ゆっくりいじめ系2670 生死の要因2外伝…約束

注:外伝っぽいですが本編を読んでなくても問題ありません

「ただいま~!」
「ゆぅ~!おにいさんおかえりなさい!」
「ゆっくりしていってね!!!」

とあるボロ借家に合わない明るい声が響き渡る。

お兄さんは2匹のゆっくりを飼っていた。
れいむ種とありす種である。
元々はありすだけ飼っていたのだが、
やはり友達が欲しいだろうなと思いれいむも購入したのだ。
お兄さんは住んでいる所が示す通り貧乏だった。
せっかく入社が決まった会社が倒産してしまったのだ。
お兄さんは必死に仕事を探したが簡単には見つからず苦しんでいた。
だがありすとれいむがいるからお兄さんは頑張れた。
1人暮らしのお兄さんにとってこの2匹は心の支えだったのだ。

「おにいさん…。きょうはどうだった…?」
「ん?ああ…。今日もダメだったよ…。ははは…。」
「げんきだしてね!!れいむ、ごはんがまんするよ!!!」
「お前たちが気を使うことないさ。ほら、鯛焼き買ってきたぞ。」
「おにいさんありがと~!とってもとかいはね!!!」
「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~♪」
「ありすは特に沢山食べろよ。頭の赤ちゃんの分だ。」

そう、ありすは植物型妊娠をしていた。
れいむとの愛の結晶だ。プラプラ揺れる度に2匹は笑顔になる。
今はちょうど赤ゆの種類が判明してきた頃だ。

「赤れいむ3匹に赤ありす2匹か…。元気に育てよ~!」
「ゆぅ~♪きっととかいはなこになるわ!」
「うまれたらおにいさんにあいさつさせるね!!」
「楽しみにしてるよ。オレもまた明日頑張ろう・・・。」

ありすはずっと母親に憧れていた。
だかられいむが父親役となったのだ。
2匹はとても仲が良い。きっといい親になるだろう。

「ゆ~ゆゆ~♪あかちゃ~ん♪ゆっくりうまれてね~♪」
「ゆっ!?いまうごいたよ!ゆ~、たのしみだよ~!」





だが、このささやかな幸せも終わりを迎えようとしていた…。



数日後…お兄さんは電話で大声で話していた。

「ほ…本当ですか!?ありがとうございます!!頑張ります!!!」

そう、新しい働き先が見つかったのだ。
現在唯一景気が良い『加工場』の従業員である。
ゆっくりに関連するグッズやお菓子を製作・販売する場所だ。
しかも社員が使っているアパートに住まわせてくれる仕様だと言うのだ。
これ以上無い好条件であった。『あの条件』を除いて…。

「え…。あ、はい。飼ってますけど…。はぁ…そこを何とか…はい、分かりました…。」

さっきとは一変、お兄さんの表情は暗かった。
そのアパートはペット禁止だったのだ。
しかもゆっくりは特に禁止されていた。
ゆっくりを加工する加工場の従業員の住むアパートだ。
禁止なのも仕方が無かった。

「どうしよう…。でもこれが最大のチャンス…。だけど…。」

お兄さんに2匹を預ける場所など無かった。
親の反対を押し切って上京したのだ。
反対される可能性が極めて高い。
友人だってこの近辺にはいない。どうしようも無かった。

「ゆ~!おにいさん!おしごときまったの!?」
「おめでとう!さすがとかいはなおにいさんね!!」
「あ、ああ。よし!今日はごちそうだ!!」

電話の人も言っていた。
加工場で働く過程で必ずゆっくりの死臭が付いてしまう。
ゆっくりにしか分からない特殊な臭いで、落とすのは困難を極めるらしい。
そうなれば飼いゆっくりであっても必ず飼い主を拒絶するようになると…。

お兄さんは想像するだけで耐えられなかった。
2匹や赤ちゃんたちに『ゆっくり殺し』と言われるのは死よりも辛いとまで思った。
1週間の猶予の中、毎晩ありすとれいむに嫌われる夢を見た。

お兄さんは2匹を愛していた。
だがそのゆっくりを愛する心故に苦しんだ。

「仕事を諦め…ダメだ…。そうしたらもうあの子たちすら養えない…。
 仕事場はここから遠すぎる…。金が無いから他のアパートとかも無理だ…。
 親の仕送りだって望めない…。どうすればいいんだ…!!!」

