ゆっくりいじめ系2836 ありす虐待エンドレス1

※まだ虐待はありません






「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「「「ゆっきゅちちていっちぇね!」」」」

1匹の赤ありすがぽとりと地上に落ち、最高の笑顔でその言葉を口にすると、先に地に落ちていた4匹の赤ありす達が返事をした。
彼女達はゆっくりと呼ばれる下膨れ生首型甘味生命体、通称ゆっくりの赤ちゃんである。

「おねーしゃん、ゆっきゅちー!」
「ありしゅのいもうちょだわ!」
「とってみょときゃいはね!」
「しゅ~りしゅ~しゅるわよ!」

そして、今小さなケージの中を跳ね回っている5匹の名はゆっくりありす。
ゆっくりれいむとゆっくりまりさに次いで数の多い比較的スタンダードなゆっくりだ。
5匹は彼女達にとっては広すぎるケースの中で一箇所に集まって、互いに頬を擦り付け合っていた。
これはすりすりと呼ばれる家族や友人間での親愛の情を示す行為である。

「とってみょきもちよかっちゃわ!」
「「「ときゃいはだっちゃわ!」」」
「ゆぅ~ん♪ おねーしゃん、みゃみゃは?」

すりすりで気を良くした末妹ありすは笑顔のまま姉達にそう尋ねた。
瞬間、4匹の笑顔が悲しみに曇り、今にも泣き出してしまいそうな表情になる。
そして、長女ありすが赤ゆっくりにしては重々しい口調で事情を話し始めた。

「みゃみゃはいにゃいのよ・・・」
「ゆぅ、どうちちぇ?」
「しょれは・・・わきゃらにゃいわ」

純粋に言葉の意味が理解できないといった様子で末妹ありすは体を傾けた。
ゆっくりと姉の言葉の意味を理解するに連れて大きな双眸に水滴がにじみ始め、すぐに一筋の涙となって頬を伝う。

「ゆっぐ・・・ゆえーん! ありしゅ、みゃみゃにあいぢゃいよー」
「ゆぅ・・・ゆっきゅちがみゃんちてね!」
「なきゅのはときゃいはじゃにゃいわ!」
「ゆひぃ・・・しょーだよ、ありしゅもああいぢゃいんだよ・・・」

長女ありすは丸っこい体を上下させ、泣きじゃくる末妹の頬を濡らす涙を舌で舐めとる。
その様子を心配そうに見つめながら、次女ありすは貰い泣きしてしまった四女ありすに頬ずりした。
だが、そんな2匹の目じりにもうっすらと涙が浮かび、頬には涙の跡が残されている。
母がいなくて悲しいのはみんな一緒なのだ。

「ゆぐ・・・ゆひっ・・・ゆえーん・・・」
「ありしゅ、おねーしゃんとゆっきゅちちようね!」
「しょーだよ! ありしゅたちがときゃいはにちてたらしゅぐかえっちぇくりゅよ!」
「ゆっぐ・・・ゆっ・・・ありぢゅ、ゆっぐぢがみゃんしゅるよ!」

末妹にそう言い聞かせつつ、その言葉で自分の心も落ち着かせようと試みる長女と次女。
都会派でゆっくりしているママがありす達を捨ててどこかに行くようなことをする筈がない。
そんな無根拠な気休めだけを頼りに5匹はケースの中でゆっくりしようと頑張り始めた。

「ゆ~♪ゆ~、ゆゆ~~~♪」
「「ゆ~~♪ゆ~ゆ~、ゆ~♪」」
「「ゆっくち~♪ゆ~ゆ~♪」」

まずはお歌だ。みんなでお歌を歌って心を落ち着かせよう。
誰が言い出したわけでもなく、1匹が歌い始めると、みんなが一緒になって歌い始めた。
音程もリズムも滅茶苦茶な、しかし生命の息吹を感じさせる歌声だった。

「おにぇーしゃん、ゆっきゅちー!」
「ありしゅ~、ゆっきゅち!」
「「ゆっきゅちちていっちぇね!」」
「「「ゆっきゅちちていっちぇね!」」」

ひとしきり歌って満足した5匹は何とか母のいない寂しさを忘れることが出来た。
ちょっとだけ幸せそうな笑みを浮かべて、小さなケースの中をぴょんぴょんと跳ね回る。
それから皆で鬼ごっこをしたり、転がったりして遊んだ。

「ゆっきゅちできちゃね!」
「「ときゃいはだっちゃね!」」
「「ゆっきゅちおにゃかがしゅいちゃよ!」」

ひとしきり遊んだ5匹は口々に空腹感を訴えながら辺りを見回し、運良く柔らかそうな食べ物を見つける。
それを5匹で仲良く分け合うと、初めての一緒にごはんを満喫し、「むーちゃむーちゃ・・・ちあわちぇ~!」と顔をほころばせる。

