ゆっくりいじめ系2818 れいぱーありすはゆっくりできない

※二作目です
※現代設定です
※虐待対象はありすのみです
※↑なので虐待されないゆっくりも出てきます
※ぺにまむ設定ありです
※俺設定を含みます
※その他あれこれとあるかもしれません


『れいぱーありすはゆっくりできない』


日曜の朝、その静けさを切り裂くように男達の声が響いた。

「そっちにいったぞ!」
「捕まえろ!いや、もう潰しちまえ!」

場所は、小さな子供が遊ぶような、男達が必死になるには不似合いな公園だ。彼らは走って何かを追いかけている。

「ゆぅぅぅ!こんなのとかいはじゃないわああ!だずげでばりざああああ!でいぶううううう!」

追いかけられているのはゆっくりありすだ。
公園の中にはまりさやれいむといった他のゆっくりの姿もあるが、
男達はそちらには目もくれずありすだけを狙っている。
ゆっくり達もまた、ありすの助けを求める声に耳を貸すそぶりすら見せない。
いや、ありすの声に耳を貸さないどころか、逆に人間達に声援を送っていた。

「おにいさんたちがんばるのぜぇ!」
「ゆっ!れいぱーをやっつけてね!」

その声援に押されたわけではないだろうが、若い男の鋭い蹴りがとうとうありすを捉えた。

「いい加減往生しろっ!」
「ゆげぇっ!」

蹴りの威力に皮が破れ、致命的な量のあんこを漏らすありすをさらに追撃が襲う。

「チッ!手こずらせやがってこの野郎」
「も、もっとゆっくりしべぇっ――」

ありすは断末魔の台詞さえ言えずに息絶えた。



たとえ日曜でも滅多に人が来ない、昼間である今の時間帯でさえ薄暗い路地裏。
そこに仕掛けられた、入り込んだゆっくりが囮のエサに触れた瞬間に入り口の扉が閉じて
捕獲するタイプの罠に別のありす二匹が引っ掛かっている。

そこにぱちゅりーがやってきた。
ありす達はこれぞ天の助けとばかりに声を張り上げる。

「ぱ、ぱちゅりー!こっちにきづいて!ありすをたすけてちょうだい!」
「たすけてくれたらとかいはなおれいをするわ!」
「むきゅう、そんなところで何をやっているの?」

「ありすにふさわしい、とかいはなごはんさんをみつけたとおもったらでられなくなったのよ!」
「きっといなかもののにんげんのせいだわ!ぱちゅりーのちえでなんとかしてちょうだい!」
「むきゅ、ぱちゅりーひとりじゃむりよ。たすけをよんでくるわ」

ありす達は安堵した。

早朝、食べ物を探している最中に捕まってから今まで不安の中で耐えてきたがようやく助かるんだ。
あの都会派なぱちゅりーには一杯お礼をしよう。きっとぱちゅりーも喜んでくれるはずだ。
そんなことを考えているとぱちゅりーの声がした。

「むきゅ、ありすたちはこっちよ」

どうやら早速助けを連れてきてくれたらしい。ああ、本当に助かって良かった。

「おっ、二匹もいるじゃないか!良くやったぞぱちゅりー!ご褒美にエサをやろう」
「むきゅう、ありがとうお兄さ「「どう゛じでにんげんがい゛る゛の゛お゛お゛お゛!!」」

だが、ありす達の期待を裏切り、ぱちゅりーが連れてきたのは人間だった。
その人間とぱちゅりーの会話を遮るようにありす達が叫ぶ。助けが来たと思ったら最悪の敵だったのだから当然だろう。
しかし、ぱちゅりーはありすの悲鳴を聞いても全く動じない。むしろ表情を綻ばせた。

「むきゅきゅ、ゆっくりできないありすをこらしめて、たべものまでもらえるなんていっせきにちょうだわ」

ありす達は愕然としている。
この田舎者のぱちゅりーは最初から自分を人間に売るつもりだったんだ。

「ばぢゅ゛り゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」「このい゛な゛がも゛の゛お゛!!」
「さっ、お前らはこれから保健所行きだ。どうだ?嬉しいだろう?」
「う゛れ゛じぐな゛い゛い゛い゛!!」「ほけんじょはい゛や゛あ゛あ゛あ゛!!」
「むきゅきゅ、ほけんじょでゆっくりしんでいってね!おばかなありす!」



