ゆっくりいじめ系2848 ありす虐待エンドレス4

「だいじょうぶよ!おちびちゃんたちはありすがゆっくりまもるわ!」
「ゆっぐ・・・ゆぅ?で、でみょぉ・・・!」
「おちびちゃんはままをしんじられないの?ありすはとってもゆっくりしてるのよ!」

ゆっくりしている場合では無いのだが、ありすはあえて得意げに胸を張った。
その態度は我が子の死を前にした母親のものとは思えないほどに自信に満ち溢れ、ゆっくりしている。
彼女のそんな姿勢が子ども達にも確かに伝わったのか、彼女達はゆっくりと落ち着きを取り戻し始めた。

「ゆっぐ・・・みゃみゃー、ゆっきゅちー」
「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!」
「「ゆっきゅちちていっちゃね!」」
「「「うっふいいえいっへへ」」」

こうして姉妹の死から立ち直った赤ありす達は弱々しいながらも笑みを浮かべる。
ありすはちょっとだけ以前より都会派になった我が子の元に這い寄って1匹ずつ頬ずりをして回った。
その後、彼女達が完全に落ち着きを取り戻したところでありすは静かに口を開いた。

「ゆっくりきいてね!ありすのあんよがいたいいたいだから、あしたはごはんさんをあつめにいけないの!」
「ゆぅ・・・ありしゅ、おにゃかぺこぺこでもがまんしゅるよ!」
「ゆっくりだいじょうぶよ!あしたはずっとゆっくりしちゃったおちびちゃんをたべるわ!」

その言葉を聞いた赤ありす達は、案の定騒然となった。
が、そうなることをあらかじめ想定していたありすはにっこり微笑むと、説明を続けた。
ずっとゆっくりしちゃった子を食べるのはその子のためでもあるということを。

「だからあしたはおちびちゃんをむーしゃむーしゃしようね?」
「ゆっくちりかいちたよ!」
「「「うっふひいひゃいひゃお」」」

もちろん、たった1回の説明で全員が納得したわけではない。
死んでしまった赤ありすの双子の姉妹、4つ目の禿げありすは最後まで片割れの亡骸を食することに抵抗感を示した。
それでもありすはその行為が死んだ赤ありすのためでもあることを説き続け、最終的に彼女も納得させた。

「あしたはままもずっとおうちでゆっくりするわ!だから・・・」
「「いっちょにゆっきゅちちようね!」」
「「「うっふいー」」」

ありす一家は薄暗い巣穴の中で、薄汚れた顔をほころばせる。
その笑顔は男性の家で暮らしていたときと比べても遜色のないとてもゆっくりしたものだった。
1匹の赤ありすの死が、彼女達を一回り成長させた。



翌朝、昼前に目を覚ましたありすはなるべく底部を刺激しないように跳ねながら、赤まりさの亡骸を子ども達の前へ運ぶ。
それからゆっくりと彼女の冥福を祈り、久しぶりの甘い食べ物を涙を流しながら食べ始める。
舌にじんわりと広がるその甘みは、この数日間のゆっくり出来ない暮らしで疲れきった心を少しだけ癒してくれる。

「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」」
「「「ふーふぁふーふぁ、ひふぁあへー」」」
「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」

あっという間に食事を終えた赤ありす達はお代わりを要求するが、ありすはそれを断った。
もう全て食べつくしたからではなく、彼女はもう少し先を見据えて巣に置くには精神衛生上よろしくない赤ありすの亡骸を残している。
そう、彼女が赤ありす達の要求を断ったのは翌日以降のことを考えてのことだった。

「おちびちゃんたち!す~りす~りしてあげるからゆっくりがまんしてね!」
「ゆぅ・・・ゆっきゅちりかいちちゃよ・・・」
「おかーしゃん、ゆっきゅちはやきゅしゅーりしゅーりちてね!」
「「「ふーひふーひひへえ」」」