「「ゆっきゅちできちゃよ!」」
「おいちかっちゃね!」
「「おなきゃいっぱいになっちゃら、ねむくなっちぇきちゃよ・・・」」

こうして、ご飯を食べ終えた5匹は仲良く頬を寄せ合って眠りについた。



翌朝、末妹ありすが目を覚ますとケースの住人は彼女だけになっていた。
小さな、しかしありすには大きすぎるケースの中を見回すが姉達の姿はどこにも無い。
不安になるありすだったが、きっとかくれんぼをしているんだと思い、姉達を探し始めた。

「ゆっきゅちさがしゅよ!」
「おねーしゃん!どきょー?」
「いじわりゅちにゃいでね!」

そう言って姉達に呼びかけながら右へ左へと忙しなく這いずり回る。
しかし、このケージの中には遮蔽物など何も無く、見渡して見えたもの以外何も無い。
それでもありすは幼く弱い心を守るために、姉達はどこかに隠れているんだと思い込んだ。

「おねーしゃん!どきょにゃの!?」
「ゆっきゅちでてきちぇね!」
「ありしゅ、おねーしゃんとゆっきゅちちちゃいよ!」

当然、返事など無い。
何も無いケースの中にありすの声が広がり、消えていく。
どれだけ声を張り上げても、それだけだった。

「ゆええええええん!おねええしゃああああん!」
「ゆっきゅぢー!ゆっぎゅぢー!」
「ゆっぐ・・・ゆひぃ・・・ゆえーん・・・!」

やがて、孤独に耐え切れなくなったありすは無茶苦茶に跳ね始めた。
まるで何かから逃げるように。
まるで、去り行く何かを追いかけるかのように。

「どほぢぢぇー!」
「おねーぢゃあああん!おきゃああぢゃああああん!?」
「ゆっきゅぢぃーーー!?」

だが、彼女の視線の先は白一色。
彼女の向かう先には無機質な壁。
彼女を追いかけるのはまとわりついて離れない孤独感。

「ゆびぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「ゆっぐ・・・ゆぐ・・・」
「おにぇー・・・ぢゃ・・・!」

こぼれる涙はぬぐう事もこらえる事もせず垂れ流し。
いや、そもそも幼いありすに涙をこらえることなど出来るはずもない。
手のないありすは誰かに涙をぬぐってもらうしかない。
誰に?

「ゆひっ・・・おにぇーぢゃぁあああん・・・」
「ゆっぐ・・・みゃみゃああああ・・・」
「どほぢぢぇ・・・どほぢぢぇ・・・」

昨日まで確かにそこにいた姉達か、いまだ見たこともない母に、だ。
しかし、この狭く、ありすにとっては広すぎるケースの中にはどちらもいない。
この小さな世界にはありすしかいない。

「ゆっ・・・おにゃか、しゅいちゃよ・・・」
「ごはんしゃん、さがしゅよ・・・」

やがて、歩きつかれたありすは跳ね回るのをやめ、泣き腫らした目で辺りを見回した。
さっきまで何も無かったはずのケースの中心に少量の食べられそうなものが置かれている。
誰が置いたのか、何故さっきまで無かったのか?
気にすべきことは色々あるが、今のありすにそんなことを考える余裕は無かった。

「むーちゃむーちゃ・・・ふちあわちぇー・・・」
「ゆぅ・・・ときゃいはじゃにゃいよぉ・・・」
「ゆっきゅちー・・・」

ありすはのそのそとケージの中心に這いずると、それをもしゃもしゃと咀嚼し始めた。
昨日より味気なく感じるのは姉達がいないせいだろうか?
真相がどのようなものであったとしてもありすにはそれを知るすべは無いのだが。

「ゆっぐ・・・ゆぅ・・・ゆぅ・・・」
「ゆぅ~・・・ゆぅ・・・」
「みゃぁ・・・みゃぁ・・・ゆっきゅちぃー」

こうして空腹をしのいだありすは泣きつかれて眠りについた。
きっと目を覚ませば姉達がそこにいると信じて。
きっと目を覚ませば両親が優しく「ゆっくりしていってね!」と言ってくれると信じて。



ありすが目を覚ますとそこには大きな生き物、人間の姿があった。
寝ぼけ眼で周囲を見回すが、どうやらそこはありすの知らない場所らしい。
狭いケースとは違う、広々とした空間は明るい光に満たされている。

「やあ、ありす。ゆっくりしていってね」
「ゆっきゅちちていっちぇね!ゆぅ・・・おにーしゃん、ここどきょ?」
「ここは僕のおうちだよ。おうちは分かるね?」

人間の男性は胸に手を当てたままにこやかに微笑む。
一連の仕草や物腰はとてもゆっくりしているように思えた。
そんな彼の様子を伺いながら、おうちの意味を頭の中で検索するありす。

「ゆっきゅちー!ここはおにーしゃんのおうちにゃのね!」
「ああ、そうだよ」
「ゆぅ?でみょ、ありしゅどうちてここにいりゅの?」

現在自分のいる場所は明らかになったところで次の疑問を口にする。
その疑問は非常にもっともなもので、男性も「当然の疑問だね」と笑顔のまま応える。
彼はありすを手のひらに乗せると、テーブルの上に誘ってからある一点を指差した。