日曜の寂しげな夕暮れ。
もうすぐ終わる休みの時間を惜しむように子供達が河原ではしゃぎ回っている。

「ヘイヘーイ、パスパス!」
「行くぞー」

遠目にはボール遊びに興じているように見えるが、
そこでボール代わりに投げられているのはソフトボールサイズの子供ありすだった。

「ゆあぁぁ!たしゅけてみゃみゃぁぁぁ!」

子供ありすを持っていた少年からパスを要求していた少年へとパスが渡る。
放り投げられた子供ありすが、まるで赤ん坊に戻ったかのような悲鳴を上げて親に助けを求めた。

「もうやめてええ!!ありすのとかいはなおちびちゃんをいじめないでえええ!」

助けを求める声を聞いた親ありすが必死で少年を追いかけようとするが、ゆっくりが人間に足の速さで勝てるわけがない。

「それっ!必殺魔球だ!」
「ゆべしっ!」

パスを受けた少年が、かけ声と共に子供ありすを橋台に向かって全力で投げつける。子供ありすは当然即死だ。

「イエー!これで5対0で俺たちの勝ちな!」

パスを出した少年がありすに向かって言った。

「子供が大事ならもっとちゃんとセーブしろよな。お前のせいでみんな死んじゃったぞ」

パスを受け、必殺魔球とやらを放った少年が戻ってきて続ける。

「ゆああああああ……あでぃずのおぢびぢゃんだぢがあああ……」

ここで行われていたのは、少年二人対ありすとその子供五匹の勝負とも言えないような勝負だった。

ルールは単純。
少年達はありすの子供を奪ってパスしながら進み、橋台に向かって投げつけて殺せば一点。
ありすはそれをセーブして子供を守れば一点。

しかし、ルールが単純であろうと無かろうと人間相手の勝負でありすに勝ち目などない。
そもそもこの勝負自体、勝負を受けなければ今すぐ子供を皆殺しにすると少年達に言われて半ば強制的に受けさせられたものだった。

「じゃあ、負けたありすには罰ゲームの時間でーす」
「ぺにぺにとまむまむを破壊して二度と子供が作れないようにしまーす」

そう言うと少年達は茫然自失状態のありすの下腹部の穴に木の枝を突っ込み始めぐじゃぐじゃとかき回し始めた。
さらにポケットからライターを取り出すと、火をともして完全に焦げ付くまで入念にあぶる。

「ゆ゛ぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」

余りの痛みに抑えきれなかった悲鳴を上げられながらありすは考えていた。

どうしてこんなことになったんだろう。
人間はおろか同じゆっくりでさえありす達を虐めるこの町で生まれた子供達を、
それでも少しでもゆっくりさせてあげたくてこの河原に来たのに……
みんなみんな死んでしまった。
そして自分は二度と子供を産めなくなる。
ああ、どうしてこんなことになったんだろう。








そもそも、この町で人間ゆっくり連合対ありすとでも言うべき構図は生まれたきっかけは、
一年ほど前にこの町の小学校で行われたPTA総会だった。
より正確には、そこで出されたゆっくりありす達のおぞましい交尾姿は
子供達の健やかな成長に良くないから何か対策をとるべきだという意見だった。

その意見を述べたのはPTAの中でもリーダー格の中年女性で、
それに同調したのは彼女の取り巻きであるこれまた中年女性達だ。

リーダー格の中年女性は普段は物わかりの良い女性だった。
例えば、子供達が時に虫やゆっくりを残酷に扱うのを見ても、
これもまた成長には必要なことと注意はすれど禁止をするようなことはなかったし、
自分の息子が18歳未満禁止な本をこっそり自室に隠していても見て見ぬふりをしてやる程度の度量はあった。

しかし、一年前のその頃は完全に堪忍袋の緒が切れていた。

元々この町では、人間とゆっくりは割合上手く付き合っていた方だった。
時折ゆっくりが花壇やゴミ捨て場を荒らすことはあるにせよ、家に侵入されたり物を破壊されたりという大きな被害は殆ど無かったし、
むしろ、小学校の飼育小屋で教育の一環としてゆっくりを飼育したりとゆっくりの存在が人間に有効に働くことさえあったからだ。

鬱陶しい存在ではあるけど、目くじらを立てて排除する程でもない。
人間にとってのゆっくりは、言ってみれば野良猫や野良犬、その程度の存在だった。

全てが変わったのは約一年と一ヶ月ほど前、レイパーありすの大集団がこの町にやって来てからだ。
レイパーありすの集団が来て、ゆっくりにとってはもちろん人間にとっても町は地獄絵図になった。