そう言って笑顔で彼女に頬ずりをねだる子ども達の傍にゆっくり這いずっていくありす。
次は自分と急かす彼女達をなだめすかしながら、まずはとぐろを巻いた細長い長女ありすに頬ずりをする。
もっとも、そこが果たして頬と呼べるのかは定かではないが、彼女はまんざらでもなさそうに微笑んだ。

「す~りす~り・・・」
「うっふいー。ふーいふーい」
「おちびちゃん、とってもとかいてきね!」

もっと甘えたそうにありすを見る長女ありすに向かって最高の笑顔を向ける。
その頬かどうかも分からない場所の感触は、昔とは比べ物にならないほどざらざらしたものだった。
しかし、ありすの笑顔は本当にゆっくりしている。

「つぎはありすだよ!」
「うっひゅいー」

そう言って薄皮にされた次女の傍まで這って行くと、彼女を傷付けないように慎重に頬をこすりつける。
うっかり倒してしまわないように、彼女の薄すぎる皮に傷がつかないように。
あまり顔を動かすとその拍子に皮が破れるため、次女赤ありすは微笑を浮かべる程度だが、内心はとてもゆっくりしていた。

「す~りす~り・・・とかいはー!」
「ふーいふーい・・・」
「おかーしゃん、ゆっくちいしょいでね!」

ぴょんぴょんとその場で跳ねながらありすを急かすのは葛饅頭の末妹ありす。
一刻も早く彼女と頬ずりをしたいらしく、今にもこちらに跳ねてきそうな前傾姿勢をとっている。
そんな彼女を「とかいはなんだからゆっくりまってね!」と落ち着かせ、ありすは三女ありすの元へと跳ねてゆく。
ピザのように平たくなった彼女と頬ずりをするのは非常に困難。

「ゆぅ・・・しかたないわ。ぺ~ろぺ~ろするよ!」
「ひゅぅ?うっひゅいー・・・」
「ぺ~ろぺ~ろ・・・」

まともなゆっくりの形を保っていない彼女の表情からその心情をうかがうことは極めて困難。
けれど、思い込みではなく、母としての直感で彼女がゆっくり出来ていることを感じ取り、じっくりと彼女を舐め続ける。
彼女の全身をゆっくり舐め終えてから「ゆっくりー!」と声をかけたとき、三女赤ありすが微笑んだような気がした。

「ゆーーーーん!ちゅぎはありしゅだよ!」
「おちびちゃん、そこでゆっくりまっててね!」

三女を舐め終えたありすの元に跳ね寄ろうとする4つ目の赤ありすを言葉で制すると、彼女の元へと急ぐ。
そして姉達と同じようにじっくりと頬ずりをすると、二言三言言葉を交わして、末妹ありすのほうへと跳ねていった。
散々我慢させられた彼女は目にいっぱい涙を溜めて、ぐずぐずと嗚咽を漏らしている。

「おちびちゃん、ゆっくりまたせてごめんね!」
「ゆっぐ・・・ゆえーん・・・」
「またせちゃったからいっぱいすりすりしてあげるよ!す~りす~り!」

そう言ってありすは他の姉妹にした以上に力強く、しかし優しく彼女の透明な皮の頬ずりする。
すると、泣いた赤ゆがすぐ笑うという良く分からない慣用句の通りに彼女はにっこりと微笑み、小さな透明の体を思いっきり上下させて母に頬ずりを返した。

「ゆ~ん!おちびちゃん、とってもゆっくりしてるわ!」
「みゃみゃもゆっきゅちちてりゅうよ!」
「ありすのおちびちゃんはみんなとかいはね!」

葛饅頭の頬は本来の皮の頬のようなすべすべとした心地の良い感触をしてはいない。
男性の家にいた時ほどゆっくり出来ていないありすの頬にかつてのツヤも、ハリもない。
けれど、彼女達はその感触がとてもゆっくりしていると感じた。