お兄さんは2匹を愛しすぎた。それ故2匹を捨てる決意をした。
愛してるから、嫌われたくないから、自分に失望して欲しくないから…。
何とも矛盾した決断である。だがこれがお兄さんが出した答えだった。

その考えはお兄さんのエゴであることは言うまでも無い。
嫌われる前に捨てれば嫌われずに済む…。
自分を好きなままでいてくれる…。
これがエゴと言わずに何がエゴであろうか。
愛してると言いながら、結局は2匹を自分の都合のいいようにしたいだけなのだ。
捨てられたゆっくりがどんなことになるか、お兄さんだって分かっていたはずだ…。







数日後、引越しの前日…

「ゆ~!ありすのあかちゃんうまれそうだわ!!」
「ゆゆ~ん♪あかちゃん!ゆっくりうまれてね!!!」

茎にぶら下がっていた赤ゆたちの動きが活発になり、
茎から離れようと左右にプラプラ揺れていた…。
赤ゆたちは早く生まれて両親に挨拶したかった。
あと、よくお母さんが言っていた『お兄さん』にも挨拶したかった。
希望に夢膨らまし、1番先にぶら下がっていた赤ありすが茎から離れた。
座布団の上にポトッと着地し、そっと目を開き叫んだ。

「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」
「ゆ~!すごくゆっくりしてるあかちゃんだよ~♪」
「ありすとれいむのあかちゃん!ゆっくりしていってね!!!」
「みゃみゃ~!ぴゃぴゃ~!ゆっきゅりうみゃれちゃよぉ~♪」
「ゆ!またうまれそうだわ!」
「ありしゅのいもうちょだね!ゆっくりうみゃれちぇね!!!」

こんな調子で次々と赤ゆは産まれていった。
赤ありすが2匹と赤れいむが3匹、計5匹。
どれもとっても可愛くてゆっくりしてる赤ちゃんだ。
親となったありすとれいむは感激で胸がいっぱいだった。

「あかちゃ~ん♪このくきをたべたらあいさつのれんしゅうよ!」
「ゆっきゅり~♪わきゃっちゃよ~!!」
「む~ちゃむ~ちゃ、しあわしぇ~!!」




その日の夜、引越し会社の人が来る少し前…

「ただいま…おっ赤ちゃん産まれたのか!!」
「おかえりなさい!ありすとれいむのじまんのあかちゃんよ!!」
「みんな!おにいさんがかえってきたよ!あいさつしてね!!!」

せ~の…

「「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね~!!!!!」」」」」

「元気な赤ちゃんだな!お兄さんも嬉しいよ。そうだ!!
 明日記念にありすの大好きな『とかいは』な公園に連れてってあげよう!!」

『とかいは』な公園とは、以前ありすが子ゆだった時に何度か連れて行ってもらった公園だ。
ありすは最近お兄さんが忙しいせいで我慢していたのでとても喜んだ。

「あかちゃんたち!あしたはとかいはなこうえんにいくからもうねましょうね!」
「ゆ~ん…。そういえびゃ…ねみゅくなっちぇきちゃよ…。」
「れいむがおうたをうたってあげるよ!だからゆっくりねようね!」
「ありすもうたうわ!!」

「「ゆ~ゆゆ~ゆ~♪ゆゆゆ~ゆゆ~ゆゆ~ゆ~♪」」

赤ゆたちはあっという間に寝てしまった…。
いつしかれいむとありすも疲れて寝てしまった…。

「お休みなさい…。愛しのありす…れいむ…そして赤ちゃん…。」

7匹を安眠用防音ボックスにそっと入れた。
そしてその後引越し会社の人たちがやって来た…。




そして次の日…運命の日…

「ゆぅ~♪ひさしぶりのこうえんよ~!」
「ゆっくりできるね~!とりさんもゆっくりしてるよ!」
「ゆ~!とりしゃん!ゆっくりしちぇいっちぇね!!」
「こらこら、お父さんとお母さんから離れちゃダメだぞ。」

お兄さんはありすたちを連れて公園まで来ていた。
ここは都内の公園で、まさに『とかいは』な公園だ。
赤ゆたちは初めての広い世界に目を輝かせていた。
お兄さんは名残惜しそうな表情をした…。