道路の端、小学校の校庭、公園など町中至る所でありすによるレイプが行われる。
人間がそれに対処しようにも、ありすの数が多すぎてレイプを押しとどめるどころか目をそらして見ないようにすることさえ難しい。
本気で嫌がる相手の気持ちを理解しようとせず、ツンデレという言葉で全てを前向きに解釈する姿はおぞましいの一言に尽きる。

ゆっくり達は襲う側も襲われる側も人の言葉を使って町中で叫びまくる。
ありすの都会派なぺにぺにで愛をあげる!レイプは嫌だ!おちびちゃんは犯さないで!
性に敏感な時期にある子供達にも幼い子供達にもとても聞かせられない言葉ばかりだ。

密やかな状況で行われる動物の交尾や出産は、場合によっては子供達に生命の尊さを教える役割を果たすこともある。
しかし、このゆっくりありす達の交尾や出産は明らかに違う。

開けっぴろげな町中で、嫌がる相手も幼い子供もお構いなしに自分が満足するまで性欲を叩きつけ続ける。
そうしてすっきりしたゆっくり達はありすの愛を受け取れた幸せ者だと嘯き反省の色も罪悪感の欠片もない。
出来た赤ん坊は犯し殺すか相手に押しつけるかで親の情などまるで存在しない。

こうした状況がしばらく続き、リーダー格の中年女性もさすがに腰を上げざるを得なくなったのだった。

その時のPTA総会ではおおむね中年女性の思惑通りに議論が進行した。
他の出席者もレイパーありすの言動と町中に響く叫び声に辟易としていたからだ。
全てのありすが強姦魔な訳ではないと主張する愛護派もいたが、町の現状を見れば説得力は皆無だった。
こうして、この町ではゆっくりありすは積極的に捕獲して保健所送りにするかその場で処理するという方針が固められたのだった。



ありすを見つけたらとにかく町から排除する。
そんな方針が町に浸透し、徐々にレイパーが数を減らし始めた頃、不思議なことが起こった。
れいぱーから逃れた数少ないゆっくりたちが人間に協力を申し出たのだ。

そのゆっくり達は見ていたのだった。
同族であるはずのありす達が自分の家族や友人、仲間達を滅茶苦茶にしていく姿。
そんなありす達を手際よく葬って自分たちを救ってくれる人間の姿。

もちろん、人間達にゆっくりを救おうという意識があったわけではない。
人間にとって大事なのは子供のため、自分のため、町のためにありすを排除することであって、
ゆっくりを救うことになったのは単なる結果に過ぎない。

しかし、そんなことはゆっくり達にとっては些細なことだった。
とにかく命を救ってくれる。これ以上に大事なことなど無い。

そして、ありす以外のゆっくり達の協力が得られるのは人間にも都合が良かった。

その頃、レイパーの数自体は減少していたが、その予備軍とでも言うべき赤ん坊や子供のありすの数は劇的に増加していた。
元々いた他種ゆっくりの子供や赤ん坊はありすに犯し殺されたり、ありすによる無茶なすっきりで親を失ったりで数を減らし、
生まれてくるのはレイプによる望まぬ妊娠による赤ん坊ばかりなのだから当然だ。

レイパーの子はレイパーになる可能性が高いというのはよく知られた話だ。
子供と言えどありすを放置することは出来ない。

しかし、運動能力がない代わりにミニサイズで町中どこにでも隠れられる子・赤ありすを全て人間が探し出すなど不可能に近い。
それをゆっくり達が自発的に探して殺してくれるというなら大いに手間が省ける。

こうして、この町での人間とゆっくりの利害は一致して、協力関係となった。
そして、ありすは人間にもゆっくりにも追い回されてその数を一気に減らし、
今では僅かに残ったありす同士がかろうじて小さなコミュニティをいくつか形成する程度になっていたのだった。








「ゆう……。きょうもなんとかいきのこったわね……」

町外れの潰れた病院跡。
日もすっかり暮れて、明日に備えるために人間もゆっくり達も多くが寝静まった頃、
ある生き残りのありすコミュニティで長の立場にあるありすが力なく呟いた。

「おさ、なんにんかもどってきていないありすがいるわ」
「たべものをさがしに、こうえんにむかったありすとろじうらにむかったありすたちよ」
「とかいはなおちびちゃんをつれたありすもよ」