「つぎはゆっくりおうたをうたうわ!」
「「ゆっきゅちうたうよ!」」
「「「うっふいー」」」

全員と頬ずりを終えたら次は皆でお歌。
ありすの行動には脈絡と言うものがなく、どこか忙しない。
それでも久しぶりに母と遊べる喜びから、それに対して文句を言う赤ありすは一匹もいなかった。

「ゆ~ゆ~♪」
「ゆっきゅち~♪」
「ゆんゆんゆ~♪」
「「「うーふー」」」

ありすに続いて彼女達は歌える範囲でそれぞれの歌いたいように歌う。
人間にとってはデタラメで下手糞で無秩序でも、彼女達にとってはとてもゆっくりできるもの。
みんな、どこか幸せそうな表情で、体を精一杯に揺らし、膨らませながら出来る限り大きな声で歌っている。

「ゆっくりーゆっくり~♪」
「ゆ~ゆ~ゆっきゅち~♪」
「ゆんゆん、ゆっきゅちー!」
「「「うっひゅいー」」」

久方ぶりの、本当に久しい幸せを噛み締めながらありすは思った。
きっといつかお兄さんが助けに来てくれる。だからそれまではありすが頑張らなきゃ、と。



4日目の朝、ありすは昼前に巣を出発し、昼過ぎには先日見つけたお花畑に到着した。
花畑の景色は先日と変わらない華やかさでありすを出迎え、彼女をゆっくりした気持ちにさせる。
が、ここでゆっくりしている場合じゃないと首を振り、ありすはせっせと草花を口に溜め込み始めた。

「おちびちゃんが・・・ゆっくりまってるよ!」
「ありすはとかいはのままなんだよ!」
「まっててね、おちびちゃんたち!」

器用に花をむしりながらその場にいない赤ゆっくり達に語りかけるありす。
ついでに花によって来た虫も口の中へといざない、器用に歯で噛み潰して動けなくした。
口の中に広がる苦味はあまりゆっくり出来たものではなかったが、子ども達のために我慢した。

「これだけあればじゅうぶんよ!」

大量の食料を含んで少し膨らんだありすは満足げにそう言うと巣に向かってぽいんぽいんと跳ねていく。
底部の皮は昨日1日ゆっくりしたことで痛みが取れ、先日の強行軍で少しだけ厚くなっていた。
おかげで日が暮れる前に巣に帰ることが出来た。

「おちびちゃん、ゆっくりただいま!」
「「おかーしゃん、ゆっきゅちおかえり!」」
「「「うっひゅいー」」」

巣に帰ったありすは子ども達とのスキンシップもそこそこに早速食事の準備を始めた。
子ども達はまともに食べられそうにない花や虫や葉っぱを赤ありすの亡骸の傍に置き、彼女のカスタードを舌で塗る。

「さあ、おちびちゃんたち!ゆっくりたべてね!」
「「ゆっきゅちたべりゅよ!」」
「「「ふーひゃふーひゃ・・・ひはあへー」」」

以前男性がパンにジャムを塗っていたのを思い出し、その真似をしただけだが、想像以上の成果を挙げた。
赤ありす達は皆ご飯を食べ終えるまで終始幸せそうな笑顔を浮かべ、食べ終えるや否や眠りについてしまった。
食後は体が重くて動けないので、満腹になると眠るのは彼女達の昔からの習慣である。

「ゆふふっ・・・おちびちゃんたち、とってもゆっくりしてるわ」
「ゆぅ・・・ゆぅ・・・おきゃーしゃ~ん・・・」
「ゆっきゅち・・・」

どんなに異様な姿になっても、子ども達の寝顔はとても安らかでゆっくりしている。
ありすはそんな彼女達をゆっくりした気持ちで眺めながら、ゆっくりと夢の中へと旅立って行った。



「・・・きろ・・・す、おきろ・・・」
「ゆぅ~ん・・・?」
「ありす、起きろ。もう昼前だぞ?」

重いまぶたをゆっくりと持ち上げ、声の主の表情を伺うありす。
そこにはいつものように飼い主の男性の笑顔があった。
未だに眠たそうにしているありすを見て、少しおかしそうに笑っている。