お兄さんはそっとありすとれいむの頭を撫でた…。

「お兄さんは用事があるからここで待っててね。」
「ゆ!わかったよ!れいむそれまでここでゆっくりしてるね!!」
「あかちゃんたち!ありすたちとおさんぽしましょうね!!」

お兄さんはベンチに7匹を乗せ、そっと立ち去った…。

「さようなら…。君たちとの思い出は一生忘れないよ…。」





それから数時間が経ち、赤ゆたちはすっかり遊び疲れていた。
ありすもれいむも存分にゆっくりできた。

「ゆ~…。おにいさんおそいね…。」
「おなかすいたね…。おにいさんゆっくりしすぎだわ…。」
「おにゃかしゅいたよ~…。」
「にゃにかたべちゃいよ~…。」

結局夜になってしまった…。
ありすたちは不安に支配された。
空腹も限界だったが、飼いゆっくりだったありすたちには
どうすることもできなかった…。

「あしたにはきっとおにいさんがきてくれるよ…。」
「きょうはゆっくりねようね…。」
「ゆ~…。おにゃかしゅいた…。」

ちなみにこれまでこのゆっくりたちが何の脅威にも晒されなかったのは、
ありすとれいむのカチューシャと髪飾りにバッジがあったからだ。
お兄さんはせめて悪い人間に攻撃されないようにと残しておいたのだ。
このバッジを見た優しい人間が拾ってくれることを信じて…。

だがお兄さんのせめてもの償いは無駄に終わることになる…。


次の日の朝、明るい日差しによって7匹は目を覚ました。
だがすぐに感じたのは空腹であった。

「ゆっくりしていってね…。」
「おにいさんまだこないの…?ありすたちおこるわよ…。」
「おかーしゃん!おにゃかしゅいたよ~!!」
「にゃにかちゃべちゃいよ~!!!」
「わかったわ…。どこかでたべものをもらいましょう…。」

ありすたちは仕方なく公園から離れ、食料を調達することにした。
だが飼いゆっくりに食べ物の入手法など分からない。
人間に頼るしか道は無かった…。

だがありすたちは重要な欠陥を見落としていた…。
そうとも知らずにありすたちは人間が多い繁華街に向かい…。

「おにいさん!ありすたちにたべものをちょうだい!!」
「おねがいだよ!おなかをすかせたあかちゃんがいるんだよ!!」
「あ~ん…?また物乞いの捨てゆっくりかよ…。」

ありすたちは耳を疑った。
自分たちは立派な飼いゆっくりだ。
なのに捨てゆっくりとは何て無礼な人間であろうか。

「ありすたちすてられてなんかないわ!あやまってちょうだい!とかいはじゃないわ!」
「バッジがみえないの!?おにいさんがつけてくれたたからものだよ!!!」
「バッジ…?ないぞ、そんなもの…。どうせ捨てられたばかりで自覚が無いんだろ。」

ありすたちは再び耳を疑った。バッジが無い?
そんなはずが無い。この人間はどこまで目が節穴なんだろう。

「ぷく~!あかちゃんたちのまえでへんなこといわないでね!!!」
「そうよそうよ!ありすたちをばかにするとおにいさんがおこるわよ!!!」
「しょーだしょーだ!おかーしゃんたちをばきゃにしゅるなー!!」
「ありしゅたちおにゃかしゅいちぇるんだよ!?あやまっちぇあみゃあみゃちょーだいね!!」
「ぴゅく~!れーみゅおこっちぇるよ!」

親も子も大事に育てられていたので世間の恐ろしい面を知らなかった。
だが飼いゆっくりである自分たちに手を出せばタダじゃ済まないことは知っていた。
だから赤ちゃんたちの暴言もあえて止めなかった。
この人間がゆっくりできない人だから何を言ってもいいと思っていたのだ。
いざとなればきっとお兄さんが助けてくれる…そう高をくくっていた…が。

「うるせーな…!オレは競馬で負けてイライラしてるんだよっ!!」

男は思いっきり白昼堂々れいむを踏みつけた…!
強く踏まれれいむは少し餡子を吐いてしまった…。

「ゆやぁぁぁぁぁ!!れいむぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
「おとぉしゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「ぴゃぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ゆげぇぇ…。いちゃいよぉぉぉ…。」
「おとーしゃんをいじみぇるにんぎぇんはちねー!!」