長ありすに幹部ありす達が今日の報告をする。しかし、報告したからと言って何があるわけでもない。

ありす達に出来ることは何もないのだ。
助けに行くなど自殺行為に等しいし、この時間まで戻って来ていないというのはもう死んでいると考える他ない。
せいぜい二次被害を防ぐため、戻ってこなかったありす達が行っていた場所には
しばらく近づかないようにと通達するくらいだった。

コミュニティの指導者達の暗い雰囲気を感じ取ったのか、一匹のありすが呟いた。

「やっぱり、このまちをでていったほうがいいんじゃないかしら……」

小さな呟きだったその声に他のありす達が劇的に反応する。

「そうよ!ほかのばしょにはもっととかいはなゆっくりぷれいすがあるはずよ!」
「こんないなかじゃありすのみりょくはりかいされないわ!」
「いまこそ、とかいはにふさわしいとかいをめざしてたびだつときなのよ!」
「ありちゅはゆっくちちたいよ!ここはゆっくちできにゃいよ!」

しかし、沸き立ったありす達に長ありすはため息をつきながら言った。

「ゆうぅ……。みんなむちゃいっちゃだめよ。どこにいけばいいのかもわからないままたびにでるなんてできないわ。
ここにはちいさなこたちもいるし、それにほんとうにそんなゆっくりぷれいすがじつざいするかもわからないのよ」

その長の言葉に、沸き立っていたありす達は一気に消沈した。
他の場所に行きたい、ゆっくりプレイスを探す旅に出たいと言ったありす達もそんなことは分かっているのだ。
ただ、分かってはいても余りに希望のもてない現実を前にして言わずにはいられないだけなのだ。



その時、廃病院の入り口の方から声がした。

「ねー、本当にここに入るのぉ?」
「ああ、ここって潰れた時に院長が病室で首をつったとか夜になると人の話し声がするとか色々曰くがあるんだぜ」

若い人間の男女の声だ。
ありす達は一瞬硬直した後、脱兎のごとく駆けてそれぞれの体格にあった場所に隠れた。
みんな必死で息を潜める。

「ふーん、こういうところって落書きだらけかと思ったけどそうでもないんだね」
「不良達でも近づきたがらないような場所ってことさ」

人間達が話しながらありす達の方に近づいてくる。
頼むからこのまま通り過ぎてくれ。長ありすは息を潜め、目をぎゅっと閉じながら必死で祈っている。

コトリ。

「今何か物音がしなかったか?」
「えぇ?脅かさないでよぉ」

長に戦慄が走った。
まずい。今の物音は赤ちゃんありすが隠れている辺りから鳴った。

「こっちの方からだな」
「ねー、止めなよぉ」

そうだそうだ、その女の言うとおりだ。止めてくれ。そっちに行かないでくれ。
しかし、長ありすの願いも虚しく、男は携帯電話の明かりをかざすようにしながら赤ちゃんありすの方に近づいていく。

男がその存在に気付いた。

「ん?これ、もしかしてゆっくりか?おい、ゆっくり!なんでそんなところにいるんだよ」

そう言いながら、男は背中を向けている小さなゆっくりを掴み出す。

「げっ!こいつありすじゃねーか!」

ああ、とうとう気付かれた。長は泣き出したいような気持ちでそう思い、しかしそれでもなんとか心を立て直した。
いや、まだ大丈夫なはずだ。
コミュニティのありす達には、こういう時には例え親兄弟であっても見捨てるよう言い含めてある。
赤ちゃんありすとその親には気の毒だが、この状況で犠牲が一人で済めば万々歳だ。

その時、自分を見捨てる決意を固めた長の内心を見透かしたかのように、
人間に捕まってもここまで耐えてきた赤ちゃんありすがとうとう悲鳴を上げた。

「ゆあああああああん!たしゅけてみゃみゃああああ!!」

そして、その悲鳴こそがありす達を地獄に突き落とすことになるのだった。

「助けてママ、だと?もしかして親もこの近くに隠れてるのか?」
「ねー、もしかしてここから夜になると聞こえる人の話し声ってありすじゃないの?」
「ああ、あり得るな。ちょっと何人か呼んで探してみるか」

その会話を聞いた長ありすは最早卒倒寸前の状態だった。
だが、それでも長ありすは必死で考える。
どうすればいいんだ?どうすればこの状況から抜け出せるんだ?