「ゆぅ・・・おにーしゃん・・・」
「おちびどもはもう起きてるぞ?」
「でもぉ・・・ありす、もっとゆっくりねたいよぉ・・・」

そう言ってありすが再びまぶたを閉じようとすると、男性はすかさずでこピンを放つ。
その何気ない一撃はすでに成体とは言えどゆっくりの柔らかい皮にとってはかなり痛いもの。
あまりに痛さに思わず「ゆびゅん!?」と奇声を発してしまった。

「ゆうぅぅぅううう・・・おにーさん、なにずるの!?」
「起きないお前が悪い」
「だ、だってぇ・・・ありすとってもおつかれなのよ!」

ありすの抗議を聞き流しながら男性はいたずらっ子のような笑顔を浮かべた。
その表情を見たありすは軽くため息をつくと、ゆっくりと身を起こす。
人間の目には良く分からないが、寝転がっている状態から立ち上がったようなものらしい。

「よしよし。それじゃ、あっちのお部屋で遊ぼうか?」
「ゆっくりりかいしたわ!さあ、おちびちゃ・・・ゆぅ?」
「ちびどもはとっくにあっちで遊んでるよ」

すっと立ち上がった男性はありすのためにドアを開けると彼女を先に行かせる。
1人と1匹の向かう先はかつてはありすが、今は子ども達が元気良く遊ぶための遊具のたくさん置いている部屋。
飼い主の男性は遊具部屋と呼び、ありすはげんきにゆっくりするおへやと呼んでいる。

「ゆゆっ!おかーしゃんだ!」
「みゃみゃ!ゆっきゅちちていっちぇね!」
「おちびちゃん、まりさ!ゆ、ゆっくりしていってね!」

まりさの姿があり、赤ありす達は全員健康で、まりさそっくりの子ども達の姿もある。
部屋の隅では男性が本を読みながら音楽を聴いている。
その光景に驚き、戸惑いながらもありすは元気いっぱいにあの挨拶をした。

「「「おかーしゃん、ゆっくちちていってね!」」」
「「「「「「みゃみゃ、ゆっきゅちちていっちぇね!」」」」」」
「ありす、ゆっくりしていってね!」

そして、更に元気いっぱいの返事に圧倒される。
元気であることに違和感を覚えながら、恐る恐る彼女達の傍へと這って行く。

「ありす、どうしたの?」
「「おかーしゃん、どうちたの?」」
「みゃみゃ、どこかいちゃいの?」

彼女の奇行を見て心配そうに様子を伺う家族達の表情は少し悲しそうだ。
やがて、長女ありすが飛び出してきて、思いっきり彼女の頬に体当たりを仕掛ける。
その様子を見るに体当たりではなく、抱きしめるとかそういう類の行動なのだろう。

「みゃみゃー!ゆっきゅちちようね!」
「おちびちゃん・・・」
「いちゃいのいちゃいのしゃん、ありしゅのみゃみゃをゆっきゅちさせてあげちぇね!」

目にいっぱいの涙を浮かべて、長女ありすは母に頬ずりした。
その一生懸命な仕草からは、ありすへの確かな愛情が伝わってくる。
そんな彼女の優しさと柔らかい頬に触れているうちに、違和感はすっかり消え去ってしまっていた。

「ゆっくりだいじょうぶよ!」
「ほんちょうに?」
「ほんとうよ!おちびちゃんのおかげでとってもゆっくりできるわ!」

長女ありすを咥え、ぽんと頭の上に乗せると家族の元へ跳ねていくありす。
頭上の長女は「おしょらをとんでりゅみちゃーい!」と楽しそうにはしゃいでいる。
楽しそうな彼女を見ながら集まってきた姉妹達は、自分もして欲しいとありすにアピールを始めた。