「気がついたらそこにいたんだよ」
「しょーにゃの?」
「ああ、そうだよ。で、せっかくだから一緒に住まないか?」

何がどうせっかくなのか、なぜ一緒に住むという結論に達するのか。
持ってしかるべき疑問はいくつももあるが、ありすが思ったのは全く別のことだった。

「ゆゆっ!みんにゃは?みゃみゃは?」
「悪いけど知らないよ。君だけしかいなかったから」
「ゆぅ・・・みゃみゃぁ・・・」

そう、ありすが真っ先に気にかかったのは家族の消息について。
自分が突然こんなところに来たのだから、もしかしたら姉達や両親も・・・。
そんな希望的観測の下、男性にその質問をしたのだが返ってきた答えは残念なものだった。

「なあ、ありす?」
「ゆ゛ぅ・・・にゃあに?」
「僕で良かったら君の家族になってもいいかな?」

男性は腰を曲げて目の高さをありすに合わせる。
にっこりと微笑むその表情は見とれてしまいそうなほどゆっくりしている。
ありすはまず家族を探すべきかと考えたが、結局目の前のゆっくりした誘惑に抗えず・・・

「しょ、しょんなにゆーんにゃら、おにーしゃんをありしゅのかじょくにちてあげりゅわ!」
「ありがとう、ありす。それと・・・これからよろしくな?」
「と、とくべちゅにゃんだかりゃにぇ!ときゃいはのありしゅがゆっきゅちちてあげりゅわ!」

何の脈絡も無くツンデレ風味になるありすに苦笑する男性。
しかし、そんな態度が気に入ったらしく、おもむろに人差し指を近づけるとありすの頬をなでる。
最初は驚いて固まっていたありすだったが、その指の温かさに気づくと自分からも頬ずりを返した。

「ほら、す~りす~り」
「ゆぅ~ん、しゅ~りしゅ~り・・・」
「ありす、ゆっくりしてるかい?」

男性の問いに「ゆっきゅちちてりゅよ!」と笑顔で応じるありす。
それからもしばらくの間、互いにすりすりを続けて親愛の情を深めていった。
やがてそんなゆっくりした時間は終わりを告げる。

「ゆっ・・・」
「あはは。ありす、お腹が空いたのか?」
「ゆぅ・・・はっきちいわにゃいでね!いにゃかもにょ!」

くくっと可笑しそうに笑う男性は彼女の罵声を適当に聞き流すと指を離してどこかへ行ってしまう。
そして、ありすがひとりになったことに気付いて泣き出すよりも早く赤ゆっくりが食べられそうなものを持って戻ってきた。
彼の手に握られているものはいわゆる赤ゆっくり用のゆっくりフード。

「さ、口に合うかどうか分からないけど」
「・・・むーちゃむーちゃ・・・ち、ちあわちぇえええええ!」
「それは良かった」

あまりの美味しさに涙を流すありすを見て男性が嬉しそうに微笑んだ。
こんな調子で1人と1匹は出会い、家族になった。



「ゆゆっ!おにーしゃん、それにゃに?」
「ああ、これは鏡だよ」
「ゆぅ、きゃがみ?」

男性が鏡面のほうをありすに向けると彼女の姿が映し出される。
それを見たありすは、彼女のいる場所があまりにも不自然であることに気づかず、仲間がいると思い込む。
そして、当然のように久しぶりに出会えた仲間に「ゆっくりしていってね!」と声をかけた。

「ありす、いいかい? 鏡っていうのはね、自分の姿を映し出す道具なんだよ」
「ゆぅ? どういうこちょ?」

男性の言葉が理解できないありすは体を傾けながら、彼に問い返した。
予想通りの反応にほくそ笑む男性はすっと、ありすの頭を人差し指で撫でながら説明を続ける。

「ほら、僕の手はありすの上のと鏡を持っている分で全部なのにあそこのありすも撫でられているだろ?」
「ゆゆっ、ほんちょーだにぇ! どほちちぇ?」
「それはね、さっき言ったように鏡さんが他のものの姿を映すものだからなんだよ」

男性の言葉をゆっくり理解しようとしているのか「ゆゆゆ・・・」と唸るありす。
その間、男性はずっとありすの頭を撫でたり、頬を突いたりしているが特に嫌がる様子は見せない。
やがて鏡がどう言うものかを理解したありすは小さな体を躍動させると同時に満面の笑みを浮かべた。

「あのゆっきゅちちたありしゅはありしゅなのね!」
「正解。ありすはとってもゆっくりしてるだろ?」
「ゆゆっ!? あ、あちゃりまえよっ、ありしゅはときゃいはなんだきゃら・・・!」

彼が何気なく口にして言葉を聞いてありすは真っ赤になった。
一人寂しく生きてきたありすは褒められ慣れていないので、どう反応すれば良いのか分からなかった。
そんな彼女を見て男性はくっくっくとおかしそうに笑いながら、ありすの髪を指で梳く。

