守番してろよ」

「ワカッタヨ!! ユックリイッテラッシャイ!!!」
「ユックリルスバンスルヨ!!!」


そして加工所へ。

「じゃあ今回の謝礼です。いつもありがとうございますね」
「いえいえ、これで生計立ててるようなものですから」

籠一杯のゆっくりを引渡してそれなりの額を貰った。
ホクホクしながら加工所を後にし、里のお菓子屋で交換用の菓子を買って帰宅。

途中でゆっくりの一家に遭遇したので、親を蹴り飛ばしながら家に到着。
後ろを振り返ると子供や赤ん坊もついて来ているようだ。
ちょうど良いので夕食のデザートにしよう。

蹴られすぎて虫の息の親を三倍に渡してやり、体当たりをしようと近づいてきたチビどもを捕獲。
やたらと喚くチビたちから餡子を抜き取って皮を捨てようとしたが生ゴミ入れが一杯だった。
そういえば、朝生ごみを捨てるのを忘れていた。
台所に置いてある鉄箱を開け生ゴミやら残った皮やらをぶち込む。
中に入っているのはゆっくりだ。適当に拾ってきたまりさ種をぶち込んである。
半日ほど食べていなかったため、すぐさま入れられたゴミを貪り始めた。
ゴミを食べるのを眺める趣味は無いのでそのまま箱を閉める。


夕食は少し豪勢にしてみた。
ここ最近で一番の収入だったからなー。

三倍たちは潰れたゆっくりを餌場から引っ張り出して食べている。
三倍たちには基本的には餌をやることはしない。
自分たちで見つけさせるようにしている。
いくら賢かろうが、やり続けていたら調子に乗りかねんということだ。

腹も一杯になったので花に水遣りをして風呂に入ることにする。
用意をしようと蛇口を捻るが、水が出てこない。

「またか…」

しょうがないので飢えたゆっくりを発電機に入れておく。
まぁ、明日の昼くらいまでは持つかな。

気を取り直して、水を入れて湯を沸かし一日の疲れを取る。
極楽極楽。この時のために一日を生きてるようなもんだね!

風呂に入って疲れを取った後は睡眠である。
三倍たちは早々と専用の寝床に潜り込んで眠っている。
俺も明日に備えて眠ることにしよう。お休み。







あとがき

様々な作品から設定を借りて作りました。
他にも生活用品があった気がしたんだけど、ゴミ入れと花瓶、発電機しか見つからなかった。
で、よくよくみると出てくるゆっくりは殆どゆっくりれいむ。コレは呪いだ。
後半淡々としている感じになったのはセリフを考えるのが面倒になったからです。
難しいね。特に悲鳴やら絶叫。

次は水槽で飼うまりさネタでもやってみたい気もしないでもない。




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最終更新:2008年09月14日 05:56
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