「おちびちゃんたち、またせてごめんね!」
「おきゃーしゃん、まりしゃもたきゃいたきゃーい!」
「きょうはゆっくりあそびましょうね!」

そこにはとても幸せそうな家族の姿があった。

「・・・きろ・・・す、おきろ・・・」
「ゆぅ~ん・・・?」
「ありす、起きろ。ちんたらしてると潰すぞ」

重いまぶたをゆっくりと持ち上げ、巣の入り口を伺うありす。
そこにはあの忌々しいお面の男の姿があった。
お面の向こうの表情を伺うことが出来ないが、別に見たいとも思わない。

「ゆぅ・・・・・・」
「クソチビどもはもう外に引きずり出してるぞ?」
「ゆゆっ!おちびちゃんにひどいことしないでね、このいなかものぉ!?」

ありすは勢い良く巣を覗き込んでいる男に体当たりを仕掛ける。
が、彼はひょいと身を起こしてその一撃をかわすと、素早くありすの頭を押さえつけた。
そして、赤ありす達が監禁されている水槽の中へと彼女を放り投げる。

「さて、と・・・」
「ゆぅ・・・てれびさん?」
「ああ、お前達の大好きなビデオだ」

外でも見られるように色々準備するのは大変だったんだぜ、と男はおどけた声で言う。
彼から視線を離さず、睨みつけたままありすは彼の行動の意図を考えていた。
この男のことだ、まかり間違っても自分達をゆっくりさせるつもりなんてないだろう。

「察しが言いな。今から見せるのはな・・・お前が受けた苦しい訓練の映像だよ」
「ゆゆっ!?」
「いやさぁ、このまま簡単に1週間生き延びてもらってもつまらないだろ?」

ありすに語りかけながら準備を済ませた男は再生のボタンを押した。

『ゆ、ゆっくりりかいしたわ!ありすがこーせーすればおにーさんとまたいっしょにゆっくりできるのね!』
『お前の家族だが、赤ありすどもは子どもじゃなくて孫だから一時保護を受けている』
『ただぁし・・・君が訓練に根を上げると意思の弱いレイパーの子どもの子どもだからレイパー化のリスクありと見なされます』
『ゆっくりはやくはじめなさいよ!』
『んじゃ、ありす。この鏡を見ろ』
『ゆぅ?・・・ゆぐっ!?』
『ゆぎい゛ぃい゛ぃいぃ゛いい!い゛ぢゃいいい゛!?ぼうやべでえええええええ!?』
『んじゃ、止めるわ』
『こりゃガキ共も更正だな』

しばらくありすと画面の外の男のやり取りが続いたかと思うと、突然男がありすの髪を引っ張る。
そして、ありすが悲鳴を上げるや否や男は手を止めて部屋を出て行く。
ただそれだけの映像だったが、ただそれだけであったために恐ろしいほどの効果を発揮した。

「おぢびぢゃああああん!みぢゃだめえええええ!?」

ありすの叫びもむなしく、テレビから聞こえてくる大音量の会話は赤ありす達に全てを理解させてしまう。
呆然と画面を眺めていた赤ありす達の視線が、ゆっくりとありすの方に集まってゆく。

「みゃみゃ・・・ほんちょうなの?」
「どうぢぢぇ・・・あんにゃの、じぇんじぇんいちゃくないよ?」
「ひゃふぁ・・・」

母も辛く苦しい目に遭っている。
彼女達は五体満足の彼女を見てなおそう信じ続けていた。
自分達と同じように辛くても苦しくても耐えている。
信用ならない男の言葉であっても、そこだけは確かに信じていた。
その信頼を裏切られたことを知った8つの瞳がありすに向けられていた。
目の見えない三女ありすだけは状況が飲み込めずにおろおろしている。

「酷いよなぁ・・・お前達はあんな目に遭っていたの、こいつと来たら・・・」
「ゆううううううう!おにーざんはゆっぐりだばってでね!?」
「おお、怖い怖い」

面白半分に囃し立てる男に向かって怒鳴りつけるありす。
しかし、その必死な様子が子ども達により強い猜疑心を植えつけていることには気づいていない。
一方、男は全てを理解した上で面白おかしくありすをからかっていた。