「ゆぅ~ん・・・ゆっきゅちぃ~♪」
「鏡はね、おしゃれをしてからそのおしゃれが自分に似合っているかを見るために使うんだよ」

そう言うと鏡をありすの乗っているテーブルの上に置き、空いた手でポケットをまさぐる。
するとポケットから鮮やかな赤が映える小さな花が顔を覗かせ、すっとありすのカチューシャの傍に添えられた。
鏡の向こう側で頬を緩めてゆっくりしているありすにも同じように赤い花が添えられる。

「こんな風にね」
「ゆ~、とってもゆっきゅちしたおはにゃしゃんね!」
「だろ?」

ありすは鏡とお花に夢中らしく、男性の言葉に返事もせずに自分の姿に見とれていた。
正面から、右斜めから、左斜めから・・・いろんな角度から自分の顔を見てはにんまりと顔をほころばせている。
しばらく自分の可愛らしさに見とれていたが、やがて男性のほうを振り向くと最高の笑みを浮かべ・・・

「おにーしゃん!ゆっきゅちありがちょー!」
「どういたしまして。ありすが喜んでくれて何よりだよ」

彼に心からの感謝の言葉を口にした。



ある日、ありすは男性が料理を作っているのを見守っていた。
フライパンの下でゆらゆらと燃え盛る炎は見ているだけで本能が警鐘を鳴らし、ちょっとゆっくり出来ない気分になる。
けれど、煙と一緒に漂ってくる香ばしい匂いはとてもゆっくりしたもので、ついつい食欲をそそられてしまう。

「おにーしゃん!とってみょゆっきゅちちたにおいにぇ!」
「そうだろ?」
「ねえ、おにーしゃん!しょれ、にゃあに?」

好奇心旺盛なありすはいつものように小首を傾げつつ男性に問いかけた。
彼は料理に集中しているためかありすの方を向かずに答える。

「ゆっくりに人気(らしい)のおやつ、『あまあまキノコさん』だよ」
「ゆゆっ!きのこしゃんもあみゃあみゃしゃんもゆっきゅちできりゅわ!」
「出来上がるまでそこでゆっくりしてなさい」

素直に「ゆっきゅちりきゃいちたよ!」と答えたありすはじっと彼の横顔を眺める。
が、美味しいものが食べられると聞いてはつい頬が緩んでしまい、思わず飛び跳ねてしまいそうになる。
歌を歌って時間を潰すが、はやる気持ちはなかなか抑えられない。

「さてと、そろそろかな?」
「ゆゆっ!」
「お皿に移し変えて・・・はい、完成!」

男性はありすでも食べられそうな小さなキノコを小皿に手際良く載せると、彼女の目の前に置いた。
『あまあまキノコさん』という食べ物は一言で言ってしまえば薄く水あめをまとったキノコ類のことらしい。
キノコというキノコがあるわけではないのだが、ゆっくりは毒さえなければ細かいことは気にしないはず。

「まだ熱いから落ち着いて食べるんだぞ?」
「ゆっきゅちたべりゅわ!むーちゃむーちゃ、ちあわ・・・あ、あちゅい!」
「だからゆっくり食べろって言ったろ? ほら、牛乳」

舌を出したまま転げまわるありすに彼はすっと砂糖を溶かした牛乳を小皿に入れて差し出す。
それを見つけるなりありすは急いで小皿に駆け寄り、舌を牛乳に浸した。
ひんやりとした感触と砂糖の甘みが徐々に患部に染み込み、痛みを忘れさせてくれる。

「ゆぅ、いちゃかっちゃわ・・・」
「まったく、そんなんじゃ都会派のレディには程遠いぞ?」
「ゆうぅぅぅうう・・・」

至極もっともな指摘を受けて、真っ赤になって俯く。
よく見てみると彼女の大きな双眸から涙がぽろぽろと零れており、男性が思った以上に傷ついたようだ。
その様子を見て「言い過ぎたか」と思った彼はそっと彼女の頭を撫でる。

「悪い悪い。ゴメンな、言い過ぎだよ」
「ゆぅ・・・おにーしゃん。ありしゅ、いにゃかものだきゃら・・・ゆっぐ、みゃみゃに・・・」
「僕と会う前のことはよく知らないけど、そんな訳ないだろ?」

どうやら彼の指摘のせいで卑屈になってしまったのが涙の原因だったらしい。
男性は再びありすの頭に優しく指を乗せると、少しだけ乱暴に彼女の髪を撫でた。

「そんなことより、もう冷めたはずだから食べようか?」
「ゆぅ、ゆっきゅちたべりゅわ!むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」
「そうか、それは何よりだ」

その後、男性は適当に自分の食事を作り、ありすと一緒にちょっと早い晩ご飯を満喫した。



またある日、ありすは男性が手にしている妙なものに興味を示した。

「おにーしゃん、それなあに?」
「これはね、ビデオカメラって言う動画を取る機械なんだよ」
「びでおきゃめら?どーが?ききゃい?」

彼の口から飛び出したいくつもの聞きなれない単語に体を傾けつつ、疑問符を浮かべるありす。
彼女の様子を見た男性は少しおかしそうに笑いながら、ゆっくりにも分かるように説明し始めた。
まず、機械と言うのは人間の作った複雑な道具のことだと言うところから。