無謀にも赤ゆの内何匹かがタックルを開始した。
ありすは危機感を感じすぐ止めようとしたが間に合わなかった…。

「ばーか!死ぬのはそっちだろうが!たりゃ!!」
「ゆぺっ!」
「ゆぎぴ…!」
「おねえぢゃぁぁぁぁ…ぴ…っ!!」

一瞬で赤れいむ2匹と赤ありす1匹が踏み潰されて死んだ。

「ありずのどがいはなあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「どぼじでぇぇぇぇぇぇ!!!ひぢょいよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「すっきり~!気分爽快!!死んで空腹に悩まなくなったんだから結果オーライだろ?」
「にげるよあがぢゃん!!ゆっぐりでぎないよ!!」
「あれだけ馬鹿にしといて逃がすと思うか?全滅させてやる…!!!」

ありすは残った赤ありす1匹と赤れいむ1匹を口に入れ逃げ出した。
れいむも後に続き急いで逃げた。

「待てこのっ!!っていてぇっ!!!」

男は追いかけようと走ったところで電信柱に衝突してしまった。
しかも金属部分に顔をぶつけ傷ができてしまった…。

「ちくしょう…。ちきしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

ありすは訳が分からなかった。どうして飼いゆっくりである自分たちに手を出したのか…。
逃げ切れたことを確認したありすとれいむは静かに涙を流した…。
口から出てきた赤れいむと赤ありすも恐ろしい光景を目にして震えていた…。

そんな時、たまたま割れて落ちていたガラス片に目が合った…。
光の反射で鏡のようにありすたちを映し出したのだが…。

「なに…これ…?」
「ゆ…?ゆ…???」

あるはずのバッジが無かった…。2匹は目を疑った。
バッジ…大切な、飼いゆっくりの証である大事なバッジ…。
お兄さんからもらった宝物…。それが何で無いの…?

「ゆあぁぁぁぁぁ!!とかいはなありすのバッジがぁぁぁぁ!!!」
「ゆえぇぇぇぇん!!!!ゆえぇぇぇぇん!!!」

赤ゆの目も気にせず2匹は泣いた。
ありすはやっと納得した。あの人間の言葉の意味を…。

バッジが無ければゆっくりは野良扱いである。
家族の内1匹でも付けていればいいのだが、
今この家族にはバッジは1つも無かった。
でもどうして?いつなくなったの?
お兄さんが取った?いや、そんなはず無い…。
いくら考えても答えは出なかった…。



そう、お兄さんは取っていない。初日は確かにバッジがあった。
なくなったのは次の日の朝…、まだ全員が寝ている時だ。
光り物が好きな都会の鳥、カラスが持っていってしまったのだ。
今やこの4匹は野良同然の存在となってしまった。
もう人間の助けは望めなくなってしまったのだ。






それから数日後…

ありすたちは何度も人間に食べ物を求めたが全て無視された。
公園のベンチでお兄さんを待ち続けたが迎えには来なかった。
もう空腹も限界だった。赤ゆに至っては飢え死に寸前だった。

「このままじゃしんじゃうわ…。」
「ゆぅ…ゆ!?なんかにおうよ!!」

れいむが見つけたもの、それはゴミ捨て場に置いてあった食べ物だった。
まだ捨てられたばかりなのか腐っている様子も無かった。
恐らくどこかのレストランの余り物だろう…。

「そんなすててあるのをたべるのはとかいはじゃないわ!!!」
「…でも…おなかすいたよ…。あかちゃんもげんかいだよ…。
 おにいさんがきてくれるまでがんばろうよ…。」
「みゃみゃ~…。ありしゅちゃべちゃいよ…。」
「れーみゅも…。」

ありすはしばらく歯を食いしばった後、食べることを許可した。
プライドよりも今は食べることが重要だ。でないと死んでしまう。

「む~しゃむ~しゃ!しあわせ~!!」
「む~しゃ…む~しゃむ~しゃ!!おいしいわぁぁぁ!!!」
「ちょかいはなあじだにぇぇ!!おいちいよぉ~!!」
「む~ちゃむ~ちゃ~!しあわしぇ…ぴぎゃ…っ!!」