その間にも男と女は携帯電話をいじって、人を呼ぼうとしている。

ここに留まっていちゃダメだ。人間が増えたらどうにもならなくなる。脱出するなら今の内しかない。
人間が二人だけの今なら、何人かの犠牲は出るだろうが大多数は脱出に成功するはずだ。

長は覚悟を固めた。
隠れていた場所から叫びながら飛び出す。

「ゆああああああああああああああ!!!みんなここからにげてえええええええ!!!」

その言葉に真っ先に反応したのはありす達ではなく人間の男だ。

「出てきやがった!こいつが親か!?喰らえっ!」

男の蹴りが容赦なく長ありすにめり込む。

長ありすは倒れ込みながら思った。
これでいい。そう、自分はここで死ぬだろうがこれで多くの仲間は生き残るはずだ。
仲間のために命を張って死ねるなら都会派として本望だ。

倒れ伏し、痛みに顔をしかめながらそれでも長ありすは周囲を見渡す。
長ありすの考えでは、そこには自分を殺そうとする人間の姿と
そんな人間達を尻目に一目散に逃げ出すありす達の姿があるはずだった。

しかし、そんな光景は長ありすの目には映らなかった。
いや、自分を殺そうと近づいてくる人間の姿はある。しかし、肝心の逃げ出すありす達の姿がない。
なぜだ!?みんなもう逃げたのか?いや、自分たちゆっくりはそんな一瞬では移動できない!
長ありすの絶望的な自問自答。

その答えは一つしかない。

長以外のありす達には、この絶体絶命の状況で生き残るために、必死で頭を働かせる冷静さも命を賭けて駆け出す勇気もなかった。
ただ、赤ちゃんを犠牲にすれば自分は助かると念仏のように心の中で繰り返していただけだった。
中には長が飛び出したことに気付いていないありすさえ居た。

ありす達は、長が捨て身で作った唯一の脱出機会を逃したのだ。



男が、手の中で声も出せずに震えている赤ちゃんありすを弄びながら長ありすに近づいていく。

「よう。お前、さっき面白いこと言ってたな?『みんな逃げて』だったか?」
「ゆっ!そ、そんなこと言ってないわ!ここにいるのはありすとそのとかいはなおちびちゃんだけよ!」

男がニヤニヤとありすに語りかける。その後ろでは女が誰かに電話をしている。

「いやいや、そんな仲間想いな振りしなくて良いからさ。お前らはそんな生き物じゃないだろ?な?レイパーありす?」
「あ、ありすはれいぱーじゃないわ!!とかいはなれでぃよ!!」
「はいはい。レイパーはみんなそう言うんだよ。自分は、都会派な愛の伝道師だってな」

電話を終えた女が男に声を掛ける。

「みんな今から来られるって!」
「おっ!そうか!ありすの群なんて最近は滅多に見つからないからなあ。楽しみだぜ」

その会話に致命的な意図を感じ取った長ありすは必死で声を張り上げた。

「やめなさい!ここにはありすとそのおちびちゃんしかいないっていってるでしょ!」

しかし、男はまともに取り合わない。

「はいはい、その言葉が本当か嘘かはお前を処分したあとでゆっくり確かめてやるよ」

その言葉にとうとう長ありすの心が折れた。

「……やべでよぉ。お゛ね゛がい゛だがら゛や゛べでよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛……」
「自分は嫌がる相手でも平気でレイプするくせに厚かましい奴だな」
「あでぃずはれいばーじゃない゛っでばあ゛あ゛……」
「言い訳はあの世でお前らが犯し殺してきた相手にしな。まあ、お仲間にもすぐ後を追わせてやるから安心しろよ」

「じゃあな。クソレイパー」

男の渾身の蹴りが長ありすの体に突き刺さった。
その爪先が顔面からあんこを突き抜けて中枢餡にまで達する。
長ありすは悲鳴一つあげずに絶命した。

そして、残るありす達の命運も今ここに窮まったのだった。



それからおよそ二時間後、廃病院から数人の男女が出てきた。

「あー、久しぶりに楽しんだわ」
「でも、幽霊病院の正体がゆっくりありすだなんてね」
「まあ都市伝説の正体なんてこんなもんなのかもな」
「俺は充分遊ばせて貰ったから文句ねーや」
「ハハハ!」
「ウチのちぇんが襲われることがなくて良かったわ」

若者達の会話と笑い声が響いてくる。
その楽しげな後ろ姿が、散々弄ばれた挙げ句に皆殺しになったありす達の虚ろな瞳に映っていた。

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最終更新:2011年07月31日 16:14
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