「で、動画って言うのはね。ありすはテレビは知ってるよね?」
「しってるわ!ゆっくりしたうごくえさんのおうちことよ!」
「そう、その動く絵さんの事を動画って言うんだよ」

それから、ビデオカメラで撮った映像を画面に映すためにコードを繋ぐ。
ブラウン管の向こうに「びでおきゃめら?どーが?ききゃい?」と首を傾げる1匹の子ありすの姿が映し出される。
そして、先ほどまでのありすと男性のやり取りをなぞり終えたところで画面に砂嵐が走った。

「ゆゆっ!ありすがはこしゃんのなかにいるわ!?」
「こんな風に動く絵さんを撮って、テレビの中に映したりするものなんだよ」
「ゆっくちりかいちたわ!・・・お、おにーしゃん、ありしゅのおねがいきいてね?」

ありすのお願いは彼女の姿を沢山撮影して欲しいと言うものだった。
断る理由のない男性は二つ返事でそれを承諾し、テープを交換すると早速撮影を開始した。
「さあ、ありす何かやってみて」などとお約束の無茶振りを交えつつ彼はありすの姿を追いかける。

「あ、ありしゅはありしゅよ!ゆっくちちていってね!」
「おいおい、さっきからその台詞3回も言ってるじゃないか」
「ゆゆっ!だってぇ・・・びでおきゃめらしゃん、なんだかゆっくちできないわ」

どうやらゆっくりであっても後々まで残される記録映像を撮られるのは緊張するらしい。
しかし、男性はせっかく撮り始めたものをもったいないとありすをなだめすかしつつ撮影を続ける。
ありすもありすで適当におだてられるとなんとなくその気になり、気がつけば撮られるのを楽しんでいた。

「流石ありす、とってもとかいはだぞ」
「ゆゆっ、ほんとう?ありしゅ、ゆっくちしたとかいはにゃの?」
「ああ、ありすほどゆっくりしていて都会派のゆっくりなんてきっと他にはいないさ」

カメラに追われ、あるいはカメラを追って、広い室内を縦横無尽に跳ね回るありす。
男性に言われるがままに表情を作り、大人っぽくウインクをしたり、子どもらしくころころと転がってみせる。
こんな調子で1人と1匹はとても充実した時間を過ごした。



翌日から、ありすと男性はビデオ撮影やビデオの鑑賞をして過ごす事が多くなった。
ある日は外出先のお花畑でありすが花に集まる蝶々を追いかけ、男性に教わったとおりに蜜を吸う姿を。
またある日はおもちゃのタンバリンとお歌によるアイドルゆっくりありすのプロモーションビデオを。

「たまにはお勉強もしないと本物の都会派にはなれないぞ」
「ゆっくちりかいちたわ!」
「今日は野生のありすについて勉強しようか」

男性はビデオデッキから『ありすのゆっくり生活2』と書かれたビデオを取り出すと、別のビデオを差し込む。
そのビデオには『野生のありす』と書かれており、タイトル通り野生のありすの生態を調査したものである。
彼がビデオを再生すると1匹の美ありすがまりさに愛の告白をするシーンが映し出された。

「ゆぅ・・・ずっとゆっくちちようね、なんて・・・すごくとかいはでゆっくちちてるわ!」
「ああ、そうだね。この後、まりさも一緒にゆっくりしたいって言ったら2匹は晴れてカップルになるんだよ」
「ゆゆーっ!すごくとかいはだわ!」

そんな調子で男性とありすが話している間に、ビデオは次のシーンに差し掛かっていた。
まりさのおうちに着いた2匹が食事の後に頬擦りをはじめ、やがてゆっくりにとっての交尾へと発展してゆく。
その光景をありすはほんのりと赤くなった顔を伏せつつも、上目遣いに凝視している。

「これはすっきりーって言って、これをすることで赤ちゃんができるんだよ」
「ゆぅ~ん・・・とってもとかいはだけど、にゃんだかはずかちいわ~」
「あはは、そうだな」

しばらくして2匹がすっきりーと声を発し、こすりつけあっていた頬を離す。
すると、ありす種の額からにょきにょきっと緑色の茎が生え、そこに小さな実がなった。
まだどの実がどのゆっくりになるかも判らない小さな小さな茶色い果実。

「ゆ~~~~~!すごいわ!すごくとかいは~、ね!」

生命の不思議を目の当たりにしたありすは興奮気味に大声で感想を口にする。
うまく言語化できないなりに愛し合う2匹が新たな命を育むことに感動を覚えたらしい。
しかし、次の瞬間、彼女の顔色がわずかに青くなり、明らかに怯えた表情になった。

「んほおおおおおおお!まりさってばどっでもきもぢいいわあああああ!!」
「やめでええええええ!ゆっぐぢでぎないいいいい!?」
「まりさってばづんでれねええええええ!んほおおおおおお!!」

それは美ゆっくりが多く、総合能力の高いありす種の負の側面。
容姿端麗・才色兼備の優位を容易くひっくり返す圧倒的なマイナス点。
俗にレイパーありすと呼ばれる存在が画面に映し出されていた。