「そんなことよりチビ共に言い訳しなくて良いのか?」
「ゆゆっ!?・・・お、おちびちゃん!ちがうのよ、ゆっくりきいてね!?」
「何が違うのかな~?」
「ゆうううう!ゆっくりだまってでいっでるでぢょおおおお!?」

男が横槍を入れるたびに脱線し、話が中々進まない。
やがて思うように説明が出来ないありすはしどろもどろになってしまい、泣き出してしまう。
子ども達はそんな母を白けた目で見つめていた。

「さ~てと、あと2日程度だからせいぜい頑張れよ~」
「ゆえーん!ほどぢでぞんなゆっぐぢでぎないおがおずるのおおおお!?」

想像以上の成果に満足した男はありす達を巣に戻すとスキップしながら立ち去った。
後には、家族の絆を失ってしまったありすと5匹の赤ありすだけが残された。



翌日、ありすはいつもよりずっと早くに狩りに出かけた。

理由は2つ。
1つは巣の中にいても全然ゆっくり出来ないから。
じっと自分の背中を見つめる子ども達の視線が、もごもごと動く彼女達の口が。
その全てが自分に対する呪詛のように思えて落ち着かない。

そしてもう1つは汚名返上のため。
以前、男性とお花畑に行ったときに蜜の多いお花を教えてもらっていた。
そのお花の花弁はさほど美味しくなかったけれど、蜜の方はとても甘くてゆっくり出来た。
だから、それを持ち帰って子ども達をゆっくりさせてあげることで信頼を取り戻そうと考えたのだ。

「たしかあのおはなさんは~・・・」
「ゆゆっ、みつけたわ!」

先日と同じようにお花畑に到着したありすは簡単にその花を見つけるとにっこりと微笑む。
それから、きょろきょろと辺りを見回して誰もいないことを確認すると、お花畑の中に腰を下ろした。
花の色彩と香りに囲まれて、巣に戻ってさえも叶わなくなってしまったゆっくりは堪能する。

「ゆ~ん、おはなさん!ゆっくりしていってね!」
「とってもとかいはなかおりね!ゆっくりできるわ!」
「ゆ~ゆ~♪ ゆっくり~♪」

ゆっくり出来る花に囲まれてありすはゆっくりとした時間を過ごした。
そして、初めてお花畑に来たときのように日が暮れるまでぐっすりと眠ってしまった。

「ゆゆっ!ゆっくりしすぎちゃったわ!?」
「ゆぅ・・・ごはんさんまだあつめてないのに・・・」
「たいようさん、もっとゆっくりしてね!」

空の暗さに驚き飛び上がったありすは急いで近くの花をかき集めると、せわしなく家路を急ぐ。
ちょっと遅くなってしまったけれど、甘い蜜を舐めればきっと許してくれるだろう。
これさえあればきっとまたおうちで存分にゆっくりできる。
そんな希望的観測に心躍らせながらありすが巣に戻ると・・・

「ゆっきゅちおしょいよ!ぴゅんぴゅん!」
「「「ほひょ、ふひゃーほのー」」」

いきなり罵声を浴びせられた。

「おちびちゃんたち、ゆっくりごめんね!」
「ありしゅ、おなきゃしゅいちゃよ!」
「「「ひゅいはほー」」」

昨日のあの映像のことをよほど恨んでいるらしく、今までに無く激しい口調。
目尻がわずかに釣り上がった彼女達の目つきは鋭く、じっと見ていると思わず怯んでしまうそうになる。
が、ありすはゆっくり出来ない気持ちをぐっと抑えて巣の中の子ども達に満面の笑みを向けた。