ありすとれいむと赤ありすは固まった…。
そこにはさっきまで美味しそうに食べていた赤れいむがいたはずだ。
だがそこには潰れて餡子を吹き出している何かの残骸があった…。

「ちょっと目を離すとこれだ…。いったい何匹いやがんだよ、全く…!!」

上を見上げるとそこには恐ろしい形相をした人間が棒を持って構えていた。
棒の先には餡子と千切れた皮が付着していた…。

「あ…あがぢゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
「ありしゅのいぼうちょがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「お前らも駆除の対象だ!!このゴミ荒しめ!!!」

男の棒が勢いよく振り下ろされる…!!
標的は赤ありすだったが…
れいむは瞬間的に赤ありすを弾き飛ばし…

「ゆぴっ!?ぴゃぴゃ…!!」

れいむは2匹ににニッコリと微笑みかけた…。

「ありす…。あかちゃんをおねが…。」


ドグシャァッ!!!!!!!!!


「あ…あがぢゃん!!!にげるよ!!!にげるのよぉぉぉぉぉお!!!!!」
「ゆえぇぇぇぇぇぇん!!!ぴゃぴゃぁぁぁぁ!!!!」
「逃がすかこの害獣め…!!!」

ありすはれいむの気持ちを察し、赤ありすを口に入れて逃げ出した。
最後の赤ちゃん、絶対に守ってみせる…!!

「待てこの…っ!!!?」

男が足に重さを感じたので下を見ると、死んだと思っていたれいむが食い下がっていた。

「ゆ………………ね…!!!」
「…ああん?」
「ゆ…ぐり…じ…ねぇ…!!ゆっぐり…じねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
「痛くも痒くもねーよ…。あの2匹見失ったじゃねえか…!!!」


ボグシャァッ!!!!!!!

ボグッボグッバキャッガス!!!!

グチャッグチャッグチャァァァァッ!!!!!!

「ゆ…………くり………。」
「はぁ…はぁ…!!手間掛けさせやがって…!!くそがぁっ!!!」

男はゴミ捨て場を管理している人間だった。
ゴミを荒らすゆっくりが何よりも嫌いな男だった。

「今度毒入りの餌でも設置するかな・・・。」






「ゆふぅ…ゆふぅ…。」
「みゃみゃ…。だいじょーぶ…?」

2匹は助かった、が…親のありすはひどい怪我を負っていた。
逃げるのに夢中で色々な物にぶつかったり、
ぶつかった犬に噛まれたりしたせいだ。

2匹はお兄さんと約束したあの公園のベンチの下にいた。
周りの全てが怖い…全て敵だ…。
人間は誰も助けてくれない。
ゆっくりを見かけても縄張りを主張され襲われたこともあった。
食べ物を探しているだけで潰されてしまう。
もうお兄さんしか頼る人がいなかったのだ。

「みゃみゃ…。きっちょおにーしゃんがたしゅけちぇくれりゅよ…。」
「ゆひぃ…ゆひぃ…。」

親ありすの心はズタズタだった。
伴侶を殺され赤ちゃんもほとんど殺された…。
怖い…寂しい…お兄さん助けて…助けて…

「みゃみゃぁぁ!しっきゃりしちぇぇぇぇぇ!!!」
「ゆひっ!?…ごめんね…あかちゃん…。」
「あやみゃるこちょにゃいよ!ありしゅはちょかいはだもん!!!」

そうだ。まだこの子がいたじゃないか。
ありすはまだ死ぬ訳にはいかなかった。
何としてでもお兄さんを待ち続けなくては…。
この可愛い赤ちゃんのためにも…。

「とかいははやくそくを…ちゃんとまもるものよ…。おにいさん…はやくきてね…。」
「みゃみゃ…。ありしゅがみゃみゃをみゃもるよ…。だきゃらあんしんしちぇね…。」



この後この2匹は悲しい末路を辿ることになるが…
そんなこと知る由も無い2匹は身を寄せ合い、共にいられる時間を噛みしめた…。
2匹はいつまでもお兄さんを待った。決して来るはずの無いお兄さんを生きる希望にして…。








本編に出てきた、ベンチの下のありすたちの物語…
本編より少しだけ前の話です…
ペットは責任持って飼いましょう!!!



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最終更新:2011年07月28日 00:00
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