「やめてあげちぇね!いやがってるわ!?」
「ありす、これは映像なんだから言っても無駄だぞ?」
「で、でも・・・だってぇ、あんにゃのぜんぜんとかいはじゃないわ!?」

憔悴しきった様子でレイパーありすと男性を交互に見比べるありす。
男性はそんなありすの頭を撫でて彼女の気持ちを落ち着かせつつ、優しく話しかける。

「ありすは絶対にこんなゆっくり出来ない子になっちゃいけないぞ?」
「ゆぅうう・・・あ、ありしゅ、あんないなかもみょにはならないわ!?」

テレビが移し出すのは愛し合う2匹と、レイパー被害にあったまりさ、そしてレイパーありすのその後。
ようやく落ち着いたありすはと男性と一緒に4匹の行く末を見守った。
まりさとありすの赤ちゃんが生まれたときには・・・

「ゆ~っ!とってもゆっくちちたあかちゃんだわ!」
「とってもとかいは~、ね!」
「ありすもすてきなだーりんとゆっくりするよ!」

と、彼女達の幸せそうな姿を見て、心の底から喜んでいた。
また、まりさが健気にもレイパーの子どもを1匹で育てる姿を見た時には感涙する。
まりさが彼女達を一時は捨てようかと考えていただけに、強く感情移入しているように見えた。

「ゆっぐ・・・まりざぁ、すごくときゃいはだわ・・・!」
「おぢびぢゃん、ゆっぐぢぃ~」
「ゆっぐ・・・おぢびぢゃんたち、ぢゃんとそだってよがったわ・・・!」

そして、レイパーありすの末路を目の当たりにしたときには複雑な表情になった。
飼いゆっくりを狙って人間の家屋への侵入を試みたありすは家主に捕まり、厳しいお仕置きを受ける。
その後、森へ投げ捨てられた彼女はれみりゃに発見され、なすすべも無く食われてしまった。

「ゆぅ、おにーさん・・・なんだかかわいそうだわ」
「仕方ないさ。自分の快感のために平気で他人を弄んだりしたんだから」
「ゆう・・・・・・そうだにぇ」

そんな調子でありすはビデオや日々の遊び、男性との交流から多くのことを学んで行った。



月日は流れ、気がつけばありすが男性と出会った日から3ヶ月近い時が過ぎていた。

「おにーさん!ありすね、すてきなだーりんがほしいの!」
「そうか、お前ももうそんな年頃か。それじゃあ、素敵なダーリンを探してくるよ」
「ゆわーい!おにーさん、ゆっくりありがとう!」

男性はそう言いながら跳ね回って喜びを表現するありすの頭を撫で、彼女を落ち着かせると急いで出かけていった。
あまりに突然の出来事に呆然となるありすだったが、彼がダーリンを探しに行ったことをゆっくり理解する。
彼が帰宅するのを心待ちにしながら、ありすは男性が出かける間際に用意しておいたゆっくりフードに口を付けた。

「ただいま、ありす!!」
「ゆゆんっ!おにーさん、ゆっくりはやいわ!?」
「ゆゆっ、とってもゆっくりしたありすだよ!」

物凄い速さでお眼鏡に適うだけのまりさを見つけてきた男性の怒涛の帰還。
驚いて彼のほうを振り向いたありすは、彼に抱きかかえられたとてもゆっくりしたまりさの姿を捉える。
ピンと立った黒い山高帽に、艶やかな金髪、まばゆく輝く大きな瞳、そしてもちっとした皮。
どこから見ても完璧なとてもゆっくりしたまりさだった。

「あ、ありすはありすよ!ゆっくりしていってね!」
「まりさはまりさだよ!ゆっくりしていってね!」
「ね、ねえ、まりさ・・・ありすが、ずっといっしょにゆっくりしてあげてもいいのよ!?」
「ゆゆっ~!まりさもありすとゆっくりしたいよ!」

ゆっくりの恋愛は恐ろしく早い。
冗談抜きにビビビッと来たとでも言わんばかりの早さでつがいを決めてしまう。
勿論、幼い頃からの付き合いがそのままつがいになるようなケースもあるのだが。

「まりさ、す~りす~りしましょ!」
「ゆっくりす~りす~りするよ!」
「「す~りす~り・・・ゆっくりー!」」

まりさを床に置くと2匹は早速親愛の頬ずりを始めた。
見たところ、まだすっきりーのためのすりすりには程遠く、単なるスキンシップのようだ。
幸せそうな笑顔を浮かべて、下膨れた顔を上下させて頬をこすりつけている。

「まりさぁ、とってもゆっくりしてるわぁ」
「ありすもすっごくゆっくりしてるよ!」
「「す~りす~り・・・」」

通常のす~りす~りは数秒程度のものだが、2匹は30秒近くも頬ずりを続けている。
どちらもほんのりと頬が赤く染まり、惚けた表情になっている。
どうやら、すりすりを続けている間にどちらも発情してしまったらしい。