「ゆぅ・・・おちびちゃんがいないわ」

そして、末妹ありすが巣の中にいないことにようやく気づいた。
きょろきょろと巣の中を見渡すが、他の赤ありすが数匹いるだけの狭い巣の中に彼女が隠れられるような場所はない。
ゆぅ、と体を傾けてしばらく考え込むと、やがて意を決して長女ありすに話しかけた。

「おちびちゃんがすくないよ。なにかあったの?」
「でふぇっはひょ」
「ゆゆっ!でていったなんて・・・どうしてとめなかったの!?」

思わずそんな事を口走ってしまったありすに4匹が冷めた目線を向ける。
あえて言葉にするならばお前のせいで歩けないんだよ、とでも言った所だろう。
視線の意味に気づいたありすは気圧されながらも何とか言葉を続ける。

「い、いつでていったの?」
「ちょっとみゃえだよ!」
「どうしてでていったの?」
「みゃみゃがおしょいかりゃだよ!」

ありすはお花畑でゆっくりしてしまったことを後悔した。
追いかけようかと外を見たが、もう辺りは真っ暗で、どこに言ったのかも見当がつかない。
下手をすれば自分が道に迷ってしまいかねない。

「ゆぅ・・・しかたないわ。おちびちゃんたち、ごはんにしましょ!」

視線を再び巣の中に戻すと、口の中の花を吐き出した。
ありすの一見非情にも思えるその判断は、生きていく上では間違いなく正解である。
しかし、赤ありす達がその事実を理解できるか、受け入れるかはまた別の問題。

「みゃみゃ・・・いもーちょをさがしゃないの?」

一番まともに喋ることのできる4つ目の赤ありすが尋ねた。
作り笑いを浮かべて花を配るありすの表情を子ども達はじっと見つめている。
どんな返事をするか、息を呑んで見守っている。

「さがさないわ!よるにおそとにでるのはあぶないもの!」
「でみょ、いもーちょが・・・」
「それにありすがかえってこれなかったらおちびちゃんたちもゆっくりできないよ!」

その後もあれこれと質問をしてきたが、それ以上は何も答えなかった。
やがて、大人しく諦めた子ども達に男性から教えてもらった蜜の吸い方を教え、夕食を終えた。
甘い蜜のおかげで少しはゆっくり出来たはずなのに、眠りにつくときまでありすは全然ゆっくり出来なかった。



翌日、唯一跳ねることの出来る4つ目の赤ありすが気になり、ありすは巣から離れることが出来なかった。
が、翌日になれば約束の1週間が来る。だからそれまでの辛抱だ。
そう自分に言い聞かせ、子ども達のゆっくり出来ない視線や言葉に耐えながら巣の中で過ごした。

更に翌朝。

「おい、ありす。お前ら、俺のペットにならないか」

何の前触れも無く現れた男は突拍子もない事を口にした。
流石のありすもその妄言には唖然として口を開けたまま固まってしまう。
が、すぐに気を取り直して、彼に抗議した。

「ありすはおにーさんとゆっくりするのよ!へんなこといわないでね!」
「ああ、お前の飼い主もうお前の事いらないって言ってるぞ」
「ゆゆっ!そんなのうそよ!?」
「いや、マジマジ。信じなくても良いけど、死ぬだけだぜ?」

いつものように嫌みったらしい声で喋りながら、ありすの子ども達を指差す。
赤ありす達はその動作に明らかに動揺し、怯えて見せるが彼はそんなことは一切に気も留めない。

「それとも何か?いつ戻ってくるかも分からない飼い主をそいつらと一緒に待つのか?」
「ゆぐっ・・・そ、それは・・・」
「もう一度聞くぞ?俺のペットになるか、それとも飼い主を待つか・・・さあ、どうする?」

その、展開も伏線も何もかも無視した突拍子もない選択にありすは・・・




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「お、おにーさんのぺっとになるわ。でも、おちびちゃんのためなんだからねっ!?」→ありす虐待エンドレス『れいぱー』へ

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最終更新:2011年07月29日 18:04
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