「ゆぅ~ん、ありすぅ~・・・」
「まりさぁ~・・・ゆっくり~」

嬌声交じりの声で互いの名前を呼びながら気持ちを昂ぶらせてゆく2匹。
やがて、皮にうっすら甘い香りの粘液が浮かび上がり、頬をこすり付けあう動きがわずかに変化する。
頬をぶつけ合って柔らかさをアピールする頬ずりから、自分の粘液を相手に刷り込む頬ずりへ。

「ゆぅ~・・・ん、まりさぁ~・・・!」
「あ、ありすぅぅうぅ~~~!」
「「すっきりー」」

それから程なくして、2匹は仲良く一緒に絶頂に達してすっきりを終えた。

「ゆゆっ、なんだかあたまがむずむずするわ!」
「ありすぅ~、とってもゆっくりしたおちびちゃんだよ~」
「ほ、ほんとう!ありすのあかちゃん、ゆっくりしてる?」

物凄い速さでありすの額から生えてきた茎になる赤ゆっくりの実はまだゆっくりの体をなしていない。
ビデオで得た知識からありすもそのことは承知だろうが、それでも我が子の姿を確認せずにはいられないようだ。
上を向いたり、下を向いたり、身をよじってみたりと色々な方法を試みていた。

「ありす、鏡だ」
「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりありがとう!」

男性にお礼の言葉を伝えると、ありすはすぐに鏡の前に立って額の茎になる実の様子を確認した。
細い茎から生えたさらに細い糸のような枝にぶら下がって揺れる9個の茶色の実。
その数の多さと1つ1つの質の高さを見て、ありすは満足げに微笑んだ。

「ゆゆっ!おにーさん、まりさ!みんなとってもゆっくりしてるわ!」
「ほんとうだね!みんなとってもゆっくりかわいいよ!」
「それにこんなにたくさんいるなんて・・・とってもとかいはーだわ!」
「きっとありすがゆっくり出来る子からだね」

実際にはゆっくりしているか否かと子どもの数はあまり関係がなく、むしろ反比例することが多い。
つまり、子どもが多い原因はどちらかというとまりさの側にあるということになる。
しかし、男性はそんなことはおくびにも出さずに笑顔で答えた。

「ゆ~ん、ありすのあかちゃん!ゆっくりはやくうまれてね~♪」
「ゆ~、ゆっくりたのしみだよ!」

この日はありすのにんっしんっ祝いに美味しいカステラを食べ、2匹は眠くなるまでお歌を歌ってゆっくりした。



翌日、ありすの茎になる実は種族不明だがゆっくりだと認識出来る形と大きさになっていた。
まだ髪の毛もお飾りもなく、ようやく形を成した目も口も閉じられたままだが、皮の色はしっかり肌色。
安らかな寝息が聞こえてきそうな彼女達の姿はとてもゆっくりしているように見える。

「ゆ~ゆ~♪ おちびちゃ~ん、ゆっくりうまれてね~♪」
「ゆ~ゆ~♪ ゆっくり~♪ ゆっくり~♪」

そんな彼女達を眺めながら2匹は最高にゆっくりした笑みを浮かべつつ、お歌を聞かせている。
歌で赤ゆっくり達をゆっくりさせているつもりなのだろう。
が、歌っている内に本人達もゆっくりした気持ちになったのか、ウトウトと船をこぎ始めた。

「ゆぅ~・・・ゆっくり~♪ ゆぅ~・・・」
「ゆ~♪ ゆっくりー・・・ゆぅゆぅ・・・」

窓の近くの陽だまりで2匹は頬を寄せ合って寝息を立てている。

「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ありすぅ、ゆっくり・・・」
「ゆぅゆぅ・・・ゆゆっ、ゆっくり~♪ ゆ~ゆ~、ゆぅ・・・」

時々、何かの拍子に目を覚ましてはまた歌を歌い始めるが、それでもまたすぐに眠ってしまう。
そんな事を日が当たらなくなる夕方まで繰り返しながら、2匹はゆっくりと1日を過ごした。

「さあ、ありす!ゆっくりかえるよ!」
「ゆっくりー!まりさ、ありすもわたさんもってかえるわ!」
「だめだよ、ありすはゆっくりしてね!わたさんはまりさがもってかえるよ!」

ありすは都会派としてのプライドからかにんっしんっしているにも関わらずまりさと同じように仕事をこなそうとする。
しかし、まりさは伴侶として彼女と我が子を気遣い、ゆっくりするのがありすの仕事だと断った。
傍目には2匹は長年連れ添ったとてもゆっくりしたカップルのようにも見える。

「ありす、まりさがごはんさんとってくるよ!」
「ゆぅ~ん・・・まりさ、ゆっくりありがとう!」
「おにいさん、まりさがありすのごはんさんもっていくよ!」

まりさは男性の元まで跳ねて行くとゆっくりフードの入った袋を受け取り、ありすの待つ猫ベッドのようなおうちへ急ぐ。
ぽよんぽよんともちもちの皮を弾ませ、全身を大きく揺らす彼女の表情は真剣であり、同時にどこか幸せそうだった。
一方、伴侶の帰りを心配しながら待つありすも、時折視界に入るわが子の姿を見ては思わずにやけていた。

「ゆっくりかえったよ!」
「ゆっくりおかえりなさい!」
「ありすとまりさのごはんさんだよ!ゆっくりたべようね!」

近くに置かれているゆっくり用の皿にフードを流し込むと、ありすの傍までそれを持って行くまりさ。
ありすが彼女にお礼のちゅっちゅ、要するに頬に口づけをするとまりさは少し照れてしまった。
それからありすと一緒に「ゆっくりいただきます!」と言い、仲良くフードを食べ始める。

「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」
「む~しゃむ~しゃ、とかいはぁー♪」

こんな調子で2匹の幸せなにんっしんっ生活は何事もなく平穏に過ぎて行った。
2日目には赤ゆっくりに髪とお飾りが生え、ありす種が6匹のまりさ種が3匹であることが判明。
3日目にはこれといった問題もなく全員赤ゆっくりサイズに達し、無事この世に生を受けた。



ぽとり、と床に落ちた果実がぷるぷると全身を震わせながら立ち上がる。
人間には分からないが、地に伏した姿勢から儚い力を振り絞って健気に立ち上がろうとしている。
1分近い時間をかけてようやく起き上がったその子は大きな目で両親を見つけると満面の笑みを浮かべた。

「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

一番に産まれたのはゆっくりありす。
ありすによく似て、髪の艶も肌の張りも良好な生まれついての美ゆっくりだった。
少し生意気そうな笑顔を浮かべて両親に挨拶すると、彼女達の傍に跳ね寄って頬ずりをする。

「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

次に産まれたのもゆっくりありすだった。
長女よりもちょっとだけ気弱そうな雰囲気のお淑やかなお嬢さん。
そんな雰囲気を持つ次女ありすも両親の元へと跳ねて行き、2匹の頬に交互に頬ずりをした。

「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

三番目に産まれたのはゆっくりまりさ。
まりさの活発さを受け継いでいるらしく、姉2匹よりもずっと早く立ち上がった。
「ゆーゆー!」と鳴きながら、元気良く両親の傍へと跳ねて行く。

「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

四番目に産まれたのはゆっくりありす。
前の二人に負けず劣らずの可愛らしいゆっくりだが、少し運動が苦手らしい。
三女ありすは他の子たちより少しだけゆっくり跳ねて、両親の元までたどり着いた。

「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

五番目に産まれたのはゆっくりまりさ。
長女まりさより若干小ぶりな印象を受けるが、髪の艶や皮の張りでは彼女に決して負けない子だ。
まりさ譲りの運動神経で、先に産まれた四女とほぼ同時に両親の元にたどり着いた。

「「ゆっきゅちちていっちぇね!ゆぅ?」」
「「ゆっくりしていってね!」」

六番目と七番目に産まれたありすは同時に産声を上げた。
そして、双子同士「ゆっきゅち!」と笑顔で挨拶を交わすと、頬を寄せ合いながら両親の元へ。
まったく同時に母達に触れた2匹は寄り添い合ったままありすと頬ずりをした。

「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

八番目に産まれたのはゆっくりまりさ。
彼女もまたすっと立ち上がると「ゆっきゅち!」と言いながら両親の元へ跳ねていく。
そして他の姉妹達のいないまりさの側頭部に回りこむと、髪の毛の中に潜り込んだ。

「ゆっきゅちちていっちぇね!」
「「ゆっくりしていってね!」」

そして、姉妹の仲で一番小ぶりなゆっくりありすが最後に産声を上げた。
他の姉妹に習って両親の元まで跳ねてゆくが、両親の頬の付近には彼女が入り込めそうな場所がない。
それでも、この末っ子は頬ずりをしたいらしく姉達の後ろをうろうろしている。

「ゆゆっ!ありしゅもおみゃみゃとしゅりしゅりしちゃいの?」
「ゆぅ・・・ありしゅね、みゃみゃのほっぺちゃがいいの・・・」
「だっちゃらおねーしゃんがかわってあげりゅわ!」

そう言って長女ありすは自分の場所を末妹ありすに譲った。
末妹ありすは姉にお礼を言うとすぐに母の元へと跳ねて行き、柔らかい頬と頬を重ねる。

「しゅーりしゅーり・・・ゆっきゅちー!」
「おちびちゃんのほっぺもとってもゆっくりしてるわ!」

こうして9匹もの我が子と挨拶とスキンシップを済ませたありすは頭を揺らして茎を落とした。
赤ゆっくり達は笑みを零して、一目散に茎の元へと駆け出していく。
それからありすに指導されて初めての「いただきます」を済ませると、茎にかじりついた。

「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」」
「「「ゆっきゅちちてりゅよー!」」」
「「ゆっきゅちー!」」

幸せそうに初めての食事を楽しむ可愛らしい赤ゆっくり達。
その姿を見つめながら、自分が生まれたそのときの母のいない寂しさを思い出しながら、ありすは心に誓った。
この子達は自分とまりさのふたりで絶対にゆっくりさせてあげるんだ、と。





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最終更新:2011年07月28日 03:59
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